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戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~

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大好きな君へ ~後編~ (風鳴翔誕生日回)

 
前書き
昨日書き終えられなかった後編、ついに完成!!

そういや翔くんの誕生日、「ビキニの日」と重なってたらしいです。
これはつまり……おっと、これ以上は無粋ですね。

さて、明日は七夕か……。
誰かネタちょーだい!!← 

 
「響? 何処へ連れて行こうとしてるんだ?」
「いいからいいから~」

本部に着くなり、響にアイマスクで目隠しされた翔は、彼女に手を引かれていた。

「着いたよ~。さあ、目隠しを外してみてッ!」

響は翔を食堂まで連れて来ると、アイマスクを外す。

その瞬間、食堂に待機していた全員がクラッカーの紐を引いた。

「翔くんッ!」
「翔……」
「翔ッ!」

『誕生日おめでとうッ!!』

皆に名前を呼ばれ、口々に祝いの言葉を述べられる。

「ああ、そう言えば今日、俺の誕生日だっけ?」
「色々忙しくて、忘れてたみたいだから……。いっそ、サプライズにしちゃおうって決めてたんだ~!」
「料理は純くんや緒川さん、藤尭さん達が作ってくれたんだよ」
「小日向さんだって作ってたじゃないか」
「そうだぞ。もっと胸張りやがれっての」
「未来のご飯は美味しいんだよ~。味はわたしが保証するからッ!」
「みんな……。ありがとう」

自分の為に頑張ってくれた皆に、翔は思わず頬を緩ませる。

翼はそんな弟と、そして響の背中を押した。

「さあ、パーティーの始まりだ。心ゆくまで楽しむといい」
「ほらほら、好きなの取っていいから~」
「おう、それならまずは──」

響が居るのを考慮してか、多めに用意されたおにぎり。
サイズを小さめにしつつ、味をギュッと濃縮したミニハンバーグ。
翔の得意料理にして、好物のひとつでもある鶏の唐揚げ。
おにぎりがあると知った緒川が気を回して用意した豚汁に、藤尭が朝から仕込んでいたポテトサラダなどなど……。

各々が丹精込めて作った料理が、次々と減っていく。
主役の翔は満足気に、隣に座る響と二人で舌鼓を打っていた。

そして、いよいよケーキが登場する頃になって──

「響、大丈夫だよ」
「翔ならきっと、喜んでくれるさ」
「うぅ……心配だよぉ……」

響は冷蔵庫から、ケーキの入った箱を取り出す。

この日の為に未来や純に手伝われながら、何度も練習を重ねて用意した手作りケーキだ。

前日、遂に自分一人でチャレンジした本番用ケーキ。多少、不格好になってしまったが、焦げてはいない。

教えた2人は響を励ますと、その肩を叩いて送り出した。

「ほら、翔くん待ってるよ?」
「早く行かないと、クリームが溶け始めちゃうよ?」
「大丈夫だよ、お前が頑張ったってことは、あいつにも絶対伝わる。これで文句言おうもんなら、あたしがぶっ飛ばしてやるよ」
「私の弟はそんな甲斐性なしではない。あとは立花、お前次第だ」
「未来……みんな……」

響はすう、と深呼吸すると、座って待っている翔の方を見た。

翔の様子は何処か落ち着きがなく、そわそわとしていた。
いつもの冷静な翔ではなく、子どもっぽくはしゃいでいるようなその姿に、響の胸はときめく。

(翔くん……わたしのケーキ、そんなに楽しみなんだ……)

大好きな人が、自分から贈られる物を楽しみに待っている。

その事実だけで、響の足は自然と前へと進んでいた。



「翔くん!はい、これ……」

目の前のテーブルに箱を置くと、響はそれをゆっくりと開き、中のケーキを取りだした。

中に入っていたのはチョコレートケーキ。
チョコを練りこんだスポンジに、たっぷりのチョコクリーム。その上にイチゴと、二切れのオレンジが並べられている。

形は……少々歪だったが、そこに響の努力の跡を垣間見た。

「チョコレートケーキ……響が作ったのか?」
「うん……。ちょっと失敗しちゃったけど、味の方は多分大丈夫だからッ!」
「響が……俺の為に……」
「……その、未来や純くんみたいには──ふぇっ!?」

気付けば俺は、響を抱き締めていた。

響が俺の為に作ってくれたという事実が、ただただ嬉しくて、こんなに健気な恋人が愛おしかった。

「響、ありがとう」
「いや、でも……」
「響が俺の為にって、頑張って作ってくれたんだ。これほど嬉しいことがあるか?」
「ん゛ん゛ッ!?」

響が目を白黒させているが、かまうものか。
俺の感謝の気持ちを、こうしてダイレクトに伝えてやる。

「こらこら翔、立花が困っているだろう?」
「ったく、そーいうことは家でやれッ!」

と、そこへ何やら微笑んでいる姉さんと、呆れ顔の雪音がやってきた。

そういや、あんまりイチャイチャしてると、ケーキのクリームが溶けてしまうな。
仕方ない、続きは帰ってからにしよう。

「ほら、ローソク立てるよ」
「切り分けるのはわたしがやるから、響は翔くんの隣で待っててね」
「翔くん、写真撮るからそこに立ってくれる?」
「ジュース注ぐよ~」

友里がカメラを構え、藤尭がジュースを追加していく。
響は翔の隣に座りながら、申し訳なさそうに呟いた。

「でも、ごめんね翔くん。プレゼントまでは用意できなくて……」
「何言ってるんだ、響」
「え……?」
「君と一緒に居られるなら、俺にはそれで十分だよ」

直後、響の顔が一瞬で真っ赤になった。

「も……もーっ!もーっ!どうして翔はそういうことサラッと言っちゃうかなぁ!?」
「いたた……だ、ダメなのか?」
「そんなの……ズルいよぉ……もう……」

うん。顔真っ赤にして俺をポカポカしてくる響、この上ないくらい可愛いな!!

まったく、今年の誕生日は最高だ……。

いや待て、この先も俺の誕生日を祝ってくれる人達の中には響がいるって事だよな?

……毎年この顔を拝めるなんて、あの頃は想像もしてなかったな……。

太陽みたいに眩しい、響の笑顔。
この笑顔を、俺はこれからも守っていくんだ。

響に「木陰」と呼ばれたんだ。
何があっても、守り抜いてみせる……。

なんて考えてたら、切り分けられたケーキが渡された。
それを受け取るなり、響が思い付いたように呟く。

「もー……こうなったら!はい、翔くんあ~ん」
「ん、あ~……ッ!?響、これは──」
「わたしばっかり恥ずかしい思いさせられるの、不公平だもん。だから翔くんも……少しくらい恥ずかしがってよ……」

……………………なあ。俺の恋人、可愛いが過ぎないか?

可愛すぎてこっちも恥ずかしくなってくるじゃないかッ!
それは反則だぞ響ッ!?

「ほら、あ~ん……」

切り分けたケーキを俺の口へと向ける響。
恥ずかしいが、響の恋人として応えない訳にもいくまい。

俺は顔を火照らせながら、ゆっくりと口を開ける。

「あ……あ~……ん、んむ……美味いッ!」

舌の上に、チョコレートの甘さとイチゴの甘酸っぱさが広がる。

初めてにしては上出来だ。来年には形もクリア出来るよう、今度は俺も一緒に作ってみようかな?

……などと考えている間に、口の中のケーキは直ぐに腹の中へ消えてしまった。
むぅ……これは物足りない……。

「響……その……もう一度、あーんをお願いしたいんだけど……」
「ふぇえっ!?も、もう一回!?」
「頼む。もう一度だけ……」
「も~……しょうがないなぁ。ほら、あ~ん」

お互い耳まで真っ赤になって、人目も気にせずこういう事をする。
俗に言うバカップル、のようだとは思うが……悪くは無い。

この幸せをケーキと一緒に噛み締めるのに、響から食べさせてもらうこの瞬間は、一瞬のようでいて、永遠にすら感じる。

そういえば、再来月の13日は響の誕生日か……。

今度は俺から、祝ってあげないとな。



こうして7月5日、風鳴翔の誕生日は緩やかに過ぎていった。

翔が初めて恋人と共に過ごす誕生日。
翌年は果たして、どんな誕生日になっているのか……。それはまだ、神様さえ知らない物語である。 
 

 
後書き
改めて、翔くんハッピーバースデー!!

ところで、翔くんの誕生日ってことはつまり、ヘタ翔くんも同じ日が誕生日なんだよね……。
グレちゃん、何をプレゼントしたのやら( *^艸^)

ちなみに誕生日の日付、由来は伴装者の企画が立ち上がった日だからこの日になりました。
この機会に是非とも翔くん&ヘタくんの誕生日をよろしくお願いします!! 
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