レーヴァティン
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第百六十二話 普通の難しさその五
「進めていく」
「それもな」
「そうしていって」
「そしてだ」
「魔物も減らしますね」
「そうしていく」
こう言うのだった。
「そして民を安らかにする」
「そのこともわかりました」
「だが魔物や獣も必要か」
恵勇はここで鋭い目になってこうも言った。
「生態系は乱すものではないね」
「それは乱さないことっちゃ」
絶対にとだ、愛実も言ってきた。
「乱すと厄介なことになるっちゃ」
「その通りだな」
「そうっちゃ。例えば狼がいなくなるとっちゃ」
「山の鹿や狸が増える」
「そうしたら田畑を荒らす獣が増えるっちゃ」
「それだな」
「今の日本で実際に起きてるっちゃ」
愛実は酒を一口飲んでから話した。
「現実に」
「そうだな」
「獣害は深刻っちゃ」
起きた世界の日本のそれはというのだ。
「農家の人も困ってるっちゃ」
「ニホンオオカミが絶滅してからな」
「だからっちゃ」
「この世界でもだな」
「魔物は確かに人を襲うっちゃ」
「獣もな」
「だから多いと困るっちゃ」
「そうだな、しかしだな」
「いなくなるとっちゃ」
それはそれでというのだ。
「魔物も獣も生態系の中にいるっちゃ」
「それでいなくなるとな」
「本当に獣害が増えるっちゃ」
「そうしたことにならない様にな」
「程々の少なさにするべきっちゃ」
「そういうことだな」
「それは英雄もわかってるっちゃな」
愛実は真剣な顔で問うた。
「そうっちゃな」
「そのつもりだ」
「ならいいっちゃ」
「それも考えている」
「そうっちゃ」
「魔物や獣はそれでいいな、だが」
それでもとだ、英雄は伊勢海老の刺身を食べつつ話した。
「賊は違う」
「連中はっちゃな」
「山賊も海賊もな」
「そしてヤクザ屋さんもっちゃな」
「性質の悪い連中はな」
「片っ端からっちゃな」
「成敗していく」
こう言い切った。
「そうしていく」
「そうっちゃな」
「そして民を安らかにする」
こう言うのだった。
「まさにな」
「賊は殲滅でござるな」
「魔物や獣は人も襲うが自然の中にある」
英雄は今度は智に答えた。
「だからな」
「世の役に立っているでござるな」
「そうした面が確かにある」
彼等についてはというのだ。
「人を襲うならその数を減らし人のいる場所からはだ」
「いなくなってもらうだけでござるな」
「町や村や街道からな」
「それだけでござるな」
「だが賊は違う」
人である彼等はというのだ。
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