戦国異伝供書
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第九十三話 安芸の掌握その四
武田家は一戦交えてすぐに逃げていった、それから武田家は安芸から落ち延びていった。それを見てだった。
元就は家臣達にこう言った。
「これでじゃ」
「はい、武田家は安芸から去りました」
「それではですな」
「これで、ですな」
「安芸は我等のものとなりましたな」
「そうなった、だからじゃ」
元就は家臣達に話した。
「これよりは安芸一国をな」
「治めてですな」
「そうしてですな」
「さらに力をつける」
「そうしますな」
「戦ばかりしていてはならん」
元就はこうも言った。
「田畑も街も整えてな」
「はい、道や堤もですな」
すぐに志道が言ってきた。
「整えますな」
「国全体をな、城もじゃ」
こちらもというのだ。
「堅固にし築くべきところにな」
「築かれますな」
「そうしてじゃ」
「安芸の守りを確かにしますな」
「そして安芸の南の島々の国人達を加えていってな」
「そうしてですか」
「あちらの水軍も加えたい」
彼等もというのだ。
「特に来島の水軍をな」
「あの者達をですか」
「やがてな、そしてな」
元就はさらに話した。
「東にも進みたい」
「備後にですか」
「うむ、あの国にもな」
「手を伸ばしていかれますか」
「そしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「さらに勢力を伸ばしてな」
「力をつけますな」
「そしてじゃ」
元就はさらに言った。
「やがてはな」
「大内家、尼子家をですな」
「降すまでにな」
「力をつけられますか」
「我等は安芸一国、四十万石の力を得たが」
それでもという口調での言葉だった。
「しかし両家には全く及ばぬ」
「どちらも百万石を優に超えまする」
桂が言ってきた。
「それだけに」
「四十万石ではな」
「到底及びませぬな」
「左様、だからな」
「これまで以上にですな」
「力をつけてじゃ」
そのうえでというのだ。
「強くなる必要がある」
「だからですな」
「それでじゃ」
だからだというのだ。
「ここはじゃ」
「さらにですな」
「力を付ける為にな」
「内の政に力を注ぎ」
「島々の国人達も加えていくぞ」
「それでは」
「しかしやはりな」
どうしてもとだ、ここで元就はこうも話した。
「大内家は尼子家を攻める様じゃ」
「そうですか」
「やはり陶殿が言われて」
「そうしてですか」
「尼子家を攻めることになりましたか」
「そのことが決まった様じゃ」
家臣達にこのことを話した。
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