ロックマンZXO~破壊神のロックマン~
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第七十六話 偽りの蒼
前書き
一応あれもロクゼロで重要な立ち位置だったのになぁ
ガーディアンベースは行方不明の初代司令官を探しながら減少傾向にあるイレギュラーの襲撃から人々を守っていた。
自室でガーディアンのメンバーからのミッションレポートを見ていたプレリーだが、扉をノックする音に振り返ると、金髪を靡かせたヴァンが入室し、穏やかな笑みを浮かべた。
「ただいま」
「お帰りなさい」
プレリーがお茶とお茶菓子を用意してヴァンの話すミッションでの内容の話を聞くのは最早彼女の日課となっていた。
そしてある国では、運び屋の仕事で一時ジルウェ・エクスプレスへと戻ったジルウェとエールが大喧嘩していた。
「ジ・ル・ウ・ェ!!いい加減に最新エンジンを積んだ新しいバイクを用意してあげましょうよ!そうすれば仕事の効率も上がるでしょ!?」
「今のバイクでも充分だろう!?うちにそんな余裕はない!」
「嘘吐きなさい!アタシがイレギュラー討伐で稼いだお金があるでしょ!?」
「うぐ…でもなぁ、まだ使えるのに新しいのは勿体無いだろ?」
「本当に貧乏性なんだから!もういいわ、ジルウェが考えを改めるまで実家(ガーディアンベース)に戻らせてもらうから!」
ガーディアンベースに行こうとするエールを引き止めるジルウェ。
この姿を見ると、彼がエールの尻に敷かれてるのは言うまでもないだろう。
そしてある国では、アッシュが野菜を購入していた。
「アッシュ、今日は何を作るんだ?」
「特製の野菜カレーよ。ヘルシーで美味しいんだから」
「僕はアッシュの作る物なら何でも好きだよ」
「嬉しいこと言ってくれるじゃない。ならいつも以上に気合いを入れないとね」
グレイは自分の作る物を美味しいと言ってくれるからこそ、作る時に気合いが入る。
自分で不味いのは食べたくないし、グレイは大事な相棒なのだから。
世界を救ったロックマン達が平穏を満喫している中、一人となってしまった三賢人の一人であるミハイルは端末を操作していた。
その表情は、機械化しているために分かり辛いが、もし生身なら酷く緊張しているものだった。
何故なら調整しているライブメタルに宿る意志は数百年前の争いの元凶の一つでもあるのだから。
蒼いライブメタル…モデルXに酷似したライブメタルは少しずつ完成へと近付いていた。
“知っているかい……?人間は今までにないほどの繁栄を取り戻した。かつて君や、オリジナルの…………でさえ築く事のできなかった真のパラダイスがこの世に誕生したんだ。フッ、この…僕のおかげでね。”
眠っているライブメタルは夢を見ていた。
遥か昔の忌まわしい記憶を。
“無実のレプリロイドまでも大量に処理して得た平和か。お前も、この世界も全て紛い物だな。”
自分が相対しているのは自分とは真逆な赤いレプリロイド。
“ふふっ…。”
赤いレプリロイドの言葉に笑みを浮かべて自分は腕をバスターに変形させてショットを肩に掠らせた。
“うっ…!”
ダメージを受け、肩を押さえる赤いレプリロイドに自分は笑みを深めた。
“君は僕の想像通り愉快な人だね。君のような人と楽しい時間を過ごせて、本当に良かったよ。”
“…弱いな”
しかし、赤いレプリロイドの言葉に自分の余裕は崩れた。
“な…何だと…!?”
自分はその言葉に怒りを感じて赤いレプリロイドを見つめる。
“オリジナルの…………も、そんなに弱かったのか?”
自分のオリジナルと比べるような発言に自分は怒りを覚えた。
“旧型レプリロイドめ…!僕を侮辱したことを後悔させてやる…!僕の真の力を…お前に見せてやろう…!”
真の力を解放する自分に対しても動じずに赤いレプリロイドはこう言い放った。
“記憶は無くしたが、体はかつての友を覚えているようだ…。…………はもっと強かった”
そして真の力を解放した自分と赤いレプリロイドはそれぞれの持てる力を持って激突した。
結果は…。
“な…何故だ…。僕は…英雄じゃ…なかったのか…?”
全ての力を出し切ったにも関わらずに自分は赤いレプリロイドに敗北した。
あまりのダメージに膝を着く自分に、赤いレプリロイドも自身との戦いで受けたダメージによってアーマーから多少の火花を出しつつも自分に言い放つ。
“今、少しだけ思い出した。あいつはお前みたいに単純な奴じゃない。いつも悩んでばかりの意気地なしだったさ。だからこそ奴は、英雄になれたんだ。”
遠くで爆発する音が聞こえるが、プライドをズタズタにされた自分にとってはどうでもよかった。
“お前だけは…許さん…道連れに……して……や……る………”
“チッ…間に合うか…!?”
完全に意識を失う直前に、青い光が赤いレプリロイドを包んだのを見て、何となくだが、逃げられたことを察した。
今でも自身に残る憎しみであった。
そしてミハイルは調整を終えたライブメタルを取り出し、アルバートのDNAを刻み込んだこれから適合者となる彼女の元へと向かうのであった。
そして一方ガーディアンベースでは、ヴァンとプレリーはガーディアンベースに怒りながら戻ってきたエールの愚痴を聞いていた。
「聞いてよプレリー!ジルウェったら貧乏性で最新型のバイクを用意するのを渋るのよ!別に全員分ってわけじゃないのに!!」
「うーん、でもジルウェさんの気持ちも分かるわ。新型が出る度に用意するのもね」
「うーっ!でも遠出する時には性能の良いバイクの方が良いじゃない!!」
プレリーがヴァンのために焼いたのであろうクッキーを貪るエールの姿にプレリーは心の中で嘆いた。
「(ヴァンに一つも食べてもらえなかった…)」
エールが来るタイミングが悪すぎたので、こればかりはどうしようもない。
「先輩…あんまりエールと喧嘩しないでくれよ。被害受けるのこっちなんだから」
「う…す、すまん」
ヴァンは呆れたようにジルウェを見つめたが、一瞬違和感を感じて窓を見つめた。
「どうした?」
「嵐が来る」
「は?こんな良い天気なのにか?」
「……戦いの嵐がだよ」
破壊神のロックマンとしての勘が働き、ヴァンは窓の外を睨み付けるのであった。
後にかつての理想郷…ネオ・アルカディアと呼ばれた遺跡に消滅したはずのモデルVの反応が察知されるのであった。
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