ドラえもん のび太の転生ロックマンX(若干修正版)
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ダブル
ファイナル・ウェポン
地上でとんでもない事態が起こっているとも知らずにエックスたちは衛星内に乗り込み、ジェネラルを守ろうとする親衛隊と思われるレプリフォース兵士達と交戦していた。
「命に代えてもジェネラル様をお守りするんだ!!」
「これ以上先にハンター共を行かせてはならん!!」
「レプリフォースに栄光あれ!!」
エックスは、アームパーツをストックに切り替え致命傷を負わない程度に兵士たちを打ち倒していく。
「悪いけど、ここで時間をかけるわけにはいかないんだ!!」
「ほら、さっさと退きなさい!怪我しても知らないわよ!!」
飽くまでも気絶する程度に留めて攻撃するエックスたちは、要塞でもある衛星内を進んで行く。しばらくすると分かれ道に突き当たった。
「この道のどれかがジェネラルの部屋に通じる道か・・・・・。」
「アイリス、ジェネラルの部屋はどっちに繋がっているんだ?」
「右斜めのルートよ。ただ、警備システムが作動しているからトラップでそう簡単に乗り込めないわ。」
「動力室は?」
「左のルート。こっちに抜け穴とかあるから気をつけないと。」
「よし、俺とマーティ、ビートブードとマンドリラー、ホーネックはジェネラルの身柄の確保。ゼロ、アイリス、ドラえもんたちは動力室に乗り込んでこの衛星の機能を停止させてくれ。」
そう言うと二手に別れて行動を始める。
ゼロルート
「こっちの方は手薄・・・って訳にはいかないようだね。」
周りにいる防衛装置を破壊しながらスネ夫は言う。
「みんな必死なのよ。ここを落とされたら終わりだと考えているから・・・・・・」
「ちくしょう~!これじゃあ、いつまで経ってもつかねえじゃねえか!?」
ジャイアンはそう言いながらも空気砲でメカニロイドを吹き飛ばす。しばらくすると特殊加工の施された扉の前に辿り着く。
「アイリス、この部屋は?」
「確か防衛システムの大型メカニロイドを配置する予定だったけどまだできていないはずよ。」
「よし!だったら素通りできるぜ!!」
ジャイアンはそう言いながらも間違えて床の仕掛けボタンを踏んでしまう。
「「「「「えっ?」」」」」
するとゼロとアイリスを除くドラえもんたち五人は、突如空いた抜け穴に落ちてしまった。
「「「「「うわぁあぁぁあああ~!!!」」」」」
「みんな!?」
アイリスは急いで駆け寄ろうとするが抜け穴はすぐに閉じてしまった。
「あっ・・・・・・・」
「まさかこんな近くに罠が設置されていたとはな。」
ゼロは、アースクラッシュで床を開こうと床に触れてみるが特殊金属でできているため破壊は不可能だった。
「みんな・・・・・・」
「アイリス、あいつ等ならきっと大丈夫だ。俺たちは俺たちでやるべきことをやろう。」
「え、えぇ・・・・・・・・」
二人は、部屋の中へと入る。
「なっ!?」
だが、そこには本部に居るはずのダブルが立っていた。
「お前はダブル!?何故お前がこんなところに!?」
「クックク・・・・・ファ―――――――――ハッハッハッハッ!!!」
「「!?」」
普段とは全く別人のように笑いだすダブルに二人は唖然とする。
「全くイレギュラーハンターもレプリフォースも揃いに揃って本当に甘ちゃんぞろいだぜ!まあ、おかげでやりやすかったがね。」
「え?」
「・・・・・・・貴様、どういうことだ?」
「アンタでも気づけなかったのか?ゼロ隊長さんよ?」
ダブルは二人の目の前でその姿を現す。普段の小太りで愛想がよかった姿とは違い、凶悪なレプリロイドへと変貌した。
「その姿は!?」
「これが俺の真の姿よ!あの姿はてめえらを監視するために擬態した仮の姿さ。」
「・・・・スパイだったのか。」
「その通りよ。シグマ様の命令でな。」
「・・・また、奴の仕業だったのか。」
揚々と答えるダブルに対してゼロはセイバーを引き抜く。
「ゼロ?」
「アイリス、離れていろ。」
「ほお?俺とやり合うっていうのか?」
ダブルは嬉しそうに言う。それに対してゼロは、鋭い眼差しを向ける。
「・・・・・お前に聞く。宇宙港の爆破とドラグーンに裏切るように仰いだのはお前か?」
「あぁ、宇宙港を爆破するようにしかけたのは俺さ。だがドラグーンの野郎にけしかけたのはシグマ様だ。奴の欲望とお前らに対する嫉妬を利用してな。」
「・・・・・・よく分かった。お前に対しては何の慈悲も必要ないようだな。」
「ヒャ~ハッハッハッハッハッ!!言ってくれるじゃねえか!!」
「ダブル!お前をイレギュラーとして破壊する!!」
ゼロはセイバーでダブルに斬りかかる。対するダブルは、液体金属で精製したブレードで受け止める。
「お前だけは絶対に許さん!ドラグーンを!そして、レプリフォースを!」
「許さねえだ?そんなこと知るかよ!」
ダブルは距離を取るとブレードを回転させながら投擲する。ゼロは、空円舞を利用して避けるとすぐにダブルの懐に入り込む。
「疾風牙!!」
しかし、ダブルのボディは切断されたところから元のようにくっつき直す。
「悪いな、俺の体は、特殊液体金属製なんだ。ボディが斬られようが液状化すれば意味がねえんだよ。」
「ちっ!なら、再生できないほど切り刻んでやるまでだぁ!!龍炎刃!!」
ゼロは、セイバーに炎を纏わせ、上空へ跳び上がりながらダブルを斬りつける。ダブルのボディは瞬時に斬り口は塞がれ、元に戻る。
「無駄だって言ってんだろ?俺には切断武器は通じねえ!!」
ダブルは再びブレードを精製して回転させながら投擲する。ゼロは、また回避するがブレードは回転しながら反転し、ゼロの左腕を斬りつけた。
「グワァアア!?」
「ゼロ!?」
「どうだ!俺のブレードの切れ味はよ!!」
ダブルは、ゼロの左腕を掴むと切断面を利用して捥ぎ取った。
「ガアアァアアアアアア!!」
「ヒャッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!!」
傷口からエネルギーを吹き出し苦しむゼロを見ながらダブルは高笑いして奪った左腕を捨てる。
「これで右腕だけになっちまったな。それじゃあ満足に戦えねえんじゃねえのか?」
「黙れぇえ!!」
ゼロは苦しい表情をしながらもセイバーを握り直して態勢を立て直す。
「ハッハッハッハッ!そう来なくちゃな!精々俺を楽しませてくれよ!!」
「ゼロ・・・・・・・・」
両腕にブレードを精製して斬りかかるダブルの攻撃を片手で受け止めるゼロに対してアイリスは捨てられた左腕を拾ってみることしかできない自分に悔やむ。
左腕を失ったことと傷口からのエネルギーの流出でゼロは明らかに弱り始めている。
今は、どうにか持ち堪えているがゼロの険しい表情を見る限り、そう長く持たない。
そんなゼロを他所にダブルは笑いながら攻撃を続ける。
「楽しいな!ゼロ隊長よぉ!」
「グゥウ・・・・・・・・・」
ゼロは意識が朦朧しかけている中でどうにか攻撃を受け止めていた。ダブルは既にゼロが戦える状態でなくなったと判断し、距離を置こうとする。
(今だ・・・・・・今しか攻撃するチャンスがない。)
ゼロはセイバーを一旦素早く戻し、右手にできるだけエネルギーを溜めて地面に殴りつける。
「落鳳破!!」
打ち付けられたエネルギーは9方向へ扇状に放出され、ダブルに数発命中する。
「やった!」
攻撃が命中してアイリスは、勝ったと喜んだ。
「ふう、あぶねえあぶねえ。」
しかし、ダブルはブレードを高速で回転させることによって威力を軽減させていた。
ほぼダメージを受けていないダブルを見てゼロは唖然とする。
「クッ・・・・・・・・・・・もう、力が残っていない・・・・・・・」
ゼロは膝をついてしまう。先ほどの攻撃でほとんど体力を使い果たしていた。これ以上のエネルギーの消耗は機能停止する危険性がある。そんなゼロをダブルは蹴り飛ばす。
「ガハッ!?」
「ゼロ!!」
「情けねえな・・・・・これがシグマ様が恐れていた奴なのか?」
ダブルはゼロを踏みつけながら言う。
「せっかく楽しくなるよう準備しておいてやったのによぉ。これじゃあ、態々カーネルまで始末した意味がないぜぇ。」
「えっ?」
ダブルのさりげない言葉にゼロとアイリスは唖然とする。
「カーネルを?どういうことだ!?」
「あぁ・・・・・・そう言えば通信機ぶっ壊しといてこっちに連絡が来てなかったんだよな。シグマ様の命令で甘ちゃんの能無しの部下共と一緒に始末してやったんだよ。まあ、あのまま眠ってても可哀そうだったからな。」
「に、兄さんを・・・・・・・・・・・」
アイリスはショックのあまりに拾った左腕を落としてしまう。その反応を見てダブルは、ニヤリと笑みを浮かべ彼女に向かって何かを投げた。ショックを受けた彼女は、それを拾い上げる。
「これは・・・・・・・・・」
「証拠品のてめえの兄貴の動力炉とデータチップだよ。てめえら二人は元々一体の究極のレプリロイドになる筈だったんだろ?だったら、その究極のレプリロイドになって俺を倒してみな?まあ、兄貴よりも貧弱なてめえじゃ無理だろうがな。」
ダブルはアイリスを挑発するように言う。
シグマが仕入れた情報によるとカーネルとアイリスは本来一体のレプリロイドとして誕生するはずだったらしい。しかし、実験の失敗により闘争心と平和を愛する心を分けることによって今の形になった。つまり、アイリスを追い詰めてカーネルのデータチップと動力炉を組み合わせれば本来の力が発揮されるようになる。イレギュラーとしてだが。
「・・・・・・・・兄さん・・・・・・」
アイリスの目から光が消える。同時に動力炉とデータチップは、同化し不気味な結晶体に変化した。
「許さない・・・・・・兄さんを・・・・・多くの仲間を死なせて・・・・・・・・」
結晶体はアイリスの真上へと浮遊する。
「アイリス!やめろ!!」
ゼロは、ダメージを負った体を無理に動かそうとする。しかし、そんなゼロの目の前にダブルが立ちはだかる。
「おっと、せっかく面白いことになりそうなんだ。邪魔すんなよ。」
「そこを退け。」
「退かせられるか?左腕が捥げて、エネルギーもほぼゼロに近く、立つことすらやっとなてめえがよ?」
「退けぇえええええ!!!」
ゼロはセイバーを引き抜いてダブルに斬りかかる。しかし、既にエネルギーを消耗したゼロの攻撃は簡単に受け止められてしまった。
「死に損ないはしばらく眠ってな!!」
ダブルはゼロの首を掴み上げると上空へと放り投げる。
「デビルスラッシュ!!」
「ガァッ・・・・・・・」
胸部を斬りつけられ、ゼロはそのまま落下して倒れた。もう、動く余力も残されていない。
(俺は・・・・・・・・・何も守れないのか・・・・・・・・・・カーネルに続いてアイリスまで・・・・・・・俺は・・・・・・・何のために・・・・・)
『なんじゃ、ゼロ。あんな程度の奴にやられるのか?』
(!?)
幻聴かもしれない。ゼロの目の前に見覚えのあるシルエットが見えた。
(お、お前は・・・・・・・)
『目を覚ませ、お前はワシの作り上げた最強のロボットなのじゃ。』
(何を言っているんだ?俺は・・・・・・・)
『本当のお前になれ。そうすればお前に敵などおらん、例えアイツでもな。』
(・・・・・・・・・・)
その直後、ゼロの理性が消えた。
「さて、どんな風になるんだろうな・・・・・究極のレプリロイド様ってもんは・・・・・・ん?」
アイリスの方を見るダブルは後ろの物音に目を向ける。
「・・・・・・・・・」
「てめえ、まだ動けんのかよ?いい加減に大人しく・・・・・」
その時ゼロは不敵な笑みを浮かべて目を赤く光らせる。
????
「・・・・・・・ここはどこ?」
アイリスは濃い霧の中を歩いていた。何故、ここに来たのかはわからない。怒りに身を任せてイレギュラー化したはずが気付いたらこの場にいたのだ。
「一体どうなっているの・・・・・・・」
不安に駆られ、彼女は歩き続ける。すると、目の前にベンチが見えそこに誰かが座っているのが分かった。
「あれは・・・・・・!」
後ろ姿だったがそこにはカーネルが座っていた。驚きながらもアイリスはカーネルの元へと走って行く。
「兄さん!」
「ん?」
妹の声を聴いてカーネルは後ろを向く。
「アイリス?」
「兄さん!死んでなかったのね!」
まさかの兄の再会に喜ぶアイリス。しかし、カーネルの表情は少し険しかった。
「・・・・・何故ここにいるんだ?」
「えっ?どういうこと?」
カーネルの言葉の意味がアイリスには分からなかった。
「ここはまだお前の来る場所ではない。早くゼロの元へ戻れ。」
「ゼロ?」
「・・・・・・今のお前は私のデータチップを取り込もうとしてここに迷い込んだんだ。ここは、人間で言えば『あの世』。早く戻らねば取り返しのつかないことになるぞ。」
カーネルの言葉を聞いてアイリスは驚く。
「どうして!?だって、兄さんはイレギュラーのせいで殺されたのよ!」
「確かに私は殺された。だが、お前まで死んだらどうする?お前を大事に思っている仲間のことを考えなくていいのか?」
「・・・・・兄さん・・・・・」
「私は、生前お前に兄らしいことを何一つしてやれなかった。ここに来てそう思っている。・・・・・・だがな、アイリス。お前は、何故ゼロと共に行動してきた?」
「そ、それは・・・・・・・」
戸惑うアイリスにカーネルは優しく包み込んだ。しかし、アイリスはまだ生きていることもあるのか触れることはできなかった。
「お前がゼロに想いを寄せていることは知っている。ゼロもお前に意識していることもな。だからこそ・・・・・アイツの傍にいてやれ。」
「・・・・・・でも・・・・・・」
アイリスは泣きだした。ゼロや仲間たちとは離れたくない。でも、兄と別れるのも辛い。そんな彼女にカーネルは優しく言った。
「人間は兄弟でもいずれは離れ離れになる。そして、死ぬ時も別々だ。だが・・・・その兄弟としての絆はいつまでも繋がっている。レプリロイドとして生み出された私とお前もな。」
「う、うぅっ・・・・・・本当?」
「私は、ここでお前のことを見守っている。生きていれば憎しむこともあれば悲しむ時もある。だが、お前とゼロならそれ乗り切れるはずだ。」
「・・・・・・・うん。」
「さあ、戻ってゼロの元へ行くんだ。そして、戦いを終わらせてくれ。」
「兄さん・・・・・・さようなら。」
アイリスは涙を拭きながらその場から消える。
「頼んだぞ、アイリス。ゼロを・・・・・・アイツのことを支えてやってくれ。」
ファイナル・ウェポン ゼロルート
「グッ!グハッ!!」
ダブルは、今目の前の現実を信じられなかった。先ほどまで圧倒していたはずの自分が今は追い詰められ、目の前には狂ったのか不気味な笑みを浮かばせたゼロがこちらに向かって歩いて来ていた。
「クッ・・・・・・こんなバカなことが・・・・・・・・・」
「どうした?さっきの威勢はどこへ行ったんだ?」
ゼロは普段と異なる態度でダブルを見下していた。
「チッ!なめんじゃねえぞ!このくたばり損ないがぁ!!」
ダブルはブレードを展開してゼロに斬りかかる。ブレードは、ゼロの腹部に突き刺さった。
「ハッ!どうよ!てめえの腹にこのまま風穴を開けて・・・・・・」
「フフフフフッ・・・・・・・・」
「!?」
腹部に穴が開こうとしているにもかかわらずゼロは急に笑い出す。
「な、何がおかしいんだ!?」
「たかが腹に穴を空けられたからなんだって言うんだ?」
「なんだとっ!?」
「本当の風穴を開けるって言うのはな・・・・・」
ゼロは右腕をアースクラッシュを使用する要領でダブルの腹部にぶつける。
「こうするんだ!!」
アースクラッシュの振動も合わさってダブルの腹部は貫通する。凄まじい衝撃にダブルは今までにない恐怖を味わった。
「ハア・・・・・・だ、だが、俺は不死身だ!?そんな大穴開けられたぐらいで・・・・・・」
「まだ終わってねえぇ!!!」
ゼロはできないはずなのにもかかわらず右腕をそのままバスターに変形させる。
「なっ!?て、てめえはバスターが使えないはずじゃ!?」
「このまま連続で撃たれてもお前の原型が残るといいなぁ!!」
ゼロは今までにない出力でダブルの体内にチャージショットにも勝るバスターを連射する。いくら特殊金属でできているダブルの体とは言え連続で放たれるバスターの光弾に耐え切れずその体を膨張させ、最終的には爆散した。
辛うじて上半身を再生することはできたがダメージが大きかったのかそれ以上再生する様子はない。
「バ・・・・・化け物・・・・・・・・・」
今まで戦いを楽しんでいたはずのダブルはあまりの恐怖にその場から逃げようとしていた。しかし、その後ろには笑いながらセイバーを展開するゼロが近づいてくる。
「フッフフフフフフフ・・・・・・・どうやら八つ裂きにされるのは貴様の方らしいな。」
「ヒイィ!?」
狂気の笑みを浮かべるゼロは、最早イレギュラーそのものだった。ここにいないシグマがもし今のゼロを見れば間違いなく歪んだ表情をしていただろう。ゼロはまともに動けなくなったダブルの体をセイバーで突き刺し始める。
「ガアァアァッ!!」
「どうだ?これがお前のために死んでいったレプリロイドたちの痛みだ。」
ゼロは更に一突きとセイバーを抜いては刺す。
「グワァアア!!」
「これはお前に殺されたカーネルの痛みだ!!」
更に一突き。
「アアアアァアアアアアア!!!」
「これはアイリスを悲しませた分だ。」
更に一突き。
「アァァアア・・・・・・・」
「フッフフフフフ・・・・・・フハッ、フッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!」
「・・・・・・・・」
ダブルからの反応が無くなった後もゼロは笑いながらその残骸を突き刺しまくる。
「う、うぅん・・・・・・・・・・・・」
その直後、アイリスの意識が戻り結晶体は自壊して彼女の目の前に落ちた。
「私は・・・・・・!」
アイリスは周囲を見回すとそこには狂ったように息が絶えたダブルをいたぶるゼロの姿があった。
「ゼロ?」
「ハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!」
ゼロは高笑いしながらダブルの亡骸を斬り続ける。その顔はアイリスがよく知っているゼロではなかった。
「ハッハッハッハ!」
「・・・・・・・・やめて。」
「ハッハッハッハッハッハッ!!」
「もうやめて!!」
「ハッ!?」
後ろからアイリスに押さえられてゼロは我に返る。
「ハア・・・・ハア・・・・・ハア・・・・・・アイリス?」
「もう、やめて・・・・・・・・もう勝負はついたのよ・・・・・・」
「・・・・・・・」
ゼロは目の前にあるダブルの亡骸を見る。もう、死んでいる。これ以上やる必要はもうなかった。
(・・・・・・本当に俺がやったのか?だが・・・・・・エックスの時とは何かが違う・・・・・僅かながらダメージが・・・・・・うっ!)
今まで止まっていた傷からのエネルギーの流出がまた再開し、ゼロはその場に倒れる。
「ゼロ!?」
アイリスは急いでエネルギーの流出箇所を止める処置を行う。それでも既に機能がいつ止まってもおかしくないほどだった。
「どうすれば・・・・・どうすればいいの!?このままじゃ・・・・・・・」
アイリスは必死に対策を考えようとする。自分の動力炉から一時的に供給するという方法があるが自分の動力炉ではゼロのエネルギーを賄いきれない。最悪な場合ここで二人とも息倒れになってしまう危険性がある。
「いや・・・・・・ゼロ・・・・・・・ゼロまでいなくなったら・・・・・!」
『絆はいつまでも繋がっている。例え、二度と会えなくなったとしてもだ。』
「兄さん・・・・・・」
カーネルの言葉を思い出してアイリスは後ろを振り向く。
砕けた結晶体にはカーネルの動力炉が綺麗に残されていた。アイリスは急いで動力炉を回収し、自分の動力炉を共有して、ゼロの動力炉にエネルギーを供給し始めた。カーネルの動力炉は不幸中の幸いにエネルギーは十分あったためアイリスに負担を掛けることなくゼロへと送られていった。その間にアイリスは次の作業に取れた左腕を付け直す。
「・・・・・ゼロ・・・・・・あなたが恐れていたのって・・・・いつ、あの状態になって私たちに手を出してしまうかもしれないと思っていたからのね。」
アイリスは、ゼロの顔を見ながら修理を続ける。
「・・・・・でも、私はいつでも傍にいるから。貴方が道を誤ろうとしたときは止めてみせる。」
アイリスは、ゼロに口づけする。
「う、うぅ・・・・・!?」
「!?」
丁度目を開いたゼロと目が合ってしまう。アイリスは思わず距離を取ろうとするが供給ケーブルで繋がっているため、逆に反動でゼロの体にぶつかってしまった。
「ぜ、ゼロ!?ご、ごめんなさい!?しゅ、修理をしていたわけで別に悪気があったわけじゃ・・・・・・」
「・・・・・・・」
ゼロは黙って唯一動く右腕で彼女を抱きしめた。
「よかった・・・・・・・・無事で・・・・・・」
「ゼロ・・・・・・」
アイリスもできるだけ痛まないようにゼロに寄り添った。もうしばらくこうしていたいのは山々だが時間がない。
取り敢えず左腕の接続を終えると二人は、支え合いながら動力室を目指して歩き始める。
「・・・・・・データチップを取り込もうとしたとき、幻かもしれないけど兄さんに会ったの。」
「カーネルに?」
「ゼロのことを支えてやれって。」
「・・・・・・そうか。・・・・・・・アイリス。」
「ん?」
「・・・・・・俺は、今までなんのために戦っているんだと考えていたんだ。エックスはみんなのために戦ってきた。俺たち仲間や友人のために。それに比べて俺はどうなんだ?俺はなんのために戦ってきた?ひょっとしたら自分自身が戦いを望んでいるからなのではないかと・・・・・・・」
「・・・・・・」
「さっきの俺を見れば信じてもらえないかもしれない・・・・・・・だが、はっきり言っておきたい。」
移動しながらゼロは、アイリスの顔を見て言う。
「俺は・・・・・・・お前を護る為に戦いたい。」
「ゼロ・・・・・・・・」
ゼロの告白にアイリスの顔は真っ赤になった。
「・・・・・・恥ずかしいことを言ったな、早く動力室へ急ごう。」
「え、えぇ。」
二人は、確実に動力室へと向かって行く。
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