英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第97話
~アイゼンガルド拠点~
「――――――」
「「「「!!」」」」
戦闘開始時敵は飛行形態に変形した後デュバリィ達目掛けて突撃し、敵の突撃に対してデュバリィ達は左右に散開して回避した。
「フフッ、これはどうかしら?――――――それっ!!」
「!?」
飛行形態から通常の形態に戻った敵を見たエンネアはクラフト―――ピアスアローを敵のヘッド目掛けて放ち、ヘッドに強烈な衝撃を受けた敵は怯んだ。
「崩れたわ!」
「もらった!――――――砕け散れッ!!」
敵が怯むとエンネアとリンクを結んでいたアイネスが追撃にクラフト―――地裂斬を放って命中させた。
「参ります――――――そこっ!!」
「行きますわよ――――――斬!!」
続けてオリエがクラフト―――双剋剣を、デュバリィがクラフト―――神速ノ太刀で左右斜めから十字する形で敵を攻撃して更なるダメージを与えた。
「――――――!」
デュバリィ達の攻撃を受けた敵は反撃に翼を広げて無数のレーザーをデュバリィ達目掛けて放ち、それを見たデュバリィ達は回避に専念した。
「わかってはいた事だが、やはりあの”翼”が厄介だな……ッ!」
「かといって”翼”を破壊する為に下手に近づけば、飛行形態による突撃の反撃がされるでしょうね……!」
アイネスとエンネアは襲い掛かるレーザーを回避しながら反撃の隙を狙っていた。
「…………………」
「んなっ!?あのレーザーの雨の中を突っ込むなんて無茶ですわよ!?」
その時オリエが敵目掛けて突撃し、それを見たデュバリィは驚きの表情で忠告したがオリエは襲い掛かるレーザーを紙一重で回避しながら敵に近づいた後レーザーが襲い掛かってこない敵の足元の背後でクラフトを放った。
「吹き荒れなさい――――――!!」
「!?」
オリエが放ったクラフト―――ハリケーンエッジによって発生した竜巻を背後から受けた事による衝撃で敵はレーザーの乱射を中断し
「好機……!フォローは任せたぞ、エンネア!」
「はいはい。」
それを見たアイネスは敵に目掛けて突撃し、エンネアは弓に矢を番えて援護攻撃を行う動作に入った。
「――――――」
「………!」
一方敵は足元にいるオリエに腕を振るって攻撃したが、オリエは次々と襲い掛かってくる腕を回避し続けた。
「フン、目の前の敵に気を取られるとは所詮は意思無き人形ですわね――――――斬!!」
敵がオリエへの攻撃に気を取られている隙にデュバリィはクラフト―――影技・剣帝陣で敵にダメージを与え
「ふふっ、これはどうかしら?ハァァァァァァ…………ッ!」
「……!?」
エンネアはクラフト―――メデューサアローを敵の片腕に命中させ、エンネアのクラフトによる石化効果で片腕の一部が石化した事で敵の動きは鈍くなった。
「受けよ!全てを屠るこの一撃―――クリティカルブレード!!」
そこに得物に闘気による炎を宿したアイネスが跳躍して敵目掛けて空中から落下と共に叩きつけた。
「――――――!?」
アイネスのSクラフトによって片腕が翼ごと両断された敵は大ダメージを受けると共に怯んだ。
「フフ、私の目はどうかしら?―――今よ、デュバリィ、オリエ殿!」
そこにエンネアが自身に備わっている”魔眼”を発動させて敵の動きを完全に封じ込めた。
「ええ!”神速”の真骨頂、とくと味わいやがりなさい!オォォォォォォォ………ッ!!」
「後はお任せください!参ります――――――ハァァァァァァ…………ッ!!セイッ!!」
敵の動きが完全に封じ込められるとそれぞれSクラフトを発動したデュバリィは敵の周囲を縦横無尽に駆けながら斬撃を叩き込み続け、オリエは双剣を高速に振るって無数の斬撃を叩き込むと共にその場に竜巻を発生させた後高くへと跳躍した。
「ライトニング―――キャリバー!!」
「ラグナ―――ブレイド!!」
縦横無尽の攻撃を終えたデュバリィは”神速”で敵の背後へと駆け抜けると共に一閃した後敵を中心に無数のカマイタチを発生させ、跳躍したオリエは全身に雷を宿して突撃してまるで”雷の剣”のような姿になって敵に攻撃を叩きつけると共に雷の雨を発生させた後雷と風の大爆発を起こした!
「――――――!!??」
二人のSクラフトによってダメージが限界に来た敵は咆哮を上げながら消滅した!
~オーロックス拠点・最奥部~
「――――――!!」
「「!!」」
戦闘開始早々敵は巨大な両腕をシュピーゲルとケストレル目掛けて振り下ろし、それを見た二体の機体は左右に展開して回避した。
「もらった!」
「そこっ!!」
回避を成功させたシュピーゲルは反撃を敵の腕に叩き込み、ケストレルは敵のヘッド目掛けて銃撃を叩き込んだ。
「――――――」
「ぐ……っ!?やはり見た目通り、耐久力は相当なものだな……!」
「しかもあの巨体であれ程の素早い攻撃を繰り出すのですから、見た目に囚われた判断をしない方がよさそうですね。」
二体による攻撃を受けた敵だったが全く怯まず反撃に素早くシュピーゲルにパンチを叩き込み、攻撃による衝撃が機体越しに来たクルトは呻き声を上げた後敵を睨み、ケストレルの操縦席にいるステラは敵の挙動を警戒していた。
「聖なる光よ、今こそ集い、炸裂せよ――――――ホーリーバースト!!」
「集え、闇の雷よ――――――ヴォア・ラクテ!!」
「!?」
その時セレーネとメサイアが後方から魔術を放って敵にダメージを与え
「みんなを守って――――――セイクリッドシェル!!」
アルフィンは機甲兵を介したEXアーツを発動させて支援効果をシュピーゲルとケストレルに付与し
「巻き起これ――――――シルフィードキス!!」
「走れ、星の輝き―――星光―――地烈斬!!」
敵を挟み込む形の位置へと移動したフォルデとアイドスはそれぞれ左右斜めから遠距離攻撃クラフトを放って追撃した。
「――――――」
「っとぉ!やっぱ、見た目通り防御力は完璧のようだな。」
二人の攻撃が終わると敵はフォルデ目掛けて素早く腕を振るい、反撃を見たフォルデは側面に大きく跳躍して回避した。
「貫け、烈輝陣――――――レイ=ルーン!!」
「!?」
敵がフォルデに攻撃している間に魔術の詠唱を終えたアイドスは極太の純粋魔力エネルギーを放ち、アイドスが放った魔術によって重厚な装甲が貫かれた敵はダメージを受けると共に怯んだ。
「好機!オォォォォ……!斬!!」
「目標補足――――――ファイアー!!」
敵が怯むとシュピーゲルは敵との距離を詰めてクラフト―――レインスラッシュを敵のボディに、ケストレルは敵のヘッド目掛けてクラフト―――アサルトラッシュを放って追撃し
「封印王ソロモンよ、暗黒の鉄槌を今ここに――――――死愛の魔槍!!」
「えい―――アクアマター!!」
「やあ―――ロードフレア!!」
二体の機体に続くようにメサイアは魔術による暗黒の槍、セレーネとアルフィンはEXアーツを発動させて追撃した。
「――――――」
「!!」
次々と攻撃を受けた敵だったが全く弱った様子を見せず両手でケストレルを掴もうとし、それを見たケストレルは間一髪のタイミングで後ろに跳躍して回避した。
「大丈夫ですか、ステラさん!?」
「問題ありません。……とはいっても、かなり厄介な相手ですね……!」
「ええ……攻撃は効いてはいるようですが、あの巨体の上装甲も厚いようですから、長期戦を覚悟しなければならないかもしれませんね……!」
セレーネの心配に対して答えたステラの言葉に頷いたクルトは厳しい表情を浮かべて敵を睨んだ。
「”装甲が厚い”…………―――!クク、やってみる価値はありそうだな。セレーネ嬢ちゃん、アルフィンちゃん!自分達が扱える魔法の中で一番威力がある氷と炎の魔法を叩き込んでやれ!ただし順番は炎の魔法が最初で、その次が氷の魔法だ!」
「え?わかりましたわ!ハァァァァァァ…………グオオオオオオオ――――――ッ!!」
「はい!エニグマ駆動――――――」
二人の会話を聞いて何かを思いついたフォルデはセレーネとアルフィンに指示をし、フォルデの指示を聞いたセレーネは氷のドラゴンブレスを放つ為に竜化し、アルフィンはオーブメントを駆動させ始めた。
「炎と氷……―――!なるほど……そういう事ですか。ふふ、いざとなったら”裏技”を思いつくのも相変わらずですね……二人の攻撃準備が整うまで、私達で敵の注意を惹きつけます!」
「了解しました!」
フォルデ達の様子を見て瞬時に何をしようとしている事を悟ったステラはクルトに指示をした。そしてシュピーゲルとケストレルがそれぞれ牽制攻撃を放って敵の注意を惹きつけている間に、最高位のアーツを放つ為にいつもより長めの駆動時間を必要としていたアルフィンがアーツを発動した。
「やあっ!顕現せよ、全てを焼き尽くす覇王竜――――ロードフレア――――――ッ!!」
アルフィンが発動した最高位アーツによってその場に顕現した覇王竜は灼熱のエネルギーを敵目掛けて放って敵の全身を焼き尽くし
「氷金剛破砕撃 (ダイヤモンドアイスバースト)――――――ッ!!」
アルフィンのアーツが終わると竜化したセレーネは猛吹雪のドラゴンブレスを敵の全身に叩き込んだ!
「よし、ステラ、クルト、今だ!」
「はい!炸裂せよ――――――プロミネンスショット!!」
「!?」
セレーネのドラゴンブレスが命中する所を見たフォルデがステラ達に声をかけると、ケストレルは敵のヘッド目掛けて着弾すると大爆発を起こす強力な弾丸を放って命中させ、ケストレルが放った弾丸を受けた敵は全身が高温から一気に冷やされた事によって防御も脆くなっていた為ダメージを受けると共に怯み
「好機!ハァァァァァァ…………!斬!!」
「!?」
敵が怯むとシュピーゲルが一気に詰めよってクラフト―――レインスラッシュを叩き込んで再び敵を怯ませ
「一気に畳みかけます!私が援護をしますので、クルトさんは”止め”をお願いします!」
「了解しました!ハァァァァァァ…………そこだっ!!」
「目標補足――――――ファイアー!!」
敵が再び怯むとステラの呼びかけに応えたクルトがシュピーゲルを操作してクラフト―――双剋刃を敵に叩き込み、シュピーゲルが攻撃を終えるとケストレルがクラフト―――アサルトラッシュを敵に叩き込んだ。
「ミストラル――――――ブレード!!」
そしてケストレルが攻撃している間に力を貯め終えたシュピーゲルは凄まじい速さで敵に詰め寄って双剣で一閃した。
「――――――!!??」
するとダメージが限界に来た敵はその場で暴れながら消滅した!
~ノルド拠点・最奥部~
「――――――」
ヴァリマール達と対峙した敵はヴァリマール達目掛けてロケットパンチを放ち
「せいっ!!」
「ハアッ!!」
それを見たヴァリマールとヴァイスリッターはそれぞれ太刀を振るって自分達に襲い掛かるロケットパンチを弾き飛ばした。
「ヤアッ!!」
ヴァリマールとヴァイスリッターが敵の攻撃を防ぐとエル・プラドーは敵に細剣による突きを叩き込んでダメージを与え
「ブリューナク起動、照射。」
「――――――!!」
「お熱いのはいかが?――――――ファイアー!!」
エル・プラドーが攻撃を叩き込むと続くようにアルティナはクラウ=ソラスに収束したレーザーを放たさせ、ミュゼは魔導騎銃から炎の剣の形をした誘導式の魔弾を放って更なるダメージを与え
「裁きの炎を今ここに――――――セナケリブの光霞!!」
「ふふっ、私の熱い炎はどうかしら?――――――メルカーナの轟炎!!」
「纏めて吹きとべ――――――贖罪の光霞!!」
アルティナ達が攻撃している間に詠唱を終わらせたユリーシャ、ベルフェゴール、レジーニアは高火力の魔術を発動させて敵に更なるダメージを叩き込んだ。
「――――――」
「く……!?」
「「キャ……ッ!?」」
反撃を開始した敵は両腕から霊力のレーザーを放つクラフト―――プロトンキャノンでヴァリマール達にダメージを与え
「――――――」
更に後方にいるアルティナ達目掛けてグレネード弾―――ポリティカルグレネイドを放った。
「クラウ=ソラス!!」
「――――――!」
「聖なる結界よ―――聖光障壁!!」
自分達に襲い掛かるグレネード弾を見たアルティナはクラウ=ソラスに結界を展開させ、ユリーシャは光の結界を展開してそれぞれ自分達や仲間達を守った。
「左右から同時に攻めるぞ、エリス!――――――下がれ!!」
「はい、兄様!――――――弾けなさい!!」
ダメージから立ち直ったヴァリマールはエル・プラドーと共に敵との距離を詰めて左右から同時にヴァリマールはクラフト―――弧月一閃、エル・プラドーはクラフト―――ラウンドエッジを叩き込んでダメージを与え
「ハァァァァァ……ッ!竜破斬!!」
「!?」
二体の攻撃が終わるとヴァイスリッターはどのような材質の装甲も貫く凄まじい威力を誇るクラフトを叩き込んでダメージを与えると共に怯ませ
「崩れました!そこっ!」
「ハアッ!!」
「ヤアッ!!」
敵が怯むとヴァイスリッターは追撃し、ヴァイスリッターに続くようにヴァリマールとエル・プラドーも追撃を叩き込んで敵のダメージを重ねた。
「うふふ、隙ありよ♪すごい―――ねこパンチ!!」
「!?」
ヴァリマール達の追撃が終わると転位魔術で敵の背後に現れたベルフェゴールは背後から敵のヘッドに強烈な打撃を叩き込んで再び敵を怯ませ
「お覚悟を――――――クラウ=ソラス、コッペリオンオーダー発動!!」
「――――――!!」
アルティナはクラウ=ソラスに敵の足元から無数の霊力の刃を発生させるクラフトを発動して追撃した。
「エニグマ駆動――――――母なる海よ、今ここに来たれ!アラウンドノア!!」
「異界から津波を呼び寄せる魔術か。だったら、こっちは……来たれ、雷神――――――審判の轟雷!!」
「!?」
ミュゼが異空間より津波を呼び寄せるアーツで敵にダメージを与える様子を見たレジーニアは雷神を招聘して轟雷を放つ魔術を発動させて水によって全身が濡れていた敵を雷で感電させた。
「――――――」
「あの障壁はまさか……!」
「はい、物理の絶対防壁と魔法反射の結界を同時付与する”パトリオットフィールド”です……!」
ダメージから立ち直った敵はクラフト―――パトリオットフィールドで自身の身を守り、その様子を見たリィンとエリゼは厳しい表情を浮かべた。
「ほう……!それは興味深い……!ならば、試させてもらおう。光よ、行け!!」
「ちょっ、レジーニアさん!?」
二人の会話を聞いたレジーニアは興味ありげな表情を浮かべた後連続で光の弾を放つ下級魔術――――――連続光弾を敵に放ち、それを見たリィンは驚きの声を上げた。するとレジーニアが放った魔術が敵に命中すると魔法反射結界が反応し、レジーニアにダメージを与えた。
「!?痛いな………けど凄いな、あの人形は……増々興味が沸いてきたよ……!」
「二人の会話を聞いていながら、あの状態の神機に魔術を放つとか理解不能です。エニグマ駆動――――――ティアラ。」
ダメージによる痛みに顔を顰めながらもなお興味津々な様子で敵を見つめるレジーニアをジト目で見つめながらオーブメントを駆動させていたアルティナは治癒アーツをレジーニアに放ってレジーニアのダメージを回復し
「天よ……邪悪なる者達にも慈悲なる導きを――――――汝隣人を愛せよ。」
その時ユリーシャが敵の強化効果を無効化する魔術を発動させ、ユリーシャの魔術によって敵が展開した障壁や結界は消滅した。
「今よ、ご主人様!」
「ああ!行くぞ、エリゼ、エリス!」
「「はい、兄様!!」」
障壁や結界が消える様子を確認したベルフェゴールの言葉に頷いたリィンはエリゼとエリスに呼びかけて攻撃を再開した。
「下がれ!!」
最初に攻撃を仕掛けたヴァリマールはクラフト―――弧月一閃を叩き込み
「伍の型――――――光鬼斬!!」
「崩れなさい!!」
ヴァリマールの後にヴァイスリッターは居合斬りによる強烈な一撃―――光鬼斬、エル・プラドーは狙いすました針の穴を通すような一撃のクラフト―――ブレイクニードルを敵に叩き込み
「連ノ太刀―――箒星!!」
止めにヴァリマールが敵に斬撃を叩き込んだ後頭上より無数の光の球体を振り注がせて敵に大ダメージを与えた。
「――――――!!??」
ヴァリマール達が放った協力技によってダメージが限界に来た敵はその場で呻きながら消滅した!
「神機の消滅を確認………!お疲れ様です、リィンさん、エリゼ様、エリス様。」
「ふふっ、これで今回の作戦は無事終了したも同然ですわね。」
敵が消滅する様子を見たアルティナは明るい表情を浮かべてリィン達を労い、ミュゼは静かな笑みを浮かべた。
「むう……まさか無力化すると消滅してしまうとは……いや、それもまた興味深い出来事だったね。あたしの手で解体できなかったのかが非常に悔やまれるが……まあいい、不幸中の幸いにも”スペア”はまだ残っているようだからそちらを調べさせてもらおう。」
一方レジーニアは不満げな表情を浮かべた後興味津々な様子でヴァイスリッターに視線を向け、それを見たアルティナ達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「今度の天使も中々面白い娘よね~。」
「なっ!?その言い方ですとこの身まで”天使”として逸脱しているような言い方ではありませんか!というかレジーニアでしたか?その黒くなりかけている翼からして”堕ちかけている”ようですが……その原因はその異常なまでの探求心の欲望が強い事なのではないですか!?」
呑気な様子で呟いたベルフェゴールの言葉に驚いて反論したユリーシャはレジーニアを睨んで指摘し
「何を言う。これこそが天使だ。あたしの正義は常に知的好奇心と共にある。知りたい、調べたい、満たされたい。あたしは今、あたしに起こった出来事、あたしの目の前のもの全ての事で頭がいっぱいだ。勿論それは君の事も含まれているよ?天使でありながら、魔族と協力し合っている事にね。」
対するレジーニアはユリーシャの指摘に対して心底不思議そうな表情で答えた後意味ありげな笑みを浮かべてユリーシャを見つめ、レジーニアの答えを聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「フム、ユリーシャだったかな?見た所そちらの魔族は睡魔のようだし、純潔でも奪われたか。肉体的快楽を教え込まれ、虜になってしまったといった所かな?」
「違います!この身はリィン様の”守護天使”と契約しているから、この身のようにリィン様と既に契約を交わしていたそちらの睡魔―――魔神ベルフェゴールの目的である”主であるリィン様を支える事”が一致している為行動を共にしているのであって、貴女が邪推しているような事は一切ありません!」
レジーニアの推測に対してユリーシャは必死な様子で反論し
「あら~?でも、ユリーシャがご主人様の絶倫と経験豊富なテクニックに骨抜きにされたのは事実じゃない♪」
「貴女もこんな時に悪乗りしないでください!」
更にレジーニアの推測に悪乗りしてからかいの表情で指摘してきたベルフェゴールに対してもユリーシャは顔に青筋を立ててベルフェゴールを睨んで反論した。
「ほう、そちらの睡魔は”魔神”なのか。道理で睡魔が持つにしてはありえない莫大な魔力が感じられる訳だ。しかも”守護天使契約”を交わしている人間がその”魔神”とも契約を交わしているなんて、その人形達の事といい、君はあたしにとって知的好奇心の塊のようだね。――――――それじゃあ約束通り、君達の事を教えてもらおうじゃないか。」
一方ユリーシャの話を聞いてベルフェゴールを魔神だと知ったレジーニアは目を丸くした後エリゼやエリスと共にそれぞれの機体から現れたリィンを意味ありげな笑みを浮かべて見つめて声をかけ、レジーニアの言葉を聞いたリィン達は再び冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「え、えっと……今は軍事作戦中ですので、それについては作戦終了後に落ち着いた場所で説明させてもらいますので、申し訳ありませんが本作戦が終了するまでこの場で待機していてください。――――――それじゃあまずはこの拠点の責任者の部屋であるあの奥の部屋に突入するぞ。」
「おおっ!!」
我に返ったリィンは苦笑しながら答えた後気を取り直して号令をかけて仲間達と共に奥の部屋に突入した。
「誰もいませんね……」
「この拠点内で”紫の騎神”を保管していた場所は恐らく先程の大部屋であった事を考えると、既に猟兵王達はわたし達の襲撃を知った後撤退したのでは?」
「ああ……ノーザンブリアでの戦いの傷がまだ残っていただろうから、反撃ではなく撤退を優先したんだろうな……」
部屋を見回して呟いたエリゼの言葉に続くようにアルティナは自身の推測を口にし、アルティナの推測にリィンは頷いた。
「……―――!どうやらユリーシャさんが先程仰っていた”拠点内の天使族”はこちらにいらっしゃったようですわね。」
「え……―――!あ………」
その時周囲を見回して満身創痍の状態で倒れている天使を見つけたミュゼは真剣な表情で答え、ミュゼの言葉を聞いたエリスがミュゼが視線を向けている方向へと見つめて倒れている天使を見つけると呆けた表情を浮かべた。そしてリィン達はすぐに倒れている天使に駆け寄った。
「息はまだある……ユリーシャ、治癒魔術をこちらの天使に!エリゼとエリスも手伝ってくれ!ミュゼとアルティナは手分けして各部隊の部隊長達に”保護対象”である二人の天使が見つかって二人とも保護した事を連絡してくれ!」
「「「「はい!!」」」」
倒れている天使の状況を確認して天使がまだ生きている事に気づいたリィンはエリゼ達に指示をし、指示をされたエリゼ達はそれぞれ治癒魔術で天使の傷を治療し始め、ミュゼとアルティナは通信を開始した。
「それにしてもレジーニアさんといい、こちらの天使といい、二人とも一体何があってディル=リフィーナからゼムリア大陸に現れたんだ……?」
「ま、それに関しては”特務支援課”だったかしら?あの子達が可愛がっている女の子なら知っているのじゃないかしら?」
考え込みながら呟いたリィンの疑問にベルフェゴールが自身の推測を口にし
「ロイド達が……?――――――!なるほど、”別次元の零の至宝”による仕業か………」
ベルフェゴールの推測を聞いてすぐに心当たりを思い出したリィンは納得した表情を浮かべた。するとその時レジーニアが部屋に入ってきた。
「おーい、待つ必要があるのならばせめてその間にあの人形達をあたしに調べさせてくれないか―――おや?ルシエルじゃないか。」
リィン達に声をかけたレジーニアだったがユリーシャ達に治療されている天使に気づくと目を丸くした。
「!レジーニアさんとこちらの天使殿はお知り合いなのですか?」
倒れている天使を見つけたレジーニアの反応を見たリィンは驚きの表情を浮かべてレジーニアに確認した。
「まあ、お互いに面識はあるよ。――――――彼女の名前はルシエル。”権天使”であるあたしの一つ上の階級である階級第六位の”能天使”だ。」
リィンの問いかけに肯定したレジーニアは白髪の天使―――ルシエルの事を軽く説明した。
こうして……黒の工房の残りの拠点を全て潰す作戦は成功し……拠点制圧後”灰獅子隊”はレヴォリューションに乗り込んだ後、レヴォリューションによる主砲や爆撃によって拠点を完全に破壊した。またリィン達に保護されたルシエルはリィン達がレヴォリューションに帰還後、軍団長室であるリィンの部屋にあるベッドに移されてエリゼとエリスによって看病され……レジーニアはリィン達と共にレヴォリューションに乗り込んだ後リィン、レン、プリネからレジーニア自身の今の状況やレジーニアにとっての異世界であるゼムリア大陸の事についての説明を受けていた――――――
後書き
という訳で今回の話で判明したようにもう一人のコンキスタからの参戦キャラはルシエルです!原作でも称号に”智謀”がついていることから、ルファ姉に続く”知”の無双キャラになりかねないキャラでもありますが……ただ、原作の事を考えるとルファ姉の下位互換キャラになりかねない気がww(酷ッ!)まあ、戦闘能力は接近戦もできる攻撃魔法に加えて回復魔法もできると器用貧乏な魔法戦士タイプですから戦闘面では間違いなく役立つでしょうが(コラッ!)
ページ上へ戻る