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レーヴァティン

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第百五十五話 アテネとの戦いその二

「それやからや」
「アテネの好感情を得られなくても」
「その前に禍を取り除くって意味でや」
「動くべきか」
「うちはそう思うで」
「そうか、このことどう思うんだ、皆は」
 久志は美奈代の話を聞いたうえでまた言った。
「それで」
「コレラは放置出来ません」
 源三が最初に答えた。
「悪質な伝染病なので」
「それで、か」
「はい、私もです」
「ここは、か」
「医者と薬をです」
 その両方をというのだ。
「アテネに送るべきです」
「薬だけ奪われて医者殺されるとかな」
「その危険はありますね」
「ああ、それでもか」
「若し送った医者をすぐに殺すか終わった後で殺すか」
「そのどちらでもか」
「そうしたことを行う様な勢力は最早です」 
 源三はこのことはシビアな顔で話した、見ればその顔は冷徹なまでに政を語るその顔になっている。
「腐り果てていますので」
「そこまで馬鹿だからか」
「ですからその後で攻めて」
「潰してもいいか」
「そうしてからです」
「もう一度コレラをどうにかするか」
「そうすればいいです」
 それだけのことだというのだ。
「その場合は、また医者が殺されても」
「それでもか」
「殺された医者は復活させられるので」
 だからだというのだ。
「そうなってもです」
「いいか」
「はい、ですから」
「ここは送ってもか」
「我々にデメリットはありません」
 源三は冷静な声で述べた。
「ですから」
「それでか」
「私は送るべきだと考えています」
 美奈代の言う通りにというのだ。
「医者と薬を」
「そうか、他の奴はどうだ?」
「別に送ってもいいのでは」
 ここでだ、こう言ったのは進太だった。
「やはりコレラは放置出来ないでござる」
「疫病はな」
「そうでござるから」
 それ故にというのだ。
「ここはでござる」
「医者と薬をだな」
「アテネに送るべきでござる、停戦の使者を送り」 
 そしてというのだ。
「そうしましょう」
「よし、反対の意見はあるか?」
 源三と進太そして美奈代の意見にとだ、久志は他の十二人の仲間達にも問うたが反論はなかった。それでだった。
 久志はまずは停戦の使者を送った、それは自ら赴いてだった。
 それでアテネに入って話した、するとアテネ側は彼に驚いて言った。
「あの、確かにです」
「我等は今コレラに悩まされています」
「ですがそれでもです」
「今は戦です」
「我等は戦をしていますが」
「だからそれを停戦してな」
 そうしてとだ、久志はアテネの代表達に話した。
「そしてな」
「そのうえで、ですか」
「医者と薬を送ってくれますか」
「そうしてくれますか」
「ああ、礼はいらねえぜ」
 久志は軽い口調でこうも言った。 
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