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夢幻水滸伝

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第百三十五話 中国軍の反撃その十三

「術と銃だ」
「まずはな」
「当然大砲も使うが」
「それでもな」
「抜刀の時ではない」
 そのうえでの突撃ではというのだ。
「まだ流れはそうではない」
「あと少しだからな」
「そうだ、近いが」
 その時が来ることはというのだ。
「しかしだ」
「それでもな」
「時はまだだ」
 抜刀突撃、日本軍の必殺攻撃と言っていいそれはというのだ。
「早まるとそこに隙が出来てだ」
「敵に付け込まれるからな」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「待つ、その間はだ」
「そうした武器にな」
「槍だ」
 これだというのだ。
「弓矢もあるがな」
「そうしたのを使ってな」
「戦いそしてだ」
 そのうえでというのだ。
「ここぞって時までやるぜ」
「わかりました」
「なら今はですね」
「このまま戦う」
「そうしていきますね」
「ああ、焦ることはねえからな」
 不敵な笑みさえ浮かべてだ、幸田は兵達に話した。
「むしろ楽しみにしてな」
「焦るんじゃなくてですね」
「今か今かと楽しみにしておく」
「それでいいんですね」
「江戸っ子は気が短けえけれどな」 
 それでもというのだ。
「焦りは禁物なんだよ」
「そこで焦るとですね」
「全部しくじりますね」
「そうなりますね」
「そうだよ、だから焦るなってんだ」
 その江戸っ子の言葉で言うのだった。
「風呂は熱いのに一気で、戦は焦らねえってな」
「そこで風呂言います?」
「江戸っ子の風呂に」
「まあそれだと実は疲れがあまり取れねえみてえだが」
 熱い風呂に一気では、というのだ。
「肩や腰の凝りとかも取れなくてな」
「肩凝りや腰の張りとかにはゆっくり入ることだよ」
 いつも通り麻友が横から言ってきた。
「それで熱くなったら水風呂か冷たいシャワーで冷やしてね」
「また風呂に入るんだな」
「そうしたら肩凝りも取れるからね」
 だからだというのだ。
「熱い風呂に一気ってのはね」
「肩凝りとかにはよくねえんだな」
「そうだよ、そうしたところはしっかりとね」
「しねえといけねえな」
「それは言っておくよ」
「わかったぜ、それで戦はな」
 幸田はあらためてそちらの話をした。
「焦ったら駄目なんでい」
「来たるべき時は待つんだね」
「速きこと風の如しでもな」
「動かざること山の如しだね」
「時を見るのも戦でい」
 それこそが動かざること山の如しだというのだ。 
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