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ドリトル先生の野球

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第六幕その七

「連投抜きにしても凄い人達だよ」
「ピッチャーとしての能力が高かったんだね」
「そもそものそれが」
「連投で完投出来るだけじゃなくて」
「そうだったんだね」
「そうだよ、稲尾さんはスライダーとシュートが凄くて」
 この人はそうだったというのです。
「どちらも魔球みたいだったんだよ、スライダーは高速スライダーで」
「普通のスライダーより速いんだよね」
「キレも鋭くて」
「今も投げる人いるよね」
「恰好いい名前の変化球よね」
「それで有名だったけれど実は真の武器はシュートで」 
 それでというのです。
「抜群のコントロールと球威もあってね」
「中々打たせなかったんだ」
「その高速スライダーとシュートで」
「そうだったんだね」
「杉浦さんもコントロールがよくて」 
 今度はこの人のお話をするのでした。
「とんでもない曲がり方をするカーブと少し沈むシュートでね」
「勝っていったんだね」
「その二つの変化球を武器に」
「そうだったんだね」
「お二人共今現役だったら」
 どうかといいますと。
「メジャーでも大活躍したし全日本でもね」
「エースね」
「それも押しも押されぬ」
「そうした人だったのね」
「絶対にそうなっていたよ」 
 先生ははっきりと言いました。
「あの人達は」
「確か稲尾さんはスリークォ―ターでね」
「杉浦さんはアンダースローよね」
「お二人共右投手でね」
「そちらの人だったわね」
「そうだよ、日本の漫画だと昔はピッチャーは左腕の人が多かったけれど」
 それでもというのです。
「右投手でも凄い人は大勢いるんだ」
「サウスポーだと金田正一さんや鈴木啓示さん、工藤公康さんですね」
 トミーがこの人達の名前を挙げました。
「それに江夏豊さんも」
「そう、その人達はね」
「サウスポーでしたね」
「それで右ピッチャーはその人達にね」
「米田哲也さんや山田久志さんですね」
「その人達だよ、ただ右投手も左投手もね」
 どちらの人達もとです、先生はトミーにお話しました。
「必要だよ」
「そうですよね」
「今の阪神だってそうだね」
「どちらの人も凄い人が揃っていますね」
「先発にも中継ぎにもね」
「だから余計に阪神投手陣は凄いんですね」
「阪神は不思議なことに何時でも利き腕から見ても」
 ピッチャーのそこから見てもというのです。
「いい人が揃っているんだ」
「先発、中継ぎ、抑えから見ても」
「もっと言えば若手、ベテランでもね」
「いい選手が揃っていて」
「充実しているんだ」
「それが阪神ですね」
「逆に打線はそうじゃないことが多いけれどね」 
 残念ながらという口調でのお言葉でした。
「今の連覇に入るまで貧打線と言ってよかったしね」
「本当に打線には苦労していましたね」
「これはよくない伝統だったね」
 投手陣とは違ってというのです。
「野球はその一年だけにしても阪神は投手陣はいつもいいのに」
「打線は、というのは」
「困ったことだったよ」
「本当にそうでしたね」
「けれどまた言うけれど投手陣は」
「利き腕から見ても充実していますね」
「左右どちらのエースも存在していて」
 先発投手陣にというのです。 
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