ドラえもん のび太の転生ロックマンX(若干修正版)
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二人のゴールイン
一週間後 ケイン宅
「はあぁ~」
ドラえもんはため息をつきながら作業台のわきに置いてあるタイムマシンを見る。元々修理は考えていたが予想以上にマシンの破損具合がひどく、そう簡単に直せそうになかった。
「これは・・・・・・ひと月二月で直せるレベルじゃないな・・・・・トホホホッ・・・・・」
「まあ、よいではないか。」
そんなドラえもんをケインは肩を叩きながら励ます。
「儂もできる限りのサポートはしよう。それにそれまでの間はこの屋敷に居ても構わん。」
「すみません、ケイン博士。僕と言いみんなお世話になってしまって・・・・」
「ホッホッホホホ、気にせんでもよい。元々寂しいところじゃったからのう!むしろ賑やかになってよい方だわい!」
ケインがそう言いながら笑っていると部屋に正装姿のマイマインが入ってきた。
「二人とも早く着替えてくださいよ!式が始まっちゃいますよ!!」
「ん?もうそんな時間か。」
「30分前から言っていますよ!もう、さっさと着替えてください!僕は、式場の受付なので先に行きますからね!」
そう言うと勢いよく扉を閉めて行ってしまった。
「いかんいかん・・・・早く着替えんとのう・・・・」
ケインとドラえもんは慌ただしく出されていたスーツに着替える。
シティ・アーベル 式場
『新郎 エックス 新婦 マーティ 結婚式会場』
「あっ、はい!ご来場ありがとうございます!」
会場の入り口では、マイマイン、ホーネックなどのレプリロイドたちが受付を行っていた。
「よう、ホーネック。久しぶりだな。」
来客に来たクモ型レプリロイドが受付のホーネックに声を掛ける。
「スパイダス!?貴方も来たんですか!?」
「ハッハハハハ、レプリフォースに転属したとはいえ俺も元ハンターだからな。かつての甘ちゃんハンターの晴れ舞台を見ようと思って有給取ってきたのさ。」
「そうですか、ありがとうございます。・・・・っで、そちらの方は?」
ホーネックは、スパイダスの隣に立っているエイ型レプリロイドを見る。
「コイツは、レプリシーフォース所属のジェット・スティングレン。今日の新婦とはレスキュー部隊士官学校時代に教官と生徒との関係だそうだ。」
「ジェット・スティングレンであります。本日、結婚されるマーティとはレスキューチーム時代に教えていた身です。」
スティングレンは、敬礼をして言う。
「あ・・・・こちらもどうも。」
ホーネックも頭を下げて挨拶をする。
「さて、元甘ちゃんハンターの晴れ姿でも拝ませてもらおうとするかな。」
「じゃあ、会場までご案内しま・・・・・あっ!」
案内しようとしたホーネックは会場に歩いてきたゼロを見て思わず声を挙げる。
「ゼロ隊長!」
「おう、ホーネック。時間は・・・・」
「何やってんですか!?そんな格好で!!」
「えっ?」
「今日は大事な式なんだからスーツで来てくださいって言ったじゃないですか!!なに普段の恰好で堂々と来ているんですか!?」
「あぁ・・・・・・あれか。あれはどうも着づらくてな。途中で着るの面倒になったから・・・・」
「アンタは、エックス隊長の顔に泥塗るつもりですか!?全く・・・・・・」
ホーネックはゼロの腕を引っ張って式場の裏口へと向かう。
「お、おい!ホーネック、何のつもりだ!?」
「すみません、スパイダス。この馬鹿隊長の服装整えてくるので代わりの受付に案内してもらってください。」
そう言って頭を下げて謝罪するとゼロを引っ張ってその場を後にした。
「・・・・・あれがかの有名な特A級ハンターのゼロか。」
「あぁ・・・・俺が転属する時と全く変わっていない・・・・・」
スパイダスは額から冷や汗を垂らして言う。
「アイツは、しっかりした嫁さん貰わないと大変だな。ホーネックの動力炉に穴が開いてしまう・・・・・」
「しかし、そう簡単に見つかるとも思えないが・・・・・・」
式場 控室
「中々似合ってるじゃねえか!」
「そうかい?」
新郎控室でエックスは青いヘッドパーツを除き、青いタキシード姿になっていた。
「最初は黒にしようかと思ったけどやっぱり全体的に合わせるんだったら青が一番だね。」
「うん・・・・・でも、戦いに行くわけじゃないんだからここまでやらなくてもいいと思うけど。それにしてもドラえもん、遅いな。」
「タイムマシンのことでケイン博士とにらめっこしていたからね。まあ、始まるころには来るよ。」
「だといいけど・・・・・・・」
一方、隣の新婦 控室では
「何か少し派手過ぎない?」
マーティは、マリンブルーのマーメイドドレスを見ながら顔を赤くして言う。
「そんなことはないわ。とっても似合っているわよ。」
「今のマーティ、戦っている時よりもきれいに見えるわよ。」
そんなことを言う彼女とは正反対にしずかとティルは羨ましいとばかりに誉め言葉を言う。
「うぅ・・・・・・待ちに待った瞬間だけどやっぱり緊張する・・・・・」
「肩の力を抜いて。それだと会場に入る前に倒れちゃうわ。」
「でも・・・・このドレスでいいのかしら?花嫁ならもっと・・・・・ピンクとか白とかの方がいいんじゃないかなって・・・・・」
「マーティは元々マーメイドタイプなんだからその色が一番合うわ。それにエックスの色ともマッチしててピッタリだと思うけど。」
「・・・そう?」
「そうよ!だから、のび太さんのところへ早く行きましょう。」
「う、うん・・・・・・」
「ドラ!」
2人に言われても不安を持っていたマーティの膝元にミニドラが飛びついてきた。
「ミニドラ・・・・」
「ド~ララ!」
「・・・・・・ありがとう。」
自分の顔を見て笑うミニドラに礼を言うと彼女は二人に同伴してもらって隣の控室に向かう。
「のび太さん、準備は?」
『あぁ・・・・出来ているよ。ただ、ドラえもんがまだ来ないんだ。』
「あら、ドラちゃんまで来ていなかったの?」
『まあ、心配ねえって。』
『披露宴ではどら焼き出すって言ってあるし、腹が減れば無理してでも来るよ。』
そう言うとエックスは、ジャイアン達と共に部屋から出てくる。
「ま、マーティ・・・・・」
「・・・・・どう?二人に見てもらいながら選んだんだけど?」
マーティは恥ずかしがりながらもドレスを見せる。
「・・・・・・・綺麗だ。」
「本当!?」
「あぁ・・・・・むしろ俺の方がもうちょっと考えた方がいいんじゃないかって思えるぐらいだよ。」
「・・・・・フフフッ、エックスはそれが一番よ!青くないエックスってなんか違和感あるんだもん。」
「そうかな?」
「それが一番エックスらしいわ。」
二人は手を取り合いながら式場へと向かう。
式場
「ハア・・・・ハア・・・・・・なんとかついた。」
ドラえもんとケインは息を荒くしながら会場に到着した。会場は既にエックスと交流のあるレプリロイドなど多くの来場者が控えていた。
「あっ、ケイン氏、ドラえもんさん。」
2人を見つけたビートブードは手を振りながら二人を誘導する。彼の隣では玉美と既に居眠りをしているマンドリラーがいた。
「ドラえもん、どこ行ってたの?もう、お兄ちゃんの式始まるのに。」
「いや、ごめんごめん・・・・・(タイムマシンがすぐに直らないなんて言えないからな・・・・・)」
「いやはや、未来の話を聞いていたあまり時間が過ぎて、欠席になってしまうところじゃったわい。」
「・・・・気をつけてくださいよ。それにしてもゼロ隊長は・・・・・・」
「遅くなったな。」
丁度後ろからゼロの声が聞こえた。
「あっ、ゼロ隊長。やっと・・・・・・えぇ!?」
「おぉ!?」
ビートブードとドラえもんはゼロの顔を見て思わず驚く。
「・・・・・フッ、スーツを家に置いてきたって言ったらホーネックに顔を刺されまくっちまったぜ。」
顔がどこかのギャグ漫画ように真っ赤になったゼロがカッコつけて誤魔化すように言う。後ろではまだ怒りが収まらないホーネックが腕を組んでいたが。
「もう・・・・今度隊長が結婚する時はこんなこと許されないんですからね!!」
「おいおい・・・・いくらなんでもそれはないだろ。」
ゼロはそう言いながら席に座る。
「おっ、ドラえもんやっと来たのか。」
そこへジャイアンたちが戻ってきた。
「う、うん。今ちょうどね。」
「遅刻なんてしたら大変だったよ。何しろのび太の結婚式なんだからね。」
「そろそろ入ってくるわ。」
全員席に座ると同時に司会の女性オペレーターがマイクで声を掛ける。
「来場していただいたお客様、大変お待たせしました。新郎夫婦の入場です!」
同時に式場の入り口が開き、エックスとマーティは手を繋いで入場してきた。
「よぉ~待ってました!」
「よっ!色男!」
歓声を浴びながら二人は祭壇の方へと上がる。
「まさか、あの発見がこの瞬間を繋げることになるとはのう・・・・」
ケインは二人の姿を見て過去のことを思い出す。
数年前 とある研究所跡
その日ケインは、ある100年近く前に作られたと思われる研究所の跡地を発見し、調査をしていた。その奥の隠し部屋でケインは砂埃を被った大きなカプセルを発見する。砂埃を一部取り払ってみるとカプセルには「X」の文字が書かれていた。
「これは・・・・・」
百年近く経っているにもかかわらずほぼ新品の状態で眠っていたカプセルを見てケインは驚く。同時に後ろにあった古びた機械が一部作動する。
「ん!?」
後ろの古びたモニターに一人の老人と当時のカプセルと思われる映像が映し出される。
『私の名はトーマス・ライト・・・・・・“ロックマンX”を設計し、開発した研究者である。ゲホッ、ゲホッ・・・ゲホッ、ゲホッ!』
「ライト・・・・・まさか、『ロボット工学の父』と呼ばれていたあの伝説の科学者 Dr.ライトか!?」
ケインは驚きながらも残された映像を見続ける。
『私は・・・・エックスに今までのロボットとは違う・・・特殊な能力を与えた。それは・・・・考え・・・悩み・・・行動できる能力である・・・・』
「新郎 エックス。汝はこの女を妻とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」
『これは・・・・・生命体と同じように進化できる可能性を秘めていることを意味する・・・・・残念ながら人の一生は短い。私には・・・・エックスの安全性を確かめる時間はなかった。・・・・・よって、エックスをここに封印する。』
「誓います。」
神父の前にエックスははっきりと答える。
『遠い未来・・・・・この封印が解かれることがあるならば・・・・エックスは、世界に平和をもたらしてくれることだろう・・・・・私はそうなると強く信じている。』
「新婦 マーティ。汝はこの男を夫とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」
『だが・・・・・・同時に不安もある。エックスが「進化」という名の争いに巻き込まれてしまうのではないかと・・・・・・』
「誓います。」
マーティも同じように答えた。
「では、誓いのキスをお願いします。」
二人は顔を合わせて互いの顔を近づける。
『未来の諸君よ・・・・・エックスは私の・・・・いや、世界の希望あることを・・・・忘れないでほしい!』
二人は、そっと誓いのキスをした。
同時に周囲から「おめでとう!!」の声が会場全体に響いた。
???
広大に広がる砂漠のど真ん中。
生物の姿すら見せない死の世界のおいてボロ布を纏った一つの人影が足を引きずりながら歩いていた。
「私には・・・・・・もう・・・・・・何も・・・・・ない・・・・・」
布の隙間から見えるその顔は喪失感に支配されており、体のあちこちに亀裂が走り、右腕はなかった。人影は躓くとそのまま動かず吹いてくる砂に埋もれそうになった。
「マン・・・・ダ、レーラ・・・・・・・ここまで運よく生き延びたが・・・・今度は本当にお前の所へ行くようだ・・・・・・・」
人影は、砂に埋もれながらかつての同士の名を呼ぶ。
「あぁ・・・・・・・寂しい思いをさせてすまなかったな・・・・・・・」
そんな人影の前に穴が現れる。そこから一つの人影が現れ、彼を見下ろした。
「あらあら・・・・こんなところで倒れちゃって・・・・・何もない砂漠で寂しく果てるなんてらしくもないぜ、旦那。」
「・・・・だ・・・・・誰だ・・・・・・」
彼は顔を上げて声の主を見る。
目は霞んで姿は見えなかったが少なくとも敵意らしきものはなかった。
「やれやれ、親父の奴に調べに行ってこいとか言われて収穫がないからどうしようかと思っていたけどこれはとんだ拾い物だぜ。」
こういうと声の主は、揚々と彼を担ぎ、穴の中へと戻って行った。
「待ってな、すぐに親父にそのボロボロの体を直してもらうからよ。・・・・ただ、こっちに付く条件付きだけどね。」
そして、その穴は最初っからなかったのかのように消えた。
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