FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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違和感?
前書き
久しぶり一週間スパンで投稿できました!!
最近またFT熱が再発してきたのでしばらくこのスパンで行ける・・・といいなぁ←遠い目
ウェンディside
岩の影から二人を見守る私たち。その様子を見て、ジェラールさんたちと一緒にあることを考えていました。
「二人とも・・・何を笑っているんだ」
危機的状況にも関わらず、レオンとシリルは互いを見据えて不敵な笑みを浮かべているのです。その光景があまりにも異様すぎて、私たちは言葉を失っています。
「メェーン・・・確かに様子はおかしいが、魔力はお互いに互角!!十分勝機はあるように感じるね」
そんな中でも冷静な分析をしている一夜さん。普段はそんな風には思えないけど、さすが青い天馬最強の魔導士。私では全然意識が向かなかったことにまで気が付いているみたいです。
「シリルの魔力がさっきよりも数段は上がっている・・・でも、果たして本当に大丈夫なのか?」
対等に渡り合えるまでの力を持っているシリルを見ても、ジェラールさんは心配そうな表情を崩せません。でも、それは私も同じです・・・ただ、それが彼と同じ心配なのかはわかりませんが。
(シリル・・・一体どうしたっていうの?)
もう私が知っている彼ではなくなってしまったのではないかと思わせるほどの変貌を遂げる少年。もしこの戦いに勝利できたとしても、彼は元通りに戻ってくれるのでしょうか・・・それが私にとっての大きな心配。
「ジェラールくん、きっと問題ないよ。今までだって彼はこうやって危機を乗り越えてきたじゃないか」
「それもそうだが・・・」
一方のジェラールさんはやっぱりシリルがレオンに勝てるかどうかという点が一番の心配点だったみたいです。でも、一夜さんは今までのシリルの戦いを知っているからか、信じてやまないといった表情をしています。
グッグッ
三者三様の反応を見せている中、一人だけ後ろで謎の行動をしている人物がいます。それが気になってしまった私たちは、彼の方へ視線を向けました。
「何をしているんだ、カミューニ」
屈伸などのストレッチをしているように見えるカミューニさん。ジェラールさんの問いを受けても、彼はその動作を止めるようなことはしません。
「見ればわかるだろ?準備体操だよ」
「準備?何の準備をしているんだ?」
その回答には確かに疑問が残りました。もうあとはレオンを倒すだけ・・・そしてその相手になり得るのは、シリルしかいないのに、なぜカミューニさんが準備しなければならないのか。
「とんでもねぇことに気が付いちまった」
「とんでもないこと?」
彼の言葉に顔を見合わせる私たち。その詳細が気になった一夜さんは、そのまま問いかけます。
「そのとんでもないこととは、なんだね?」
「それはまだ言えねぇな・・・俺の思い違いかもしれねぇし」
少しずつ静的ストレッチから動的ストレッチへと移行させていくカミューニさん。あまりに丁寧に準備している彼を見て、何かとんでもない事態が起きようとしているのではないかと思ってしまいました。
「ただ、その最悪の事態になったら・・・」
手首をグルグルと回しながらシリルたちを見据えるカミューニさん。その眼光は、天狼島で見た時のような、厳しい目付きをしていました。
「俺が何とかしてやる・・・命懸けでな」
第三者side
心配そうに眺めているものたちがいることを把握はしているものの、一切それを気にしている素振りを見せないシリルとティオス。彼らはお互いを見据え、間合いを保っている。
その表情はそれぞれだった。あくまで真剣な表情で、仏頂面とも取れるほどに鋭い眼光を飛ばしているシリル。一方のティオスは、まるで後ろに倒れている天海を思わせるような笑みを浮かべていた。
「「・・・」」
しばしの沈黙・・・両者ともに動き出そうと言う気配が一切ない。だが、それは至極当然のようにも思えた。
彼らはお互いに相手の隙を突き、なおかつ自らの間合いで戦い、優位さを保ちたかった。だが、もっともベストな状態になど持ち込めるはずがない。それを許してくれるような相手ではないことくらいは十分承知している。
それでも何とか自分の優位な状態を作りたい。それゆえにお互いにジリジリと体勢を整えながら、タイミングを伺っている。
バサッ
それほど長い時間は経っていないだろう。しかし、意外にも動き出すタイミングは早々に訪れた。それは両者の翼が大きく揺れたのだ。その原因は・・・
((この風だ!!))
横からの突風。それを彼らは動き出すタイミングだと感じた。なぜかはわからない。ただ、直感的な何かが働いたのだ。
「水竜の・・・」
先に動いたのは水色の髪の少年。力一杯に握られている小さな拳に水がどんどん合わさってくる。
「鉄拳!!」
突風を受けたことにより予想よりも体が流れていたが、それは青年の視覚のうちに入る位置から繰り出されてくる。彼はそれを交わすと、三種の魔力を込めた蹴りを打ち出す。
パンッ
それに対しシリルは切り返しながらその足を叩く。
ティオスはそれによりバランスを崩すが、すぐさま体勢を立て直し距離を取る。
「竜魔神の・・・」
ティオスは今ある全ての滅系魔法を組み合わせた状態。今までにない力を前にしたシリルは、目を大きく見開く。
「怒号!!」
氷をメインとしたブレス。それに水と風が合わさることにより今までの彼のそれとは一線を引くものになっていた。
それを見たシリルは翼を広げ、その場から大きく飛び上がる。あまりの威力と範囲にギリギリだったが、彼は何とか回避することができた。
「水竜の・・・」
口に魔力を含んでいくシリル。対するティオスは、ブレスをやめると、上空に羽ばたく白き翼を見上げる。
「咆哮!!」
水の中に少しずつ風の要素が入ってきているのがわかる。それにより威力が増している魔法が迫ってきているのに、ティオスは笑っている。
「まだ完全ではないようだな」
手を前に出しその攻撃をあっさりと防いでしまう。しかし、その攻撃が晴れたタイミングで翼を広げた少年が突っ込んできていた。
「くっ!!」
咄嗟に腕をクロスしギリギリで受け止めることはできた。だが、勢いのついていたシリルのそれに押し込まれてしまう。
「この・・・」
ティオスも漆黒の翼を広げ上空へと飛び上がる。対してシリルはブレーキをかけると、追いかけるように空へ飛び上がる。
「竜魔神の・・・」
敵が追いかけてきているのを確認したティオスは振り向き様にそれを迎え撃とうとする。しかしそれはシリルもわかっていた。
「竜魔の・・・」
滅悪の魔力も解放したシリル。水色に光り輝く瞳が、増幅された魔力を物語っていた。
「永久凍土!!」
「鉄拳!!」
ぶつかり合う両者の拳。その勢いは凄まじく、瞬く間に大爆発が周囲に起きる。
「竜魔の・・・」
「!!」
正面からぶつかり合ったはずの敵。それがこの爆風の中、いつの間にか背後を取っていたことに気が付いたが、もう遅い。
「鍵爪!!」
上方から蹴りに重力に負け、地面へと落下していくティオス。地面に衝突する直前で、彼はバランスを整え、翼を羽ばたかせて何とか対応する。
「竜魔の・・・」
体勢を整える時間が欲しかったが、それを許すわけには行かないシリル。少年は加速して迫ると、力強く握られた拳を振るう。
「鉄拳!!」
右ストレートで顔面を狙うが、ティオスはそれを弾き、ブレスの体勢に入る。
「うりゃ!!」
「なっ!?」
発動までのわずかな時間。それを少年は利用した。魔力を宿すことなく左の拳を繰り出し青年の顔を直撃させる。自身から目が離れたタイミングを見計らい、全身に水と風を纏わせる。
「水竜の剱角!!」
頭から視線のずれたティオスへと突っ込む。距離も近く敵に逃げる余裕など一切ない。確実に決まるはずの攻撃だった。だが・・・
バサッ
彼の持っている漆黒の翼が、間一髪でその攻撃を防いでしまった。
「チッ」
舌打ちしてすぐさま距離を取る。ゆっくりと翼の中から現れた青年は、血走っている目をした少年を見て、ニヤリと笑みを浮かべた。
「やっぱり天使の力はすごいな。お前のパワーももちろんだし、俺の防御力にも大きく反映されている」
頬についた汚れを取るようにそこを拭う。その間も青年は少年の目から視線を一切離さない。
「残念でしかないよ、シリル」
「今さら降参するのなら、もう遅いぞ」
さらに目を光らせ、ティオスを睨み付けるシリル。その目の奥にあるのは、怒りという感情なのは誰から見ても明らかだ。
「お前を許すことなど、俺には絶対にできない」
多くの命を奪おうとし、実際にそれを行ってきた彼は少年にとって敵でしかない。それが未来の友人であり、自身であってもだ。
「そう受け止めたか、都合のいい奴だ」
それを聞いたティオスは口元を抑えていた。それが笑いを堪えているということを、すぐにシリルは理解する。
「何をそんなに笑っていられる?」
実力は五分と五分。どちらに転んでもおかしくない状況であるにも関わらず、青年がそんなに笑っていられるのかが疑問で仕方がない。
「自分のことなのに気付けないとは・・・」
笑っていたかと思うと、今度は一転して憐れみの視線を送ってくるティオス。その姿にますます苛立ちが増すシリルだったが・・・
「だからお前は俺を越えられないんだ」
その言葉があまりにも凄みを帯びており、何かが起こっていることに気付いたが、それが何なのか全くわからなかった。
後書き
いかがだったでしょうか。
何かに気づいたカミューニとティオス。果たして彼らは何に気が付いたのか。
次でまた少し進展していく予定なので、気長にご覧ください。
次回もよろしくお願いします。
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