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夢幻水滸伝

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第百三十六話 二度目の勝利その五

「あいつのことは心配せんでええ」
「ほなな、僕の闘い方見るんや」
「そうさせてもらうわ」
「さて、やるか」
 芥川は真剣な顔で言った。
「これから」
「これで終わりやないやろ」
 施の方も激しい攻撃を出しつつ芥川に問うてきた。
「何もせん訳やないな」
「勿論や、それは自分もわかってるか」
「そやから今聞いてる、そしてな」
 施は芥川にさらに言った。
「自分の切り札がこれだけか」
「そやろな、切り札は一つとは限らん」
「それがほんまの戦上手やしな」
「戦は何が起こるかわからん」
「それは一騎打ちでも同じや」
「それでや」
 まさにというのだ。
「自分もや」
「切り札はまだある」
「そや、そやから安心して攻めて来い」
「攻めるも何も」
 それこそとだ、芥川は笑って話した。
「もう仕掛けてるわ」
「何っ!?」
「自分が見てるもんが全てと思うな」
 芥川は笑って話した。
「そう言うやろ」
「!?まさか」
「そのまさかや、僕は忍者で天狗や」
 この世界での彼の職業と種族のことにも言及した。
「それでや」
「となると、ここは」
 すぐにだった、施は。
 もう一人自分を出した、そうしてその自分自身に如意棒を持たせてそのうえで後ろを薙ぎ払わせた。すると。
 そこに芥川がいた、芥川は如意棒を自身の神具である太通連刀で防いだ。
 そこから少し後ろに背中の翼で飛んで退いて言った。
「流石に勘がええな」
「忍術には相手に幻を見せることも出来る」
 如意棒を持っている施が言ってきた、見ればこちらの彼は白澤に乗っていない。だが白澤に乗っている彼も今は芥川の方を向いている。
「そして姿を消すこともな」
「出来るからな」
「そやったな、忍者はそうしたことも出来る」
「それで仕掛けたけどな」
「あとほんの一瞬でも気付くのが遅かったら」
 その時はとだ、施は言った。
「ほんまに危なかったわ」
「気付くとは見事や」
「そっちもな、考えたもんや」
「それでもう一つの切り札はやな」
「これや、斉天大聖も使ってたな」
「如意棒の本来の主もやな」
「自分の毛が分身になる」
 施はこのことを話した、如意棒を持っている方から白澤に乗り弓またの名を落日弓というそれを手にしている方の言葉だ。
「それが出来るからな」
「それでやな」
「こうしてな」
 まさにというのだ。
「切り札として考えておいたんや」
「自分も分身使えるってことやな」
「ただしや」
 施はこのことも言った。
「斉天大聖は毛で幾らでも分身を出せるが」
「自分はか」
「自分そのままの実力の自分を出せるのはな」
 それはというのだ。
「一人だけや」
「そやねんな」
「そや、しかしな」
「二人の自分とやな」
「一人でどう戦うか」
「見せてもらうっていうんやな」
「そや、それが出来るか」
 こう言うのだった、見れば芥川のところに狐が音もなく来ている。そして芥川はその狐に再び乗っている。 
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