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レーヴァティン

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第百五十三話 不戦勝その八

「神器を使ってもな」
「殺すべきだよな」
「そうだ、さもないとな」
「後々禍になるしな」
「殺すべきだ」
「レーヴァティンを使ってでもな」
「それが筋だ」 
 こう言うのだった。
「やはり屑はな」
「容赦したら駄目だしな」
「そうするべきだ」
「聖書のあれだな」
 久志はここでこうも言った。
「ソドムとゴモラだな」
「神の雷で滅ぼされたな」
「あの街みたいな感じでな」
「容赦なく滅ぼすな」
「ああ、俺達は神様じゃないけれどな」
 人間である、久志も仲間達もこのことは弁えていた。そしてそこから傲慢に至ることもないのである。
「それでもな」
「屑は容赦しないな」
「同性愛はどうでもいいけれどな」
 ソドムとゴモラはこうしたものが蔓延っていたという、ユダヤ教では同性愛は絶対に否定されるべき悪徳の一つとされているのだ。
 だが久志はこちらについてはこう言った。
「俺はそっちの趣味はないけれどな」
「特にだな」
「人の好みでな」
 性的嗜好、それの一つに過ぎないというのだ。
「これといってな」
「否定するものではないな」
「っていうか悪いのかよ」
 久志は首を傾げさせてこうも言った。
「同性愛って」
「ユダヤ教やその流れの宗教ではな」
「キリスト教でもだよな」
「長い間罪とされていた」
「時代と場所によっては死刑もののな」
「実際それで捕まった人もいる」
 オスカー=ワイルドもエニグマもだ、彼等が同性愛の罪で捕まったことは歴史にもしっかりと残っている。
「あちらではな」
「俺それがどうしてもな」
「理解出来ないな」
「同性愛って罪か」
 久志は腕を組んで首を傾げさせて言った。
「それって」
「只の趣味だな」
「ああ、本当に俺そっちの趣味はないけれどな」 
 それでもというのだった。
「別にな」
「罪にするものではないな」
「そう思うけれどな」
「俺もだ、この浮島ではキリスト教も同性愛については一切言っていない」
 その同性愛に極めて否定的な宗教も存在しているが、だ。このことはこの世界のキリスト教の特徴の一つでもある。
「それに俺達の国日本ではな」
「昔から同性愛は普通だったしな」
「江戸時代はそうした店もあったそうだ」
「そうだよな」
「そして多くの歴史上の人物が嗜んでいた」
 同性愛、それをだ。
「フランシスコ=ザビエルはこのことに仰天した」
「あの人ガチガチのカトリックだったしな」
「極めて純粋な、な」
「清廉潔白でな」
「厳格でもあった」
「それでだったな」
「織田信長さんは有名だ」
 正は代表としてこの人物の名前を挙げた。
「そうだったな」
「森蘭丸とかな」
「そうだ、武田信玄さんや上杉謙信さんもだ」
「あと伊達政宗さんもな」
「極めて普通にだ」 
 それこそ罪とは全く思わずにだ。 
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