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ドラえもん のび太の転生ロックマンX(若干修正版)

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シャイニング・タイガード

巨大ダムにおける戦いを終えたエックスたちはダメージを受けた体を直すためにハンターベースに戻ってきていた。




ハンターベース メンテナンスルーム

「おうおう・・・・・・これはひどいもんだわい。」

ケインはゼロの体を見ながら唖然としていた。

「直せるのか?」

「幸い内部フレームは傷んでおらん。外部フレームを取り換えれば大丈夫じゃろうがこれほど融解しているならオーバーホールした方がよいのう。」

「おいおい、いくらなんでもきつい冗談だぜ・・・・・・」

「冗談ではないわい!」

ゼロを無理やり寝かせ、ケインはゼロを強制的にスリープモードへと切り替えさせる。

「こんなボロボロになりおって・・・・・・・・」

「すみません博士。」

ゼロの代わりにエックスが謝罪する。

「別にお前が謝る必要はないぞエックス。悪いのは無茶をしたゼロなんじゃからな。」

「ですけど・・・・・」

「幸いお前たち二人が軽傷だったのはよかったわい。もしお前たちまでボロボロだったら三日三晩徹夜せねばならんかったかもしれんからのう。」

「は、はあ・・・・・・・」

ゼロの修理に入るケインの背中を見送りながらエックスはメンテナンスルームを後にしていく。

「明日までに直ればいいけど・・・・・・・」




























翌日 

「えっ?しばらく安静?」

メンテナンスルームに来たエックスは逃げられないように鎖で縛られているゼロを見て言う。

「あぁ・・・・・爺の奴がオーバーホール中に俺のボディのあちこちが酸で腐食していたのを見つけたらしくてな。徹底的に修理するからってここまで拘束されちまったぜ。」

ゼロは困った顔で答える。

「頼むエックス。こいつを解いてくれ。これじゃあ、まるで囚人みたいだ。」

「そんなこと言わずにオーバーホールを受ければいいじゃないか。それが元でまた上半身と下半身が泣き別れっていう風にはなりたくないだろ?」

「それはそうだが・・・・・・」

「今日はゆっくり休んでいてくれ。」

「・・・・・・・無理はするなよ。」

ゼロに言い終えるとエックスは自室に戻り、ジャイアン達と今日の予定を話し合う。

「エックス、今日はどうするの?」

「今日は、ジャングルエリアに向かう予定だ。それとビートブードとマンドリラーにはエネルゲン水晶鉱山に向かってもらう。」

「ジャングルか!なんか久しぶりに冒険するって感じがするな!」

「ジャイアンったら・・・・・・アフリカの大魔境に冒険しに行くわけじゃないんだから・・・・・・」

「ねえ、のび太さん。やっぱり、猛獣とかも出てくるのかしら?」

しずかは他の2人と比べて心配そうな顔をして言う。

「そりゃ・・・・・・一応野生動物保護管理区に入っているからね。ワニとか蛇も出てくるよ。後ゴリラも。」

「何だか心配ね・・・・・。」

「大丈夫よ、三人はアタシが見ているから。危なくなったら追い返すことぐらいはできるわよ。」

「気がお強い人魚さんだこと。」

「じゃあ、現場に着いたら船に乗って移動するから。」

「「「は~い!」」」

「玉美も行っていい?」

「う~ん~・・・・このお姉ちゃんの傍から離れないって言うんなら連れて行ってあげる。」

自分も行きたそうな顔をしている玉美にエックスはマーティに抱っこさせて言う。

「俺は、ビートブードたちに伝えに言って来るからみんなを頼む。」

「もう、エックスったら。しょうがないわね・・・・・・・じゃあ、お姉ちゃんと一緒に準備しましょうね~。」

マーティは、エックスに対して不満そうに答えながらも満更でもない態度で玉美を連れて行く。

エックスもそれを見届けると急いでビートブードたちに今日の作戦を伝えに行った。


































ジャングルエリア 川

「「「「こんなことい~いな!できたらい~いな!あんな夢 こんな夢 いっぱいある~けど~。」」」」

エックスたちはジャングルエリアの入り口から船に乗り、イレギュラー シャイニング・タイガードが潜伏していると思われる最深部を目指していた。

このエリアは今の時代にしては自然がほとんど手が付けられておらず野生動物が多く生息しているため、保護区へと登録されていた。その保護区を警備するために作られたのがシャイニング・タイガードなのだがドップラーの手によってイレギュラー化した彼はこの保護区を自然要塞にするべく改造を施そうと環境破壊をしていた。

エックスたちは陸路で自然を無暗に傷つけないように水路で最深部へと向かう事にした。その水上の船の上でエックスたちはほんのひと時歌を歌いながらジャングルを見渡していた。

「畜生~!のび太の奴、俺に船の舵の管理をしてくれって言いやがって・・・・・・・」

ジャイアンは一人不満そうに操縦室で弁当を食べていたが。その隣ではスネ夫が呆れながらも少しホッとしていた。

(ジャイアンが歌ったりなんかしたらイレギュラーどころか野生動物まで絶滅しかねないからな・・・・・のび太の判断はある意味正しい。)

一同はそんなことをしながら船を進める。

エックスは川を見ながらそろそろジャングルへ本格的に入って行くのを確認する。

「みんな、そろそろジャングルに本格的に入る。ここの野生動物たちは外部から来たものに敏感だから、動物を見てもできるだけ大きな声は出さないようにしてくれ。ワニが集団で襲ってきたときは俺とマーティで撃退するから。」

「怖いなぁ・・・・・」

玉美は船の上から川の水面を見る。少し濁って底が見えないが明らかに何かいそうで気味が悪い。

「ジャイアン、自動操縦だから心配はないと思うけど万が一ってことがあるから目を離さないでくれよ。」

「わかってるって!この俺が二度も三度も同じヘマをするかってんだ!」

ジャイアンは前を見ながら言う。

しばらく進んで行くと野生のワニの集団が船を囲み始めた。

「予想外に集まってきたな・・・・・・」

エックスはあらかじめ用意しておいた囮の餌である肉塊をワニの集団から少し離れたところへと放り投げる。するとワニたちは一斉に肉に向かって行った。

「みんな一斉に行ったわ。」

「うん。今のうちにできるだけ奥に進もう。」

しかし、安心したのも束の間。ワニたちはまた船の方へと戻ってくる。

「もう、戻ってきたわ!?」

「くっ。」

エックスは今度はもう少し遠めに肉を投げる。ワニたちは餌を求めるべくまた一斉に肉の方へと向かって行ったが五分もしないうちにまた船を包囲していた。

「一体どうなっているんだ!?いくら何でもこんなにすぐ戻ってくるなんておかしいだろ!?」

エックスはそれから何度も肉を放り投げる。そのたびワニの群れは船から離れては戻ってきて、離れてはまた戻ってきた。

「まずいな・・・・・・・肉のストックがなくなってきた。このままだと帰りに逸らすための分がなくなっちゃうぞ・・・・・・」

「お兄ちゃん。」

「あっ、ごめんね。今取り込み中だから・・・・・・」

「さっきから川の色がおかしくなってきているよ?」

「えっ?」

玉美に言われてエックスは川の水を見てみる。確かに出発してきたときとは違い川の水の色はおかしいと言えるほど赤黒く濁っていた。それどころかジャングルの方を見てみると葉が枯れかけているように見えた。

「これは一体・・・・・・」

「見て!ワニたちが戻って行くわ!」

しずかに言われてエックスは船の後部をみる。先ほどまでしつこく付いてきたワニの集団が嘘のように船から離れて行っていた。

「・・・・・もしかすると・・・・・」

エックスは川の水を手ですくってみる。手はベットリとした何かが付着し、明らかに川が汚れていることがわかる。

「これは・・・・・・重油?ジャングルの奥でこんなものが!?」

「あのワニたち、ひょっとすると住処を追い出されたんじゃないの?」

マーティが言うのも尤もだった。既にエックスたちが船を進めているエリアは死んだ魚が大量に浮いて腐敗臭が立ち込めていた。河原の陸地を見ても水を飲んで死んだと思われる野生動物の死体がいくつか見える。

「どうしてこんなひどいことに・・・・・・・」

「タイガードの仕業だ。ジャングル全体を要塞化するために至る所を機械化の影響で汚染水が流れて川を汚し、その近くの環境を悪化させ、動物が住めないようなところへと変えてしまったんだ。」

「あのワニたちは、ここに住めなくなってさっきの場所まで逃げてきたのね。それでも環境が徐々に汚染されて食糧であった魚もどんどん減って・・・・・・・」

「ワニさん可哀そう・・・・・・・」

エックスは最深部から少し離れた川岸に船を止め。そこからジャングルへと入って行った。

本来なら聞こえるはずの野生動物たちの鳴き声も全く聞こえない。

「すごく静かだね。」

「逆に薄気味悪いぜ・・・・・」

「このジャングルの動物たちも環境の汚染で住めなくなったんだ・・・・・」

エックスは近くの木の枝を取ってみると枝はボロっと崩れる。見た目は普通のジャングルにも見えなくはないが既にこの辺一帯は死の世界へと変わり果てているのだ。

「タイガード・・・・・今まで守ってきた自然をこうも簡単に破壊してしまうなんて・・・・・・許せない。」

一同が歩き続けると奥から奇妙な声が聞こえ始める。

『・・・・・クス、・・・・・エックス。』

「なっ、なんだっ!?」

「ま、まさか、動物の怨霊とか!?」

ジャイアンとスネ夫は思わず顔を青くする。しかし、エックスは動じることなく枯れた茂みの中へと入りこむ。

「あっ、のび太!?」

全員心配してついて行くがそこにはカプセルがあった。

「あっ!パワーアップパーツのカプセル!」

カプセルが開くとライトが姿を現す。

「ライト博士!」

『エックス、ここではパワーアップしたアームパーツを授けよう。前回のダブルチャージショットを広範囲で展開に撃てるよう両腕をクロスすることによって「クロスチャージショット」を撃つことができるようになる。じゃが、広範囲に撃てるようになった分、反動が大きくなり、撃つ速さが遅れてしまうという欠点がある。使い方には気をつけるんじゃぞ。』

「はい。」

『それとラッシュ。お前のデータを追加ロードする。カプセルに入りなさい。』

『ワン。』

ライトに言われるとラッシュは素直にカプセルに入る。そしてエックス同様に何か起きたかと思って見てみたが特に何も変化はなかった。それとは反対にエックスの両腕には新たなアームパーツが付けられている。

「これが新しいアームパーツか。」

『ちなみに今回は各パーツ用に特殊な強化チップを用意しておいた。』

「強化チップ?」

カプセルから現れた端末をエックスは受け取る。

『それはフットパーツ専用でのチップでヴァリアブルダッシュの他にエアダッシュも二回までできるようになる。』

「二回も!?」

「うわぁ・・・・・夢のような強化チップだな・・・・・」

『ただ・・・・・一枚一枚のチップの容量が多いせいで一枚しかセットすることができん。』

「なぁんだよ。一枚だけかよ。」

ライトの言葉にジャイアンは残念そうに言う。

『チップは後3枚ある。今、全ての能力が使える特殊チップを製作しておるが・・・・・・・・とにかく使うときは慎重に選ぶんじゃ。』

「は、はい・・・・・」

カプセルが閉じるとエックスは、強化チップをしまって再びマーティたちと一緒にジャングルの奥へと進んで行く。



























ジャングルエリア 最深部

「グルルルゥ・・・・・・・」

エックスたちが最深部へと乗り込むとそこには、猛獣の如くビームクローを展開したタイガードが待ち構えていた。

「グルルルゥルル・・・・・・・イレギュラーハンター・・・・・・・俺の縄張りにまで潜り込んできやがったか・・・・・」

「タイガード、何故だ!?どうして今まで守ってきた自然を破壊してまでドップラーに従う!?」

エックスはバスターを構えてタイガードに言う。

「グルルゥ・・・・・・知れたこと。俺は野獣、戦う戦士。警備員という役柄で持て余されていたところをドップラー博士が目に付けてくれた。今の俺は、闘争本能を剥き出しに心地いい気分になっている。」

「そんな!今まで守ってきた動物たちの住処を壊してまでやることなんですか!」

タイガードの言葉にしずかは思わず叫ぶ。

「そうだぞ!川を汚して魚をあんなに死なせやがって!」

「ジャングルまで枯らしちゃってそこまで戦いたいのか!」

「黙れ!!」

タイガードは目をギョロッとさせ、ジャイアンたちは思わずゾッとした。

「お前たち人間が言えることか?俺は警備員として務めを果たしてきた。絶滅の危機に瀕している動物を守ろうとする傍ら、生態系を崩さないよう害虫、害獣の駆除をし、密猟者を捕らえ、怪我をした動物の治療を行う。それが俺の仕事だった・・・・・・・だが、お前たち人間は何も変わろうとしない!」

タイガードの目には何やら複雑な思いを感じさせられる。

「いくら捕らえようと密猟者は現れる。しかし、奴らとて人間。手を出すことはできん。目先のことしか考えない人間に対して俺がそんな苛立ちを感じ続けている最中ドップラー博士が俺に新たな力を授けてくれた。もう、人間だろうがレプリロイドだろうが容赦しねえ。どんな犠牲を払ってでも醜い人間共に復讐してやる!!」

エックスは、タイガードの発言から見て彼が人間を憎く思ってしまっても仕方ないと感じた。しかし、ドップラーに施された処置の影響なのか復讐しか考えず自分が今まで守ってきたものまで犠牲にしてしまう彼を見過ごすことはできない。

「シャイニング・タイガード・・・・・・イレギュラー認定する。」

「いくらでもほざけ!!俺を狩れるもんならな!!」

タイガードはビームクローを展開するとかつてシグマパレスで交戦した時のシグマのように高速でエックスに迫ってきた。

「速い!?」

エックスはヴァリアブルダッシュで上へ回避するがタイガードは、すかさず尻尾の先から光の玉を発射する。

「レイスプラッシャー !!」

「くっ!?」

エックスは、腕を交差して凌ぐ。

「アイツ思っていたよりも速いわ!」

「まあ、虎とかの肉食動物は俊敏さが取り柄だからね。」

マーティは槍を展開してタイガードに突く。

「甘い!!」

「うぅう!?」

タイガードは斜め真上にジャンプし、背後から彼女を斬り裂いた。傷からは高エネルギーの液体が漏れ出して血のように見える。

「大丈夫かマーティ?」

「何とかね・・・・・アイツ、復讐すると言っただけ伊達じゃないわね・・・・・」

「どうした?貴様らの実力はその程度か?」

タイガードは二人に向かってビームクローを振り下ろす。ダメージを負ったマーティに代わりエックスが槍で塞ぐが出力負けで槍が折れて爪がエックスの胸部を抉る。

「グ、グアッ!?・・・・ア・・・・・・・・」

「エックス!?」

「「のび太!?」」

「のび太さん!?」

「お兄ちゃん!!」

力を失くしたかのように跪くエックスに全員が動揺する。

「ハッハハハハ!!かの有名なイレギュラーハンターもこの様か!!」

タイガードはエックスを掴むと上に放り投げる。

「とどめを刺してやるぜ!!」

タイガードは、ビームクローを最大出力にして落下してくるエックスに狙いを定める。

「させるもんですか!!」

マーティは傷の痛みを圧してパイルバンカーを展開してタイガードの胸部装甲に突き刺す。

「ぬっ!?小癪な!」

タイガードは、エックスからマーティへ照準を変えて攻撃を行う。ジャイアンたちは倒れたエックスを急いで担いで離れると地面に寝かせる。

「しずかちゃん、お医者さん鞄!!」

「今ののび太さんは人間じゃないのよ。」

「じゃあ、復元光線!」

「破片が揃ってないわ!」

「「じゃ、じゃあ、タイム風呂敷!」」

「あったわ!」

しずかは急いでエックスの傷に風呂敷を当てる。すると一瞬で傷ができる前の元の状態へと戻る。

「ありがとう、しずかちゃん。」

エックスは、しずかに礼を言うとバスターを展開してタイガードの元へと戻っていく。

戦いはマーティが押され気味だった。

「女にしてはよくやるものだな・・・・・だが、これは防ぎきれまい!」

タイガードは一旦距離を取ると構える。

「こ・・・・・今度は何・・・・・・・」

マーティはヨロヨロとしながらも身構える。するとタイガードの体が光り始めた。

「えっ?」

「ウォオオォォォォンン!!!」

タイガードは今までにない速さでマーティの目の前にまで迫り、ビームクローで彼女の体を斬りつけると同時に上空へと殴り上げた。

「ガハッ!?」

予想以上のダメージを受けたマーティは身動きひとつとることができずタイガードの前に落下していく。

「まずは一人!!」

タイガードは元の状態に戻るとビームクローを彼女の喉元目掛けて斬りかかろうとする。

『ワン!!』

しかし、直前にラッシュがタイガードの尾に噛みつく。

「なっ!?コイツ!!」

タイガードは、ラッシュを振り払おうと尾を左右に大きく揺らす。そうしている間にエックスはエアダッシュでマーティを回収する。

「マーティ・・・・・」

「ご、ごめん・・・・・・・・動けない・・・・・」

マーティは弱った声で答える。幸い致命傷にはならなかったがかなりの重傷だ。エックスはマーティをそっと地面に寝かせると怒りに燃えてタイガードの方へと向き直る。

「許さないぞタイガード・・・・・・マーティをこんなに傷つけて!!」

迫ってくるエックスに気がつかずタイガードはラッシュを引き離そうと岩にぶつけていた。

「これでも離れんのか!!」

『ウゥ、ウウ!!・・・・・・!』

ラッシュはエックスがタイガードのすぐ後ろに迫っているのに気がつくと口から尾を放してタイガードから離れて行った。

「やっと離れたか・・・・・・さて・・・・・!?」

そう言って後ろを向いた直後タイガードの下あごに何か強い力が籠った何かがぶつかる。何事かと前をよく見てみるとそこには怒りの表情になっていたエックスの顔が一瞬見えた。

「昇龍拳!!!」

「ガ、ガバアァアアアアア!!!」

タイガードは、先ほどのマーティ以上に上空に打ち上げられ勢いよく落下した。

「・・・・・・」

エックスは倒れたタイガードに向かって構えを取る。

「お、おい・・・・のび太?」

今までにない険しい表情をするエックスにジャイアン達は思わず不安を抱いた。エックスの両手の間にエネルギーの塊が生成され始める。

「ね、ねえ・・・・・ジャイアン。のび太が撃とうとしているのまさかだと思うけど『波動拳』だよね?」

「あ、あぁ。ロックマンXの隠し技であり、最強の必殺技・・・・・・・」

「まさかのび太さん。とどめを刺すつもりじゃ・・・・・・・」

しずかの言う通りだった。今のエックスは明らかにとどめを刺す気満々だった。エネルギーの塊が一定以上に大きくなり、手から火花が出始める。

「ぐ・・・・・ぐう・・・・・・」

タイガードは、何とか起き上がったものの目の前で凄まじい殺気を放つエックスを見てもはやこれまでだと悟る。

「・・・・・・・これまでか。」

「・・・・・・これで終わりだ。」

エックスは、波動拳を放とうとする。

「波動け・・・・」

「だめ!」

「!?」

波動拳を放とうとするエックスの目の前に玉美が出て来て止める。これには、エックスは愚かタイガード本人も驚いていた。

「玉美、そこを退くんだ!」

「ママから聞いてたもん!お兄ちゃんは人を傷つけるのが嫌いな人だったって!お兄ちゃんがこんなことしちゃダメだよ!」

「・・・・・・・・・」

「もう、トラさん動けないんだから・・・・・・・・もう、悪いことしないように言えばわかってくれるはずだから・・・・・・やめようよ。」

「・・・・・・・」

エックスは、波動拳を撃つのをやめて玉美の頭を優しく撫でた。

思えばそうだったのかもしれない。

喧嘩でいつもジャイアンにやられていたので腹が立ったことはあったが自分よりも弱いものをいじめようという気にはならなかった。

他人を傷つけることを嫌う。

それは自分の人間としての本質だったのかもしれない。

だからこそ、玉美は必死に止めようとしているのだ。

「・・・・そうかもしれないな。怖い顔していたのによく勇気を出して言ってくれたね。」

エックスは玉美の顔を見ながら言う。危うく目の前でタイガードを破壊するという光景を見せるところだった。

「・・・・・そこの小娘。」

タイガードは、ビームクローを戻して玉美を見る。

「どうして俺を助けた?俺はお前たちを殺そうとしていたのだぞ?」

エックスに見守られながら玉美は笑顔で答えた。

「だって、トラさん。本当はいい人なんだもん。いい人でも間違えて悪いことをするときもあるってパパが言っていたし。それを止めて仲直りさせるのも大事だってママが言ってたんだ。」

「・・・・・・・・なんと純粋なんだ・・・・」

タイガードの目から復讐の炎が消え、自然と涙が流れてきた。同時に先ほどまで薄気味悪かったはずの空もいつの間にか雨雲に覆われて雨が降り出す。

まるで彼の憎しみを洗い流すかのように。

「俺は・・・・・・・俺は取り返しのつかないことをしてしまった!!」

タイガードは跪きながら泣く。

復讐のために今まで守ってきたものをすべて失ってしまった。

それがより一層彼の心に突き刺さる。

「復讐などに囚われ、ドップラーの誘いに乗り、ここを・・・・・・かけがえのないこの場所を・・・・・・・・・何もない死の世界にしてしまった!!」

タイガードは、号泣しながら汚れ切った土を握り締める。

「うおぉぉおお・・・・・・・おおぉお・・・・・・」

「・・・・・・何泣いてんのよ。」

そこへ先ほどまで倒れていたはずのマーティが歩いてきた。しずかに手当てしてもらったのか傷はなくなっている。

「う、うぉお・・・・・・・・・」

「壊しちゃったんならまた一から作り直して行けばいいでしょ?アンタ自身の手で。」

「何?」

タイガードは顔を上げながら言う。

「今まで汚しちゃった場所を綺麗にして少しずつ戻していけばいいじゃない。そりゃあ、死んじゃった動物とかはもう戻ってはこないけど簡単に死んじゃったりするわけじゃないのよ?でも、綺麗にすれば別の場所からまた動物が来て住んで元に戻っていく。そういう場所を作っていくのも仕事なんじゃないの?」

「・・・・・・」

タイガードは無言で辺りを見渡す。

「・・・・・・・・できるのか?この俺に?」

「それは君自身が決める事さ。確かに一人の力じゃ限界がある。でも、仲間を作って一緒にやっていけばまた元の環境に戻って行くよ。」

エックスは、タイガードに手を差し伸べる。

「・・・・・」

「もう一度やり直そう。ここがまた自然の楽園に戻れるように。」

「う、うぅ・・・・・・・かたじけない。」

タイガードはエックスの手を握って答える。

「なんか泣けるね。」

「うおぉ~!なんて感動的な握手なんだぁ~!!」












その後、シャイニング・タイガードはエックスたちの手でハンターベースへと連行された。

後に出所したタイガードは、このジャングルエリアの再建計画を行い、賛同者を集めて自分の犯した罪を償うように環境再生・保護活動に尽力を尽くすことになる。 
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