夢幻水滸伝

　　　　　　　　　　　　　　　第百三十四話　　琉球沖の戦い
　吉川は日本軍の艦隊を率いていた、彼は綾乃の乗る八岐大蛇が上からその炎で敵の艦隊を攻撃し船を次々に沈めるのを見て言った。
「ええ感じだ」
「そうですね、空からの攻撃は」
「艦隊にも有効だ」
「それも相当に」
「この世界の艦は既に対空装備がある」
　これは空から飛んで来る兵や空船への備えである。
「高角砲や術でな」
「攻撃出来ますが」
　尾崎が言う、又吉もそこにいる。
「しかしですね」
「大蛇は違う」
「あの破壊力は」
　見れば八つの頭のうち一つを中国軍の艦隊に一つを空船に向けている、そして四つは軍勢に集中させ後の二つはそれぞれに臨機応変に向けている。
　炎や雷、冷気や毒霧がそれぞれの口から放たれる度に敵艦がかなりの損害を受け敵兵が千単位で倒されている。
　それを見てだ、吉川はさらに言った。
「桁が違う」
「戦略兵器ですね」
　又吉もこう答えた。
「大蛇は」
「まさにな、今回の戦いは中里と芥川は一騎打ちに入り」
　羅と施、それぞれにだ。
「そしてだ」
「綾乃さんがですね」
「軍の采配を執り」
　吉川は又吉に話した。
「そしてだ」
「あの様にですね」
「大蛇が戦ってくれている」
「これは大きいですね」
「その強さは絶大だ」
　戦略兵器と言うだけあってというのだ。
「あの大蛇とだ」
「綾乃さんの術もあります」
　尾崎は綾乃がバハムートを召喚するのを見た、巨大な様々な色を放つ鱗を見に纏ったドラゴンが凄まじい爆発を起こさせた。
　中国軍の兵達がその爆発で吹き飛ばされる、尾崎は彼等が一万は吹き飛ばされたのを三笠の艦橋から見て言った。
「恐ろしいですね」
「棟梁もまた同じだ」
「戦略兵器ですか」
「普段は温和だが戦になると」
「あの様にですね」
「大蛇と術で戦う」
「その術は三種の神器で恐ろしいまでに強くなっていますし」
「そう考えるとな」
　まさにというのだ。
「これだけ敵に回したくない者もいない」
「中里さん、芥川さんもお強いですが」
「二人に匹敵するかそれ以上にだ」
「恐ろしい方ですね」
「全く以て恐ろしい棟梁を持ったものだ」
　吉川はこうも言った。
「我々はな、そしてな」
「はい、他の方々も」
　見れば日本の他の星の者達もだった。
　それぞれの神具や術を使い中国の大軍に攻撃を仕掛けている、綾乃程ではないがその力は恐ろしいものだ。　
　尾崎はその戦いぶりを見て吉川に言った。
「ではですね」
「我々もだ」
「軍の采配を執り」
「こうしてだ」
　吉川はここで目の前にいる敵の巡洋艦に術を放った、落雷の術が巡洋艦を直撃し一撃で動きを完全に停止させた。
　その敵艦を観つつ二人に話した。
「戦うぞ」
「わかりました」
「それでは」
「艦隊は丁字砲火に入り」
　そのうえでと言うのだった。