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魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

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Saga4-A届け!~One for All~

 
前書き
One for All, All for Oneの本当の意味は「一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために」だそうですね。それでも良い言葉だと思います。 

 
†††Sideヴィヴィオ†††

アインハルトさんが抱えてる悩みをどうにか解決できないか、その方法を休憩時間いっぱい使って考えに考えた。そしてわたし達は、ある1つの解決策を見出した。答えはすでにアインハルトさんが言っていたお話の中で出てきていて、あとはそれをどうにかして伝えられたらきっと・・・。

(そのためには・・・)

練習会第2戦が始まるまでにルシルさん達に伝えておくことが出来た。だから今、ノーヴェから伝えられた第2戦の青組の参加メンバーの変更を聞いたアインハルトさんが「え・・・?」と驚きました。

「ん? 聞こえなかったか? お前たち赤組はそのままだが、青組は戦力過多というわけで変更してもらった。フルバックははやてさんとシャマル先生のまま。アインス補佐官とアイリとザフィーラは離脱。で、ルシルさんがフロントアタッカーとガードウィングを兼ねる」

「あの、コーチ。それでは人数的にこちらが有利になります。1戦目は確かに私たち赤組は手も足も出ずに負けはしましたが、だからと言ってさらにハンデを貰うのは少し・・・」

「まぁ待て、アインハルト。青組の人数は減るが、その分ルシルさんには魔力出力の制限を緩くしてもらうし、射砲撃だけじゃなくていろいろと魔法を使ってもらうから、ハンデがどうとか言ってると、速攻で撃墜されちまうぞ?」

「っ!・・・判りました」

アインハルトさんがブルっと体を震わせました。さらに強くなるルシルさんと闘えることが本当に嬉しいみたい。でもこれで第一段階はクリア。アインハルトさんに青組の参加メンバーが減ることを納得してもらうことだったけど、ルシルさんの強化で上手くいった。

「よし。じゃあはやてさん、ルシルさん、シャマル先生。よろしくお願いします」

「うん!」「ええ!」

「判った」

はやてさん達が自分たちのポジションに着くために移動し始めたのを見てると、ピタッと足を止めたルシルさんが振り向いて、「割と本気でいくから、すぐに墜ちてくれるなよ?」戦意をぶつけてきた。反射的にわたし達は身構えて、深呼吸で鼓動がすごくなってる心臓を落ち着かせる。

「ルシル君。あんまイジめたらアカンよ?」

「そうよ、ルシル君。同じ女の子ならいざ知らず、男で大人なんだから」

「あと、セクハラまがいのことは絶対にアカンよ。少しでもそんな技を見かけたら、集束砲(ラグナロク)を撃ち込むからな♪」

「き、気を付けます」

ルシルさんどころかフォルセティまで怯えるはやてさんの笑顔。はやてさんとシャマル先生が先に行ったのを見送った後、「ジークリンデの関節技なども盛り込もうと思ったが、俺も命が惜しいからやめておくよ」ルシルさんはそう言って苦笑い。

「さぁ、楽しい練習会しようじゃないか。ヴィヴィオ、コロナ、リオ、ルーテシア、リヴィア・・・アインハルト」

そうしてルシルさんもポジションに着くために去って行って、わたし達も「それじゃあ私たちも移動しよっか」ルールーの言葉に頷いて、それぞれのポジションに着いた。そこで防護服に変身して、準備完了だ。

『では、午前最後の第2戦目。開始5秒前!』

『4!』

『3!』

『2!』

『1!』

『『『『試合開始~♪』』』』

メガーヌさんとアイリとアギトとリインがカウントして、開始の合図としてアインス補佐官が銅鑼を鳴らしました。

――舞い振るは汝の獄火(コード・サラヒエル)――

それと同時、わたし達に向かって蒼く燃える炎の槍の雨が降ってきて、ルールーが「散開!」って指示を出した。ルシルさんの魔力出力の制限が緩くなってるから、その威力も高くなってる。だからわたしとコロナとリオとアインハルトさんはその場からすぐに離れる。

『私とリヴィアは、ここで待機しておく! ヴィヴィオ達4人でルシルさんを撃墜して!』

『少しでも温存して、はやてさんとシャマル先生を叩くからね!』

それが作戦の1つでもあるからわたし達は「了解!」って応じて、さらに追加される炎槍の雨を躱し続けながら、「おおおおお!」ルシルさんの元にダッシュ。

――ケレリタース・ルーキス――

『支援攻撃行くよ!』

――ハーツイーズクロスファイア――

転送スキルによってルシルさんのすぐ側にリヴィの射砲撃が転送された。リヴィも出力制限が掛かってるから魔力弾も砲撃も本来に比べてその数が少ないけど、それでも至近距離に転送されるのは変わらずな所為で防御も回避も難しいいやらしいコンボだ。

「コロナ、リオ、お願い!」

「「うん!」」

ルシルさんが菫色の魔力爆発に飲まれたのを視認。ルシルさんへリヴィの追撃が続く中、コロナが召喚魔法陣を展開して、クリスタルのコアを足元に落とした。コアは地面の中に吸い込まれていって、「創主コロナと魔導器ブランゼルの名のもとに!」って詠唱。すると地面が盛り上がって、コロナの後ろに大きなゴーレムが出来上がった。

「叩いて砕け、ゴライアス!」

コロナの準備が整ったのを見て、今度はリオが「次はあたしの番!」って地面を思いっきり踏みつけた。そして地面に走った亀裂に両手を突っ込んで、「うおおおおおお!」大きな岩盤を持ち上げた。

「コロナ! お願い!」

「うん! ゴライアス!」

リオの持ち上げた岩盤をゴライアスがひょいっと持ち上げて、リオはさらに岩盤を持ち上げた。

「「龍王破山墜!!」」

リオとゴライアスが岩盤をルシルさんに向かって放り投げると同時、リヴィの追撃が止まった。魔力爆発によって発生した煙の中に2つの岩盤が吸い込まれていって、ドォーン!と轟音と振動が起こった。

『ルシルさんがこれで終わるわけない! 追撃用意!』

ルールーの指示にわたし達は「了解!」って応じて、ルシルさんに接近戦を挑むために突っ込む。ルシルさんは1対1でアインハルトさんを撃墜できるような格闘戦技を持ってる。でも離れたら射砲撃の的にされるし、広域攻撃で一網打尽にされる可能性がある。

「リオ、アインハルトさん! わたし達3人で、ルシルさんを抑え込みます!」

「うん!」「はい!」

まずはルシルさんの状態を知る必要があるから、わたしの射撃魔法「アクセルシューター!」を4発と発射。シューターは煙を穿って少し晴らしたんだけど、そこにルシルさんが「居ない!」ことが判った。一体どこに行ったのかな?って、リオとアインハルトさんと背中合わせで三方を警戒。

『コロナ! 上!』

「「「「っ!!」」」」

ゴライアスの肩に立ち乗りしてるコロナの頭上、ビルの窓を割って飛び出してきたルシルさん。“エヴェストルム”も待機中の魔力槍や魔力スフィアもない、純粋な徒手空拳。でもコロナはゴーレム創成を基盤としたスタイルだから、ルシルさんに格闘戦を仕掛けられたら危ない。

「ジェットステップ!」

地を蹴ってゴライアスに向かって突撃。そして大きな体を駆け上がって、落下してくるルシルさんの迎撃に入る。と、その前に「コロナ。ルシルさんの着地と同時にアレお願い!」って立てた人差し指をくるくる回す。コロナはそれだけで「うん!」解かってくれたみたいで、ゴライアスの両腕を開いてくれた。

「ほう、速いなヴィヴィオ!」

「ルシルさんこそ! あそこからあの建物までどうやって移動したんですか?」

「普通に高速移動魔法で逃げただけさ」

宙で振りかぶられたルシルさんの左腕を注視しながら、わたしは周囲に魔力スフィアを待機させる。ルシルさんの突き出された拳を両腕でガードして、「てぇい!」腕を左右に開いて弾き飛ばした。ルシルさんがゴライアスの右腕に乗った瞬間。

「トルネードラリアット!」

ゴライアスの上半身だけが高速回転。わたしは回転が始まると同時にゴライアスのラリアットの攻撃範囲から離れるように後退。ルシルさんは急に右腕――足場が動いたことでグラリと体勢を崩した。体勢を立て直されるより早くアクセル「シューター!」4発を発射。

「っと・・・!」

――パンツァーガイスト――

全弾が直撃したけど、ギリギリで全身を魔力で覆う防御魔法を発動したのが見えたからダメージは入ってないはず。だけど、ルシルさんはゴライアスの体勢を立て直せずにラリアットを受けて、遠くのビルにまで吹っ飛んだ。

「あぅ~~。やっぱり乗ってる時にこの攻撃はダメだね~~」

「大丈夫コロナ?」

「なんとか~」

目を回してるコロナを心配しながらルシルさんの動きを見ていると、ルシルさんは外壁に叩き付けられる前にクルッと反転して外壁に着地した。魔法か何かで壁に対して垂直に立ってるのがギリギリ確認できた。

「ヴィヴィオさん!」「コロナ!」

アインハルトさんとリオがわたしの両側に並び立ったと同時、「っ!!」ルシルさんが魔力を全身から放出してその存在感を叩き付けてきた。コロナが「え、目が合った・・・?」そう呟いたところで・・・

――屈服させよ汝の恐怖(コード・イロウエル)――

わたし達の左右10mくらい先に蒼い円陣が展開された。ルシルさんの魔法を知るわたしは、とにかくこの場からの離脱を提案しようとしたけど、それより早くに銀色に輝くレンガで組まれた巨大な拳がその2つの円陣から飛び出してきた。あんなのに潰されたら一溜りもない。

「片方は私が止めます!」

「じゃあもう片方はゴライアスで!」

アインハルトさんとコロナが迎撃に入ってくれた。アインハルトさんは構えを取ると右拳に魔力付加。ゴライアスは右腕をドリルみたいに高速回転させた。

「覇王流・・・破城槌!!」

「スパイラルフィンガー!」

アインハルトさんの拳とゴライアスの貫き手が、イロウエルに向かって突き出されて衝突。その際の衝撃波がすごくて、破片から顔を護るために両腕でガードして耐えていると、『来るよ!』リヴィから通信が入った。

「リオ!」

「うん!」

アインハルトさんはイロウエルを砕いた右拳をブルブル振るっていて、ゴライアスは相打ちになって砕けた腕を再生中。なら、今まさにこっちに向かって跳んできてたルシルさんの迎撃は、わたしとリオでしないと。

「双龍円舞!」

リオは炎熱と電気の変換資質を持ってて、炎熱と電撃の魔法を同時に使うことが出来る。だから今、リオの側には炎と電撃の龍がいる。

――懲罰せよ汝の憤怒(コード・マキエル)――

対するルシルさんは途中のビルの屋上に炎と電撃、さらに閃光の龍を召喚。そんなルシルさんに向かってリオが「双龍砕!」龍を向かわせた。ルシルさんは飛び降りながら指を鳴らす仕草をした。すると待機してた3つの龍がリオの龍に突っ込んだ。炎の龍は炎の龍と、電撃の龍は電撃の龍と、そして閃光の龍はそのままわたし達のところにまで到達。

「ディバインバスター!」

大きな口を開けてる閃光の龍に向かって高速砲を撃ち込んで、少し怯んだところに「ロケットパァーンチ!」ゴライアスの拳を飛んできて、龍の頭を吹っ飛ばした。すぐそこまで落下してきてたルシルさんは「すまないな」と謝りながらコロナを標的にしたから、わたしとリオとアインハルトさんは、コロナのフォローに入るために跳んだ。

「やっぱり私を先に狙いますよね! でも! ゴライアス!」

ゴライアスのアッパーがルシルさんを捉え・・・られなかった。ルシルさんはギリギリで宙を蹴って方向転換。ルシルさんの表情は、狙い通り、といった感じで、狙いが「アインハルトさん!?」に変わった。ルシルさんは宙で高速前転してからの踵落としをアインハルトさんに放った。

「ぐっ! うあああああ!」

両腕でガードしたけど空中だったからアインハルトさんは地上に向かって墜落。その様子に気を取られたわたしは、ルシルさんからの「余所見注意だぞ」という警告と一緒に、「きゃう!」回し蹴りを受けちゃった。さらに回し蹴りの勢いの乗った裏拳を「きゃああ!」リオに打ち込んだ。アインハルトさんに続いてわたしもリオも地面に叩き付けられた。

「ヴィヴィオ、リオ、アインハルトさん!? 大丈夫!?」

「だ、大丈夫・・・!」

「問題ありません!」

「平気!」

地面に軽やかに着地したルシルさんからの追撃を警戒して、慌てて立ち上がって構えを取ると、ルシルさんは「ダウン中に攻撃はルール違反、だろ?」そう言って構えを取った。

「さぁ、再開だ。準備はいいかい?」

わたし達は小さく頷いて、トントンと小さくジャンプを繰り返すルシルさんの動きを注視。ルシルさんの前にはわたしとリオとアインハルトさん、ルシルさんの背後にはコロナとゴライアス。コロナがゴライアスを指差して下段蹴りの仕草をした。それだけで察したわたし達は、ジリジリと後退。

「どうした? 掛かってこないのか?」

ルシルさんが妙な足運びで近付いて来ようとしたとき、リオが片足だけ地面を強く踏みしめてバインド魔法の「雷光縄!」を発動。足元から伸びてきた放電するバインドに捕らわれたルシルさんを確認すると同時、わたしとリオとアインハルトさんは一足飛びで後退。

「グランドゲイザー!!」

身動きが取れないルシルさんに、地面を穿ちながら進むゴライアスの蹴りが襲い掛かろうとした。

「俺にもバインドはあるんだぞ?」

――闇よ誘え汝の宵手(コード・カムエル)――

ゴライアスの影から薄くて長い人の手がいくつも伸びてきて、ゴライアスの両足を拘束した。でもルシルさんもまだ拘束されたまま。このチャンスは逃せない。

「行きます!」

――ジェットステップ――

一気にルシルさんの元へ突撃して、わたしは「やあああ!」右フックを繰り出した。狙うのはルシルさんのあご。予定とはちょっと違うけど、まずは少しでもダメージを入れておきたい。でもわたしの拳は、リオのバインドを瞬時に破壊して自由になったルシルさんの右手の平に受け止められた。そしてわたしの拳を空に向かって跳ね上げたことで、わたしの右脇腹ががら空きになった。

(でも!)

ルシルさんの左フックが脇腹に入る前に、リオのスタン効果がある電撃の拳「雷光拳!」がルシルさんを襲うけど、ルシルさんは「っと!」後退することで回避。

「覇王断空拳!」

だけどその先に居たアインハルトさんの拳が繰り出された。確実にルシルさんに直撃する、そう思った。ルシルさんは前屈してアインハルトさんの一撃を空振りさせて、体を折った勢いのまま左足を後ろに蹴り上げて、アインハルトさんのお腹目掛けての踵蹴りを繰り出した。

「お? 今のをガードしたか。しかし!」

「ぐぅ・・・!」

アインハルトさんは左腕でガードしたにも関わらず数mと宙に蹴り飛ばされた。ルシルさんはすぐに体勢を戻して左拳に放電する魔力を付加した。落下し始めるアインハルトさんへの追撃だ。

「「させない!」」

「ディバインバスター!」「紅蓮拳!」

わたしとリオで砲撃による挟撃をする。ルシルさんが一足飛びでその場から離れて回避すると同時、コロナの「ロックバインド!」がルシルさんを捕らえた。地面が隆起して両足を飲み込んで、上半身は普通のロープバインドだ。

「「「はあああああああ!!」」」

アインハルトさんは空中での打ち下ろし蹴り、わたしはルシルさんのお腹目掛けて、リオはルシルさんの腰を狙っての中断蹴りを繰り出す。

「っぐ!」

入った。アインハルトさんの蹴りは左肩に、わたしとリオの蹴りは狙い通りお腹と腰に。そして最後にゴライアスの「ギガントナックル!」が直撃して、ルシルさんが巨大な拳に押し潰された。

『ライフがあんまり減ってない! 防御された!』

リヴィから通信が入るけど、今はダウン中だから手は出せない。ゴライアスの腕が退けられたことでルシルさんはゆっくりと立ち上がった。

「第2ラウンドだな」

――四方に集え汝の戦宝(コード・オファニエル)――

ルシルさんの右腕には真っ白い冷気が、左腕には蒼い閃光が、右脚には蒼い炎が、左脚には蒼い電撃が付加された。

「君たちを相手にするために新しく組んだ術式だ。楽しんでもらえると嬉しいよ」

とても光栄な話でありながらも迷惑でもあったりするよ・・・。ルシルさんは構えを取って、小さくジャンプを始めた。あれは突撃のタイミングをわたし達に計られないためのものらしい。ルシルさんの四方に位置取ってるわたし達の誰が最初のターゲットになるか。

(やっぱり・・・)

チラッとアインハルトさんを見た瞬間、ルシルさんが動いた。狙いはやっぱりアインハルトさんだった。アインハルトさんの意識を変革させる。それがわたし達の目標だ。そのためには強敵であるルシルさんを、みんなで協力して倒す必要がある。だから申し訳ないけどアインハルトさんには、ちょっと苦戦してもらわないといけなくて・・・。

「破っ!」

強く光る左ストレートを繰り出すルシルさん。アインハルトさんは掲げた両腕でしっかりガード。反撃に出るアインハルトさんのフォローをするためにわたし達は駆け出した。アインハルトさんの右ストレートを時計回りに1回転することで捌いたルシルさんは、アインハルトさんの軸足の膝裏を軽く踏んで体勢を崩させて、上半身が反ってる中でお腹に左拳を振り下ろすと同時、直撃と同時に魔力を爆発させた。

「「「アインハルトさん!」」」

地面に叩き付けられたアインハルトさんが起き上がろうとしてるのを見てホッとする。でも、ダウン中のアインハルトさんへの攻撃は出来ないから、ルシルさんがわたし達の方に体を向けた。そして両肘がグッと後ろに引かれると、両腕に付加されてる冷気と閃光がひと際強くなった。

「砲撃が来る!」

――凍て砕け汝の氷槍(コード・サルツィエル)――

――煌き示せ汝の閃輝(コード・アダメル)――

「ゴライアス! お願い!」

――ダブルロケットパンチ――

突き出された両拳から放たれた直射砲。コロナの指示でゴライアスは両腕を砲撃に向かって発射。両腕と2発の砲撃は激突して、右腕は氷漬けに、左腕はバラバラに吹き飛んだ。どっちを受けても戦闘不能になりそう。とにかく、さっきみたいに挟撃するためリオと一緒に駆け出す。ルシルさんはわたしとリオを交互に見た後、リオに向かって突撃。

「あわわ! お、お願いします!」

「こちらこそ!」

リオの元に行こうとしたんだけど、アインハルトさんの様子がおかしいことに気付いて足を止めた。上半身を起こして両手を地面に付いてるけど、フラフラしてる。

『こちらルーテシア。ヴィヴィオ、アインハルトをリヴィアのところにまで連れてきて。さっきの一撃でライフが危険域ギリギリ』

「わ、判った!」

『リオ、コロナ。ヴィヴィオが戻ってくるまで2人でルシルさんを抑えて』

「な、なんとかやってみる!」

「でも、出来るだけ早く!」

リオがルシルさんと直接殴り合って、コロナとゴライアスがサポートすることで、ルシルさんを抑えてる。そんな2人に「待ってて!」って伝えてからアインハルトさんの元へ。

「アインハルトさん、いったん下がります!」

「だ、ダメです、ヴィヴィオさん。・・・まだ、戦えます・・・」

「いいえ。今は下がってください。ここで脱落しちゃうのはもったいないです」

アインハルトさんに肩を貸して、そのままルールーの居るところまで一緒に向かう。その間、ルールーがリオ達の交戦映像を観せてくれる。わたしとアインハルトさんはモニターから目を離さずに、ルシルさんの動きをしっかり観察。

「下げた右腕はジャブやアッパー、曲げた左腕はストレートとフック・・・」

「コロナさんとリオさんには感謝してもしきれません・・・」

ルシルさんの格闘を遠くからじっくり見ることで、その技や間合い学べる。ギアチェンジをされるとその速度は変わるけど、間合いだけは変わらない。今のわたしならカウンターを打ち込めるかも。

「ヴィヴィオ、アインハルトをこっちに! 私が回復する!」

途中ではやてさんとシャマル先生を警戒してるフリ(アインハルトさん以外は仕掛け人だから)をしてるリヴィと合流して、「お願い!」アインハルトさんを託す。アインハルトさんが復帰するまではルシルさんも力を抑えてくれるはず。

「まずは! クーア・アオゲンブリック!」

リヴィが治癒魔法を発動して、わたしとアインハルトさんのライフが一気に回復。さらに「クーア・アウスダウアー!」もう1つの治癒魔法を発動。それは一定で回復魔法が発動される優れモノ。

「アインハルト、いける?」

「・・・はいっ、いけます!」

さっきまではフラフラだったけど、万全の状態にまで回復できたアインハルトさんは軽く動かした後でリヴィに力強く頷きました。

「行きましょう、ヴィヴィオさん。コロナさんとリオさんが待ってます」

「はい!」

コロナ達と合流するために、わたしとアインハルトさんは駆け出した。 
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