英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~
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第92話
ギュランドロスが去ると緊張が解けたアリサ達はそれぞれ地面に膝をついた。
~エリンの里・ロゼのアトリエ~
「ハア……ハア……とんでもない男だったわね……正直、あの紅き終焉の魔王(エンド・オブ・ヴァーミリオン)が霞んで見えるくらいの威圧を纏っていたわよ……」
「あたしも今までいろんな連中とやりあったけど……あんな”化物”はさすがに初めてよ……」
「しかもギュランドロス皇帝相手に一度勝った事があるヴァイスハイト皇帝も”本気”を出せば、ギュランドロス皇帝と同レベルの闘気をさらけ出す事ができるんだろうね。」
「チッ……特務支援課も含めて何でクロスベルの連中はあんな”化物”が自分達の”王”になる事を受け入れたんだよ……」
「それよりも何故クロスベルにあのような連中が揃いも揃って色々と問題があったクロスベルに手を貸す所か、クロスベルを独立させて強国へと繁栄させようという気概が理解できんな。」
「メサイアさんからある程度ギュランドロス皇帝の情報は聞いてはいましたけど……話に聞いていた以上のとてつもない人物でしたね……」
「うむ……かつてレグラムでオーレリア将軍閣下と正面から向き合った時以上の凄まじい”気”を感じさせられたな……」
「よくガイウスやノルドの人達はあんな化物と普通に付き合えたよな……?」
「ノルドにいる時のギュランドロスさん達はあれ程の凄まじい”風”を纏っていなかったのだが……それを考えるとギュランドロスさん達は自分達を纏う”風”を自身の意思で抑えていたかもしれないな……」
「どっちにしても”化物の仲の化物”には変わりねぇじゃねぇか……あの男と対峙した後の今だと、冗談抜きでギリアスが小さく見えてきたぜ……」
セリーヌは息を切らせて呟き、サラは疲れた表情で、フィーは真剣な表情で呟き、アッシュは舌打ちをしてギュランドロスが去った方向を睨み、ユーシスは重々しい様子を纏って呟き、不安そうな表情で呟いたエマの言葉にラウラは重々しい様子を纏って頷き、疲れた表情で呟いたマキアスの指摘にガイウスは静かな表情で答え、クロウは疲れた表情で溜息を吐いた。
「やれやれ…………オズボーン宰相達を何とかするより、ギュランドロス皇帝をどのように止めるかの方が難しい気がしてきたよ……」
「うん…………それにギュランドロス皇帝だけじゃなくヴァイスハイト皇帝、それにリウイ陛下に納得してもらうことも考えないといけないものね……」
「いずれにしても僕達にとっては厳しい問題だらけですよね……」
「ゼムリア大陸はこれから一体どうなっていくのよ……?」
「…………」
疲れた表情で呟いたアンゼリカの推測に頷いたトワとエリオットは複雑そうな表情を浮かべ、アリサは不安そうな表情を浮かべ、トワ達の言葉を聞いたリウイは真剣な表情で黙ってアリサ達を見つめた。
「よもやあれ程の”怪物”が動乱の時代となった今の時代に台頭するとは、空の女神も酷な運命の悪戯を仕組んだものじゃの……」
「アハハ、その言葉、空の女神の前では言わない方がいいと思いますよ?」
「そうね……空の女神は”空の女神の導き”みたいな自分が関わる言葉を聞くとやたらと嫌がっている様子を見せていたものね。」
「ああ……それどころか”空の女神と言う名すら嫌がっている”とんでもない女神だからな、あの”自称ただの新妻”は。」
重々しい様子を纏って呟いたローゼリアの言葉にアネラスは苦笑しながら指摘し、シェラザードとアガットがそれぞれ呆れた表情で答えるとその場にいる多くの者達はエイドスを思い浮かべてアネラス達が言った事が実際にありえる可能性が高い事を知っていた為冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「ハハ……改めて”影の国”から帰還後のヴァイスとリセルさんはとんでもない戦いを潜り抜けた事を思い知らされたね……」
「ああ……あのような凄まじい人物を相手に彼らはどのようにして勝利し、今のような関係へと築き上げる事ができたんだ……?」
疲れた表情で呟いたオリヴァルト皇子の言葉にミュラーは重々しい様子を纏って頷いた。
「……………」
「セドリック?どうしたの?」
辛そうな表情で黙り込んでいるセドリックの様子が気になったアルフィンはセドリックに訊ねた。
「うん……この戦争がどんな形で終わるかはまだわからないけど……もし、エレボニアが存続できてアルノール家が皇家を続ける事が許されても、僕がいつかエレボニアを代表してクロスベルと国家間の交渉をする際本当に僕はクロスベルと対等な交渉ができるのかどうかに不安を感じた事に自己嫌悪していたんだ……兄上が参加した”西ゼムリア通商会議”のような各国のVIP達が集まる場でクロスベル――――――ギュランドロス皇帝相手に論争とかをするような機会があるかもしれないし……」
「セドリック………」
「…………」
複雑そうな表情で語ったセドリックの本音を知ったクルトは心配そうな表情でセドリックを見つめ、オリエは重々しい様子を纏って黙り込んでいた。
「そんなに気を落とす事はないよ、セドリック。――――――むしろ、貴重な経験が得られたと思っているよ。」
「え……それはどういう事ですか?」
オリヴァルト皇子の指摘を聞いたセドリックは目を丸くして訊ねた。
「これは私の経験談なのだが………自分よりも”格上”の存在と相対すれば自然に”度胸”もついてくるのさ。何せ私は結社の”執行者”どころか、リベル=アークでは”至宝”と一体化した状態で更にパワーアップした”教授”、”影の国”では七耀教会の”聖典”に載っているような大悪魔とも対峙したお陰で、大抵の”畏怖”を感じさせるような相手にも平気に接する事ができるようになったからね。だからギュランドロス皇帝に一度会った事でできた”耐性”は間違いなくセドリックにとっての”糧”になってるさ、はっはっはっ。」
「兄上……」
「もう、お兄様ったら……」
「ふっ、珍しくまともな事を言ったな。」
オリヴァルト皇子の答えにセドリックが目を丸くしている中その場にいる多くの者達は冷や汗をかいて脱力し、アルフィンとミュラーは苦笑していた。
「ハア……下らん。俺達もとっととレヴォリューションに戻ってこの里から発つぞ。」
「はい。」
「は~い。」
「御意。」
「わかりましたわ。」
「仰せのままに。」
その時呆れた表情で溜息を吐いたリウイがリィン達を見回して指示し、リウイの指示に対してそれぞれ部隊を率いる立場であるプリネ、レン、リィン、デュバリィに加えてヴァイスハイ新生軍の総主宰であるミュゼはそれぞれ返事をした。
「あ……」
「ま、待って、リィン!ユミルに捨てられる前の話はまだしていないわよ……!」
それを見たトワは呆けた声を出し、アリサはリィンを呼び止めようとしたが
「――――――必要ない。その件に関しては既に俺の事について”ある程度の事情を知っていた”サンドロット卿から聞かされている。」
「リアンヌがじゃと!?」
「サンドロット卿が一体何故リィンの事を……」
リィンが説明の不要を告げた後驚愕の事実を告げ、リィンが口にした事実にアリサ達がそれぞれ血相を変えて驚いている中ローゼリアは驚きの声を上げ、ラウラは戸惑いの表情で呟いた。
「――――――マスターがまだ”シルフィア”という人物ではなく、”リアンヌ・サンドロットそのものだった時”にその場面を遠くからその目に焼き付けてしまったとの事ですわ。――――――”ハーメルの悲劇”の主犯格の一人であるリベールとの戦争を望んでいてオズボーン宰相と対立していた正規軍の将官によって雇われた猟兵達の襲撃によって妻は殺され、息子――――――幼い頃のシュバルツァーも瀕死の状況に陥った所に駆けつけた鉄血宰相の様子を。」
「何ですって!?」
「リ、リィン君達を襲った猟兵達を雇った人が”ハーメル”の主犯格の一人でもあるって事は……!」
「そいつも”百日戦役”を引き起こした”元凶”だったって事かよ……!」
「やはり”ハーメル”とも関係していたようだな……」
「ああ………」
「リィンさん……」
デュバリィの答えにアリサ達がそれぞれ血相を変えている中シェラザードは厳しい表情で声を上げ、アネラスは信じられない表情をし、アガットは怒りの表情を浮かべ、複雑そうな表情を浮かべて呟いたミュラーの言葉にオリヴァルト皇子は重々しい様子を纏って頷き、アルフィンはリィンを心配そうな表情で見つめた。
「うふふ、ちなみにその”正規軍の将官”とやらだけど、Ⅶ組のみんなも知っている人の”家族”なのよ?」
「レン……貴女ね……」
「ええっ!?ぼ、僕達も知っている人の家族がリィンの件や”ハーメル”にも関わっているんですか!?」
「一体誰の家族なのよ、そいつは。」
意味ありげな笑みを浮かべてレンの言葉を聞いたプリネが呆れている中エリオットは驚きの声を上げ、セリーヌは目を細めて続きを促した。
「クスクス……それを話す前に”百日戦役”が起こる前に当時、エレボニアの正規軍にも”貴族派”が存在していた事は知っていたかしら?」
「なっ!?正規軍に”貴族派”が!?それは本当なんですか!?」
「ああ……最も、”百日戦役”後”ハーメル”の件を隠蔽する意味もあって全員”極刑”を受けて”百日戦役”の責任を取らされた事で正規軍内の”貴族派”は消滅したという話だけどね……」
レンの話を聞いたマキアスは信じられない表情で声を上げてオリヴァルト皇子達に訊ね、マキアスの疑問にオリヴァルト皇子は重々しい様子を纏って答えた。
「で、肝心のその貴族派の将官の名前はね……”ルドルフ・アランドール”っていう名前よ♪」
「な――――――」
「ア、”アランドール”という事は……!」
「アランドール少佐の父親がリィンの件や”ハーメル”の件の……」
「ハッ、かかし野郎が会った事もない俺の事を気にしていた事には疑問を抱いていたが……”そういう事”だったのかよ。」
「……………」
レンが口にした更なる驚愕の答えにアリサ達が驚いている中サラは絶句し、エマは信じられない表情を浮かべ、ガイウスは真剣な表情で呟き、アッシュは鼻を鳴らした後表情を厳しくし、”呪い”に侵されていた事で霊脈とも一体化していた事で事情を知っていたセドリックは複雑そうな表情で黙り込んでいた。
「フフ…………ちなみに、”アランドール家”は爵位や領地は持たない騎士階級のラマールの貴族だったそうですわ。最も、殿下も今仰ったように”百日戦役”の件で当時の当主であったアランドール准将が処刑された後は”アランドール家”も”廃嫡”されていますが。」
「ラマールの……しかもその口ぶりだと、ミュゼ君はアランドール少佐の事も知っていたんだね?」
ミュゼの話を聞いたアンゼリカは真剣な表情を浮かべてミュゼに訊ねた。
「ええ。お祖父様や将軍から教えて頂けた機会がありましたので。」
「イーグレット伯爵閣下とオーレリア将軍閣下か……確かにあの二人なら”ハーメル”の件を知っていてもおかしくないね。」
「ま、まさかあの鉄血の子供達の一人が”百日戦役”の主犯格の関係者だったなんて……」
「ルーファス卿の事も考えると、恐らくリーヴェルト少佐も何らかの深い事情があるのでしょうね……」
ミュゼの答えを聞いたアンゼリカが考え込んでいる中クルトは信じられない表情で呟き、オリエは重々しい様子を纏って呟いた。
「あの、レン皇女殿下………何故正規軍内の貴族派はそのような非道を犯してまでリベールとの開戦を望んでいたのでしょうか……?」
「理由は二つあるわ。一つは元々の正規軍内の立場ね。アランドール准将を始めとした正規軍内の貴族派は当時オズボーン准将を中心とする平民出身青年将校による革新派閥と対立していたけど劣勢で、その状況を逆転する為に”教授”――――――結社蛇の使徒第三柱”白面”ゲオルグ・ワイスマンに唆される事で戦功を求めて、その戦功を作る対外戦争を起こす理由としての”悲劇”――――――”ハーメルの悲劇”を計画した訳だけど、そこに二つ目の理由――――――”星杯”で鉄血宰相達が語った話に繋がるって事よ♪」
複雑そうな表情を浮かべたアルフィンの質問に答えたレンは意味ありげな笑みを浮かべた。
クク…………おかしいとは思わなかったのかね?――――――いかに事情があったとして、開戦の口実に自国民を虐殺するなど近代国家ではおよそあり得ない事件だ。露見した場合のコストにも見合わない…………”普通なら理性が邪魔するはずなのだよ。”黒幕は小貴族の将官達。彼らは個人としては特に邪悪でもなかったという。そうですな、閣下?
ああ、彼らは良くも悪くも平凡だった。四大名門の圧力や結社の使徒の入れ知恵もあったがそれだけでは説明できぬほどの愚行だ。取り調べで彼らは言っていた――――”魔が差した””自分が信じられない”と。
「あ………」
「”星杯”の時にオズボーン宰相と黒のアルベリヒが答えた”呪い”の件か……」
「チッ、そこに例の”呪い”へと繋がるのかよ……!」
レンの話を聞いて星杯での出来事を思い返したトワは呆けた声を出し、アンゼリカは重々しい様子を纏って呟き、クロウは舌打ちをして忌々しそうな表情をした。
「――――――話は以上だ。どの道エレボニアにはユミルの件を含めた内戦で犯した様々な愚行に対する我らメンフィルの”怒り”による”報復”の恐ろしさを思い知らせる必要がある上、そのような”呪い”がエレボニアに強い影響を与えているのならば当然エレボニアの領土と隣接している我が国の領土も無関係ではない為、我が国の領土、そして領民達を守る為にもこの戦争で”徹底的に鉄血宰相達を呪いごと滅する必要がある。そしてこの戦争でかつては”大陸最強”と呼ばれ、軍事大国としてもゼムリア大陸にその名を轟かせていたエレボニアを徹底的に叩き潰す事でエレボニア――――――いや、ゼムリア大陸に我らメンフィルの”逆鱗”に触れれば”どうなるか”を思い知らせる”見せしめ”にする。――――――これはシルヴァンを始めとした現メンフィル帝国政府の”総意”だ。よって、これを覆す事等”お前達には不可能”だ。」
「……………」
「という事はノーザンブリア侵略の際の”北の猟兵”達の虐殺もその”見せしめ”の一環だったのね……ッ!」
「多分だけど、ノーザンブリアでの虐殺による”見せしめ”の対象は”猟兵という存在に対して”と言った所か。」
「………ッ!」
「そ、そんな………」
「皇帝だけじゃなく、”メンフィル帝国政府の総意”か……少なくても原則、国家権力に介入できない遊撃士(あたし達)じゃ、その件に関してはお手上げね。」
「ああ……しかもトヴァルがユミルの件で”やらかしている”から、メンフィルは今回の戦争の件に関する遊撃士協会による仲介の言葉には絶対に耳を貸さないだろうな……」
リウイのアリサ達への指摘を聞いたプリネが複雑そうな表情で黙り込んでいる中サラは怒りの表情を浮かべ、フィーは真剣な表情で推測し、ユーシスは辛そうな表情で唇を噛み締め、エリオットは悲痛そうな表情を浮かべ、シェラザードとアガットは複雑そうな表情で呟いた。
「リウイ陛下……”メンフィル帝国政府の総意”と仰いましたけど、その中にはイリーナ皇妃やリフィア皇女、それにプリネ皇女も含まれているのでしょうか?プリネ皇女達の性格も知っている私達からすれば、プリネ皇女達もそのような事に賛成するとは思えないのですが……」
「アネラス………」
複雑そうな表情を浮かべてプリネに視線を向けた後リウイに質問したアネラスの質問を聞いたシェラザードは複雑そうな表情を浮かべた。
「今この場にはいないあの二人はともかく………――――――プリネ、お前はこの場にいるのだから言ってやれ。」
「……わかりました。――――――アネラスさん、何も私達メンフィル皇家もそうですがメンフィル帝国政府もユミルの件――――――メンフィル帝国の領土が他国の手の者達によって傷つけられた事に対する”報復”の為だけに、そのような血生臭い結果を望んでいる訳ではありません。ゼムリア大陸にある”メンフィルの領土を守る為に、メンフィルの事を誤解しているゼムリア大陸の人々にメンフィルの逆鱗に触れてしまえば、どのような末路が待っているかを知ってもらう必要があるから”、私もそうですがリフィアお姉様やイリーナ様も今回の”見せしめ”も同然の戦争をすることに同意しているのです。」
「ゼ、ゼムリア大陸にある”メンフィルの領土を守る為に、メンフィルの事を誤解しているゼムリア大陸の人々にメンフィルの逆鱗に触れてしまえば、どのような末路が待っているかを知ってもらう必要がある”って、どういう事なんですか……!?」
「そもそもわたし達ゼムリア大陸の人達が”メンフィルを誤解している”って、どういう事?」
リウイに視線を向けられたプリネは頷いて答え、プリネの答えを聞いたアリサは不安そうな表情で、フィーは真剣な表情で訊ねた。
「この場にいる誰もが知っているようにリベールは”不戦条約”を掲げ、また現国王のアリシア女王、そしてその跡継ぎであるクローディア王太女共に戦争をこの世からなくそうとしている事から”リベールは戦争を忌避する国である事はゼムリア大陸の誰もがわかる事だ。そしてメンフィルはそのリベールと”同盟”を結んでいる。それらの件から、ゼムリア大陸の者達はメンフィルもリベール同様”戦争を忌避する国”―――要するに”国家間の問題が起こった際は話し合い等と言った穏便な方法での解決を望む国”として見てしまうだろう。」
「実際、”百日戦役”でかつては”大陸最強”を誇っていたエレボニアを圧倒したという”実績”があったにも関わらず、1度ならぬ2度もユミル―――メンフィルの領土や民達に危害を加えたという”実例”が起こっちゃったから、メンフィルは”国防”の為にも一度ゼムリア大陸に徹底的に”メンフィルの逆鱗に触れた際の恐ろしさを思い知らせる必要がある”って判断したって事よ♪」
「要するに他国から舐められないようにする為に、今回の戦争でゼムリア大陸の他国に”メンフィルの逆鱗に触れた際の恐怖”を植え付けるって事かよ……」
リウイとレンの話を聞いてある事に気づいたアッシュは目を細めて自身の推測を口にし
「………はい。」
「そ、そんな……”国防の為にエレボニアを見せしめにする”って………」
「他国から”畏怖”される事で野心や功名心等でメンフィルに対する戦争を思い留まらせる………それもまた一種の外交手段ではあるが………」
「”恐怖政治”なんて、ゼムリア大陸ではとっくの昔に廃れたやり方よ……ま、ディル=リフィーナはその廃れたやり方が未だに通じる世界のようだから、”力”を持つメンフィルがそのようなやり方を考えてもおかしくはないわね。」
アッシュの推測にプリネが頷くとトワは悲痛そうな表情を浮かべ、ラウラは複雑そうな表情を浮かべて呟き、セリーヌは呆れた表情で呟いた後真剣な表情を浮かべてリウイ達を見つめた。
「リウイ陛下……メンフィルは”全ての種族との共存”を”理想”として掲げているとの事ですが……そのようなやり方をすれば、”メンフィルが目指している理想”に遠のくのではないでしょうか?」
「そうだな……”共存”を謡っている国が”恐怖”されちまえば、”共存”も遠のく上メンフィルに対する恐怖で、その”恐怖を取り除く為に戦争を仕掛けるみたいな事に発展する可能性”も考えられるから本末転倒になるんじゃねぇのか?」
重々しい様子を纏って呟いたミュラーの指摘にアガットは同意し
「―――その時は”力”で解決するまでだ。――――――かつて”メンフィルの周辺諸国全てがメンフィルの敵”となった”幻燐戦争”のようにな。そもそもメンフィルは”覇道”を持って”全ての種族との共存という理想”を目指す国だ。”王道”を歩むリベールとは違う。」
「”覇道”と”王道”……”覇道”は今リウイ陛下達が仰った話から、武力による政治だという事はわかるが”王道”とはどういった政治なんだ……?」
「―――”王道”とは仁徳による政治――――――要するに他国や他者の事も思いやっての政治じゃ。」
「なるほどね……確かにリベールとは正反対ね……それなのにも関わらず、何故メンフィル帝国とは正反対の方針を取っているリベール王国と同盟を結んだのですか?」
リウイの答えを聞いてある事が気になったガイウスの疑問に答えたローゼリアの説明を聞いたサラは真剣な表情で訊ねた。
「色々と理由はあるが、一番の”決め手”はリベール――――――いや、アリシア女王がメンフィルにとっては異世界であるゼムリア大陸で付き合っていく人物として信頼できる相手だと俺達メンフィルは判断したからだ。」
「アリシア女王陛下が………」
「ハハ……まさかメンフィルにそこまで信頼されているなんて、さすがは”賢王”と名高いアリシア女王陛下だね……対してエレボニア―――いや、父上はまさにその真逆を行っていると言っても過言ではないだろうね。」
「…………………」
リウイの話を聞いたセドリックは驚き、疲れた表情で呟いたオリヴァルト皇子の話を聞いて父親や兄のメンフィルに対する愚かな所業を思い返して辛そうな表情を浮かべた。
「あの……”エレボニアを徹底的に叩き潰す”件に関する話で気になっていたのですが……クロスベルと連合を組み、更にはヴァイスラント決起軍との協力関係を結んだ理由は可能な限り多くの戦力を集める事で先程仰った”軍事大国であるエレボニアを徹底的に叩き潰す為の戦力の強化”の為だったのですか……?」
その時ある事が気になっていたエマは不安そうな表情でリウイに訊ねた。
「その件はそれぞれあくまで副次的に発生したものだから、直接は関係していないし、メンフィル(俺達)もそれが理由でクロスベルやヴァイスラントと連合を組んだ訳ではない。そもそも、例えクロスベルやヴァイスラントの助力がなくても、元々メンフィルはこの戦争に500万の戦力を投入する予定だった為、”戦力”という点ではクロスベルやヴァイスラントの助力は最初から必要ない。」
「な……っ!?」
「ご、500万の戦力!?」
「…………予想ができていたとはいえ、戦力があまりにも圧倒的に違いすぎる。エレボニア帝国は正規軍、領邦軍の総戦力を合わせても10分の1にも届かんな………」
「し、しかもそこにリウイ陛下やファーミシルス大将軍閣下、それにエヴリーヌちゃん達みたいな単独でも”軍隊”を殲滅できる戦力もいるでしょうから、まさに圧倒的な”虐殺戦”になる事が目に見えていますよね……」
「そこまでするほどメンフィルは内戦の件でエレボニアに”怒り”を抱くと共にゼムリア大陸の人々に”メンフィルの逆鱗”を思い知らせようとしているという訳なんですね……」
「今までの話からメンフィルはエレボニアやカルバードを遥かに超える大国であるとは認識していたが、どうやら妾のメンフィルに対する認識はまだ甘かったようじゃの……」
「……………」
「俺が言えた義理じゃねぇが、そんなとんでもない国を怒らせておきながら故郷の連中が協力して責任を取る事と、土下座と莫大な謝罪金の支払いでエリス達の件を許してもらえたヴィータは本当の意味で”運が良かった”って訳か。」
リウイが口にした驚愕の事実にラウラは絶句し、マキアスは驚きの声を上げ、ミュラーは複雑そうな表情で推測し、アネラスは不安そうな表情で推測し、セドリックとローゼリアは重々しい様子を纏って呟き、アルフィンは辛そうな表情で黙り込み、クロウは複雑そうな表情で呟いた。
「そういう意味ではリィン達に引き取られたアルティナも”運が良かった”のだろうな……」
「そうだな……その点ではリフィア殿下がアルティナの処遇を俺達に委ねた事には本当に感謝しているよ。」
静かな表情で呟いたガイウスに視線を向けられたリィンはガイウスの推測を肯定した。
「うふふ、ちなみにパパが今言った戦力はメンフィル帝国軍の総戦力の10分の1にも満たないわよ♪」
「……………」
「ええっ!?」
「500万人でも10分の1に満たないんですかっ!?」
「ま、まさかメンフィルがそれ程までに圧倒的な国家だったなんて……」
「”格が違う”とはまさにこの事でしょうね。」
レンが答えた更なる驚愕の事実に驚いたデュバリィは口をパクパクさせ、エリオットとアリサは驚きの声を上げ、クルトは信じられない表情で呟き、オリエは重々しい様子を纏って呟いた。
「リウイ陛下……内戦の件で我が国が貴国に対して犯した数々の許されざる罪に対する貴国の”怒りの焔”を鎮める方法が可能な限り双方血を流さない事を探す事をエレボニア皇子として諦めたくはありませんが、メンフィルはエレボニアに多くの血を流させる事で”怒りの焔”を鎮めようとしている事は理解はしました。ただこれだけは聞かせてください。黒の工房から脱出する際に宰相殿達に対して”リィン君達が七の相克に強制的に参加させられない為の手も既に打っている。”と仰いましたが、一体どのような手を打ったのか教えて頂けないでしょうか?」
そして重々しい様子を纏って呟いたオリヴァルト皇子は表情を引き締めてリウイにある質問をした――――――
後書き
今回のBGMは幻燐2の”荒野を渡りて”かVERITAの”覇道”のどちらかだと思ってください♪それとここでちょっとしたお知らせです。エリンでの話が終わればエウシュリー新作”天冥のコンキスタ”のキャラクターの新登場並びに参戦が決定しました!!勿論そのキャラクターはリィンの5人目の使い魔としてリィン達側につきます♪先に言っておきますが幾ら何でもクラウス&ヘルミィナは出しませんよ?なので公式サイトにもいるネームドキャラの天使陣営or魔族陣営の内のどちらかの誰かになりますwちなみにヒントは今まで登場したリィンのハーレムメンバー(運命が改変等も含めて)にはいなかったタイプ・性格のキャラクター(オイッ)で名前の文字数は5文字です(濁点は文字数に含めない)
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