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曇天に哭く修羅

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第三部
  主義主張 4

 
前書き
_〆(。。) 

 
九月院瞬崩(くげついんしゅんほう)》は《立華紫闇(たちばなしあん)》に止めを刺そうと槍を構えて踏み出す。

だが紫闇は瞬崩と妹の《佐々木凜音》に和解してもらう為にも負けられない。


「このまま黙って敗北を受け入れるわけにはいかないんだよおッッ!!」


紫闇の外装から青い粒子。

珀刹怖凍(びゃくせつふとう)】の力を上げたのだ。

限界よりも高められる効果の代わりにダメージとは別の激痛を伴う。


「輝け! 紫闇!」


紫闇が放令を唱えて改造された魔晄外装を解放すると外装の色が黒から紫に変化。

基礎能力が1ランク上がる。


「……行くぜ」


紫闇が比べ物にならない速さを得て瞬崩の動きは極端に遅くなる。

実質二段階は速くなった紫闇は瞬崩から距離を取ると[音隼(おとはや)双式(ふたしき)]を使って直ぐ様反転し瞬崩に突っ込む。

そして右拳に[禍孔雀(かくじゃく)

この二つの技を足した上で、この相手へと迫る動きは【夏期龍帝祭】で《橘花 翔(たちばなしょう)》を相手に出した紫闇のオリジナル技。


【黒鋼流異形ノ一・打心終天/改】


ここに強化魔晄防壁の[盾梟]を更に強化した[盾梟(たてさら)丸魔(がんま)]を加えたことで、今の紫闇が使える攻防速ともに最強の技が出来た。


「【黒鋼流異形ノ二・古今伝授(ここんでんじゅ)】」


決まれば瞬崩は倒れる。

だが瞬崩は余裕の笑み。


(今のぼくは【反逆者の灼炎(レッドリベリオン)】の効果によって君よりも一段階速く、強い動きが出来るんだって忘れたのかなぁぁ?)


瞬崩は紫闇が消えたと勘違いするような動きで掌打を躱すと紫闇の真横に移動。

そこから槍で喉を突く。

盾梟/丸魔の防壁越しでも意識を失いそうになる強烈な威力だった。

壁まで吹き飛び叩き付けられた紫闇が落下すると珀刹怖凍が解除される。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


(く、そ……。珀刹怖凍が使えない。ダメージが使用の許容限度を越したか?)

「珀刹怖凍は君の持つ最強の切り札。これまで攻略したものは居ない。でもぼくは破った。立華紫闇、敗れたりッッ!!」


強さを求める気持ち。

勝ちたいと思うこと。

二つを残し全てを捨てる。

でなければ濁る。

闘争への姿勢と感情が。

確かに瞬崩は濁りが無い。

だがそれ故に軽い。

瞬崩の槍に想いが無いから。


(もし佐々木の攻撃に凜音や母親の為にとか、そういう感情が乗ってたら、こいつには負けても良いと思えたのかもな)


だが今の瞬崩が槍を振る行為には感情というものが乗っていないのだ。

まるでただの作業。

勝つ為には正しいのだろうが。


(勝てなくて当然なのかもしれない。想いも繋がりも捨てず、余計なことを考え濁った俺が、闘技者の鑑みたいになった佐々木に負けても何ら不思議じゃないのかもしれない。けど俺は───)


負けたくない。

それでも諦められないから。

繋がりを捨てる者と捨てない者。

捨てない方が強い。


「捨てちゃならないことを教える。その為には勝つしかないんだ」

『それで良い。よく言った』


紫闇の耳に《永遠(とわ)レイア》の声。


『少し力を解放する』


観客の声援が届く。

会場が一つになってシアンコールを叫ぶ。

力が漲ってきた。


(これが人と繋がる力。負けたら否定されてしまう。間違っていると証明される)


絶対に嫌だ。


「門を開けバケモノ。レイアさん、力を貸してくれ。佐々木に絆を取り戻す為に」
 
 

 
後書き
_〆(。。) 
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