魔女が使えないたった一つの魔法
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1.異世界
前書き
創作意欲が湧いたので書いてみました。更新など期待しないで待っててくれるとめちゃ嬉しいです。
「…え?」
紗夜が目を覚ますと真っ白いだけの空間が広がっていた。おかしい、さっきまで楽しみにしていた本を読んでたはずなのに。
「夢、かな?」
いつの間にか寝てしまったのだろうか?まぁ、そうだろう。10連勤明けに寝ないで本を読もうとしたのだから。
(…夢であって欲しい、夢であれ夢であれ夢であれ…)
「夢ではないぞ?」
(ん?声?夢じゃないって?まさか〜。あははは…)
「意識はあるのか…?おい、お主。」
(あぁ、なんか言ってるなぁ。あ、この人顔整ってるー。すごいイケメンだー………って!!)
「夢じゃない?!」
紗夜はかなり遅れたタイミングで驚いた。その様子に男は驚いたようだった。
「驚かすでない…まったく…。我は神。お主は異世界で救世主となる者に選ばれたのだ!!では、異世界転生の心得を……」
ん?異世界?
「えええぇ?!?!」
紗夜は驚いて再度大声を上げた。またしても不意をつかれた男は肩を跳ね上がらせて驚いた。
「大声を出すなと言っておるじゃろうが!!心臓に悪いんじゃ!!」
「自分だって大声上げてるじゃん!!てかそうじゃなくて、どういうこと?!神?!異世界?!」
「ん?おお、そうじゃ。お前は選ばれし者として異世界に転生してもらうことになった。」
数秒の沈黙の後、紗夜は言い放った。
「え、無理です。え、無理無理。返して。元の世界に。」
その様子にたじろぐ神。
「え?!なぜじゃ、ていうか、無理じゃ。」
「え?!なんで?!なんでなんで?!まだ本読んでないのに!!楽しみにとっといたのに!!なんてことするのよ!!」
紗夜は無理の一言にものすごいショックを受けた。せっかく楽しみにしていた本を読めると思ったのに。開いた瞬間眠りに落ちたから、記憶にあるのはほんの数行だけだ。
神とやらの襟首を掴んでぐわんぐわんと力任せに揺さぶった。
「あぁぁぁぁぁ待て待て揺さぶるなぁァァ!!」
神は慌てて言った。どうやら神様は三半規管が弱いらしい。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
揺らし疲れた紗夜と、揺らされ少々グロッキーな神のきれた息が空間にこだました。
「お…落ち着いたか?それでは話の続きを…」
神はこちらを伺うような声で話を戻そうとしたが、紗夜は逃がさなかった。
「ねぇまって。」
「なんじゃ…」
紗夜の声に神はビクリと反応した。また揺さぶられると思ったのか身構えている。そんなことお構い無しに紗夜は続けた。
「ねぇ、私、いやよ。勇者とかそういうの。」
神はキョトンとした顔をして、言葉を理解したのかホッと安堵した。
「私、人と関わりたくないの。そんなあからさまに人と関わりそうなものになんてならないわよ。むしろ辺境の地に住まう変人でいいわ、行くしかないのなら。」
その言葉に神は少し慌てて言った。
「待て待て、わしは勇者とかになって欲しいなんて言っとらんぞ?」
紗夜は意味が分からないというような顔をした。
「え?だってそういうもんでしょ?異世界転生って。」
神は一呼吸してから、真剣な表情をして言った。
「いや、お主には魔女になって欲しいのじゃ。」
後書き
はい、めちゃくちゃ区切ってあげてきます。飽きなければ…。
今のところはまぁ楽しいので続けようと思います。
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