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ロックマンZXO~破壊神のロックマン~

作者:setuna
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第二十六話 モデルOの侵食

 
前書き
ようやく落ち着いたので復帰します。

 

 
ガーディアンベースの修理が完了し、再び空を飛んだ。

と言ってもスクラップのジャンクパーツで補っているので度々調整が必要となるだろうが、エール達も保養施設でゆっくり出来たので丁度いい骨休めとなっただろう。

しかしヴァンは一人倉庫でコンテナに背中を預けながら座り込んでいた。

“全てを滅ぼせ”

“破壊せよ”

“我こそは真の…”

「(うるさい、いい加減に黙れよ)」

あの忌々しい怨敵のパープリルとの戦い以降、ずっと頭の中に響き渡るモデルOの声。

モデルXが近くにいようが、チップの効力があろうが関係なく響いてくるようになったが、今回は特に酷い。

“破壊こそが救済”

“我は真の救世主”

“我に…よこせ…器を”

「(うるさい…うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい…っ)」

苛立ちながら立ち上がり、倉庫から出て体を動かせば黙るかと思ってトレーニングルームに向かおうと通路を歩いているとプレリーから声をかけられた。

「ヴァン」

振り返るとプレリーが不思議そうに自分を見つめていた。

「どうしたプレリー?」

「ごめんなさい、あなたの姿が見えたからつい……」

どことなく不機嫌そうに見えるヴァンにプレリーは不思議そうに見つめる。

「ヴァン、どうしたの?」

「別に何でもないさ」

“壊せ、この女を”

「そんな風には見えないわ、顔色が…」

「(うるさい…!!)本当に何でもないんだ。トレーニングルームに行きたいからもういいか?」

「………ヴァン、あなた…無理してない…?」

様子がおかしいヴァンを心配して尋ねるプレリー。

「プレリー…」

本当に人のことを良く見ていると思う。

ガーディアンは組織である以上、かなりの人員がいる。

それなのにプレリーは一人一人への気配りは決して忘れない。

初代司令官は…プレリーの“お姉ちゃん”は本当に優れた人格者だったのだろう。

“壊せ”

“邪魔ならば始末してしまえ”

モデルOの声が響く度に甘い破壊衝動が芽生えていく。

その破壊衝動はプレリーに向けられていくのは何となくヴァンにも分かった。

“女の四肢を引き裂け”

“内部の機構を引き摺り出せ”

“この女の眼球を硝子玉に変えろ”

”女の人工肉を、眼球を、電子の頭脳を、人工血液を辺りにばら蒔け”

“この女が貴様によって絶望と恐怖のうちに死んでいく姿を見てみたくはないか?”

「…………」

俯いたヴァンの瞳の色が紅に染まる。

「ヴァ…っ!?」

黙ってしまったヴァンを不思議そうに見つめたプレリーだが、次の瞬間に顔を強張らせた。

表情の変化に気付かないヴァンは狙いをプレリーの喉元に定めた。

いや、騒がれても面倒だから口を塞ごう。

それだと彼女の悲鳴が聞こえないのが残念だけれど。

指先に力が籠る。

この手でプレリーの顔面を掴んでそのまま頭蓋を砕くと、きっと軽快な破砕音が響くだろう。

甘く陶酔しそうな甘美な音色、至上の快感。

「(うるさい!止めろ!!俺はそんなことはしない!!)」

ギリギリで意識を取り戻し、咄嗟に手をずらした先で触れたのはプレリーの頬。

「ヴァ…ン…?」

自分に触れるヴァンを見つめるプレリー。

強張る彼女の頬から伝わる体温が不思議と全身に回っていくような錯覚を覚える。

もしあのまま、衝動のままにプレリーの頭か喉を握り潰してしまっていたら……想像もしたくない嫌な感覚が落ちる。

「何でもない、心配してくれてありがとなプレリー…」

そして足早にこの場を後にするヴァン。

ヴァンの姿が見えなくなった直後に体を震わせながらプレリーは座り込んだ。

あの時のヴァンの発していた物は仲間に向けるような物ではなかった。

まるで、目障りな物を払うかのような…。

「ヴァンに…何が起きているの…?」

不安そうにヴァンが去っていった方向を見つめるプレリー。

不安が胸中を支配するが、オペレーターから通信が入ってブリッジに急いで戻るのであった。 
 

 
後書き
モデルOの侵食が深刻化していくヴァン 
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