ヘタリア大帝国
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TURN41 雨と盾その五
ララーは己の艦隊からミサイルを放たたせた。そのミサイル達を見てネルソンはすぐにフェムの戦艦を護ろうとする。
「まだ耐えられる艦は前に出るぞ!」
「はい!」
「そしてですね!」
「あの娘を護る。いいな」
「了解!」
誰もがネルソンの言葉に頷きだ。そうしてだった。
フェムの盾になる。殆どのミサイルは彼等の身を挺したそれによって防がれた。だが一発、一発だけがだった。
彼等を通り抜けてフェムの旗艦を撃った。そうしてだった。
その動きを完全に止めてしまった。ネルソンはそれを見て言った。
「あのままではだ」
「もうあの艦はもちません」
「艦内に留まっていては」
「そうだ。退艦しかない」
そうだとだ。ネルソンは部下達にこう応えてだ。
まだ艦内にいるフェムにだ。こう告げた。
「ペコ提督、今は」
「た、退艦ですか!?」
「そうだ、さもないと君の命が危うい」
沈みゆく船と運命を共にしてしまうというのだ。
「だからだ。今はだ」
「けれどここで船から出たら」
周りは太平洋軍が多い。それならばだというのだ。
「あの。私は」
「それでもだ。死んではならない」
ネルソンはフェムに強い声で告げた。
「君はまだ若い、それではだ」
「そうなんですか」
「そうだ。今すぐその艦艇から降りるのだ」
こう言うのだった。
「わかったな」
「はい、それじゃあ」
「君はよくやってくれた」
労いの言葉も忘れない。
「感謝する。エイリスの人間ではないのにエイリスの為に戦ってくれて」
「いえ、私は」
「君は?」
「認めてもらいましたから」
だからだというのだ。
「それで。充分です」
「そうですか」
「これで太平洋軍の捕虜になりますけれど」
「はい、それでもですね」
「有り難うございました。本当に」
微笑さえ浮かべてだ。頭を下げるフェムだった。
フェムの乗艦は炎に包まれ彼女を含めた乗組員達は全員脱出した。ネルソンはその彼女達をエイリスの敬礼で見送った。
そのうえでだ。彼は自身の部下達に対して告げた。
「では我々はだ」
「はい、ペコ提督の苦労を無駄にしない為にも」
「戦いましょう」
「エイリス軍の武人として恥じない戦いをする」
ネルソンは毅然として言う。
「絶対にだ」
「そうですね。それでは」
「我々も」
「全将兵に告ぐ」
早速だった。ロレンスは己の艦隊に命じた。
「太平洋軍と戦う」
「はい、そしてですね」
「そのうえで」
「彼等を退ける」
今まさに剣を抜かんばかりだった。その気構えで。
太平洋軍に向かう。彼は騎士として毅然と向かう。
そのネルソンの艦隊を見てだ。東郷は言うのだった。
「見事だな」
「敵ながらですね」
「ああ、この状況でも来るか」
「そしてそれこそがですね」
「今のエイリス軍の執るべき行動だ」
こう秋山に話すのである。
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