FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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判断
前書き
EDENSZEROのホムラちゃんが相変わらず可愛い(ノ≧▽≦)ノ
ソフィアと絡ませたいという願望が日々押し寄せてくる。
「あれが時の狭間よ!!」
アンナが指をさした場所に見える黒い球体。それは本当に小さく、気にしていなければ見落としてしまうほどの大きさだった。
「意外と小さいな」
「あれをどれくらい開くと全開なんだ?」
「時間も魔力も使いそうだな」
どのくらいで全開まで開かれるのか、皆目検討もつかないスティングたちはそんなことを口にしていた。そんな不安を、アンナがすぐに振り払う。
「そんなに大変じゃないはずよ。時の狭間が上空にあるのは人間が誤って触れてしまわないようにしてあるからなの。だから全開になった時も回りに影響を及ぼすほどは大きくならないわ」
それを聞いて少し安心したような表情を浮かべる面々。それを聞いてから、グラシアンはオーガストへと変身する。
「ディマリア、君の魔法を使わせてもらうよ」
「もちろん。それでいいんでしょ?ヨザイネ」
「うん!!他の人たちは二人に魔力を貸して!!」
「「「「「了解!!」」」」」
オーガストとディマリアの肩に手を乗せる魔導士たち。二人はその魔力も借りながら、ディマリアの時の魔法を使い時の狭間を少しずつ開いていく。
(クロノス・・・負担ばっかりかけてごめん・・・)
その姿を見ていたヨザイネは、手を合わせながらかつての友の力を扱う女性の姿を見ながら、不安な気持ちを必死に押し殺していた。
「「「「「うわあああああああああ!!」」」」」
ティオスのブレス。その威力は絶大で、瞬く間にオーガストたちを飲み込んでいく。
「フンッ」
多くの魔導士たちを飲み込んだ三種の属性魔法。それをオーガストはなんとか振り払い、被害をできる限り食い止めた。
「ふーん・・・動き事態は今までよりも全然いいね」
自らの魔法を振り払われたのに、彼はあくまで冷静だった。それは分析しているからなのかはたまた何か考えがあるのか、定かではないが。
「ティオス、お遊びが過ぎるぞ」
「別に遊んでいるつもりはないよ。ただ、ちょっとオーガストが予想よりも強いだけさ」
汗を払い一度呼吸を整える。それを隙と感じたのか、二人の虎が突進してきた。
「120mm黒雷砲!!」
「燃ユルノ業!!」
オルガとルーファス、彼らはティオスに対して攻撃を放つが、天海が間に入り難なく弾く。まるで虫でも払うかのようなその動きに彼らは思わず顔を歪めた。
「まるで歯が立たないとはこの事か」
「とんでもねぇ野郎だぜ」
格が違うのは重々承知していたが、それでもこれは次元が違いすぎる。それを再認識させられた後に、彼のさらなる能力を見せつけられた。
「ティオス、どうやらあの船を行かせたのは失敗だったみたいだぞ」
「え?どういうこと?」
何かに気がついた天海。そう言われたティオスは何のことだかわかっていないような表情を浮かべている。だが、それを聞いたオーガストやオルガたちの表情が明らかに曇っていた。
「後方にいた魔導士たちが数人いなくなったが、こうやって残っているものもいる。何かあると思わないか?」
「あぁ、なるほどね」
天海は突然オルガとルーファスが前線まで上がってきたのが解せなかった。もしティオスの予想通り避難させることが目的なら、彼らは真っ先に連れていかれる位置にいたはずなのだから、
「あれはいわゆる別動隊といったところだろう。俺たちを倒すための方法でも、見つけたんじゃないか?」
完全に自分たちの作戦を見抜かれていることに動揺するオーガスト。それを見たティオスは天海の洞察力に改めて驚かされていた。
「天海は僕たちを倒す方法・・・どんなのがあると思う?」
ただ、ティオスはその考えを理解しつつも、やはり一つ納得がいかないところがあった。それはいかにして彼らが自分たちを倒すのかということ。妖精の心臓を体内に宿した状態のシリルでようやく互角に持ち込めた。しかしもうそんな力を彼は持っていない。もう自分たちを力で倒す術はないのに、何をしようとしているのかが解せなかった。
「さぁな。どこかから俺たちに対抗する戦士でも連れてくるのか?」
「ハハッ、そんな奴がこの世界にいるわけないじゃないか」
冗談交じりに言った相棒に笑っていると、彼もそれをわかっているからなのか、口元を抑えていた。
「やっぱり警戒するに値しないよ。それにもし強い奴が来れば・・・」
「あぁ・・・」
ようやく笑い終えた二人。ティオスは自らの最初の考えを信じることにした。なぜなら、もし不測の事態が起きようとも、彼は一人ではないのだから。
「強者が来れば俺が相手をする。お前を殺すためにはもっと強くならねばならないのだから」
己が目的のために必要なものを得られるのであれば、それを全て利用する。それこそが彼らがここまで来れた要因なのだ。
「そうと決まれば・・・」
考えが纏まったところで攻めに出ようとしたティオス。しかし、その時、彼の視界がわずかに揺れる。
「なんだ・・・さっきから・・・」
ずっと感じていた違和感。その正体に彼は気付くことができなかった。それが命取りになることも知らずに・・・
天海とティオスがいまだにヨザイネの策を見抜けずにいるその頃、彼女たちの方でも少しずつ変化が起き始めていた。
「時の狭間が少しずつ開いてきているわ!!」
「ディマリアさん!!グラシアンくん!!もう少しだ!!」
時の狭間の入り口らしきところが少しずつ大きくなっている。それによりその周辺の空間の歪みが大きくなり始めていることから、時の狭間が開き始めていることを全員が理解していた。
「ぐっ・・・思ったよりキツイ」
「魔力が・・・」
先頭でもっとも疲労しているディマリアとグラシアン。二人は時の狭間を開くのにかなり魔力が消耗していくのを感じており、グラシアンに至ってはいつ変身が解けてもおかしくない状態だった。
「みんな!!もっと二人に魔力を集中させて!!」
「「「「「了解!!」」」」」
二人に自分たちの魔力をどんどん流し込んでいく仲間たち。それにより二人はなんとか今の状態をキープすることができていた。
(私たちが地上に滞在できるのはあと2、3分・・・それまでになんとか開いて)
刻々と迫るタイムリミット。ヨザイネは焦る気持ちを懸命に抑えることしかできなかった。
ドクンッ
「!?」
突然鼓動が早くなったことで息苦しくなったティオスが胸元を抑える。相棒の顔色が今までのそれよりも悪くなっていることにより、天海は一度敵への警戒を解き、彼に近寄る。
「どうした?ティオス」
「な・・・何でもないよ」
強がってはいるもののその顔は明らかに異変を感じさせるものだった。顔も心持ち青白く、汗も止まらない。彼に何かが起きているのは確実なのに、それが何なのかわからない。
「ティオス、もうまもなく君は力を失う」
「何?」
先頭に立つオーガストのその言葉に対し、敵も味方も訳がわからずにいる。しかし、彼の目は嘘偽りを言っているようには見えなかった。
「何をしてるって言うんだ・・・ヨザイネ・・・」
「どんどん入り口が開いていく!!」
時の狭間を全開まで開くまであと少し。それによりクリスティーナがわずかに吸い込まれそうになっているのを感じていた。
「艦長!!クリスティーナが・・・」
「わかっている!!」
一夜の操縦テクニックで吸い込まれないようにしつつ、なおかつグラシアンたちの魔法の力が落ちない位置をキープしているクリスティーナ。そのまましばらくすると、時の狭間の周りの空間の歪みがより大きくなったことに堕天使が気が付いた。
「もういいわ!!すぐにここから離れましょ!!」
「メェーン!!」
時の狭間が全開まで開けたと思われるタイミングでクリスティーナは急速旋回。吸い込まれるよりも早くその場を離脱する。
「これでレオンが生き返っていてくれればいいんだけど・・・」
どこか心配そうなヨザイネ。その彼女の体はタイムリミットが近付いてきているのか、少しずつ薄くなっていた。
ドクンッ
「ぐっ!!」
どんどん早まっていく鼓動。それの正体がいまだにわからずティオスは何も為すことができない。
「おい!!どうしたというんだ!?」
致命傷を受けたわけでも、限界突破が必要になるほどの戦いをしたわけでもない。それなのに地面に落ちるほどの汗を流している彼を見て、天海は懸命に声をかける。
「ティオス・・・貴様が倒される様をこの場で見れないのは残念だが・・・」
彼らを見下ろすオーガストの体は今にも消えようとしていた。しかし、彼は役割を果たしたからなのか、清々しいといった表情を浮かべている。
「時間切れだ。あとのことは君たちに任せよう」
「オーガスト様!!」
徐々にその場から姿が消えていく彼にアイリーンが声をかける。今にも泣き出しそうな彼女たちの方を一瞥した彼は、小さく微笑みながらその場をあとにした。
「ヨザイネ・・・その体・・・」
一方、クリスティーナでも同様のことが起きていた。
「もう時間か・・・向こうに戻らなきゃいけなくなっちゃった」
寂しそうに言うものの、彼女の顔はどこか晴れやかだった。それは役割を果たしたからなのだと、その場にいた全員が納得した。
「お義・・・ありがと、ヨザイネ」
「これでレオンが生き返っているはずなんだよな?」
「えぇ・・・たぶん・・・」
やっぱり最後の小声がどうも気になるが、誰もそれを攻めることはない。彼女は皆の命を救い、そしてまた自分たちに希望をもたらすためにこの場に戻ってきてくれたのだから。
「私は本当に生き返ったのか見届けることができない。無責任で悪いけど、あとはあなたたちに任せるわ」
「待ってくれ」
今にも消えそうなヨザイネ。そんな彼女を呼び止めるグラシアン。
「シリルに何か伝えることはないか?」
彼女はその言葉に思わずドキッとしてしまった。自分たちの危機的状況にも関わらず、最後に間近で子供の姿を見られなかった母に対してのわずかながらの慈悲。この思いやりに思わず笑ってしまった。
「ないわ」
スパッと答える彼女。意表を突かれたグラシアンたちは思わず目を見開いた。
「あの子が歩んできた道に私はいなかった。成長する姿を見れただけで十分なの。だから・・・」
少女の目から溢れていく雫。彼女はそれを拭うことなく、みるみる薄くなっていく。
「私はあなたたちを信じる。それだけで十分よ」
それだけ言い残して姿を消したヨザイネ。残された者たちは彼女の気持ちを察してか、その後は無言で戦場へと戻っていった。
「なんだ?」
「どうしたんだ?あいつ」
胸を抑えたまま立ち上がることができないティオス。これはさすがにおかしいとオーガストがいなくなり、敵の攻撃に備えていた魔導士たちもざわついてきていた。
(チャンスなのか?それとも罠なのか?)
彼と一番の戦いをしていたと言ってもいい少年は、彼の行動がどちらなのか見極められないでいた。本当に今の状態ならば攻めるべきだが、万一策略ならやられかねない。決められない判断。一つのミスもこの強敵たちの前では許されない。
「なるほど、そういうことか」
シリルたちが動けずにいる中、真っ先に動いたのは膝をつく青年を抱えていた人物だった。
「ティオス、歯を食いしばれ」
「え?」
天海の言葉の意味を理解できずに彼を見上げるティオス。その目に映るのは、手刀を振り上げている青年の姿だった。
ザシュッ
「「「「「!?」」」」」
そのまま振り下ろされた天海の右腕は、あろうことかティオスの右腕を切り落とした。その異様な状況に、全員が思わず目を見開いた。
思わぬ激痛に襲われたティオスは気を失いそうになるのを懸命に堪える。そして彼の体から分離した右腕は地面に落ちると、見覚えのある金髪の少年へと変化した。
「「「レオン!?」」」
ティオスに取り込まれたはずのレオン。そんな彼が取り込まれる前の姿のまま現れたのだ。彼と関係の深かったシリル、シェリア、ウェンディがそれに真っ先に反応し、駆け寄っていく。
「ゴホゴホッ・・・なんだっていうんだ・・・全く・・・」
突然地面に叩き付けられた格好のレオンは咳き込みながら少しずつ体を起こしていく。それを見た途端、天空の神の走る速度が急激に早くなった。
「レオン!!」
「??」
名前を呼ばれたことによりそちらを向いた氷の神の目に映るのは、涙を浮かべながら自身に飛び付いてくる幼馴染み。
「え!?シェリア!?」
驚いたタイミングで自分の胸の中へと飛び込んできた彼女を受け止める。何がなんだかわからずにいると、その後ろからよく知った顔の友人たちが見え、ますます混乱の色を深めていく。
「なんで?シェリアたちも死んだってこと?」
自分は確かに死んだはず・・・それなのに彼女たちが目の前にいるということはと絶望に似た感情を抱いていると、後ろから聞こえてきた声で事態を把握した。
「なるほど、ヨザイネはこいつを生き返らせるために動き回っていたのか」
そちらを振り向くとそこには刺し違えたはずの天海と、血まみれながら異様な魔力の大きさを誇る彼に似た青年がいた。
「天海・・・!?」
少しずつ事態が把握できてきた。この戦いで死んだものも生きていたものも全員がこの場に集結している。そして彼の言葉により、自らの死の世界から呼び戻されたことを悟った。
「レオンごめん・・・俺は・・・」
申し訳なさそうに顔をうつむけるシリル。そんな彼に対し、レオンは小さく笑みを見せた。
「シェリアたちを守ってくれてありがとう、シリル」
「レオン・・・」
ボロボロの彼を見ればすぐにわかった。また無茶をして仲間たちのために最前線で戦っていたのだと。そんな彼を責めることなどできるはずがない。
「やれやれ・・・予想していた助っ人より遥かに強い奴が来てしまったね」
「いや・・・それは違うぞティオス」
対して腕を切り落とされたことにより止血を懸命にしているティオスは、先の会話で考えていた他国からの援軍・・・だが現れたのはそれを大きく上回る最強の難敵。
再び片腕を失ったことにより彼の力は下がってしまう。厳しい戦いを強いられると思っていたティオスに対し、天海は笑いながら立ち上がった。
「こいつくらいの敵じゃなければ、戦いは面白くない」
今までよりもよりいっそう集中力を高めていく天海。彼の瞳に映る少年もまた、ゆっくりと立ち上がろうとする。
「今度は俺がみんなを守らなくちゃいけないね」
「ティオス。またこいつを仕留めてやるから待っていろ」
再び激突しようとした両軍の最強戦力。ボロボロのフィオーレとアルバレスに流れを呼び込むためにこの戦いに勝つしかない。そう思っていた。だが・・・
ガクンッ
「「「「「!?」」」」」
両者が激突することはなかった。
「??足が・・・」
立ち上がろうとしたレオンの膝が地面へと崩れてしまう。彼は何度も立ち上がろうとするが、どうやっても立ち上がることができない。
「まさか・・・レオン・・・」
「うん・・・ごめん・・・」
まさかの事態に額から汗が止まらないシリル。他の魔導士たちも同様の反応を見せる中、レオンはゆっくりと彼らの方を向いてみせる。
「足・・・動かないわ」
"神の領域"の過剰使用により全身の筋肉に大きな負担をかけてしまったレオン。限界を迎えていた彼の肉体は蘇った今も完全に回復していなかったのだ。
魔導士たちに降り注いだ希望の光・・・その光が瞬く間に途絶えたことに、動揺が走った。
後書き
いかがだったでしょうか。
レオンが蘇ると聞いて一気に形勢逆転すると思ってた皆さん、そんなことは起こりませんでした。
ただ、彼が蘇ったことにより戦況は大きく変わってきます。
ここからが最終局面・・・どんな結末になっても怒らないでくださいね|ョω・`)ダイジョウブカナ?
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