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ヘタリア大帝国

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TURN42 雨蛙その八

「どの国とも国交がないしな」
「かなり以前からある国ですが」
「兵器等はどうなっている」
「今ようやく調査をはじめたところです」
「そうか。これからか」
「敵なのか味方なのか」
 この問題もあった。
「一切不明ですから」
「私もあの国については」
 日本も首を捻っている。
「わかりません」
「祖国さんも知らないのか」
「埴輪族についてもです」
 その国の支配民族である彼等についてもだ。日本は難しい顔になってそのうえでこんなことを言うのだった。
「何者なのか」
「そうだな。何もかもが謎だな」
「謎が多過ぎて対応がわかりません」
「明石大佐に話して調べてもらうか」
「そうしてもらいますか」
「少なくとも敵か味方なのかわからないことは問題だ」
 東郷は戦略上の観点から述べた。
「ましてやアマゾンだ。あそこのことは聞いている」
「秘境です」
 秋山もアマゾンについてはこう言う。
「熱帯の密林と大河に覆われた星です」
「様々な独特の生物がいるらしいな」
「その様ですね。魔境だとか」
「巨大な魚に宝石の様な毒蛇か」
「とてつもなく巨大な蛇もいるそうです」
「小型だが群がって襲い掛かり牛を五分で骨だけにしてしまう肉食魚もいるらしいな」
「まさに魔境です」
 それがアマゾンだというのだ。
「他の星も変わった星が多いようなので」
「調べておいた方がいいな」
「では大佐にお願いしますか」
「そうするとしよう。大佐も多忙になるがな」
 しかし今はそうも言ってはいられなかった。何しろ戦争中だからだ。
 それで日本帝国は南米についての情報収集も開始した。交戦国だけがその調査対象でなくなってきていた。
 日本が独自に動いている頃ドクツにおいては。
 レーティアが外務省からの報告を聞いてだ。己の執務用机でこう言うのだった。
「予想以上だな」
「日本の動きがですか」
「そうだ。予想以上にいい」 
 これがレーティアの言葉だった。
「マレー辺りで破れると思っていたがな」
「ベトナムも解放しいよいよです」
「インドに入っているか」
「インドカレーで決戦になりそうです」
 外務省の官僚は話す。
「そこでどうなるかですが」
「期待してみるか。インドがエイリスから独立すればだ」
「大きいですね」
「エイリスが世界帝国でいられることはなくなる」 
 エイリス最大の植民地にして経済的にも最重要拠点だからだ。そのインドが全てなくなればだというのだ。
「大きい。期待するか」
「日本は勝つでしょうか」
「私の分析ではその可能性は極めて低い」
 ここでもこう言うレーティアだった。
「実際のところはな」
「やはりそうですか」
「よく魚であそこまでいけたものだ」
 これがレーティアの感想だった。日本軍に対する。
「一体何時まであれで戦うのか」
「そろそろ限界ですね」
「そう思う。インドはエイリスにとってまさに宝石箱だ」
 その宝石箱を失おうとする筈がない。それならばだった。
「インドカレーでは集められるだけの戦力を集めて決戦を挑む」
「既にそうしている様ですね」
「信頼出来る艦隊は全て集めている」
 ならばだった。
「戦力では太平洋軍を圧倒している」
「日本が勝てる要素は少ないですか」
「かなりな。装備も違うからな」
 しかもエイリスの誇る騎士提督の一人が指揮官だ。それならばだった。
 
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