ドラえもん のび太の転生ロックマンX(若干修正版)
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アーマー・アルマージ
エネルゲン鉱山
マンドリラーを撃破後、エックスは引き続いてイレギュラーに占拠されたエネルゲン鉱山へと向かった。
このエリアを占拠しているイレギュラーは、第8機甲部隊の元隊長であるアーマー・アルマージ。
鉄壁の防御力を誇る装甲を纏うアルマジロ型レプリロイドで武人肌の堅物。イレギュラーハンター部隊の指揮権を全てシグマに掌握された事から、彼を上官と判断。「上官の命令は絶対」として反乱に参加、蜂起後は兵器の原料の採れるこの鉱山を占拠した。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
そして、現在エックスは、絶叫していた。
「無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!!止まってくれ!!」
原因は、彼の乗っているトロッコだった。鉱山の中を移動するにはこれが必須なのだが大きく揺れる故に周囲にはメカニロイドによる攻撃、そして、止まったと思った矢先は針の床。
これの繰り返しでエックスは、まだアルマージの居場所にもついていないにもかかわらず精神的に疲労していた。
「わあぁぁあぁ!?今度はなんだっ!?」
エックスは、目の前がどんどん明るくなっていくことに不安を感じる。トロッコはエックスを乗せたまま外へと飛び出した。
・・・・・・・・・・・・・但し、下は崖。
落ちたらレプリロイドといえど無事ではすまない。
「うわあぁぁぁ!!!」
エックスは死に物狂いで空中平泳ぎを披露しながらなんとか崖に掴まる。
「うん・・・・しょっと。」
エックスは崖から登りどうにか平らなところへと昇ることができた。目の前には、ペンギーゴの雪山以来のカプセルがある。
「ここにもパーツがあるのか?」
エックスが近づくと案の定カプセルが開き、老人の姿が映し出される。しかし、どういう事かいつもの白衣ではなく道着姿での登場だった。
「・・・・・・・・・・えっ?」
『ふふふ、どうじゃエックス!鍛え抜かれた、この体は!!後ろに見ゆる大瀑布で、鍛えに鍛えぬいたのじゃ!!
ばくふとゆうても、「江戸幕府」のことではないぞ!!』
「いや、それぐらいわかりますよ。」
ライトの様子を見てエックスは思わず動揺していた。
『っとまあ、そんなことは、どーでもよい!このカプセルの中に入るのじゃエックス!このカプセルに入れば、厳しい修業によって一部の人間だけが習得出来た必殺技を放てるようになる。人に近い心を持つお前なら、きっと使いこなせるはずじゃ!!エックス、宇宙を・・・・・パワーを・・・・・・波動を・・・・感じるんじゃ!!』
ライトは、なんかしらの構えをすると消える。
「・・・・・・・か〇はめ波?」
エックスは前世で何となく読んでいた漫画の主人公の技を言ってみる。とりあえず、パーツではないようだ。
しかし、入れと言われたのを無視できないためカプセルに入ることにした。
エックスは、崖から落ちないようにゆっくり降りながらアルマージがいると思われる部屋の中へと入りこんだ。しかし、中には誰もいなかった。
「誰もいな・・・・・・いや、今来るのか。」
エックスが言い直すと同時にアルマージが丸まった状態で壁を突き破って現れた。
「アルマージ。」
「エックス、お前が来たら倒すよう命令されている。」
「狂ったシグマの命令で俺と戦うというのか?アルマージ。」
「それが私の使命だ。」
「それはイレギュラーの考えだ!!」
エックスの言う言葉にアルマージを動じる様子はない。
「自分は命令に従うのがイレギュラーだとは思わない。我々はどちらも間違ってはいないということだな・・・・」
アルマージは、エックスの考えを否定はしないものの、シグマへの忠誠を優先する。
「これ以上は問答無用!私は私の信念を、お前はお前の信念を貫こうではないか!!」
アルマージは、体を丸めると周囲にぶつかりながらエックスへと向かっていく。
「くっ!どうして・・・・・」
エックスは攻撃をよけながらもバスターを確実にアルマージへと命中させていく。アルマージは一旦着地するとバスターの攻撃を盾で防ぐ。
「お前の射撃能力の高さは知っている。だが、我が盾はいかなる攻撃も通じぬ。」
「・・・・・・・一か八かやってみるか。」
「ん?」
エックスの構え方にアルマージは警戒する。エックスは両手を合わせると何かを撃つ体勢に入る。
「か・・・・・・・・め・・・・・・・・・は・・・・・・め・・・・・・・・」
「何をする気だ?」
アルマージは、見知らぬ攻撃に警戒し、盾を構える。
「波あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ぬっ!?」
エックスの気迫にアルマージは身構える。
しかし、両手を前に突き出しただけで何も起こらない。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・あれ?」
エックスは何も起こらないことに驚く。
「どうなっているんだ!?あの構えをすれば撃てるんじゃないの!?」
「・・・・・・どうやらはったりだったようだな。」
戸惑っている彼に対してアルマージは、額を開いてレーザー攻撃をする。
「うわあぁぁ!?」
エックスは、慌てて避けるもののアルマージは隙を逃さすローリングアタックを仕掛ける。
「ぐはっ!?」
エックスはもろに直撃を受け、跪く。
「この程度だったか・・・・・他の特A級ハンターを倒したと聞いたからさぞかし腕を上げたかと思っていたが・・・・・・どうやら倒したのは偶然だったようだな。」
アルマージは、そう言いながら再び額の兜を展開する。
「くっ!」
だが、エックスは、その瞬間うつ伏せ状態でありながらバスターでアルマージの額を狙い撃つ。
「何!?」
思わぬ反撃に動揺した束の間アルマージの額にバスターが命中する。
「ぐわあぁぁぁ!?」
アルマージは、額を抑えながらよろめく。
「今だ!!」
エックスは、ショットガンアイスをアルマージに向かって発射する。
「くっ・・・・・・・調子に乗るな!」
アルマージは、自分を覆うようにバリアを張りショットガンアイスを防ぐ。
「なっ!?」
「偶然は何度も起きん!ペンギーゴやマンドリラーのように私を倒せると思うな!!」
アルマージがバリアを解除すると同時にそのエネルギーを弾丸として飛ばす。
「うわぁあ!?」
エックスは、思わずガードするがアルマージは追撃の如く体当たりを食らわせる。
「う、うぅぅ・・・・・・・」
エックスは意識が薄れていく中、何とか立ち上がる。
「あれほどの攻撃を受けてまだ立ち上がるのか!?」
アルマージは、エックスの行動に思わず感心する。
しかし、あの目からしておそらくもうこちらへの攻撃はもはや無理だろう。
「・・・・・・・」
「・・・・意識が朦朧としているか。ならば、せめてとどめを刺す前に先ほどの言葉を訂正させてもらう。お前にはどうやらシグマ隊長の言っていた『可能性』があったようだ。だが、私はその『可能性』を破壊するように命令を受けている。これ以上苦しまぬうちに引導を渡してやる。」
アルマージは球体状態になると回転を始め、エックスへの攻撃態勢を整え始める。
その形は、エックスの脳裏に何か懐かしい光景を見させていた。
???
エックスは、どこかで倒れていた。
懐かしく感じる感覚だ。
小さい頃、庭で遊んでいたとき転んではよくこうやって泣いていたものだ。
(・・・・・・負けたのか・・・・)
エックスは、自分が既に負けたと思い込んでいた。
(結局、俺はダメなままだったな。昔も今も何にも変わらない・・・・・・・)
エックスはそう言いながら目を閉じようとする。
・・・・・・・っと、そこへ何かが転がってきた。
それは赤い人の顔が書いてあったものだった。それは、彼の目の前まで転がる。
「こ、これは・・・・・・・」
エックスは思わず立ち上がってそれを拾う。とても懐かしいものだった。
「どうしてこれが・・・・・・・」
「さ、ダルマさんもおっきしたよ。のびちゃんだって一人でおっきできるでしょ。」
「!?」
さらに懐かしい声が聞こえてくる。エックスは声がした方を見る。
「お、おばあちゃん!!」
記憶回路が故障していたのかもしれない。
しかし、そこには自分が大好きだった祖母が立っていた。
「どうしてここに!?おばあちゃんは・・・・・」
「のびちゃんが落ち込んでいたら心配であっちの世界にいられないよ。」
「のび・・・・・!?」
この時エックスは、気づいた。
何故、祖母は自分のことがのび太だとわかっているのか?
自分を体を見るからにしてもエックスとしての姿のままだ。そんな自分をかつての孫だと気づくのだろうか。
「どうして俺のことを・・・・・・・」
「おばあちゃんがのびちゃんのことを見まちがえると思うかい?」
祖母は優しい顔で自分の所へ来てくれた。祖母はダルマを拾うともう一度エックスの前で転がしてみる。ダルマは、転がるとまたもとのように起き上がる。
「ねえ、のびちゃん。ダルマさんは偉いね。何べん転んでも泣かずに起き上がるものね。」
「何べん・・・・・・・!?」
エックスの脳裏にかつて約束した言葉が思い浮かぶ。
『ぼく、ダルマになる。約束するよ、おばあちゃん。』
幼少期、小学生に上がる前に彼女に言った最後の約束だった。
「・・・・そうか。俺は、あのとき・・・・・・」
祖母と約束したんだ。
何度くじけても心配かけられないように強くなると。
「おばあちゃんとの約束、思い出した?」
「うん。」
エックスは、祖母の顔を見て言う。彼女は満足そうに彼の頭をそっと撫でた。
「ありがとう、おばあちゃん。危うく諦めるところだったよ。」
次第に祖母の姿が透けていく。
「のびちゃん、おばあちゃんはいつものびちゃんのこと見ているからね・・・・・・」
「・・・・・・俺は、もうのび太じゃないんだ。でも、そう言ってくれたのはうれしかったよ。」
祖母の姿が消え、エックスの意識は現実へと戻って行く。
「とどめだ、エックス!これで楽にしてやる!!」
アルマージは、硬直状態のエックスに向けてローリングアタックを仕掛ける。
「シグマ隊長、貴方の命令はこれで完了・・・・・・!?」
任務が達成されたと思った矢先、アルマージはエックスの異変に気付く。
体色が変化し、バスターがチャージされ始めたのだ。
「バカな!?だが、これですべて終わる!!」
アルマージはとどめを刺さんとエックスへ急速接近する。
次の瞬間、エックスの目に光が戻り、アルマージに向かってバスターを向ける。
「フルチャージエレクトリックスパーク!!」
エックスのバスターから巨大な電撃弾が発射され、電気の柱と化しアルマージに命中する。
「ぐ、ぐがあぁぁぁぁぁぁ!!!!」
アルマージの体の至る所から黒い煙を噴き上げ、自慢の鎧が吹き飛んだ。
「はあ・・・・はあ・・・・・」
エックスは、右腕に痺れを覚えながらもバスターを戻すと倒れたアルマージのところへと行く。
「ま、まさか・・・・・あの、意識を失いかけた状態、から、こうな、るとは・・・・・・・・」
アルマージは、息切れたような言い方で言う。特に額の方は事前に受けたダメージのこともあり、黒く焦げていた。
「・・・・・アルマージ・・・・・」
「・・・・・・お、お前の・・・・・・勝利を称賛するぞ、エックス。」
アルマージはもはや機能停止寸前だった。おそらく内部構造もズダズダで修理の仕様もないだろう。
「・・・・・・その実力ならおそ・・・らく、他のハンターたちも打ち破ることができるだろう・・・・・・・」
アルマージは満足そうな顔をしていた。
「・・・・・・いい戦いだった・・・・・・・」
眼の光が失われ、彼は完全に機能を停止した。エックスは、彼の身体からDNAデータの端末を取り出す。他の機器はひどい破損をしていながら無事だったのはまさに奇跡だった。
「・・・・・・・何度でも起き上がるか。」
エックスは、外に出て空を見る。
おそらくこれから先も何度も倒れる事態が起きるかもしれない。でも、何度も起きあがれる自信は何故かあった。
「・・・・・・・俺は、もう野比のび太じゃないけど、あの時の約束は忘れないよ。」
向こうで見ているかもしれない祖母に向かってエックスは言う。
「だから、見守っててね。おばあちゃん。」
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