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レーヴァティン

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第百六十二話 普通の難しさその十一

「身体を痛めつけるだけでだ」
「意味がない」
「罰則ならそれだけでなくな」
「それを機にだね」
 辛さを与え二度と間違ったことをさせない様に心に教えると共にというのだ。
「鍛えさせる」
「それが合理的な筈だ」
「それはそうね」
 桜子も否定しなかった。
「本当に」
「そうだな、だからだ」
「あんたは正座もさせないのね」
「しかもそれで自分はしないならな」
「余計になのね」
「誰がそんな奴についていく」 
 英雄の言葉は今度は全否定だった。
「これは丸坊主でも同じだ」
「その先生それもさせたのね」
「だが自分はしなかった、それが決定打だった」
「体育会系を否定する考えになったのね」
「そうだ」
 こう言ってだ、英雄は。
 また酒を飲み刺身を食ったがここで気付いた。
「もう終わりだな」
「随分食べたね」
「食うものも飲むものもなくなった」
 その全てがというのだ、見ればその通りだった。
「ならな」
「お店を出て」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「大坂に戻るか」
「それじゃあね」
「また政に戻る」 
 こう言うのだった。
「一日だが随分長居した気分だがな」
「色々食べて飲んだから」
「だからだ」
 それでというのだ。
「そう思ったがな、しかし」
「楽しかったわね」
「酒に馳走を楽しめてな」
「満足したわね」
「英気を養えた、ではな」
「明日からまた」
「励むとしよう」 
 こう言ってそうしてだった。
 一行は店を出てそうして大坂に戻った、そのうえで次の日からまた政に戻った。彼等の日常が戻った。


第百六十二話   完


                2020・5・15 
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