遊戯王GX　～水と氷の交響曲～

まさか今年中にもう一話書けるとは自分でも思わなかった。
今度こそこれが今年最後の投稿。 

「デュエル許可願い、っと………」

「翔とその兄貴の間になにがあったのかは知らないけど、デュエルしてみりゃわかるだろ。デュエル許可願い………」

「「丸藤亮、だっけか…………ん？」」

「清明！？」

「十代！？」

『………お前ら仲いいな。息ぴったりじゃねえか』

「で、こんなところで清明は何やってんだ？」

「そっちこそ。何か今気になる単語が聞こえた気がするけど」

「俺か？俺は今、翔の本物の兄貴に対してデュエル許可願いを書きに来てたんだ」

「やっぱり！僕も申請しようと思ってここまで来たのに！」

「お前もか。こうなったら、どうするかはわかってるよな？」

「当ったり前よ！喜んで受けて立とうじゃないの！」

「「デュエ「二人とも、何をしているのーネ！」…………え？」」

　デュエリストの常識、デュエルで決着をつけようとしていた僕らの前にいきなり現れたのは、いつものレッド嫌いで有名なあの人。

「ク、クロノス先生！」

「まったく、ドロップアウトボーイが二人もそろって一体こんなところで何を…………うん？その紙をちょっと見せるのーネ！」

「あ、まだ書き終わってないのに」

「何々、デュエル許可願い？それで相手は、カイザー！？あなたがた、寝言は寝てから言うのーネ！」

　そう言うや否や、僕たちの持っていたデュエル許可願い証をビリッビリに細かく破り捨てるクロノス先生。ああ、せっかく書いたのに。すぐにショックから復活した十代が先生に食ってかかる。

「いきなり何すんだよ、先生！」

「黙るのーネ！カイザー亮は、この学校の中でも一番といわれるブルーの中のトップ、いわばエリート中のエリートですーノ！そんな相手にドロップアウトボーイがデュエルを挑むなんて、口にするだけでもおこがましいのーネ！」

「そんな無茶苦茶な！」

「ささ、わかったらさっさと自分たちの寮に戻って荷物の整理でもしているのーネ」

「そんなぁ～」





「んで、これからどーしよっか」

　結局あれからも少しは粘ったものの、最終的にはクロノス先生に追い出されてしまった。ユーノも加勢してくれりゃいいのに、なーんも言わないんだもんなぁ………。例えばさ、うるせーいいから受理しやがれ！とか俺のデッキが火を噴くぜ！とかそこのコアラが黙っちゃいないぞ！とか………コアラ？

『日頃からお前が俺に対してどんなイメージを持ってるかはよ～くわかった。わかったから一発殴らせろ』

「そ、そんなことよりあれ見て十代！」

　そこにいたのは隼人。いや、別に隼人だってここの生徒、どこにいたってそんなに不思議じゃない。でも、なんでまた木の上なんかにいるんだろうか。

「へ？あれ、コアｒ…………隼人！そんなところで何やってんだ？」

　あ、今十代もコアラって言いそうになったな。

「わわっ！べ、別になんでもないんだな！！」

　そういう隼人が乗っていた木の枝からぱらぱらと落ちてくる、デス・コアラやビッグ・コアラといったカードたち。それを見た十代が、なにかに納得したような顔になった。

「ははーん、まさかお前、デュエルやろうとしてたのか？」

「え、ホント！じゃあ後で一戦お願いしようかな」

「ち、違うんだな！別にそんな訳じゃない！」

「ふーん、まあいいさ。今はこんなことしてる場合じゃないしな！」

「清明、今度はお前ら何をする気なんだ？」

「いや、僕も知らないよ。というかなにか策があるってことも今初めて聞いたし」

『聞かれる前に言っとくけど、俺も相談されてないぞ』

　そうこうしてる間に、たったか走っていく十代。あいっかわらず運動神経は無駄にいいんだよなー。あのペースについてくだけでこっちまで最近体力ついてきたし。

「ちょっと十代、どこ行くのさー！」

「ブルー寮に行って、直接カイザーに勝負を申し込む！」

「あ、抜け駆けっ！隼人、急ぐよ！」

「え、俺は別に行きたいなんて言ってないんだな」

「いいからいいから！レッツゴー！」

「うわあ～！」





『…………んで、結局ダメでしたとさ』

　ものの見事に門前払い。まあしょうがないよね、あいつらエリート意識だけ無駄に高いし。やれやれ。まあとりあえずは、

「じゅーだーい？だいじょぶ？」

「あんまり………ヘックシ！それにしてもあいつら、俺はこんなことじゃ諦めねえぞ……ヘックシ！」

「今日はもう、あったかくして寝たほうがいいんだな」

　ブルーのエリート相手に粘りに粘った結果、頭からバケツの水を被ることになった十代に声をかけて、まだまだへこたれてないことを確認する。よかった、まだ諦めてない。

「ほれ十代、部屋だぞー」

「うう、ただいま………翔、まだ部屋に閉じこもってんのか？もうそろそろ元気出せよ」

　ただ、こっちはいまだに元に戻ってないみたいだけど。この間はせっかく自分からやる気になったのに、かなりいいところまで持ち込んで結局負けたことがよっぽどショックだったらしい。あとパワー・ボンドがどうたらとかも言ってたっけ。

「ちょっとやりすぎたんじゃないのユーノさんや」

『かもしれんな。途中からつい本気になっちまったから…………』

「ほら、一緒にデッキ調整でもしようぜ、ってあれ！？翔がいねえ！？」

「え？」

「ここに、手紙が置いてあるんだな。なになに、僕は島を出ます………」

「何！あいつ、逃げやがったな！清明、ユーノ、隼人！」

「わかってるって！」

『行くぞ、お前ら！』

「え、どういうことなんだな？」

「決まってるだろ、翔を連れ戻すために探しに行くんだよ！」

「でももう食事の時間が」

「いいから行くぞ！」

「そんな～！」





「どうだ、いたか！？」

「だめだ、こっちにもいないよ！」

「翔、出てくるんだなー！」

　あれからかなり探し回ったけど、いまだに翔は見つからない。まさか、もう島から出て行っちゃったとか？こうなったら、この子にも手伝ってもらうか。デッキからカードを一枚取り出して、ちょっと出てきてくれる、と呼びかける。あ、出てきた。

「じゃあシャーク・サッカー、悪いけど翔を探すの手伝ってくれる？」

「なるほど！じゃあ俺も、相棒？」

　十代もハネクリボーを繰り出して協力を求める。と、二体の精霊はきょろきょろと辺りを見回して、同じ方向にすいすい進んでいく。

「ついて来い、ってことか？」

「なら、ついて行ってみようじゃないの」

「二人とも、一体何が見えてるんだ？俺には今、なにか声が聞こえたのに姿が見えない………」

　まあそんなこんな言いながらも僕らが前を迷わずに歩いているからか、その後をついてくる隼人。と、そこで十代が何かに気づいた。

「翔！」

　なんとそこには、いつの間にか作ってあったらしいイカダに乗っかって今まさに島を離れようとしている翔………というか、あの人まさかあのイカダ一つで海を渡ろうとしてるんだろうか。途中で落っこちたらシャレにならないよ？と、そんなこと言ってる場合じゃないか！
　でも、結局僕の出番は来なかった。相変わらずの反応速度でイカダの上に飛び乗った十代が強引に翔を止めたからだ。あ、二人とも海に落ちた。

「大変だ、清明も早く助けに行かないと！」

「いや、大丈夫でしょ」

「ど、どうしてなんだな！？」

「だってあそこらへん確か」

　そういうが早いが、海中から十代と翔が顔を出す。顔だけじゃなくて胸のあたりまで出てきた。

「…………すっごい浅いもん」

「あー、なるほど」

「逃げるのか、翔」

「「「へ？」」」

　いきなり見知らぬ人の声がして、その場にいた全員がそちらを向く。えっと、明日香と…………あっちのブルー生は一体？

『ついに来たか』

「お、お兄さん！？」

『カイザー………』





「さあかかって来い、遊城十代」

「よし、行くぜ！見てろよ、翔！！」

「選別デュエルかぁ…………僕もやりたかったなあ、カイザーと」

『じゃんけんで負けるお前が悪い。なんであそこでパー出すかなぁ』

「なんだ、君も俺とデュエルしたいのか？」

「え、ええ！もちろんですよカイザー！」

「そうか…………ふむ。遊城十代、君の友人もああ言っていることだし、どうだろう。ここは一つ、タッグデュエルにしてみないか？」

「タッグか！面白そうだな、受けて立つぜ！」

「決まりだな。君と遊野清明がタッグを組むといい」

「え、僕も参加していいの！？いよっしゃあっ！」

「じゃあよろしくな、清明！」

『十代とタッグ、か。面白そうなことになってきたな』

「ああ！………あれ、そうするとカイザーのペアって？」

「明日香、手伝え」

「え、ええ！？私が！？ちょっと二人とも、何とか言って！」

「明日香とカイザーのペア………相手にとって不足はないぜ！」

「抜かるなよ、十代！」

「期待した私が間違ってたわよ…………いいわよ、引き受けるわよ」

「なら、最初に確認しておこう。ライフは８０００で墓地とフィールドは共有、順番はターンごとの交代制で、全員最初のターンが終わるまでは攻撃できない。異論はないな？」

「「ああ！」」

「なら………」

「「「「デュエル！！」」」」

「先攻は俺だ！ドロー！俺は、クレイマンを守備表示で召喚！カードを二枚セットして、ターンエンドだ」

　泥で体ができている（らしい）戦士が、その太い腕で防御の構えをとる。

『なるほど、まずは様子見できたか。さすがにカイザーを警戒してんのか？』

　Ｅ・ＨＥＲＯクレイマン
通常モンスター
星４/地属性/戦士族/攻 800/守2000
粘土でできた頑丈な体を持つＥ・ＨＥＲＯ。
体をはって、仲間のＥ・ＨＥＲＯを守り抜く。

　Ｅ・ＨＥＲＯクレイマン　守２０００

「ならこちらの先攻は俺からだ。ドロー！俺は、相手のフィールドにモンスターが存在することにより、サイバー・ドラゴンを特殊召喚。さらに、サイバー・ドラゴン・ツヴァイを通常召喚する」

『出たな、本家とちょっとシャープになった方のサイバー・ドラゴンコンビ』

　サイバー・ドラゴン
効果モンスター
星５/光属性/機械族/攻2100/守1600
相手フィールド上にモンスターが存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。

　サイバー・ドラゴン　攻２１００

　サイバー・ドラゴン・ツヴァイ
効果モンスター
星４/光属性/機械族/攻1500/守1000
このカードが相手モンスターに攻撃するダメージステップの間、
このカードの攻撃力は３００ポイントアップする。
１ターンに１度、手札の魔法カード１枚を相手に見せる事で、
このカードのカード名はエンドフェイズ時まで「サイバー・ドラゴン」として扱う。
また、このカードが墓地に存在する場合、
このカードのカード名は「サイバー・ドラゴン」として扱う。

　サイバー・ドラゴン・ツヴァイ　攻１５００

「そして、エヴォリューション・バーストを発動！サイバー・ドラゴンが存在することにより、その伏せカードを破壊する！」

　エヴォリューション・バースト
通常魔法
自分フィールド上に「サイバー・ドラゴン」が表側表示で存在する場合のみ
発動する事ができる。相手フィールド上のカード１枚を破壊する。
このカードを発動するターン「サイバー・ドラゴン」は攻撃する事ができない。

　サイバー・ドラゴンのオーラを纏ったツヴァイが口からレーザーを出し、正確に伏せカードを打ち抜いた。

「くっ、ヒーロー・シグナルが」

　セットしていたのはＥ・ＨＥＲＯの戦闘破壊に対応してＥ・ＨＥＲＯを呼び出すことのできるトラップ。フリーチェーンじゃない、か………。

『あんまり褒められたプレイじゃなかったな。どうせまだ誰も攻撃できないんだから、伏せる意味は特になかったし』

「カードを一枚セットし、サイバー・ドラゴン・ツヴァイの効果が切れてターンエンド」

　十代＆清明　ＬＰ８０００　手札：十代×３、清明×５　場：Ｅ・ＨＥＲＯクレイマン（守）　魔法・罠：１（伏せ）
　亮＆明日香　ＬＰ８０００　手札：亮×２、明日香×５　場：サイバー・ドラゴン（攻）、サイバー・ドラゴン・ツヴァイ（攻）　魔法・罠：１（伏せ）

「よし、僕のターンだ！ドロー！」

　ふむ………よし、決めた。

「フィールド魔法、ウォーターワールドを発動！そして、グリズリーマザーを攻撃表示で召喚してターンエンド」

　フィールドが海に包まれて、クレイマンの隣に体が青いクマがかぎ爪を光らせて二本足で立ちあがる。

　ウォーターワールド
フィールド魔法
フィールド上に表側表示で存在する水属性モンスターの攻撃力は５００ポイントアップし、
守備力は４００ポイントダウンする。

　グリズリーマザー
効果モンスター
星４/水属性/獣戦士族/攻1400/守1000
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
デッキから攻撃力１５００以下の水属性モンスター１体を
表側攻撃表示で特殊召喚できる。

　グリズリーマザー　攻１４００→１９００　守１０００→６００

「なら、私のターンね。ドロー！融合を発動、手札のエトワール・サイバーとブレード・スケーターを融合して、来なさい私のエース！サイバー・ブレイダーを召喚！」

　融合
通常魔法
手札・自分フィールド上から、融合モンスターカードによって決められた
融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター１体を
エクストラデッキから特殊召喚する。

　サイバー・ブレイダー
融合・効果モンスター
星７/地属性/戦士族/攻2100/守 800
「エトワール・サイバー」＋「ブレード・スケーター」
このモンスターの融合召喚は上記のカードでしか行えない。
相手のコントロールするモンスターが１体のみの場合、
このカードは戦闘によっては破壊されない。
相手のコントロールするモンスターが２体のみの場合、
このカードの攻撃力は倍になる。
相手のコントロールするモンスターが３体のみの場合、
このカードは相手の魔法・罠・効果モンスターの効果を無効にする。

『こっちの場にはモンスターが二体、か。よかったな、もう一体展開しないでおいて。ロックされるとこだった』

「相手モンスターが二体の時、サイバー・ブレイダー第二の効果発動！パ・ド・トロワ！」

　サイバー・ブレイダー　攻２１００→４２００

「カードを三枚伏せて、私もターンエンド」

　十代＆清明　ＬＰ８０００　手札：十代×３、清明×４　場：Ｅ・ＨＥＲＯクレイマン（守）、グリズリーマザー（攻）　魔法・罠：１（伏せ）　
　亮＆明日香　ＬＰ８０００　手札：亮×２、明日香×０　場：サイバー・ドラゴン（攻）、サイバー・ドラゴン・ツヴァイ（攻）、サイバー・ブレイダー（攻）　魔法・罠：４（伏せ）
　場：ウォーターワールド

「俺のターン、ドロー！さすがに二人とも強いな！でも負けないぜ、こっちも融合を発動！場のクレイマンと、手札のスパークマンを融合！来い、サンダー・ジャイアント！」

　Ｅ・ＨＥＲＯ サンダー・ジャイアント
融合・効果モンスター
星６/光属性/戦士族/攻2400/守1500
「Ｅ・ＨＥＲＯ スパークマン」＋「Ｅ・ＨＥＲＯ クレイマン」
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。
自分の手札を１枚捨てる事で、フィールド上に表側表示で存在する
元々の攻撃力がこのカードの攻撃力よりも低いモンスター１体を選択して破壊する。
この効果は１ターンに１度だけ自分のメインフェイズに使用する事ができる。

　Ｅ・ＨＥＲＯ サンダー・ジャイアント　攻２４００

「そして、手札を一枚捨てて………」

「待ちなさい！召喚時に速攻魔法発動、禁じられた聖衣！これでサイバー・ブレイダーはサンダー・ジャイアントの効果の対象にもできないわよ」

　禁じられた聖衣
速攻魔法
フィールド上に表側表示で存在するモンスター１体を選択して発動できる。
エンドフェイズ時まで、
選択したモンスターは攻撃力が６００ポイントダウンし、
カードの効果の対象にならず、カードの効果では破壊されない。

　サイバー・ブレーダー　攻４２００→１５００→３６００

「なら、手札を一枚捨ててサイバー・ドラゴンを破壊だ！ヴェイパー・スパーク！」

「この瞬間にトラップ発動、アタック・リフレクター・ユニット！対象になったサイバー・ドラゴンをリリースして、デッキからサイバー・バリア・ドラゴンを特殊召喚する！」

「そんな、モンスターを一体も破壊できなかったなんて………」

　アタック・リフレクター・ユニット
通常罠
自分フィールド上の「サイバー・ドラゴン」１体を生け贄に捧げて発動する。
自分の手札・デッキから「サイバー・バリア・ドラゴン」１体を特殊召喚する。

　サイバー・バリア・ドラゴン
効果モンスター
星６/光属性/機械族/攻 800/守2800
このカードは通常召喚できない。
このカードは「アタック・リフレクター・ユニット」の
効果でのみ特殊召喚する事ができる。
このカードが攻撃表示の場合、１ターンに１度だけ
相手モンスター１体の攻撃を無効にする。

　サイバー・バリア・ドラゴン　攻８００

「攻撃力８００？なら、サンダー・ジャイアントでサイバー・バリア・ドラゴンを攻撃！ボルティック・サンダー！」

「なら、サイバー・バリア・ドラゴンの効果発動！その攻撃を無効にする！」

「グリズリーマザーで連撃すれば倒せるけど、今は攻撃力４２００のサイバー・ブレーダーもいるしダメージを狙うのは危険か………グリズリーマザーを守備表示に変更、ターンエンドだ」

「禁じられた聖衣の効果も切れるわよ」

　グリズリーマザー　攻１９００→守６００

　サイバー・ブレーダー　攻３０００→４２００

「俺のターン、ドロー！明日香の伏せたトラップカード、強欲な瓶を発動。カードを一枚ドローする」

　強欲な瓶
通常罠
自分のデッキからカードを１枚ドローする。

「よし。プロト・サイバー・ドラゴンを召喚だ」

　さっきまでのサイバー・ドラゴンのコンビや今いるサイバー・バリア・ドラゴンに比べると装甲が若干黒ずんでいて、大きさも小さ目な機械竜が咆哮を上げる。正直本家と比べるとあんま怖くない。

　プロト・サイバー・ドラゴン
効果モンスター
星３/光属性/機械族/攻1100/守 600
このカードはフィールド上に表側表示で存在する限り、
カード名を「サイバー・ドラゴン」として扱う。

　プロト・サイバー・ドラゴン　攻１１００

「そして手札のマジックカード、融合を見せてサイバー・ドラゴン・ツヴァイをサイバー・ドラゴン扱いにする。融合を発動！場のサイバー・ドラゴン二体を融合して、サイバー・ツイン・ドラゴンを召喚！」

　サイバー・ツイン・ドラゴン
融合・効果モンスター
星８/光属性/機械族/攻2800/守2100
「サイバー・ドラゴン」＋「サイバー・ドラゴン」
このカードの融合召喚は、上記のカードでしか行えない。
このカードは一度のバトルフェイズ中に２回攻撃する事ができる。

　サイバー・ツイン・ドラゴン　攻２８００

　双頭の機械竜が、二つの首でそれぞれ僕と十代を威嚇する。

「そしてサイバー・ツイン・ドラゴンに装備カード、ブレイク・ドローを装備する」

『………なんだろう、このサイバー流のお手本を見てるような感じ。と思ったけど、この人文字どうりサイバー流のお手本だったなそういや』

　ブレイク・ドロー
装備魔法
機械族モンスターにのみ装備可能。
装備モンスターが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、
自分のデッキからカードを１枚ドローする。
このカードは発動後３回目の自分のエンドフェイズ時に破壊される。

「いくぞ、まずはサイバー・ブレイダーでサンダー・ジャイアントを攻撃！」

　サイバー・ブレイダーの放った回し蹴りが、受け止めようとしたサンダー・ジャイアントを弾き飛ばす。

　サイバー・ブレイダー　攻４２００→　Ｅ・ＨＥＲＯ サンダー・ジャイアント　攻２４００（破壊）

　十代＆清明　ＬＰ８０００→６２００

「これでサイバー・ブレイダーの効果は第一のもの、戦闘破壊耐性を得るわ。パ・ド・ドゥ！」

　サイバー・ブレーダー　攻４２００→２１００

「続いてサイバー・ツイン・ドラゴンでグリズリーマザーを攻撃！エヴォリューション・ツイン・バースト！」

　サイバー・ツイン・ドラゴン　攻２８００→グリズリーマザー　守６００（破壊）

「そしてブレイク・ドローの効果でカードを一枚ドローする」

「こっちも効果発動だ！…………ドローは怖いけどダメージはもっとキツイな、レイスは出せない！ハリマンボウを特殊召喚！」

　ハリマンボウ
効果モンスター
星３/水属性/魚族/攻1500/守 100
このカードが墓地へ送られた時、
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター１体を選択して発動する。
選択した相手モンスターの攻撃力は５００ポイントダウンする。

　ハリマンボウ　攻１５００→２０００

「もう一度攻撃だ、エヴォリューション・ツイン・バースト！」

　サイバー・ツイン・ドラゴン　攻２８００→ハリマンボウ　攻２０００（破壊）

　十代＆清明　ＬＰ６２００→５４００

「でも、ハリマンボウの効果で攻撃力が下がる！対象はサイバー・ツイン・ドラゴン！」

「こちらもブレイク・ドローの効果で、カードを一枚ドローする」

　サイバー・ツイン・ドラゴン　攻２８００→２３００

「さらに、サイバー・バリア・ドラゴンでダイレクトアタック！エヴォリューション・バリア・ショット！」

　サイバー・バリア・ドラゴン　攻８００→十代＆清明（直接攻撃）

　十代＆清明　LP５４００→４６００

「カードを一枚セットして、ターンエンドだ」

　十代＆清明　ＬＰ４６００　手札：十代×１、清明×４　場：なし　魔法・罠：１（伏せ）　
　亮＆明日香　ＬＰ８０００　手札：亮×２、明日香×０　場：サイバー・バリア・ドラゴン（攻）、サイバー・ツイン・ドラゴン（攻・ブレイク）、サイバー・ブレイダー（攻）　魔法・罠：ブレイク・ドロー（ツイン）、２（伏せ）
　場：ウォーターワールド

「なら、僕のターン！ドロー！」

　うーん、だいぶ押され気味だな………なんとか巻き返さないと。

「十代、構わないね？」

　横から聞いてたら何のことだか訳が分からないだろうけど、十代のカンはデュエルの事ならかなり冴えるし、これでも何をしようとしているかは気づいてもらえるはずだ。案の定、一瞬も迷わずに返事してきた。

「おう、頼んだぜ！」

「任せて！永続魔法ウォーターハザードを発動、効果でペンギン・ナイトメアを特殊召喚！」

　フィールドを波が包み込み水が引いた後には、静かにたたずむ蝶ネクタイを締めたペンギンの姿があった。正直温存しておきたかったけど、ここは打点の確保が大事！

　ウォーターハザード
永続魔法
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
手札からレベル４以下の水属性モンスター１体を特殊召喚できる。
この効果は１ターンに１度しか使用できない。

　ペンギン・ナイトメア
効果モンスター
星４/水属性/水族/攻 900/守1800
このカードがリバースした時、
相手フィールド上のカード１枚を選択して持ち主の手札に戻す。
また、このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
自分フィールド上の水属性モンスターの攻撃力は２００ポイントアップする。

　ペンギン・ナイトメア　攻９００→１４００→１６００　守１８００→１４００

「さらにマジックカード、死者蘇生！十代がサンダー・ジャイアントのコストにしたHERO、エッジマンを特殊召喚！」

　死者蘇生
通常魔法（制限カード）
自分または相手の墓地のモンスター１体を選択して発動できる。
選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

　Ｅ・ＨＥＲＯ エッジマン
効果モンスター
星７/地属性/戦士族/攻2600/守1800
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が越えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

　Ｅ・ＨＥＲＯ エッジマン　攻２６００

「そしてこの２体をリリースして…………こいつが僕の切り札だっ！霧の王を召喚！」

　十代の持つ墓地から特殊召喚できる最大攻撃力の、金色の鎧を全身に纏うHERO。そして僕が呼び出した無駄に偉そうなポーズをとったペンギンがが霧になって、フィールド上の一点に集まっていく。そしてその霧の中から現れたのが！

『お、久しぶりの出番か』

　霧の王
効果モンスター
星７/水属性/魔法使い族/攻 0/守 0
このカードを召喚する場合、生け贄１体
または生け贄なしで召喚する事ができる。
このカードの攻撃力は、生け贄召喚時に生け贄に捧げた
モンスターの元々の攻撃力を合計した数値になる。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
いかなる場合による生け贄も行う事ができなくなる。

「このカードの攻撃力はペンギン・ナイトメアとエッジマンの元の攻撃力の合計…………つまり、３５００だ！」

『水差すようで悪いが、ウォーターワールドも計算に入れてくれ』

「あ、その、えっと…………４０００、です」

　霧の王　攻４０００

「まあ気を取り直して」

『お、立ち直った』

「気を取り直して、どうせ攻撃してもサイバー・バリア・ドラゴンに止められるか。カードを一枚セットして、ターンエンド」

「私のターン、ドロー！さすがに貴方達、並みの生徒とは違うわね。あそこまで引き離されておいて、まだ逆転しようとするなんて」

「とんでもない、ブルーが貧弱すぎるんじゃないの？」

「そうだそうだ、よく言ったぞ清明！レッド生は成績こそ悪いかもしれないけど、諦めだけは悪いんだよ！」

「そうみたいね。でも、私たちにもプライドはあるもの。そう簡単には倒させないわよ？速攻魔法、魔法効果の矢を発動！そちらのフィールドにある魔法カードを破壊して、その数だけダメージを受けてもらうわ」

　魔法効果の矢
速攻魔法
相手フィールド上に表側表示で存在する魔法カードを全て破壊する。
破壊した魔法カード１枚につき、相手ライフに５００ポイントダメージを与える。

「させるか！伏せといてくれてセンキュー十代、速攻魔法非常食を発動！こっちのウォーターワールドとウォーターハザードを墓地に送って、２０００ライフ回復！」

　非常食
速攻魔法
このカード以外の自分フィールド上に存在する
魔法・罠カードを任意の枚数墓地へ送って発動する。
墓地へ送ったカード１枚につき、自分は１０００ライフポイント回復する。

「でも、貴方のフィールドには非常食のカードがある！５００ダメージだけでも受けてもらうわ」

　十代＆清明　LP　４６００→６６００→６１００

　霧の王　攻４０００→３５００

「そうね………本当なら攻撃したいのだけど。サイバー・ツイン・ドラゴン、サイバー・バリア・ドラゴンを守備表示に変更してターンエンドよ」

　サイバー・ツイン・ドラゴン　攻２３００→守２１００

　サイバー・バリア・ドラゴン　攻８００→守２８００

　十代＆清明　ＬＰ６１００　手札：十代×１、清明×０　場：霧の王（攻）　魔法・罠：１（伏せ）　
　亮＆明日香　ＬＰ８０００　手札：亮×２、明日香×０　場：サイバー・バリア・ドラゴン（守）、サイバー・ツイン・ドラゴン（守・ブレイク）、サイバー・ブレイダー（攻）　魔法・罠：ブレイク・ドロー（ツイン）、２（伏せ）

『なるほど、サイバー・ブレイダーをあえて攻撃表示のまま立たせておいてこっちの動きを牽制しに来たわけか』

「えっと、つまりどゆこと？」

『十代がもう一体自分でもモンスターを出したら攻撃力はそこで４２００になるからちょっとやそっとじゃ越えられねえし、それを恐れて展開しなかったら戦闘破壊耐性がついたままになるってことさ。もっとも十代のことだ、必ず何かしら期待に応えてくれるだろうよ』

「俺のターン、ドロー！…………貪欲な壺を発動して、墓地のクレイマン、スパークマン、サンダー・ジャイアント、エッジマン、グリズリーマザーの五体を選択してデッキに戻し二枚ドロー！よし来たぜ、融合を発動！手札のフェザーマンとバーストレディを融合してマイフェイバリットカード、フレイム・ウィングマンを融合召喚！これなら霧の王の効果にも邪魔されないぜ！」

『なるほど、この間相打ちになったエース同士のご登場か。なかなか絵になるじゃねえの』

　貪欲な壺
通常魔法（制限カード）
自分の墓地のモンスター５体を選択して発動できる。
選択したモンスター５体をデッキに加えてシャッフルする。
その後、デッキからカードを２枚ドローする。

　Ｅ・ＨＥＲＯ フレイム・ウィングマン　
星６/風属性/戦士族/攻2100/守1200
「Ｅ・ＨＥＲＯ フェザーマン」＋「Ｅ・ＨＥＲＯ バーストレディ」
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、
破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

　Ｅ・ＨＥＲＯ フレイム・ウィングマン　攻２１００

「モンスターの数が増えたことで、サイバー・ブレーダーの攻撃力が倍になるわ」

　サイバー・ブレーダー　攻２１００→４２００

「まずは霧の王で、サイバー・バリア・ドラゴンを攻撃！」

　霧の王　攻３５００→サイバー・バリア・ドラゴン　守２８００（破壊）

「続けてフレイム・ウィングマンで、サイバー・ブレイダーを攻撃！」

「一体何を考えてるの！？サイバー・ブレイダー、フレイム・ウィングマンを迎撃しなさい！」

「甘いぜ、明日香！俺はこの瞬間に清明の伏せたトラップ、メタル化・魔法反射装甲を発動！」

　メタル化・魔法反射装甲
通常罠
発動後このカードは攻撃力・守備力３００ポイントアップの装備カードとなり、
モンスター１体に装備する。
装備モンスターが攻撃を行う場合、そのダメージ計算時のみ
装備モンスターの攻撃力は攻撃対象モンスターの攻撃力の半分の数値分アップする。

　Ｅ・ＨＥＲＯ フレイム・ウィングマン　攻２１００→２４００→４５００

　Ｅ・ＨＥＲＯ フレイム・ウィングマン　攻４５００→サイバー・ブレイダー　攻４２００（破壊）

「きゃあっ！」

「さらにフレイム・ウィングマンの効果で、２１００ポイントのダメージを受けてもらうぜ」

　亮＆明日香　LP８０００→７７００→５６００

「よし、これでライフの逆転だ！」

『だが、そう喜んでばかりもいられねえな』

「なんで？あっちの場にいるのは攻撃力の下がったサイバー・ツイン・ドラゴンだけなのに？」

『…………自分の目で確かめたほうが分かりやすいからな、まあ見てなって』

　そんな不穏な会話を知ってか知らずか、ターンエンドの宣言をする十代。だが。

「なら、俺はエンドフェイズにトラップカード、リビングデッドの呼び声を発動。墓地のサイバー・ドラゴンを特殊召喚する」

　リビングデッドの呼び声
永続罠
自分の墓地のモンスター１体を選択し、表側攻撃表示で特殊召喚する。
このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。

　サイバー・ドラゴン　攻２１００

「ここでサイバー・ドラゴンを！？」

「そして俺のターン、ドロー。…………遊城十代、それに遊野清明。君たちの本気は見せてもらった。確かに君たちは強い」

「へへっ、そう言ってもらえて光栄だぜ！」

「呑気だなぁ十代は。く、来るなら来い！」

「その強さに敬意を表して、俺の本気をもってして相手する！まずはマジックカード、貪欲な壺を発動！墓地のサイバー・ドラゴン・ツヴァイ、プロト・サイバー・ドラゴン、サイバー・バリア・ドラゴン、サイバー・ブレイダー、エトワール・サイバーをそれぞれのデッキに戻し、カードを二枚ドローする…………マジックカード、パワー・ボンドを発動！！」

「なっ！」

「パワー・ボンド！？」

「お兄さん………」

「手札にいる二体のサイバー・ドラゴンと、場のサイバー・ドラゴンを融合！出でよ、サイバー・エンド・ドラゴン！！」

　これまでのサイバー・ドラゴン系統とは格の違う、圧倒的な威圧感を持った三つ首の機械竜がその羽を広げる。これが、恐らくはカイザーの切り札…………！

　パワー・ボンド
通常魔法
手札またはフィールド上から、
融合モンスターカードによって決められたモンスターを墓地へ送り、
機械族の融合モンスター１体を融合デッキから特殊召喚する。
このカードによって特殊召喚したモンスターは、
元々の攻撃力分だけ攻撃力がアップする。
発動ターンのエンドフェイズ時、このカードを発動したプレイヤーは
特殊召喚したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける。
（この特殊召喚は融合召喚扱いとする）

　サイバー・エンド・ドラゴン
融合・効果モンスター
星１０/光属性/機械族/攻4000/守2800
「サイバー・ドラゴン」＋「サイバー・ドラゴン」＋「サイバー・ドラゴン」
このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

　サイバー・エンド・ドラゴン　攻４０００→８０００

「攻撃力、８０００………」

「そして明日香が伏せていた二枚目の強欲な瓶を発動。ふ、面白い。装備魔法の巨大化をサイバー・ツイン・ドラゴンに装備して、攻撃表示に変更する！」

「しまった！攻撃力が低くなったからって放っておいたのが裏目に出たか！」

『そういうこった。ライフで勝ったからって一瞬だけでも舞い上がっちまったんだな、お前ら。もちろんそんなつもりじゃないのはわかってるけど、ほんの一手だけ読みが甘くなってたんだろ』

　巨大化
装備魔法
自分のライフポイントが相手より下の場合、
装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力を倍にした数値になる。
自分のライフポイントが相手より上の場合、
装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力を半分にした数値になる。

　サイバー・ツイン・ドラゴン　守２１００→攻５６００

「さあ、行くぞ！サイバー・ツイン・ドラゴンで、フレイム・ウィングマンを攻撃！エヴォリューション・ツイン・バースト！！」

　サイバー・ツイン・ドラゴン　攻５６００→　Ｅ・ＨＥＲＯ フレイム・ウィングマン　攻２４００（破壊）

　十代＆清明　LP６１００→２９００

　サイバー・ツイン・ドラゴン　攻５６００→１４００

「そんな、フレイム・ウィングマンが………」

「そしてサイバー・エンド・ドラゴンで霧の王を攻撃！エターナル・エヴォリューション・バースト！！」

　サイバー・エンド・ドラゴン　攻８０００→霧の王　攻３５００（破壊）

　三つの首から同時に放たれた熱線をなんとか手にした剣で受け止めて弾き返そうとするものの、その圧倒的な勢いに霧の王が押し負かされてしまう。

「うわあっっ！！」

　十代＆清明　LP１４００→０
　
　勝てなかったか…………まさかあの状況を、力技でひっくり返してくるなんてなぁ。

「負け、た………でも、カイザー」

「どうした？」

「楽しいデュエルだったぜ！」

「ああ、俺もだ。もう行くぞ、明日香」

「え、ちょっと亮！」

　そう言ってすたすたと歩き去っていく亮と、その後を慌てて追いかける明日香。その後ろ姿を見つめながら、翔がそっと頭を下げた。

「翔？」

「アニキも清明君も隼人君も、心配かけてごめん。今度こそ僕も迷わない、いつかきっとパワー・ボンドを使う資格を持つぐらいのデュエリストになってみせるよ！」

『ようやく吹っ切れたか。俺の知ってる歴史とはやっぱりずれてるけど、まあ大まかなところはあってるしいいか。とりあえず、今は制裁デュエルに集中しますかね』

「いやー、よかったよかった翔が元気になって。ってあれ？どしたの隼人、嬉しくなさそうだけど」

「もう、寮の食堂はとっくに閉まってる時間なんだな………」

「何！？今から走って帰れば間に合うかもしれねえ、早く帰るぞみんな！」

「アニキ、ちょっと待ってくださいよー！」

「十代、置いてかないで欲しいんだな～！」

「じゃあみんな、急ごう！」

「「「おう！」」」