FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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全員集合!!
前書き
今更ながらEDENS ZEROをマガポケで全話読んできました。
可愛い・・・可愛いよホムラちゃん!!
これ終わったら最初は希望者の多かった番外編をできる限りやっていこうと思ってるからシリルと共演させたいな。HERO'Sやれば共演はできるからね!!やれそうならやってみよ。
オレンジ色の少年ラウルと桃色の髪の少女サクラ。2人は地上に舞い降りると、地べたに膝をついている状態のティオスを指さす。
「この偽物!!師匠の仇は私が討つであります!!」
「まだ死んでねぇんだよな・・・」
ちょっとドヤ顔でそんなことを言うサクラだったが、肝心のシリルは死んでいない。そのため、カミューニは呆れたようにそう呟いていた。
「レオン!!さっきのは痛かったよ!!もうラウ怒ったからね!!」
その少女の隣にいるラウルは怒りの表情を浮かべている。ただ、ティオスの立ち位置がまだイマイチ掴めていないのか、いつものケンカをしようとしているような、そんな雰囲気さえ感じられた。
「お前ら、2人だけか?」
カミューニは臨戦態勢の2人に頭を抱えながら問いかける。もしかしたら、これから援軍が来るのかもしれないと考えたカミューニだったが、少女は敬礼しながら嬉々として答えた。
「はい!!我々だけであります!!」
「そ・・・そうか・・・」
全く自分が危険な状況に立たされていることにサクラは気がついていない様子。それを見たカミューニは呆れを通り越して、感情を無の状態にしていた。
(できればラクサスかリュシーに来てほしかった)
自身の友人であり、聖十大魔道のジュラを倒したこともあるラクサス。もしくはすでに改心しているであろう、カミューニと肩を並べるリュシー・・・できれば片方・・・可能ならば、両者ともに助けに来てくれていればと、無い物ねだりをしたくなる。
(こいつらじゃあ、結局運命は変えられ・・・)
サクラとラウルでは、ティオスを倒すための戦力には到底足りない。彼に対抗できる魔導士がいないのだから仕方ないがと思っていたカミューニだが、彼は敵に目を向けると、あることに気が付いた。
「なんだ?」
ティオスは右肩を抑え冷や汗を流している。その部位に開いている穴は、先ほど自身の覚悟を持って与えた攻撃だった。
「やられたよ、敬意なんか示さず、素直に避けておくべきだった」
ティオスは傷口を冷やし止血をしながら立ち上がる。予想外の出来事により起きてしまったピンチに、先ほどの自身の行動を悔いることしかできない。
「状況が変わった。素直に殺されるのは、やめておこう」
「だろうな」
カミューニは一瞬で全てを把握した。勝機が消え失せたと諦めてしまった先ほどまでとは違い、微かにではあるが、可能性が見出だせたのだから。
「それはやっぱり自分が助けに来たからでありますか!?」
「ラウもいるからだよね!!」
そんな彼の言葉を聞いたサクラとラウルは目をキラキラとさせながら問いかける。カミューニからすると、2人は戦力にはなるとは思えない。しかし、あの絶望的な状況を打破したのは彼女たちで間違いない。
「そうだな。助かった」
2人の頭に手を乗せながらそう声をかける。褒められた2人は嬉しそうに・・・ドヤ顔になりながらニヤついている。
「確かにこちらの状況が悪くなったのは認めよう。だが、それはあくまでさっきよりもというだけなのを、忘れないでほしいな」
(もちろん・・・わかっているさ)
ティオスの言おうとしていることはわかっている。確かに敵はダメージを受けたが、こちらは最大戦力が戦える状況ではないし、残っているのも目の前の脅威に対抗できるとは思えない。
(それでも、まだ可能性が出てきたわけではあるが・・・)
チラッと横にいる少女たちを見る。ティオスを倒すのはこのメンツでは確実にできない。しかし、カミューニは自分のことを考えなければ、次に繋げるくらいのダメージを与えることはできる。
(だけど、こいつらも一緒に特攻させるのはなぁ・・・)
自分のことを考えないということは、命を落としても構わないという考え方。自分だけならそれでもいいのだが、こんな小さな少女たちを巻き込むわけには行かない。
(だけど、こいつらは言って聞くような奴らじゃ・・・)
どうやって彼女たちを丸め込もうか考えていたカミューニだったが、彼の視界にある人物が入る。
「へぇ、まだ動くんだ」
ティオスもその人物に気が付いていた。彼はカミューニにも警戒をしつつ、その少年へと向き直る。
「シリル!!下手に動かなくていい!!俺が足止めしておいてやるから!!」
シリルは魔力の使いすぎにより目を損傷している。いくらドラゴンの鼻がよかろうがティオスの魔力で居場所がわかろうが、まともに戦えるはずがない。カミューニはティオスが動くよりも早くそれを阻止しようと動き出そうとした。
ヒュンッ
しかし、その2人よりも早く動き出したのは、視力を失ったはずの少年だった。
「「!?」」
彼から動くことはありえないと思っていたティオスは反応が遅れた。少年はあっという間に敵の懐に入り込むと、顔面目掛けて的確に攻撃を繰り出してくる。
「ぐっ!!」
予期せぬ攻撃に反応が遅れたティオスだったが、すぐさま反撃を開始する。それなのに、少年は全部を回避こそできないものの、致命傷になりかねない攻撃はことごとく回避しているではないか。
「な・・・なんで・・・」
何が起きて少年がそれを回避できているのか全く検討がつかない。激しい攻防の中、わずかにあった視線で青年はあることに気が付いた。
(目が俺を捉えている?)
本来目が見えないのであれば、照準が自分に合っていることなどほぼ不可能。それなのに、彼の瞳は確かにティオスを捉えているのだ。
(そういえば・・・あれだけの大きな津波が・・・水がなぜ一瞬で引いたんだ?)
そこでティオスは気付いた。自分たち3人を飲み込むほどの大きさの津波・・・それだけの水がなぜあっさりと消えてなくなったのか。そして、目の前の存在の使用している魔法が、それを確定させる。
「まさか・・・あれを飲んで回復させたのか!?」
ティオスも水を魔力に変えることはできる。しかし、あの状況ではそんなことが咄嗟に思い付くはずもない。なぜなら彼はレオンがベースになっていることで、氷属性を多用しており、その属性をエネルギーに変えることが主になっていたのだから。
「ありがとう、サクラ」
咄嗟の機転でわずかながらに視力を回復させたシリル。彼は強大な敵を前にしても、先ほどまでの動揺など微塵も感じさせない。
「おかげで助かった」
動揺を隠しきれない悪と平常心を取り戻した正義。その最中、1人の男の体が微かに動いたことに、気が付くものなど誰もいなかった。
ウェンディside
「シリル・・・」
サクラが乱入してきたと思った直後、さっきまで動かなかったシリルがまた息を吹き替えしたように反撃を開始しました。
「なんだ!?さっきのあれは結局・・・」
「メェーン・・・しかし、無事で何よりだった」
ジェラールさんと一夜さんもさっきのシリルの行動がどういうことだったのかわかってはいなかったみたい。でも、シリルが元通り戦えるようになったってことでいいんだよね?
「しかし、大きな問題の香りがするね」
「大きな問題ですか?」
それなのに、一夜さんが何やら不安になるようなことを言います。心当たりのない私は、首を傾げることしかできません。
「シリルの魔力が大きく落ちている。これでは・・・」
「とてもじゃないが、ティオスを討つことはできない」
ジェラールさんと一夜さんの言っているのは、さっきの何かが起きた時に放出してしまった魔力のこと。あれはシリルの魔力では絶対になかった。つまり、それを失ってしまった状態では、回復させることもできないため、劣勢になってしまうことがありありと見えているんです。
ダッ
「どこに行くんだ?ウェンディ」
諦め気味の2人を見たあと、走り出そうとした私をジェラールさんが肩を掴みそれを止めます。私は振り返ると、強めの視線で彼を見上げます。
「シリルと一緒に戦います!!」
「ダメだ!!死にに行くようなものだぞ!!」
確かにジェラールさんの言う通りです。私が行っても足手まといになってしまうでしょうし、今のシリルの魔力を考えると、失礼ですけど、勝てるとは到底思えません。それでも・・・
「それでも!!私はシリルと一緒に戦います!!シリルを絶対助けてみせるんです!!」
私は最後に自分の中にあった迷いを振り払うように声を上げて、彼の手を払い走り出します。
待っててね、シリル。私も頑張るから!!
第三者side
「くっ・・・どうするべきだ?」
走り出していく藍髪の少女の後ろ姿を見つめている青髪の青年はまだ自分の行くべき道を見つけられずにいた。
(俺も行くべきなのか?いや・・・しかし・・・)
戦うべきなのはわかっている。しかし、相手の実力を考えると今出ていくことは、自殺行為以外の何者でもない。そう考えると、震えて足が前を向かない。
「ジェラールくん。私も行ってくるよ」
このままここで殺されるまでの猶予をもらうか、共に戦って朽ち果てるか・・・迷っている彼の後ろから声をかけた男は、小瓶を取り出すと次第に巨大化していく。
「正気か、一夜」
「メェーン・・・もちろん、私も出ていくのはちょっと怖いがね」
青い天馬最強の魔導士である彼でも恐怖を感じずにはいられない。しかし、彼はそれでも戦いに参戦することを決意した。
「それに・・・感じないかい?ジェラール」
「何をだ」
力の香りで巨大化している一夜がジェラールに目を向ける。彼は目の前の人物が何を言いたいのかわからず、目を細める。
「多くの香りがここに集まってきているのを感じる。それも至るところからね」
「それは・・・」
うなずく一夜。ジェラールはそれを見て、思わず笑みを浮かべた。
「準備はできたかな?ジェラールくん」
「あぁ。カッコ悪いところを見せてしまったな」
「それが"人"だ。何も恥じることはない。それを支えるために仲間がいるのだから」
二人はグータッチをする。彼らは魔力を高めると、それぞれの最高速度で目の前で繰り広げられている最後の戦いへと繰り出していった。
ドォンッ
飛び散る鮮血。シリルからの予想外の攻撃に対処が遅れてしまったティオスは、彼の怒涛の攻撃に反応が遅れてしまい、額から赤いものを垂れ流しにしていた。
「ったく!!」
しかし、それ以上の攻撃はさすがに許されない。ティオスはシリルを払うように弾くと、体重の軽い少年はあっさりと跳ね返された。
「くっ!!」
後方へと弾かれた形になったシリルだったが、何とか着地をし踏ん張ることができた。だが、彼は再度突っ込むと言う選択はしない。
「驚いたよ。まさかあの津波を利用してくるとは」
サクラはティオスを見つけたから、先ほどのリベンジとして先手を打ってきたのだろう。それが結果的には、同属性を持っているシリルの回復に繋げられた。
「でも残念だ。もうお前に勝つ道は残されていない」
シリルのラッシュに対応しきれなかったティオスだったが、彼には焦りなどなかった。その理由は少年の背中にある。
「くっ・・・魔力が・・・」
シリルの体以上の大きさのあった純白の翼が小さく・・・もっといえば、片翼が消えてしまっているのだ。それは少年の体内にある魔力が確実に減っていることを物語っていた。
「さっきのアクシデントで妖精の心臓の魔力は完全に漏れ出てしまったようだな。それではもう話にならない」
「マジか・・・」
思わず舌打ちをする深紅の髪の男。シリルは目が負傷した際に動揺し、無理やり止めていた妖精の心臓の魔力を体内に止めることができなくなっていた。サクラが津波で飲み込んだ時にはもうほとんど出ていってしまった上に元々は自分の魔力ではないため、回復することもできない。
「大人しく俺に吸収されとけば、こんなことにならなかったのになぁ」
魔力が先ほどよりも明らかに減少しているシリル。対するティオスは、逆に魔力を高めてみせる。
「天竜の咆哮!!」
魔力を高め攻撃に転じようとしたティオス。それに横からのブレスが入り、彼は後方へと飛んで避ける。
「流星!!」
「!!」
難なく回避したかに思われた直後、まるで読んでいたかのように懐に入り込んできたのはジェラール。彼の突進に一瞬驚いたが、右腕でブロックするとすぐさま押し返す。
「力の香りを食らうがいい!!」
だがそれでは終わらない。今度は上方から飛んでくる巨大化した一夜。さすがのティオスも完全な防御体勢に入れず、ジェラールのあとを追うように前方へ受け身を取りながら転がり避ける。
「ウェンディ!!」
「お前らも来たのかよ」
先ほどまで岩影に隠れていたウェンディたちまでもが前線へとやってくる。連続攻撃に最後は回避するしかなくなったティオスは、起き上がりながら全員を見回す。
「やれやれ・・・ヨザイネのせいでまた全員を殺さなくては行けなくなってしまったな。全く面倒なことを---」
グラッ
「??なんだ?」
一度はその手にかけた面々も再度倒さなければならなくなったティオスは、苛立っているようだったが、それも頭から離れる。なぜなら、不自然に体が揺れたから。
『全員避けろ!!』
「「「「「!!」」」」」
その直後、上空から聞こえる声に全員がそちらを見上げる。その正体は、先ほどまでこの場にいたクリスティーナの拡声器。
「ウェンディ!!」
「きゃっ!!」
何をやろうとしているのか真っ先に気付いたシリルがウェンディを抱えてその場から離れる。カミューニたちもすぐさまティオスから距離を取るように動く。
『魔導集束砲ジュピター!!発射!!』
これまでの攻撃からは想像できないほどの魔力を集めた攻撃がクリスティーナから放たれる。それは見事にティオスを捉えることに成功した。
「さっきの揺れはそういうことか」
砂煙が晴れると現れたティオスはまるで何事もなかったかのようにそれを払う。ティオスは先ほどの体の揺れはクリスティーナが来たからだと考えていた。その思い違いが、この後の戦いに大きな影響を及ぼすとも知らずに。
「撃ち落としてやるか」
クリスティーナを撃ち落とそうと手を構えたが、それよりも先に船は地上へと着陸していた。
「大丈夫か!?みんな!?」
そこから真っ先に降りてきたのは桜髪の青年。彼はすでにここで戦っている仲間たちを見回している。
「ナツさん・・・」
そんな彼の表情を見て顔が曇ったのは、一番体を張って戦っていた少年だった。彼は先ほどまでの自らの行動のことを思い出してしまったようで、申し訳なさが溢れ出ていた。
「シリル!!」
ビクッ「は!!はい!!」
「元に戻ったんだな!!よかった!!」
しかし、彼の口から出たのはそんな優しさ溢れる言葉だった。それを受けた少年は、何があっても仲間を一番に考えてくれる彼の優しさに頬を赤くしていた。
「どっちかというと、シリルが元に戻らない方が勝機はあったがな」
「なんだと?」
しかし、それに水を差すのはやはりこの男。ただ、彼の言っていることは正しかった。滅悪の力に飲み込まれ、|妖精の尻尾で覚醒したシリル。その彼ならまだ五分に戦うことはできた。しかし、それも今となっては意味がない。なぜなら彼は、先ほどのアクシデントで元に戻ってしまったのだから。
「砂の剣!!」
「!!」
ナツが突っ込もうとしているそのタイミングで、横からティオス目掛けて砂の剣が飛んでくる。それにギリギリで気付き回避し、反撃に出ようとしたが・・・
カチッ
着地した足が一瞬で凍らされる。
「インベルか」
氷属性はティオスも持っている。彼は足を凍らせている氷を魔力に変換しようとしたが、それよりも早く間合いに入ってくる黒髪の竜。
「鉄竜棍!!」
足元に意識が向いていたため、反応することができなかったティオスはそれをまともに食らってしまう。しかしガジルのそれはトドメを刺すほどの威力はない。ティオスは体勢をすぐに整えると、射程範囲内にいる敵にブレスを放った。
ダッ
ガジルがブレスで吹き飛ばされた直後に後方から接近してくる音がする。枯れは振り返りカウンターを仕掛けようとした。
「!?」
しかし、突っ込んでくる人物を見て目を見開いた。
「天神の舞!!」
「くっ!!」
幼馴染みである少女に牙を向けることを躊躇ってしまった彼は黒い風に飲み込まれる。ただ、その風はすぐに青年の口へと吸い込まれていった。
「なるほど・・・もう魔力が馴染んできたのか」
ティオスは魔法を使っているシェリアを見たその時、思わず笑みを浮かべてしまった。それは彼がもう二度と見ることができないと思っていた姿だからだろう。
「レオン・・・あたし、レオンのおかげでまた魔法が使えるようになったんだよ」
そう言った彼女の目から、一滴の雫が落ちる。彼女はそれを拭うと、目の前の変わり果てた幼馴染みを見据える。
「だから今度は、あたしがレオンを助けてあげる」
そう言った彼女の後ろには、多くの魔導士たちが集結していた。それにフィオーレもアルバレスももはや関係ない。全員がティオスという絶対の悪を見据えている。
「くく・・・これはこれは・・・」
本来であれば絶望的であるはずの状況。戦う意欲すら失われるはずの人数差を見ても、彼は余裕を崩さなかった。
「全員を探す手間が省けたぜ」
それどころか、自分の悲願を叶える舞台が整ったと、彼は笑みを浮かべていた。
後書き
いかがだったでしょうか。
ついに最終局面のちょっと手前まで来ました。←まだ手前なのかよ(ノ゚Д゚)ノ
結末も自分の中では確定したのであとは突っ走るだけです!!
ただ、来週は忙しいのでもしかしたら更新できないかも?
ちょっと間空いたらごめんなさいm(_ _)m
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