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魔女の猫

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第一章

                魔女の猫
茶色の髪の毛を肩で切り揃えた大人しい顔立ちである、背は一五〇位である。山川小百合は大人しい性格で引っ込み思案である。その為クラスでは女子の間でいじめの対象となっていた。
 正直辛かった、それでいつも一人でいて沈んだ考えだった。その中で彼女はこの日も沈んだ顔で下校していたが。
 ここでだ、小百合は道の片隅にだった。
 一匹の大きな目の黒い首に赤いスカーフを巻いた子猫を見た、その子を見て自然にだった。
 手を差し出した、そうして頭を撫でると猫は一声鳴いた。
「ミャア」
「あっ、この子」
 自分に懐いていると小百合が言った時にだった。
 ふとそこに女が現れた、その女はというと。
 黒い丈の長いローブにローブと同じ色の三角帽という童話に出て来る魔女の顔そのままだった、だがその中身は。
 小百合と同じ位の年齢だった、はっきりした二重の瞳に薄めの眉で白い肌で赤のはっきりした唇である。赤茶色にした髪の毛を短めに切ってあちこちはねている。
 その彼女がだ、小百合を見て言った。
「あれっ、あんた確か」
「貴女は」
 小百合も気付いた、それで魔女に言った。
「三組の山田るかさんよね」
「二組の山川小百合さんよね」
「ええ、どうして魔女の恰好してるの?」
「どうしてって家業だから」
 それでとだ、るかは小百合に答えた。
「うちのね」
「魔女が?」
「実は何代か前のご先祖様が明治維新の頃日本に来て占いとかアクセサリーの販売にね」
「魔女のこともなの」
「それを教えて。何か魔女はあっちじゃ肩身が狭いらしくて」
「肩見狭いどころじゃなかったわよね」
 小百合は魔女と聞いてるかに返した。
「それって」
「魔女狩りね」
「今でもたまにあるって聞いたけれど」
「お国によってね、けれど日本ではそういうことないって聞いて」 
 それでというのだ。
「来日して」
「それで日本に住んで」
「日本の人と結婚して」
 そしてというのだ。
「私の代も魔女やってるの」
「そうなの」
「だから学校から帰ったらいつも魔女の勉強してるわ」
「そうなのね」
「最近は受験勉強の方に忙しいけれど」
 二人共中学三年生だ、それで受験勉強に勤しんでいるのだ。尚小百合は成績は優秀で県で三番目の公立の進学校への入試を勧められている。 
「ずっとね」
「そっちのお勉強もしてるの」
「そうなのと、実は使い魔探していたけれど」
「まさか」
「この娘がよ」
 まさにとだ、るかは小百合が頭を撫でたその黒猫を見つつ彼女に話した。
「私の使い魔よ、女の子で名前はミミって言うの」
「ミミちゃんなの」
「そうなの、いい名前でしょ」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「この娘私以外には懐かないのよ」
 こう小百合に話した。
「私の使い魔だし」
「そうなの」
「頭を撫でようとしたら引っ掻こうとするし」
「そんな風には見えないけれど」
「ニャア」 
 猫、ミミは一声鳴いて応えた。ここでるかはまた言った。
「それがなのよ」
「貴女以外には懐かないの」
「ええ、ただあんたね」
 るかは今度は小百合に顔を向けて尋ねた。 
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