魔女が使えないたった一つの魔法
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7.魔女特性?
手のひらを眺めても大したことは分からなかったので、紗夜は別の魔法をかけてみることにした。
本が汚れないための魔法。
この家の敷地内に空調機能。
物が元の位置に戻る魔法。
いくつかかけてみた結果、わかったのは魔法陣を書くだけで魔法が使える(多分)ということ。
しかし、その後出した魔導書にもそんなことが出来るという記述は一切なかった。本来は魔法陣と呪文をワンセットにして1つの魔法を使うらしい。
それだけでも摩訶不思議だが、それだけなら「まぁ、魔女特性ってやつかな」と納得(?)出来るのだが、水を出した時だけは魔法陣すら書かなかった。その事があって、分かったことが(多分)というなんとも割り切れない形になってしまったのだった。
「ま…まぁ、いつか分かるでしょ…。」
考えすぎて疲れてしまった紗夜は、もう日が暮れることに気づいて夕食にすることにした。
「えー、簡単なの食べたいな…」
水晶玉で新鮮な野菜とパン、ハム、チーズ、マーガリンとマヨネーズを出し、慣れた手つきでサンドイッチを作った。
飲み物は温か甘々なミルクココアを作りイスに腰かけた。
ダイニングテーブルを置いたところは大きな吹き抜けになっていて、大きな天窓がついているので、空の色が変わっていくのが見られた。
「綺麗…。」
空は赤から青へ、そして黒へとグラデーションしながら、一瞬の速さで変わっていく。
空が暗くなった時、星の輝きが増した。
都会では見られない満点の星空。
それが紗夜に別世界に来たことを実感させた。
「お母さんに最期、会ってないな…。」
口に出した瞬間、もう会えないことを自覚して涙が頬をつたった。
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