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入れ替わり

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第五章

「自慢の弟ですわ」
「自慢のお兄様とですね」
「左様です」
「私も妹達は自慢ですが」
 それでもというのだ。
「家の中でいつも面倒を見ていて喧嘩もしょっちゅうの」
「そうした間柄ですか」
「そうですので」
「そこからも違いますの」
「それが出まして」
 どうしてもというのだ。
「外見は同じでも」
「色々違いますのね」
「はい、このことからも」
「生まれと育ちがですの」
「違いまして」
 そしてというのだ。
「それが出るものです」
「そうしたものですの」
「教育、環境、職業、立場、何もかもが違えど」
 メグはさらに話した。
「外見は同じでも」
「違いが表に出ますのね」
「どうしても。歩き方も」
 これもというのだ。
「身のこなしも」
「それもですの」
「お嬢様はメイドの服を着ておられますが」
 自分が普段着ているそれをとだ、メグはこのことも指摘した。
「歩き方も動き方も普段のままです」
「ドレスを着ている時と同じですの」
「そして私も意識してお嬢様の真似はしていますが」
 それでもとだ、メグは今度は自分のことも話した。
「私のです」
「歩き方と動き方なので」
「どなたもわかるのです」
「例え外見を入れ替えても」
「そうです、例えそっくりでも」
 それでもというのだ。
「わかるものです」
「ううむ、それは」
「はい、まさかですね」
「そう思っていましたけれど」
「若し私達が完全に同じ姿になっても」
 例えそうしてもというのだ。
「やはりです」
「わかるのですね」
「出て来るもので」
「そうしたものですの」
「はい、これでおわかりになられましたね」
「はい」
 エリザベスはメグの言葉に真面目な顔で答えた。
「よく」
「それもまた人間です」
「外見が同じでも育ってきた環境や教育、立場にお仕事が違えば」
「全く違ってくるものです」
「小説の様にはいきませんね」
「マーク=トウェインの小説でもそれぞれの地が出ていますね」
 乞食王子である、丁度自分達の国を舞台にしているのでメグも話に出した。 
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