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レーヴァティン

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第百五十四話 都市国家同盟その五

「じゃあな」
「おびき出すでござるな」
「ああ、テーベ軍が先に来てるな」
「そして今はアテネ軍と落ち合おうとしているでござる」
「だったらな」
 それならとだ、久志は話した。
「ここでな」
「テーベ軍をおびき出すでござるな」
「そうしたら後はアテネ軍だけだ」
 そうなるからだとだ、久志は進太に冷静な声で告げた。
「本当に各個にな」
「倒していくでござるな」
「そうするからな」
 だからだというのだ。
「ここはな」
「承知したでござる、では」
「そのおびき出し方ですが」
 順一が久志に言ってきた、このタイミングで。
「一つ策があります」
「どうするんだ?」
「敵軍に向かうのではなく」
 即ちテーベ軍ではなくというのだ。
「テーベにです」
「敵の街にか」
「向かう様にすればいいかと」
 進太が率いる騎馬隊をそちらに向けるというのだ。
「そうすればです」
「ああ、下手に挑発するよりな」
「動いてくれますね」
「自分達の街を襲われるならな」
「軍は向かわずにはいられません」
「だよな、じゃあここはな」
「進太君の騎兵隊をテーベに向かわせましょう」
 テーベ軍だけでなくというのだ。
「そうしましょう」
「それじゃあな」
 久志は順一の言葉をよしとした、そしてだった。
 進太を彼が率いる騎兵隊と共にテーベの街に向かわせた、そうしてそのうえでテーベ軍を動かすことにした。
 すると実際にだった、テーベ軍は。
「動いたか」
「うん、アテネ軍との合流を目指していたけれど」
 それがとだ、淳二がその情報を久志に話した。
「そこでね」
「合流することを止めてか」
「テーベの方にね」
「向かってきているんだな」
「そうしているよ」
「よし、じゃあな」
 それならとだ、久志は会心の声で言った。
「俺達もテーベの方に動くな」
「そうするね」
「そしてテーベの近郊でな」
「テーベ軍を破るね」
「こっちは二十三万だ」
 今自分達が率いている軍勢の数はとだ、久志は確かな声で言った。
「対するテーベ軍は二万」
「勢力圏に収めている都市国家の軍勢を合わせてね」
「二十三万と二万だとな」
「もう問題ないね」
「アテネ軍は三万だったな」 
 やはり勢力圏に収めている都市国家の軍勢と合わせてだ。
「そうだったな」
「うん、そうだよ」
「合わせて五万、五万と二万や三万はな」
「全然違うね」
「五万だと地の利を使えば勝つ可能性がまだあるさ」
「それが二万だとね」
「地の利を使ってもな」
 それを頼んでもというのだ。
「そうそうな」
「勝てないね」
「ああ、だからな」
 ここはというのだ。
「テーベに向かってな」
「敵をおびき出して」
「そしてそこで戦うな」
「多分やで」
 ここで美奈代は笑ってこう言った。 
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