| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

おぢばにおかえり

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五十八話 入学前のその二十三

「相当残酷な人じゃないの?」
「お姉ちゃんがいつも言ってる先輩って」
「そんなことないから」 
 私はこのことを断りました。
「何度も言うけれど」
「いい人なのよね」
「それも凄く」
「そう、とても優しくて穏やかで公平で」
 それが私が知っている長池先輩です。
「誰にも優しい人よ」
「誰にも優しい人がそんなことする?」
「穏やかって嘘でしょ」
「よりによって神殿で人怒ったり罵ったら駄目でしょ」
「あと待ち伏せして聞こえる様に言うとか」 
 妹達の言葉は否定ばかりでした。
「私そんなの絶対出来ないから」
「よくそんなこと思いついて実行したわね」
「相当残酷な人じゃないの?」
「どっちもかなり残酷じゃないと出来ないわよ」
「あんた達阿波野君と同じこと言うわね」 
 本当に全く同じに思いました。
「そんなことはね」
「ないの?」
「そうなの?」
「ないわよ」 
 私はそれは絶対だと答えました。
「先輩が残酷な人とか」
「いや、そんなこと残酷な人じゃないと出来ないから」
「それもかなりね」
 また妹達は私に言ってきました。
「私達そうとしか思えないから」
「お姉ちゃんよくそんな人と一年一緒にいられたわね」
「だからそんな人じゃないから」
 本当に必死に否定しました。
「あんないい人いないからあんた達にも紹介したいの」
「いいわよ、そんな怖い人」
「私達までそんな目に遭いたくないから」
 妹達の目は冷めたものでした。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧