部屋着
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第一章
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結婚して三年目、年齢は二十八歳になってだった。池波美樹は子供が欲しいと思う様になっていた。
だが夫の康二郎はどうにもだった、口では言わないが。
「もう夜自体がなのね」
「元気なくなったのよ」
美樹は友人の沢尻琴乃に喫茶店で話した、見れば美樹の顔ははっきりとした目で紅の唇に白い顔、耳がはっきり見える黒のショートヘアで少しだけ面長な感じの顎が尖った顔をしている。背は一六二程で黒のスラックスにダークグリーンのセーターという恰好だ。
「これがね」
「そうなのね」
「主人もう三十五歳で」
三十代も後半になってというのだ。
「結婚した時もそんな感じだったけれど」
「そうそう、男の人ってね」
琴乃も結婚している、そのことから美樹に話す。年齢は美樹と同じだけで黒髪を長く伸ばしていてだった。はっきりとした目に大きめの赤い唇、やや面長で大きな奇麗な耳に白い肌、長めの首に色気があり青のブラウスの上に黒いガーディガンをかけスカートは白く長いものだ。美樹より目立つ感じである。
「三十代、特にね」
「三十五になると」
「うちの旦那三十六だけれど」
美樹の夫より一つ上である。
「実際三十五になるとね」
「そっちがなのね」
「弱くなってきたわ」
「そうなのね」
「男の人ってね」
琴乃はバナナシェーキを飲みつつ苺ジュースを飲む美樹に話した。
「一番凄いのは十代の時なのよ」
「その時になのね」
「もう徹底的で」
「そういえば私大学の時は高校生と付き合ってたけれど」
「凄かったでしょ」
「もう毎日何度もね」
美樹は数年前のアパートで暮らしていた時のことを思い出しつつ琴乃に話した、実は琴乃とは同じ大学であり同じサークルで知り合った。
「そんな感じだったわ」
「それで十代で絶頂期で」
「後はなのね」
「落ちていくの」
ここで琴乃は美樹に右手の甲を見せた、その時に五本の指を拡げている。
「こんな感じでね」
「親指があれね」
「そう、十代でね」
「人差し指から小指にかけて」
「二十代三十代となってね」
「三十代は落ちてるわね」
美樹は琴乃の中指を見て言った。
「相当に」
「そうでしょ、それでね」
「三十代も後半になると」
「かなりね」
「落ちてるのね」
「そうよ、前半はまだましでも」
三十代のそれはというのだ。
「けれどね」
「もう後半になると」
「そもそも体力自体が落ちていて」
それでというのだ。
「夜の方もよ」
「そうなっていくのね」
「よくそうしたビデオとか漫画で会社の上司とかがってあるけれど」
「実際はなのね」
「そんな人実際かなりいないわよ」
三十代後半で絶倫な者はというのだ。
「そして六十代のお爺ちゃんは」
「もう、なのね」
「殆どみたいよ」
「そうなのね」
「やっぱりビデオや漫画とかね」
「琴乃ちゃん詳しいわね」
「そういうの実は好きだから」
琴乃は実にあっけらかんに美樹に答えた。
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