DQ3 そして現実へ… (リュカ伝その2)
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父の存在
<ムオル>
「………最後に私…名前はアルルよ。残念ながら貴女の夫ではありません!」
アルル達が一通り自己紹介を終え一息つく。
「そうですか………本当にごめんなさい…よく見ればポカパマズさんとは違いますね。…でも、何て言うか…雰囲気が似てるというか…貴女はポカパマズさんの知り合いでしょうか?」
タリーナが懇願する様な目でアルルを見つめる。
どうやら彼女はポカパマズの行方を探っている様だ。
「…知り合いかと問われても…ポカパマズが誰だか判らないので…何とも言えませんが…詳しく教えて頂けますか?」
「そ、そうですね…か「ちょっとその前に!」
アルルの問い掛けに、答えようとしたタリーナ言葉を遮るリュカ。
「あの…何か?」
「うん。どうやら、さっきの村人Aが村中に言い触らした様だ!ポポタ君に『人違いでした』って、皆さんに伝えてきてもらってもよろしいかな?」
お願いしながら窓の外を指差しリュカ…其処には、噂を聞きつけて集まってきた村人が。
「分かりました………ポポタ、皆さんに間違いだったと伝えてきてちょうだい」
「は~い、ママ!」
素直に返事をし外へと出ようとするポポタ…
「あ、ポポタ君。みんなに説明が終わったら、これで何か食べてきなさい」
リュカは懐から10ゴールドを手渡し、ポポタを外へ送り出す。
「よ、よろしいんですか!?」
「…彼には聞かせたく無い話になりそうだから…気付いているのでしょ、お嬢さん!」
ポポタが出て行き数分後…
窓の外から村人達が引き上げるのを確認し、タリーナがポカパマズの事を話し出す。
「……ポカパマズさんは、ポポタが産まれる前に村の外で私が見つけました。モンスターにやられ、傷だらけで倒れていた所を私が助けたのです…」
「確か『ポカパマズ』って『キチガイのカタワ』って意味だよな?何でそんな名前で呼んでるんだ?」
話の腰を折りカンダタが質問をする。
「…当時…ここら一体は、モンスターの影響以外で不幸に見舞われてました…」
「モンスターの影響以外?…それは異常気象とかで?」
リュカの質問に頷いて答えるタリーナ…
当時、ムオル一帯は異常気象や疫病で壊滅的ダメージを受けていたのだ…
「そんな時に村の外で見つかった彼の事を『ポカパマズ』………『キチガイのカタワ』と悪意を込めて呼んだ人が居たのです…しかし、回復したポカパマズさんは村の為に、壊れた家の修理を手伝ったり、枯れた井戸を更に掘り、水の確保を手伝ってくれたり…助けてくれた恩だと言って、村の為に尽力してくれたんです!」
「それで貴女は彼に惚れちゃったんですね?」
リュカの問いに顔を赤らめ頷くタリーナ。
「でも彼は出て行きました…重大な使命があると言って………村を出て行く前の晩に、私は彼と結ばれたんです…その時ポポタを授かりました」
瞳に涙を浮かべ、懐かしむ様に語るタリーナ。
「…なるほど…では彼について、もう少し詳しく教えてくれませんか?」
何かを察したアルルがタリーナに詳細を問いつめる。
「わ、私の分かっている事は…彼の本当の名はオルテガ…アリアハン出身という事だけです…」
彼女は知らない…
その二つの事実が、どれほど重要なのかを…
アルル達は薄々感づいていた。
しかし確証が無い限り、口に出す事を避けていたのだ。
それをアルルが聞き出した!
そしてやり場のない怒りが込み上げてくる。
「あ、あのクソ親父!!世界を救う旅に出るとか言って、女遊びをしているだけじゃないの!!」
自分の父親が、余所で弟を造っていた事に激怒するアルル!
「落ち着いてよアルル…」
「うるさい!どうせ男にとって、女なんて性欲処理の道具なんでしょ!アンタみたいに其処ら中で子供造ってる男に、落ち着けなんて言われたくない!アンタこそ1カ所に落ち着きなさいよ!」
怒りで混乱しているアルルは、怒鳴るだけ怒鳴ると、泣きながら外へ出て行ってしまった!
「リュカさん…良い判断ですね。ポポタ君を出て行かせた事…」
「…ありがとウルフ…経験者だからね…ティミーもキレてたからね…」
どうやらマリーの他に、腹違いの妹が2人出来たという報に、ティミーは激怒した事があるらしい…
「ちょっと父さん!落ち着いてていいんですか!?アルルが村の外まで出て行っちゃいましたよ!追いかけなきゃ!」
落ち着いて会話を続けるリュカを見て、不安気に騒ぐティミー…
「追いかけても良いが、さっきの見たろ!僕が行っても逆効果だよ………同じ気持ちを分かっている、お前が行ってこいよ!優しく宥めろよ。帰ってきて、いきなり斬りかかられたくないから」
「僕が行って効果ありますか?…殴られるだけでは?」
アルルの怒りっぷりに怯むティミー。
「じゃぁ殴られてこいよ!お前がサンドバックになって、怒りを吐き出させろよ!…アルルにだったら殴られても構わないだろ、お前!?」
「……ふう…相変わらず勝手だなぁ……」
そしてティミーはアルルの後を追う…
少し腑に落ちない点もあるが、アルルの為に後を追う。
「…行ったか。………惚れてる女の事なのだから、僕に言われなくても後を追ってほしいものだね!」
息子が出て行くのを確認したリュカは、独り言の様に呟いた。
「お父様…お兄様にそう言う期待をされるのは酷ですわ。そんな事が出来ているのなら、今頃お父様には孫が複数存在しているはずですわ!」
彼女特有のあどけない口調ではあるが、内容は辛辣な物である。
そして皆がそれを分かっているから、苦笑混じりにティミーが出て行った扉を見つめてしまうのだ…
「ところでリュカさんは、何時頃からティミーさんがアルルに惚れているって、気付いたんです?」
「…そう言うハツキは何時から?」
「私は…船を手に入れてからですね。仲良さそうに会話している二人を見て…」
「僕は…ダーマでかな」
リュカの答えに皆が驚く。
「幾ら何でもそれは嘘よ!ティミーとアルルちゃんが出会った場所じゃない!」
「うん。カンダタやハツキ・ウルフが転職をしている時、あの二人が仲良さげに会話してたんだ…ティミーって女の子と会話する時、僕の血が混じっている事を恐れて、1歩引いて対峙してたんだ。例外は母親と妹、あとリュリュ…まぁ彼女も妹なんだけど、それくらいかな。でも出会って1日のアルルとは、自然な形で会話してたんだ!………あの時思ったんだ…絶対この二人をくっつけようって!」
《こえー!この人に掴まったら、諦めるしか無さそうだ…俺がこうなるのも、予測してたのかな?聞きたいけど怖くて聞けない!……救いはマリーちゃんが可愛いって事だけじゃん!…あ~リュカさんがお義父さんかぁ~…胃薬用意しておこうかな…》
ウルフが素敵な未来に思いを馳せている時、ティミーは素敵な恋人同士なれるよう奮闘している。
そして、その間にタリーナに現状を報告するリュカ達…
彼女も、アルルがポカパマズの娘である事に感づいていた様で、事態の収拾に協力してくれた。
あとはアルルを落ち着かせ、ティミーと一緒に戻ってくるだけだ。
『お兄様にそう言う期待をされるのは酷ですわ』…マリーの言葉が思い出される…
後書き
出ましたオルテガさん!
何処かの誰かと似ているね!
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