曇天に哭く修羅
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第四部
Rebirth Day
前書き
_〆(。。)
修業の一日目。
《立華紫闇》は内なる【上位存在】にこっ酷くやられてしまった。
試しに【超能力】を使わず【珀刹怖凍】と【融解】、体術のみで挑戦してみたらこんなことになってしまったらしい。
スペック的にはそこまで変わらないし向こうは能力を二つしか使えないのだが。
「10回戦って全部殺されてしまったか。そこまで圧倒的な差が有るとはね」
「一応はレイアが弱らせてるわけなんだろう? それでこの様ならプライド捨てて超能力を使うべきだとアタシは思うヨ?」
修業に付き合っている《永遠レイア》も《白鋼水明/しろがねすいめい》も、そこまで今日の敗北を心配していない。
「ところで二人に聞きたいんだけど、この惨状はどういうことなんだ?」
3人が居るのは最初に紫闇が寝ていた場所と殆ど変わっていない位置。
しかし辺りは戦いが行われていたことが伺えるほど荒れ果てている。
レイアと水明だろうか。
そう考えた紫闇だが、精神的に疲れたので今日の修業はお開きとなった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
修業の五日目。
紫闇は【雷鳴光翼】だけでなく、新しく覚えた【黒窓の影】の超能力も使って戦っている。
初日に比べて健闘しているが、相変わらず上位存在には勝てない。
こいつは本当に弱っているのかと思うほど、黒髪の紫闇を模した上位存在は紫闇のことを簡単にあしらってしまう。
黒い空間では紫闇が両手と両膝を地面に着いて息を上げてしまっている。
服はボロボロ。
全身は血で真っ赤。
内臓や骨は複数を損傷。
しかしそれは相手も同じ。
上位存在のダメージは紫闇と同等か、それ以上に重いものなのだ。
そのダメージは戦いを楽しむ為に敢えて受けたものであることが恐ろしい。
黒髪の紫闇は本人である白髪の紫闇を見下ろしながら言い放つ。
「才能ねぇなぁ~。仮にも俺と融合してるんだから、もうちっと頑張れよ」
痛い。辛い。何故こんな目に合うのか。嫌だ。もう逃げたい。死にたくない。
(自惚れてた……)
紫闇はこんなに弱かったのか。
「はぁぁぁぁ~~…………」
長い長い溜め息。
それは失望を表すような。
「俺の宿主にお前を選んだのは失敗だったのかねぇ~。中途半端だわ」
上位存在は紫闇に呆れていた。
「もう良いや。お前は予想以上に駄目な奴だったからな。焔を満足させる存在としちゃあ失格も良いとこだ」
「何故そこで焔が?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
紫闇には解らないが、上位存在は焔のことがお気に入りらしい。
「宿主が焔に師匠や闘技者として以外の感情を持ってないことは解ってる。今は女に興味が無いってこともな」
紫闇は憧れの大英雄《朱衝義人》のようになりたくて【魔術師】になったのだ。
自分の人間関係を蔑ろにすることは無いが、才能の足りない自分が恋愛にうつつを抜かしている余裕など有りはしない。
「悪いな。俺はお前を殺して肉体を奪う。何回も戦って勝ったお陰で同化が進んでるからな。今回勝てばお前は消えるだろう。俺は立華紫闇に成り代わる。そして《黒鋼焔》を、俺が惚れてる女を悦ばせてやるんだ」
紫闇は上位存在の見せた人間臭さに興味や好感のようなものが湧き上がる。
何度も殺されているのに。
こいつがこれだけ必死になっているのなら自分も応えてやるべきだと解禁する。
「良いのか紫闇?」
ここは紫闇の中に有る空間。
紫闇に宿るレイアの疑似人格も具現化することが可能なのは当然のこと。
「お願いします」
レイアが紫闇に吸い込まれた。
体の【魔晄】が流れを変える。
レイアが内から話す。
「紫闇。魔晄を『流す』という行為は魔術師ならば意識してやっている。だが『無意識』でやっているような術師は少ない」
紫闇くらいの魔術師でもそうだ。
しかし今は出来ている。
「更に速く、スムーズに。魔晄の流れをもっと良いものへと変える。【練氣術】の性能も上がるぞ。先ずは『部位』の概念を取り払う」
頭や腕や足。
どれか一つでは部位だ。
しかし体は部位ごとに成り立っていても何処か一部分だけのことではない。
全て揃って『肉体』である。
そこに納まる『魂』も然り。
魔術師の武器である【魔晄外装/ファーストブレイク】は魂から出来ているのだから。
そして外装は持ち主である魔術師の『精神』から強く影響を受けるもの。
「体・心・魂。三つの力で戦えれば紫闇は今とは比べ物にならない程の高みへ至る」
上位存在から奪った魔晄の能力枠。
その最後の枠を埋める能力が目覚め、その一撃は上位存在を喰らい尽くした。
後書き
かなり短くなってしまった。
_〆(。。)
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