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野良猫と思ったら

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第一章

               野良猫と思ったら
 松田司は茶色の癖のある髪の毛を左で分けて右に流している高校生だ、所謂ヤンキーであり背は一八三あり目つきは悪い。一見怖いが無闇に喧嘩はせず悪いこともしないのでクラスでそんなに評判は悪くない。
 だがその彼が最近学校の中でスマホの画面を観ていつもニヤニヤしていることはクラスでも話題になっていた、そして。
 その彼に金髪を長く伸ばしきつい顔立ちをしているやはりクラスのヤンキーである西田恵梨香がいきなり言った。
「あんたその猫何よ」
「あぁ?何だよ」
 司は自分の席から恵梨香に応えた。
「俺が自分の射程見て悪いのかよ」
「舎弟って何よ」
「家で飼ってるから舎弟なんだよ」
「それ言うなら飼い猫でしょ」
「うるせえ、可愛いからいいだろ」
 司はその濃い茶色で額にハートの模様がある猫スマートフォンの画像にあるそれを見つつ恵梨香に返した。
「道で弱々しく鳴いていて俺が保護したんだよ」
「それあたしの家の猫なのよ」 
 恵梨香はヤンキーらしい態度で言う司に座った目で返した。
「シリって言うのよ」
「シリ?」
「間違いないわ、その額の模様はね」 
 まさにというのだ。
「シリの形だからよ」
「こいつ雄だけれどよ」
「そうよ、シリ雄よ」
「じゃあまさか虎恋露は」
「ココロ?可愛い名前付けてんちゃない」
「頭にハート模様があるからだよ。虎に恋にロシアの露でな」
「何その昔の暴走族みたいな名前」
 恵梨香は司から聞いた猫の名前に即座に言い返した。
「センスないわね」
「シリよりましだろ。っていうかな」
 司は恵梨香に席に座ったまま言い返した。
「お前のとこの猫なら何で外にいたんだよ」
「脱走したのよ」
 それでというのだ。
「それでいなくなったのよ」
「ってお前の不注意じゃねえか」
「それでずっと探してたのよ、けれど見付かったし」
「返せっていうのかよ」
「そうよ、うちの猫だしね」
「首輪してなかったぞ」 
 司はこのことを恵梨香に言った。
「それじゃあ野良だって思うだろ」
「たまたま外した時に逃げられたのよ」
「そうなんだな」
「そう、だから早く返しなさい」
「誰が返すかよ」
「あたしの家の猫よ」
 二人で言い合ったがだ。
 その結果まず恵梨香は司の家に行ってその猫を観ることになった、そうしてだった。
 恵梨香を見るとだ、虎恋露はすぐに恵梨香に近寄ってきた。そうして親し気に鳴いた。
「ニャ~~ン」
「よおシリ、探したんだぞ」
「ニャンニャン」
「見ろよ、あたしに懐いてるだろ」
 その虎恋露を抱きつつ司に言った。 
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