レーヴァティン

「お前と同じだけれどな」
「遊郭か」
「そっちの浮島でもあるだろ」
「だが問題ない」
　やはり平然として答えた。
「別にな」
「遊ぶだけだからか」
「そうだ、それで楽しんでいる」　
　女性をというのだ。
「しっかりとな」
「病気には気をつけろよ」
　あちらの世界にも性病は存在している、それで久志は英雄に対してこのことについてもと忠告した。
「くれぐれもな」
「わかっている、術や薬で消せるがな」
「感染者出すからな」
「俺がその病気を持っているとな」
「どうせ遊郭とかでかなり遊んでるだろ」
「妻は迎えていてもな」
「そこは本当に注意しろよ、お前だけのことじゃないからな」
　性病のことはというのだ。
「くれぐれもな」
「わかっている、だが」
「それでもかよ」
「女は止めない」
　無表情の顔での言葉だった。
「絶対にな」
「何があってもだよな」
「それだけいいものだからな、それにだ」
「子供も出来るからか」
「尚更いいな」
「まあな、しかしな」
　それでもとだ、久志は英雄に苦い顔で述べた。
「お前その表情でだよな」
「女と遊ぶ時も変わらない」
「その鉄仮面でかよ」
「俺は昔から表情はない」
「口調もだな」
「こんな風だ」
　感情に乏しいと思われるものだというのだ。
「昔からな」
「それでも女遊びはしてか」
「好きだ」
　そうだというのだ。
「実にな」
「そうなんだな」
「だからだ」
　それ故にというのだ。
「その話もしよう」
「じゃあな、しかしそっちも大変だったんだな」
「話せば長くなる」
　英雄は紅茶を飲みつつ答えた、ミルクティーである。
「それでも聞くな」
「ああ、話してくれるか」
「俺と仲間達は浮島の西を統一した」
　それは果たしたというのだ。
「しかしだ」
「それでもだったんだな」
「雑多な勢力を急激に一つにした」
「それだったらな」
「色々と齟齬が出るな」
「俺のところもそうだしな」
　久志は自分達のことも思い出して述べた。
「どうしてもな」
「そうだな、その話からだ」
「するか」
「嫌なら話さないが」
「いや、話してくれよ」
　久志はすぐに言葉を返した。
「そこは」
「わかった、ならな」
「ああ、宜しく頼むな」
「これから話す」　
　英雄はオールドファッションを手にした、そしてだった。