ロックマンZXO~破壊神のロックマン~
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第六十七話 滝の遺跡
前書き
アーゴイルとウーゴイル戦
腹ごしらえを終え、ガーディアンベースでの騒動など知ったことではないアッシュとグレイは早速エールから受け取ったカードキーを使っていくつもの滝が流れているために“滝の遺跡”と呼ばれる遺跡へと足を運んでいた。
「流石、滝の遺跡と呼ばれるだけあってたくさんの滝があるわねー」
大小の差はあれど、いくつもの滝があるのは壮観だ。
「水場もあるからモデルLへのトランスオンを使う必要がありそうだ」
グレイが周囲を見渡しながら言うと、ミハイルからの通信が入った。
『儂じゃ、ミハイルじゃ。以前にレギオンズで調べた、お前さん達のデータの事じゃが…どうもデータベースを外部からハッキングして、データを消した者がいるようじゃ』
「どうせアルバートの仕業だろ」
二人のデータを外部から消すような真似など、アルバートかその仲間くらいのものだろう。
『恐らくな、ハッキングの元を出来る限り辿ったんじゃが、今、お前さん達がいるエリアのネットワークの反応が消えているんじゃ。その辺りで、大きなコンピュータ施設は見えんかね?』
「コンピュータ施設?ここからじゃ分からないな」
周囲を見渡しても、見えるのは滝くらいでそれらしいものは見当たらない。
『ふむ…こちらでの追跡はこれ以上は無理じゃ、後はお前さん達に頼るしかない。ハッキングに使ったコンピュータになら、まだデータが残っとるかもしれん。お前さん達のデータはアルバートを追うための、数少ない手掛かりなんじゃ。』
「アタシ達のデータが残されたコンピュータか…とにかく、怪しそうな場所を探してみるわ」
しばらく進むと社のような場所に入ると、二人の前に二体の…恐らくフォルスロイドが姿を現した。
「待たれよ!ここから先は何人たりとも通る事は許さぬ!」
「………うぬ!」
「フォルスロイドが二人…!アルバートの仲間ね!?」
アッシュとグレイはロックマン・モデルAに変身してレーザーショットとバスターショットを構えた。
「左様!我が名はアーゴイル!そして!」
「………うぬ!」
「我が半身、ウーゴイル!我らはアルバート様の命により、この地を守りし者なり!」
アーゴイルとウーゴイルと言うフォルスロイドが二人の前に立ちはだかる。
「なるほど、って事はハッキングに使ったコンピュータはこの先だな」
「笑止!貴様らに我らの守り、崩せると思うてか!」
「………うぬ!」
「さあ、参られよ!ロックマン・モデルA!冥土への旅路、我らが案内してやろう!」
「………死ねい!」
アーゴイルとウーゴイルが脚部のローラーで駆け回り、アッシュとグレイにエギーユグローブと言う球を蹴り飛ばしてくる。
「グレイ!新戦力の試運転よ!」
「うん!」
モデルZXに変身し、ZXセイバーを構えていつでもチャージバスターを放てるようにチャージしておく。
球をかわしながら、突撃してくる二体にセイバーによる回転斬りを叩き込む。
「ぬあっ!?」
「うぬっ!?」
背中に深い裂傷を受けたアーゴイルは体勢を崩し、ウーゴイルは何とか耐える。
「「当たれっ!」」
即座にセイバーをZXバスターに変形させてそれぞれにチャージバスターを直撃させる。
「(凄い…二つのライブメタルを使ったロックマンだけあって凄く戦いやすいし…何より強いわ)」
「(これだけ強い力を使いこなしていたのかエールは…手加減されてなかったら簡単に負けていたな)」
モデルZXの攻撃性能と武器の使い勝手の良さにアッシュとグレイは舌を巻いたが、とにかく目の前の敵を倒すことに集中する。
「それっ!!」
セイバーで球を弾きながらアッシュがアーゴイルに連続で斬りつけ、グレイがウーゴイルにチャージバスターでダメージを与えていく。
「己!」
「ライジングファング!!」
三連擊に耐えてアーゴイルは球を蹴ろうとするが、直後にジャンプによる斬り上げを繰り出して回避と同時にダメージを与える。
グレイはこちらに飛んできた球をジャンプでかわしながら地面にセイバーを向けて降下する。
「エナジーフィシャー!!」
地面を穿ち、衝撃によって瓦礫が吹き飛んでウーゴイルが球を受け止めるのを妨害する。
「うぬっ!?死ねいっ!」
ローラーダッシュによる体当たりを繰り出してくるウーゴイルに、グレイはセイバーで迎え撃つ。
「(こいつらは二体掛かりで戦うことを前提にしているんだ!だからコンビネーションさえ取らせなきゃ弱い!!)」
グレイの予想はアッシュもついていたのか、アーゴイルと合流させないようにしている。
「グレイ!纏めて倒すわ!」
「分かった!トランスオン!」
グレイがローズパークに変身し、両腕の蔓を伸ばしてアーゴイルとウーゴイルを拘束して一纏めにする。
「「ぬうっ!?」」
「これで、とどめぇ!!」
セイバーを構えてダッシュジャンプからの回転斬りで二体同時に両断するアッシュ。
「己っ…!我らの…連携が破られるとは…!」
「………ぬうっ…!」
「だが…所詮、出来損ないの貴様らに…この戦いは生き残れん…ぐっ…ぐぐっ…!」
「ぐあああああああっ!」
グレイは二体が爆発する前にローズパークの変身を解除し、即座に距離を取ったことで爆発に巻き込まれることはなかった。
アーゴイルのデータをコピーしたモデルAはアーゴイルの残骸を見ながら口を開いた。
「番人にフォルスロイドを置いておくなんて、余程この先は見られたくないらしいな」
「一流ハンターの勘を甘く見ないで欲しいわね。さあ、行くわよっ!グレイ!」
「ああ、コンピュータはこの先だ。行こう!」
アッシュとグレイはコンピュータ施設へと向かっていく。
しかし、アルバート側も侵入を予想していたのか、遺跡はかなり複雑であり、中々思うように先には進めなかった。
陸でも水場でもかなりイレギュラーやトラップが進路を塞いでおり、先に進むだけでも一苦労である。
広範囲のサーチが可能なモデルLへの変身が出来なければ確実に目的の施設へは到達出来なかったであろう。
イレギュラーとトラップを掻い潜り、いくつものシャッターを抜けた先にコンピュータ施設らしき場所に到着した。
「ここね…」
「ここに僕達のデータがあるのか…」
シャッターを抉じ開けて施設内に入ると、木の形状をしたメカニロイドが立ち塞がる。
「そこを…」
「どけえっ!!」
アッシュとグレイがモデルFへと変身し、ナックルバスターを構えてメカニロイドが落としてくる葉や自分達を拘束する根をかわしながらメカニロイドのコアに当たるように軌道を変化させたショットを絶え間なく浴びせると、メカニロイドはあっさりと沈黙した次の瞬間、奥から爆発音が聞こえた。
「い…今のは…爆発音!?」
「まさか…!」
「この先から聞こえたわ!行ってみよう!」
部屋の奥にあるシャッターを抉じ開けて次の部屋…メインコンピュータルームに入ると、二人の視界に壊れたコンピュータと、プロメテとパンドラがいた。
それを見たアッシュとグレイはモデルZXへと変身してアッシュがセイバーを、グレイはバスターを構えた。
「コンピュータが…!…あんた達がやったの!?」
振り返ったプロメテはアッシュとグレイのモデルZXの姿に意外そうな表情を見せた。
「ほう、どんな方法を使ったのかは知らないが、モデルZXのロックマンにも勝ったのか。余程手を抜かれていたか、それとも不意を突いたのか…まあいい、その通りだ。計画は最終段階に入った…。もうハッキングの必要はないが…お前達に自分の事を知られるわけにもいかないんでな、奴以外の五人ものロックマンに勝ったお前達に、今更リタイアは許されないのさ」
「何だと…!」
表情が険しくなる二人だが、それに意を介さずにパンドラが口を開いた。
「…あなた達を生かしておいたのは…全て…私達の計画のため…もうすぐ…全てが終わる…滅びの運命が…終わる…全てが…滅ぶ…」
「クックックッ…そうだ…アルバートが始めた…下らんゲームがついに終わるんだ…奴自身の死を以てな!」
プロメテの言葉にアッシュとグレイの目が驚愕で見開かれる。
「アルバートの…死!?何であんた達が…!?」
「お前達は…アルバートの仲間じゃないのか!?」
困惑する二人をパンドラは冷たく見据え、プロメテは嘲笑を深めた。
「全てが終わったら話してやるさ…お前達の死に際にでもな!ハーッハッハッハッハッ!」
「…また…会いましょう…」
二人は転送の光に包まれてメインコンピュータルームから去っていった。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!…あいつら…何をするつもりなの…!?」
「何だろう…凄く嫌な予感がする…」
不吉な何かが起こりそうな予感がしたグレイは不安そうにプロメテとパンドラがいた場所を見つめる。
そしてモニターで様子を見ていたミハイルが二人に通信を繋げる。
『何じゃ、何じゃ?奴らはアルバートの手先じゃなかったのか?コンピュータの方はどうなんじゃ?何も残っておらんのか?』
破壊されたコンピュータを調べると、唯一無傷のデータファイルがあった。
「…これは…?データファイル?…他には何もないみたい」
『…そんなに気を落とすな。データなどなくとも、お前さん達は紛れもなくこの世界の住人じゃ。奴らがお前さん達に見られまいとデータを消したのが一番の証拠じゃろう。残っていたデータはこちらで調べてみるとしよう、後でミッションレポートと一緒にこちらへ送ってくれ』
皮肉屋であるミハイルが珍しく二人を慰めるように言い、ミッションレポートと共にデータを送るように伝えた。
「「了解」」
奥の部屋のトランスサーバーを使ってレギオンズ本部にデータをレポートと共に提出し、一度ハンターキャンプに戻るのであった。
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