X Dimensions SoldierS Re: Xros Rays
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沢田綱吉・ヴェルジネルート
第5話A 腹ごしらえと休息のひと時
前書き
休息回。
今回はバトル無しです。
ツナとブイモンは自身と同じくデジタルワールドに次元漂流したフェルト・アインス・マリア・フェイト・アニュー・アンジュ・クリスの7人の戦乙女達と、彼女達のパートナーデジモンであるプロットモン・ワームモン・アグモン・ドルモン・ララモン・パタモン・ テリアモンと出会う。
彼女達を襲撃していた野生のシェルモンを、マリアのアグモンが進化したグレイモンと共に退けた後、休息できる場所を探していた。
移動中にツナはフェルト達と自己紹介を済ませ、今は情報交換をしていた。
因みにパートナーデジモン達は、移動中に判明したデジヴァイスの機能の1つ……パートナーデジモンをデジヴァイスの中に格納し、内部でパートナーデジモンの傷または体力を回復させる機能ーー『ヒーリングスロット』により、現在デジヴァイス内で休んでいた。
フェイト「それじゃあ、ツナは道端で拾ったプレートからの光でこのデジタルワールドに来たってことかな?」
ツナ「はい。まあそのプレート自体は消えて、プレートに描いてあった模様はこの両手に移っちゃいましたけど……」
アンジュ「何か怖いわね、それ」
アニュー「ええ、明らかに普通じゃないわね。ツナ君、体に異変とかは無いかしら?」
ツナ「うーん……両手の模様で変化があったとすれば、デジメンタルを持ち上げた時に光ったぐらいで、それ以外は特に無いですね」
アニュー「そう、今のところ大きな異変は無いと言うことね」
フェルト「でも、何か体に異変があったら遠慮なく言ってね。アニューさんは医者だし、私も医療の知識と経験はある程度あるから♪」
ツナ「ありがとうございます♪ そう言えば、皆さんはオーロラと津波によってこのデジタルワールドに飛ばされたんでしたっけ?」
マリア「ええ、そうよ」
アインス「日本に現れる筈の無いオーロラからこの機械……デジヴァイスと言ったかな? それが私達の元に落ちて来たのが始まりだったな」
そう言って、アインス達はポケットからそれぞれカラーリングが異なるデジヴァイスを取り出し、ツナに見せた。
ツナ「あ、アインスさん達もデジヴァイス持ってたんですね。俺もなんです」
ツナもポケットから蒼色と橙色のデジヴァイスを取り出し、アインス達に見せた。
アンジュ「色は違うけど、ツナのも私達が持っているのと同じね」
ツナ「そうですね」
フェルト「それでこのデジヴァイスが鳴り出した後にオーロラから津波が現れて、私達はその津波に飲まれた後、気が付いたらこの世界に来たと言う訳なの」
ツナ「なるほど……」
マリア「ところで、ツナが纏っていた炎は一体何なのかしら? 見たところ、普通の炎では無い様だけど……」
ツナ「……」
ツナは一瞬迷った、自身の炎のことを話して良いのかと……だが、下手に誤魔化せば余計な誤解を招くだけだと判断したツナは正直に話すことにした。
ツナ「俺の持つこの炎は死ぬ気の炎と言って、俺自身の生体エネルギーを炎として視認できるようにした超高密度のエネルギーなんです。基本は特殊な石で彫金したリングや、特殊な素材で作られた武器に灯す形で使用します」
ボウッ!!
ツナは大空のリングVer.Xに大空の炎を灯しながらそう説明した。
マリア「! その炎は!」
アンジュ「さっき見たのと同じ炎!」
フェルト「綺麗……」
アニュー「ええ……」
マリア達がツナのリングから灯された、純度が高く澄み切った橙色をした大空の炎を見入る中……
アインス「ツナのあの炎……10年前、私の命を繋いでくれた『あの人』と同じだ……」
フェイト「うん……もしかしてだけど、あの男の人が言ってたアインスを本当の意味で救う子供って、ツナのことなのかな?」
少し離れて会話をするアインスとフェイトはツナの大空の炎を見て、10年前の闇の書事件で儀式消滅しようとしたアインスの体内にあったナハトヴァールの残滓を消し去り、アインスを死から救った金髪の男性の言葉を思い出していた。
『すまない、俺の炎では君の命を拾うだけで精一杯だ……だが、少し先の未来……いずれ君の元に現れる俺と同じ大空の炎……いや、俺さえも超える、穢れなき大空の炎を持つ子供が君を本当の意味で救うだろう……その時が来れば、君の失われた力は蘇る筈だ』
10年前は金髪の男性の言葉の意味がわからなかったが、金髪の男性と同じ炎を灯すツナがアインスを本当の意味で救う子供なのでは無いかとフェイトは予想する。
アインス「うーん……単なる偶然だと思うが、そうだと良いね♪」
フェイト「ふふふ、そうだね♪ それに、よく見るとツナってあの人に何処か似てるよね」
アインス「確かに……髪の色とかは違うが、優しくて温かな雰囲気はそっくりだね♪」
フェイト「うん♪」
アンジュ「ちょっと、アインスにフェイト。なに2人してこそこそ話してるの?」
自分達から離れて楽しそうに会話してるアインスとフェイトを怪訝に思ったアンジュが2人に声をかけて来たのだ。
フェイト「大したことじゃないよ。ただ、ツナって小動物みたいで可愛いよねって話してただけだから♪ ね、アインス?」
アインス「ふふふ、そうだね♪」
ツナ「んなーー!? ななななな、何を言って……!?///」
アンジュ「なるほど、そう言うことね。まあ、確かにツナって可愛いわね♪」
フェルト「そうだね♪」
アニュー「ええ♪」
ツナ「えええっ!?///」
フェイトとアインスの爆弾発言にツナは顔を真っ赤にして仰天し、アンジュ・フェルト・アニューはフェイトとアインスの言葉に同意していた。
だが、更なる爆弾発言を投下する人物がいた。
マリア「何か、こう……母性本能をくすぐる様な可愛いさがあるのよね、ツナって。そう言う訳だから……ツナ、抱き締めても良いかしら?♪」
ツナ「ま、マリアさん!? いきなり何を言い出すんですか!?///」
マリアは先程ツナにシェルモンから助けられた影響もあるのか、それともツナの小動物のような愛らしさから母性本能が疼いたのか既にツナにメロメロで、ツナを抱き締めたいと言い出すのだった。
だが、そんなマリアの発言に異議を唱える者達がいた。
フェイト「マリア、ずるい! 私だって、ツナのことを抱き締めたいんだから!」
アインス「そうだ! 独り占めは良くないぞ!」
ツナ「いやいやいや!! 突っ込むとこ違うし、フェイトさんもアインスさんも何を言ってるんですか!?///」
アンジュ「あんた達ね……私にもツナを抱かせなさいよ!」
フェルト「わ、私もツナ君を抱き締めて良いですか……?///」
アニュー「で、出来れば、私もツナ君を抱き締めたいです///」
ツナ「アンジュさんやフェルトさん、アニューさんまで何言ってんのーーーー!!?///」
マリア「くっ! 皆、私と同じ考えだなんて! こうなったら、早いもの勝ちよ!」
フェルト・アインス・フェイト・アニュー・アンジュ『望むところ(です/だよ/よ/だ)!』
ツナ「俺の承諾は無しですかーーーー!!?///」
フェルト・アインス・マリア・フェイト・アニュー・アンジュの6人によるツナ争奪戦が始まり、ツナは恥ずかしさのあまり自身を抱き締めようとする6人から逃げ回っていた。
そんな中……
クリス「お前ら……そう言うことは家でやれーーーー!!///」
ツナ「家でなら良いんですかーーー!?」
先程から会話にまったく参加していなかったクリスからのツッコミが響き、さらにツナがクリスのズレたツッコミに対してツッコミを入れるのだった。
アンジュ「あら? クリス、あんたさっきから妙に静かだと思ってたけど、どうかしたの?」
クリス「はあ、はあ、はあ……見てわかんねえか? こっちはずっと歩き詰めで良い加減疲れてんだよ……って言うか、よく喋る元気があるよな……」
マリア「貴女の体力不足なだけだと思うけど……確かにもう夕方だし、そろそろ野宿できそうな場所を見つけたいわね」
クリス「の、野宿だあっ!? マジかよ!?」
アインス「仕方ないだろ。元の世界へ帰る手段が見つからない以上、暫くはこの世界で過ごして行くしかない」
クリス「た、確かにそうだな……はあ〜、午後は自由時間でのんびりして、晩飯のバーベキューを楽しむ筈だったんだけどな……」
クリスがそうぼやいてると……
プロットモン「っ! この音……」
フェルト「? どうしたの、プロットモン?」
プロットモン「静かに……」
フェルトのデジヴァイスから現れたプロットモンが微かに聞こえた音に耳を澄ませていた。
アンジュ「どうしたのよ?」
プロットモン「……微かだけど、水の音がするわ」
アニュー「水の音?」
アインス「何処にあるんだい?」
プロットモン「ちょっと待って……あっちの方から聞こえるわ」
ツナ「よし……行ってみましょう」
ツナ達はプロットモンの示した方向へ向かった……
プロットモンの案内で歩くこと数分後、電波塔が沈んでいる大きな湖が目の前に現れるのだった。
フェルト「うわぁ、綺麗な湖……♪」
アンジュ「ええ、そうね♪」
フェイト「ここならキャンプに最適だね♪」
アインス「よし、今日は野宿するとしよう♪」
クリス「はあ〜、仕方ねえか……」
マリア「後は食料ね。この付近に食べられそうな物あるかしら?」
アニュー「そこはララモン達に聞いてみましょう。後は調理器具や調味料があれば料理できたんですけど、流石に無理ですよね……」
ツナ「あ、俺、調理器具と調味料持ってますよ♪」
アニュー「え?」
ツナはそう言って、デジタルワールドに飛ばされた際に持って来ていた所持品の1つであるリュックサックから包丁やまな板、飯盒、そして小型のフライパンや鍋等の調理器具や、砂糖や塩、醤油、マヨネーズ、ケチャップ等の調味料を次々に取り出すのだった。
アニュー「えええええっ!?」
クリス「お、お前、何でそんなもん持ってんだよ!?」
ツナ「え? あー、実はデジタルワールドに飛ばされる前にリボーン……俺の師匠にあたる奴なんですけど、そいつとの修行があって、それに備えてアウトドア用品を持って来てたんです♪」
アインス「そ、そうか」
フェイト「でも、何で修行でアウトドア用品を?」
ツナ「それは……リボーンは気まぐれなところがあって、偶に山とか無人島でのサバイバル訓練を何の前触れも無くやるから、何回か遭難した経験があって……」
フェルト「そ、遭難!?」
ツナ「はい。遭難した時の食事とか色々大変だったんで、備えあれば憂いなしと言う教訓を活かして、リボーンの修行がある日は必ず持ち歩いているんです」
マリア「そ、そうなのね……因みにツナのお師匠さんって、どう言う人なの?」
ツナ「ええと……数千メートルある崖を登らされたり、鮫の多い海で鮫に追いかけ回されながら水泳訓練させられたり、ライオンやチーターのような獰猛な動物と追いかけっこさせられたり、ガトリング砲やバズーカ、10tハンマー、ミサイルランチャーとかあるゆる武装でぶっ飛ばされたりと……いつも死と隣り合わせの地獄の修行をさせる見た目は赤ん坊、中身は鬼・悪魔・殺し屋な奴ですね」
アンジュ「何よその黒歴史な修行は!? って言うかそれ以前にそのリボーンって人、人間じゃないでしょ!?」
ツナ「一応人間だと思います……たぶん」
アンジュ・クリス『たぶんかい(かよ)!?』
フェルト・アインス・マリア・フェイト・アニュー『(ツナ(君)の(お)師匠(さん)……怖いけど、どんな人なのか見てみたいかも……)』
リボーン「へっくしっ!」
風「どうかしました、リボーン?」
コロネロ「風邪か? コラ」
リボーン「いや……たぶん、ツナが俺に対して誤解されるような、不本意なことを言ってるんだろうな」
風「大方貴方が厳しく修行し過ぎるものだから、誰かに愚痴を聞いて貰っているんじゃないでしょうか?♪」
コロネロ「ぷははははっ! その可能性はあるぜ、コラ!♪」
リボーン「と言うより、100%それだな。ツナの奴……帰ったらねっちょりシメてやる」
ゾクッ!
ツナ「っ!?」
フェルト「ツナ君?」
フェイト「大丈夫? 顔色が悪いみたいだけど……」
ツナ「だ、大丈夫です! 取り敢えずアニューさん、もし良かったらこれ使ってください」
アニュー「ありがとう、是非使わせて貰うわね♪」
そう言って、アニューはツナの調理器具や調味料を受け取るのだった。
そんな時、何処からかバチバチッと電気の爆ぜる音がして、今まで景色に溶け込んでいた2台の路面電車に明かりが灯った。
フェルト「明かりが、点いた……?」
ツナ「あれって路面電車ですよね? 何でこんなところに……?」
フェイト「中はどうなってるのかな?」
アンジュ「取り敢えず確認してみましょう♪」
アンジュが率先して路面電車の中に入る。
アインス「もしかしたら何か使える物があるかもしれないし、調べてみよう」
マリア「そうね」
ツナ「はい」
ツナ達も路面電車の中に調べ始める。
最初にアンジュが入った路面電車には様々な道具類が置いてあり、もう1台の路面電車には大きめの毛布があった。
毛布は幸運なことにツナ達全員分があるのだった。
マリア「毛布が人数分あってラッキーね。今日は路面電車の中で寝ましょう♪」
ツナ「賛成です♪ 地面に寝ると背中や頭が痛くなりますから」
クリス「サバイバル経験豊富な奴が言うと、説得力が違うな……」
ツナ「あはは……」
クリスの言葉にツナは苦笑するしか無かった。
アインス「取り敢えず寝床は確保出来たし、次は食料集めに取り掛かろう♪」
アンジュ「そうね♪」
フェイト「何組かに分かれてやろうか♪」
フェルト「そうですね♪」
クリス「どうせ湖があるなら釣りしたいけど、釣竿が無いしな……」
ツナ「あ、それなら作りましょうか?」
クリス「へ?」
ツナはそう言って、リュックサックからサバイバルナイフと釣糸、ルアーを取り出し、近くに生えている竹の中でしなやかさがあるものを選んで切り取ると、竹竿を作成し始める。
クリス「お前凄いな、釣竿作れるなんて」
ツナ「まあ釣糸とルアーは100均の安物だし、釣竿は自作だから本物には及ばないですけどね……はい、どうぞ♪」
クリス「サンキュー♪ まあ、この状況だから贅沢は言わねえさ」
ツナから竹竿を受け取ったクリスは釣りをすることにした。
アンジュ「ツナ、私も釣りしたいからもう1本釣竿作ってくれる?♪」
ツナ「良いですよ♪」
ツナはアンジュ用にもう1本竹竿を作成した。
ツナ「はい、どうぞ♪」
アンジュ「ありがとう♪ さあ、魚を釣りまくるわよ!」
クリス「おう!♪」
アニュー「アンジュとクリスは釣りで魚を調達ね。私は薪集めと調理準備をするわ♪」
フェルト「あ、私も手伝います♪」
アニュー「ありがとう、フェルトさん♪」
マリア「それじゃあ、私達4人は魚介類以外の食料集めに向かいましょう♪」
ツナ「はい♪」
フェイト「うん♪」
アインス「了解だ♪」
ツナ・アインス・マリア・フェイトは森の中での食料集め
アンジュとクリスは竹竿での釣りによる魚の調達
フェルトとアニューは薪集めと調理準備
……と言う風に、ツナ達はそれぞれ夕食の準備に取り掛かるのだった。
ツナ「さてと、食料探しに来たけど、どの辺にあるのかな?」
ブイモン「デジタルワールドは食料が豊富だから、見つけるのは簡単だよ♪ 例えば……」
ブイモンはそう言って、その辺に生えている雑草を掴むと……
ブイモン「それっ!」
思いっきり引き千切り、雑草は霜降り肉へと変わった。
ツナ「んなーーー!? 雑草が霜降り肉に変わったーーー!?」
ブイモン「そんなに驚くことかな? このデジタルワールドじゃ普通だよ?」
アグモン「マリア達の世界は雑草が食料に変わったりしないの?」
マリア「え、ええ、少なくとも私達の世界では雑草が食料に変わったりしないわね。ツナの世界はどうなの?」
ツナ「俺の世界もマリアさん達の世界と同じですよ」
フェイト「で、デジタルワールドって何でもありだね……」
アインス「そ、そうだね……」
デジタルワールド特有の怪奇現象?に驚きつつも、ツナ達はブイモンがやった様に雑草を引っこ抜いて、食料を次々に集めて行く。
アグモン「そう言えば、ブイモンの進化って僕のとは何か違うよね?」
ブイモン「そりゃそうだよ。俺の進化はアーマー進化って言って、デジメンタルって言うアイテムを使った古代種または古代種の因子を持つデジモンだけが使える擬似的な進化だからな」
ドルモン「へえ〜、と言うことはブイモンって古代種なの?」
ブイモン「うん、そうだよ。アグモンとドルモンは現代種みたいだけど、ワームモンってもしかして俺と同じ古代種か?」
ワームモン「確かに古代種の因子はあるけど、僕の場合は古代種の因子を持った現代種なんだ。パタモンとプロットモン、テリアモンも僕と同じだよ」
ブイモン「そっか……ってことは、ワームモン達は俺より普通の進化がし易いな」
アグモン「え? 何で?」
ブイモン「俺みたいな純粋な古代種は現代種より潜在能力が高いけど、その分現代種よりデータの劣化が激しくて寿命が短いから、成熟期以上に進化できた奴は中々いないんだよ」
ドルモン「なるほど、古代種って大変なんだね」
ブイモン「まあな。一応勇気と友情のデジメンタルのおかげで進化できて戦えてるけど、いつか強い敵と戦う時が来ることを考えると、今のままじゃダメだと思う」
ワームモン「そうだね。進化し難いと言う理由でパートナーを守れなかったら嫌だもんね」
ブイモン「ああ」
ブイモン・ワームモン・アグモン・ドルモンの4体はツナ達と同じように食料を集めながら、そんな会話をしていた。
デジタルワールドのデジモンには現代種と古代種が存在し、ブイモンは古代種、アグモン・ドルモン・ララモンは現代種、ワームモン・パタモン・プロットモン・テリアモンは古代種の因子を持つ現代種に分類される。
古代種は現代種より潜在能力が高いが、その反面感情の起伏によるオーバーライトが現代種に比べて荒々しい為に、体を構成するデータの劣化が激しく寿命が極度に短いのだ。
そのことから当然進化の幅も狭く、古代種は成長期・成熟期以上に進化出来ないデジモンも数多く存在し、成熟期以上のクラスである完全体や究極体等は余程の運に恵まれない限り到達出来ない為、古代種が進化した完全体と究極体は伝説の存在として呼ばれている。
ツナのパートナーデジモンであるブイモンは、現代の技術で寿命の問題は解消されているが、古代種であるが故の進化の可能性が極端に低いのは解消されていない。
その進化の弱点を補う為にあるのがデジメンタルであるが、ブイモンが勇気と友情のデジメンタルでアーマー進化するフレイドラモンとライドラモンの戦闘力は成熟期相当で、上位クラスの完全体と究極体相手に太刀打ちできないのは事実である。
ブイモン自身いつかはこの問題を解消したいとは思うが、未だに解決の糸口は見つかっていない。
アグモン「まあまあ、そう焦ることないよ。ブイモンや僕達にはパートナーがいるんだから、ブイモンのその進化の問題もいつか解決する日が来るよ♪」
ブイモン「そうだな。焦ってもしょうがないし、今出来ることをやるしかないな♪」
ワームモン「うん、そうだね♪」
ドルモン「よし、早いとこ食料を集めよう!♪」
ブイモン・ワームモン・アグモン『おお〜!♪』
気合いを入れ直したブイモン達は食料探しを再開するのだった。
マリア「そう言えば、ツナって今はいくつなの?」
ツナ「俺ですか? 14で、今は中学2年です」
マリア「あら、そうなの? 調や切歌と同い年ぐらいだと思ったけど、2人より歳下だったのね」
ツナ「その2人はマリアさん達の仲間なんですか?」
フェイト「うん、そうだよ♪」
アインス「2人は私達の中では最年少なんだ♪」
ツナ「へえ〜……早く逸れた仲間と合流できると良いですね」
マリア「ええ、そうね……無事だと良いのだけれど」
アインス「そうだな。この世界でデバイスやシンフォギア、魔導の力が使えないことを考えると、恐らく主達も同じ状況だろうな……今は無事を祈って、合流に向かって動くしかないな」
フェイト「うん……ツナも早く親友の子と合流できると良いね」
ツナ「そうですね。まあ炎真も俺と同じように死ぬ気の炎を使えるんで、たぶん大丈夫だとは思いますけど」
マリア「そうなのね。その炎真って子もツナと同じように小動物みたいで可愛いんでしょうね♪」
ツナ「いや、だから、可愛いって言われても嬉しく無いですって!///」
フェイト「くすっ、そんな照れなくても良いのに♪」
アインス「ふふふ、そうだね♪」
ツナ「〜〜〜っ! と、兎に角、アニューさん達も待ってますし、早いとこ食料集まって戻りますよ!///」
アインス・マリア・フェイト『はーい♪』
ツナ・アインス・マリア・フェイトはそんな会話をしながら食料を集めていた。
一方、魚を調達する為に釣りをしているアンジュとクリスはと言うと……
クリス「……釣れねえな」
アンジュ「……まあ釣りは基本こんな感じだから、根気よく待つしかないわ」
クリス「だよな……はあ〜、暇だ」
どうやらまだ1匹も釣れていない様で、地面に座り、釣竿を持ったまま獲物が引っかかるのを暇そうに待っていた……そんな時。
クリス「っ! うわぁっ!?」
アンジュ「クリス、どうしたの!?」
クリス「あ、あたしの釣竿が強く引っ張られてる! たぶん、デカイぞ!」
クリスの釣竿に大物の魚が引っかかったのか、釣竿が強く引っ張られていた。
アンジュ「クリス! 待ってなさい、今加勢するから絶対に離すんじゃないわよ!」
クリス「お、おう!」
テリアモン「クリス、頑張れ〜!」
パタモン「ファイト〜!」
釣竿を強く引っ張られ、湖に落ちそうになっているクリスをテリアモンとパタモンが懸命に支え、加勢で駆け付けたアンジュがクリスの釣竿を握った。
アンジュ「クリス! せーので引っ張るわよ!」
クリス「わかった!」
アンジュ・クリス『せーのっ!!』
アンジュとクリスは同時に釣竿を力一杯引くと湖から何かが引き上げられ、地面へと落ちた。
アンジュとクリスが釣り上げたのは……
アンジュ・クリス『でかっ!?』
なんと巨大魚だった。
巨大魚と言ってもマグロなどではない、アンジュ達やツナの地球では絶対に存在していないであろう怪魚だ。
魚の口には凶悪なまでのギザギザの歯がついており、その口を開ければアンジュ達を丸飲みに出来る程にでかい。
アンジュとクリスは地面に落とされ、ビチビチ跳ねている怪魚を見つめる。
クリス「……これ、どうやって運べば良いんだ?」
アンジュ「このサイズは大き過ぎて、私達では運べないわね……」
テリアモン「だったら、ブイモンやアグモン、ドルモン達を呼んで運んで貰おうよ」
クリス「だな……」
アンジュ「パタモン、ブイモン達を呼んできてくれる?」
パタモン「うん、任せて!♪」
アンジュに頼まれたパタモンはブイモン達を呼びに行くのだった。
ツナ「ただいま戻りました♪」
アニュー「あ、お帰りなさい♪」
薪を組んで調理準備を終えたアニューとフェルトの元に、森で食料集めをしていたツナ・アインス・マリア・フェイト達が戻って来ていた。
フェルト「お疲れ様です♪ 食料は見つかりました?」
フェイト「うん。デジタルワールドって意外と食料が豊富だったから、保存分含めてたくさん集めて来ちゃった♪」
フェイトはそう言って集めた食料が入った袋をフェルト達に見せると、袋の中には肉や野菜、果物、キノコ類、さらには米やパン、バター等様々な種類の食料が多く入っていた。
フェルト「うわぁ〜♪」
プロットモン「大量ね♪」
アニュー「ふふふ、これは豪華な食事になりそうですね。腕が鳴ります♪」
ララモン「アニューの手料理、楽しみ♪」
豊富な食料にフェルトとプロットモンは目を輝かせ、アニューは腕が鳴ると張り切り、ララモンはアニューの手料理に胸を踊らせていた。
ツナ「そう言えば、釣りをしているアンジュさんとクリスさんはどうなってるんだろ?」
ツナが釣りをしているアンジュとクリスを気にかけていると……
パタモン「お〜い! ブイモ〜ン! アグモ〜ン! ドルモ〜ン!」
ブイモン「あ、パタモンだ」
パタモンがやって来た。
アグモン「どうしたの?」
パタモン「アンジュとクリスが凄い大きい魚を釣ったんだけど、僕達じゃ運べそうに無いからブイモン達に手伝って欲しいんだよ」
ドルモン「わかった、任せといて♪」
ツナ「あ、俺も行くよ。そんな大きい魚なら人手は多い方が良いだろうし」
ブイモン「ありがとう、ツナ♪」
アグモン「それじゃあ行こうか♪」
アニュー「あ、アグモン、ちょっと待って。行く前に貴方のベビーフレイムで薪に火をつけてくれる?」
アグモン「良いよ、任せて♪ ベビーフレイム!!」
アグモンは薪に向けて口から炎を放ち、薪に火をつけた。
デジモンの攻撃はこういう時も役に立つものである。
アニュー「ありがとう♪」
アグモン「どういたしまして♪」
そう言ってアグモンは魚の回収に向かったツナ達の後を追い、アニューは調理を開始した。
それから数分後、アニューは次々に作った料理をツナが持って来ていたプラスチックの皿の上に盛り付けていき、さらにツナが持って来ていたレジャーシートをフェルト・アインス・マリア・フェイト・プロットモン・ワームモン・ララモンが広げ、料理を配膳していく。
そこへ……
クリス「おーすっ♪」
アンジュ「ただいま〜♪」
釣りに出ていたアンジュとクリス達が戻って来た。
マリア「あら、アンジュにクリス。お帰りなさい♪ 魚は釣れたかしら……って!?」
アニュー「えええっ!?」
アインス「なっ!?」
フェルト・フェイト『きゃああああああああっ!?』
マリア達が驚きの表情で見ていたのは……ツナやブイモン達に引きずられる形で運ばれている、先程クリス達が釣った巨大魚であった。
マリア「な、何なの、その魚!?」
クリス「へへっ、凄いだろ? あたし達が釣ったんだぜ♪」
アンジュ「私達の世界じゃお目にかかれない大物よ♪」
ツナ「あはは……俺も最初見た時はびっくりしましたよ」
アインス「そ、そうか……だが、この魚はどうやって食べれば良いんだ?」
アニュー「さ、流石にこんな大きな魚を捌くのは無理ですので、丸焼きにしましょうか?」
ツナ「それが無難だと思います」
アニューの提案により巨大魚は丸焼きで食べることになった。
一方、フェイトとフェルトのハラオウン姉妹は抱き合いながら巨大魚を恐る恐る見ると、その巨大魚の目玉がこちらを見ているようでゾッとした。
フェイト・フェルト『(あ、あれ、食べて大丈夫なのかな……?)』
初めて見る未知の食材に、フェイトとフェルトはただ戦慄を覚えるばかりであった。
ブイモン「ブイモンヘッド!!」
ドルモン「メタルキャノン!!」
巨大魚を丸焼きにする為の串作りとして、まずブイモンとドルモンが頭突きと鉄球で木を薙ぎ倒した。
次にワームモンとアグモンが爪で木の皮を削って大きな串にし、その串で巨大魚を串刺しにすると、ツナ達が作った支えに串を乗せた。
そして……
アグモン「ベビーフレイム!!」
テリアモン「ブレイジングファイア!!」
炎の技が使えるアグモンとテリアモンが巨大魚に向けて技を連続で放つ。
少しすると巨大魚から香ばしい匂いが漂って来たので、仕上げとばかりにララモンとパタモンが上空から巨大魚に塩を振り掛けると、巨大魚の塩焼きが完成した。
クリス「おお〜っ! こいつは美味そうだな!♪」
マリア「ええ、それに香ばして良い匂いがするわ♪」
アニュー「それじゃあ、身を少しずつ切り取りながら食べましょうか♪」
アニューはそう言って包丁で巨大魚の身を切り取り、その切り身を皿に乗せてツナ達に渡して行く。
勿論……
アニュー「はい、フェルトさんにフェイトさん。どうぞ♪」
フェイト・フェルト『あ、ありがとう(ございます)……』
ハラオウン姉妹にも手渡された。
先ほど捕ったばかりの時は魚の目と歯に圧倒されて引き気味であったフェイトとフェルトだが、こうして焼かれて良い香りもしてくれば、少しは大丈夫かなという気もしてくる。
2人が切り身を一口食べると……
フェイト・フェルト『……お、美味しい!♪』
意外にも美味しかったことに驚き、顔を綻ばせた。
大きいので大味かと思ったが、肉厚でジューシーなその身は地球のスーパーで売っている魚なんかよりもよっぽど美味しかったのだ。
フェイトとフェルトの様子を見て、ツナ達も切り身を口にした。
ツナ「本当だ、美味しい!♪」
マリア「市販の魚と比べてジューシーで美味しい♪」
アンジュ「本当ね♪」
アニュー「こんな美味しい魚、初めてです♪」
アインス「うん、私も生まれて初めてだよ♪」
クリス「やばい! 美味さが、美味さが爆発しておかわりしちまうぞ!♪」
プロットモン「フェルト、本当に美味しい?」
ツナ達が絶賛する中、プロットモンがフェルトを見上げながら尋ねる。
フェルト「うん、本当に美味しいよ♪ 最初は見た目があんなだったから、どうかと思ったけど……」
意外な美味しさに今やおかわりまでして食べている状況であった。
そして、デジモン達は熱の冷めた所から齧りついて食べて始めた。
ツナ達が食べているのは、ほんの片隅なので問題はない。
ブイモン「うま〜い!♪」
アグモン「う〜ん! 美味し〜い!♪」
巨大魚はパートナーデジモン達にも大好評であり、嬉々として齧り付いていた。
だが、ご馳走は何も巨大魚だけではなかった。
アニュー「さてと、お魚も良いけどこっちも食べてくださいね♪」
アニューが示す先にあるのは、霜降り肉と香味野菜の炒め物や、きのこのバターソテー、アスパラガスのベーコン巻き、バターライス、ポトフ、そしてデザートのフルーツの盛り合わせ等彼女が作った手料理の数々がレジャーシートに広げられており、そこからは美味そうな匂いがツナ達やパートナーデジモン達の鼻腔をくすぐっていた。
ララモン「わ〜い! アニューの手料理!♪」
ツナ「うわぁ、こっちも美味しそうだ!♪」
ブイモン「本当だ! そっちも食べたい!♪」
マリア「それじゃあ、アニューの料理も召し上がりましょうか♪」
アンジュ「そうね♪」
フェルト「それでは……♪」
アニュー以外『いただきまーす!♪』
アニュー「はい、召し上がれ♪」
ツナ達はアニューの手料理を食べ始める。
そして……
ツナ・ブイモン達『美味し〜い!♪』
アニューの手料理を初めて食べるツナとパートナーデジモン達はあまりの美味しさに顔を綻ばせた。
ララモン「アニュー、とても美味しいわ♪」
ツナ「本当に美味しいです、アニューさん♪」
アニュー「ありがとう、ララモン、ツナ君♪」
アニューの手料理もツナやパートナーデジモン達に大好評であった。
フェルト「流石はアニューさんですね♪」
フェイト「アンジュ達が釣って来た魚に負けない美味しさだね♪」
マリア「ええ、本当ね♪」
アンジュ「ちょ、ちょっと悔しいわね」
クリス「そ、そうだな」
アインス「まあまあ、2人とも。あんな美味しい魚を釣って来た2人にも感謝してるよ♪」
アンジュ・クリス『ど、どういたしまして……///』
ブイモン・アグモン『お代わり〜!♪』
アニュー「はーい♪」
ツナ「あ、俺も、お代わり良いですか……?///」
アニュー「ええ、勿論。遠慮しなくて良いわよ♪」
こうしてツナ達は湖でのアニューの手料理と、アンジュとクリスが釣った巨大魚の丸焼きと言うご馳走を堪能し、穏やかな休息のひと時を過ごすのだった……
To Be Continue……
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