ロックマンZXO~破壊神のロックマン~
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第十六話 因縁の存在
前書き
ゲームでは意外と印象に残るボスだからなのか漫画版でも意外な活躍をしたフォルスロイド。
モデルPの手裏剣はシールドブーメランのようにしてくれよと思った私でした。
シャッターを開いて潜り抜けた先は大型UFOキャッチャーの中であり、UFOが未だに動いて景品のぬいぐるみやお菓子を穴に落としていた。
「思い出すな、昔…エールが欲しいぬいぐるみが取れないって泣いておばさんに金をねだってたよな」
「ちょっと!何で今になってそんなこと思い出すの!?」
ジルウェとプレリーが聞いていると言うのにそんな幼い頃の黒歴史を暴露するとは。
『それで、お目当てのぬいぐるみは取れたの?』
「プ、プレリー!そんなこと聞かないで!!」
「十回くらいやって駄目だった。俺が景品のお菓子を取る時に偶然…本当に偶然引っ掛かったから、それをエールにやったんだ」
『ふふ、そうだったの』
小さいエールが欲しいぬいぐるみを取れずに泣いて、それを偶然手に入れたヴァンがそれをエールに渡す姿を想像して笑ってしまった。
『ああ、お前を引き取る時にお前が暮らしていた家の物を回収する時に部屋に妙に他と扱いが違うぬいぐるみがあったけどそれだったのか』
ジルウェもエールの部屋に現在でも飾られている他のぬいぐるみの中でも一際古いぬいぐるみを思い出した。
「~~~っ!もう!ほら、ヴァン、行くよ!!」
「ん?何怒ってんだよエール?」
「あんたが怒らせるからでしょ!?」
「怒ると腹が減るぞ?飴玉でも食って落ち着けよ」
景品のキャンディをヴァンは一つ口に含んで、もう一つ差し出すとエールの頬が更に膨らんだ。
「な、何いきなりキャンディって!?子供扱いしないでよ!」
「要らないのか?じゃあ俺が食う…あ」
「…要らないなんて言ってない」
ヴァンからキャンディを奪い取るとそのまま口に放り込む。
ムスッとした表情でキャンディを口の中で転がしていたが、自然とキャンディの甘さで緩んでいく。
その幼なじみ特有の微笑ましさにプレリーとジルウェの小さい笑い声が聞こえた。
すると、ヴァンの足元にある一つのぬいぐるみにエールが気付いた。
「あ、それって妖精シリーズのパッシィじゃない?」
「パッシィ?」
『何ですって!?』
「「!?」」
『し、司令官…?』
プレリーの声に二人とジルウェは驚く。
『ね、ねえ…ヴァン…パッシィのぬいぐるみ…回収してくれない?』
「お前…まだ溜め込むつもりなのか?」
「流石にあれ以上は…」
『お願い!パッシィは思い出のサイバーエルフなの!そしてパッシィで妖精シリーズはコンプリート出来るの!だからお願い!!運び屋への依頼として出すから…お願い…』
「う……了解」
「俺、もう運び屋じゃないんだけどな…まあいいか、一匹だけなら…」
パッシィのぬいぐるみを回収して先に向かう。
ちゃっかりと景品のお菓子も回収しながらだが。
「(あれ、妖精シリーズって確か限定品や季節限定品を合わせて何百種類ものぬいぐるみがあったような…あれでコンプリートってことはプレリーの部屋があんな状態だったのも納得かも)」
途中で妖精シリーズの種類を思い出してエールは何故プレリーの部屋がぬいぐるみで埋め尽くされていたのかをエールは理解した。
途中のメカニロイドをヴァンがアルティメットセイバーを構えて突撃して両断、後方からエールがZXバスターでヴァンが仕留め損ねた敵を狙撃しながら突き進む。
邪魔なメットールはダッシュジャンプで飛び越えながら先に進み、梯子を駆け登って上へ行くと更にメカニロイドが道を阻む。
「邪魔をするなっ!!」
ヴァンがチャージを終えたバスターショットを構えてチャージバスターを発射する。
「ダブルロックオン!モデルHX!!」
モデルHXのエアダッシュで攻撃をかわしながらダブルセイバーでヴァンが仕留め損ねたメカニロイドを真っ二つにする。
そして奥の梯子を降りると、凄まじい突風が吹き荒れる。
「凄い風…!」
「モデルHXのエアダッシュやモデルOのダブルジャンプでも届かないから…あの気球を使って向こうまで行くぞ!」
「分かった!行こう!!」
エアダッシュとダブルジャンプで気球を乗り継いでいき、奥のシャッターを潜ると、子供の遊具が散乱している場所に一体のイレギュラーがいた。
「ヒャハッ!良くここまで来たな。歓迎してやるぜガキ共、これから思い出の場所で無敵の力を手に入れる手伝いをしてくれんだからなぁ。ヒャハッ!最高だぜ!」
「…思い出の場所?」
イレギュラーの言葉に引っ掛かる物があったが、更に気になったのはこのエリアがあのイレギュラーにとって特別な場所らしいことが気になったヴァン。
イレギュラーは上機嫌なのかあっさりと白状した。
「十年前、イレギュラーだった俺はここで大暴れして、セルパン様の目に留まったのさ。今じゃセルパン・カンパニーの幹部の一人ときた!サイコーだぜ!ヒャッハァ!」
「何ですって…十年前に…?」
それを聞いたエールの表情が怒りで染まる。
「じゃあ、あんたなの…?ここでみんなを…母さんやおばさんを…許さない…っ!!」
「…良いことを聞いたよ…俺達はここで…十年前の借りを返せるってわけだ!」
ヴァンも激しい怒りを抱きながらイレギュラーを睨む。
二人は、一気にイレギュラーを仕留めようとしてイレギュラーに飛び掛かるが…。
「ヒャハ?俺とやろうってのか?面白え!フォルスロイドに生まれ変わったパープリル様の力、見せてやるぜ!ところで俺ばかり見ていて良いのかぁ?足元が危ねえぜ?」
「「!?」」
パープリルの言葉と同時に二人の足が地面から飛び出した手に掴まれ、二人は勢い良く転倒した。
「あら、ごめんなさい?でも足元には気を付けないと駄目よ?」
飛び出してきたマンドラゴにヴァンとエールは何とか手を払って距離を取るが、パープリルとマンドラゴに挟み撃ちにされたような状況になってしまう。
「お前…復活したイレギュラーだな?」
「ええ、その通りよ。私はノービル・マンドラゴ。破壊神の器であるあなたを迎えに来たわ。さあ、私達と共に行きましょう。そして破壊神となって世界に絶望と恐怖に満ちた理想郷を創りあげましょう?」
ヴァンに手を差し出すマンドラゴにエールはZXセイバーを構えて突撃した。
「どいつも…こいつも…っ!アタシ達の思い出の場所を汚すなぁ!!」
「ふふ、可愛い子ね」
床に穴を開けて潜るマンドラゴ。
エールが振るったセイバーは容易くかわされてしまう。
「!?どこから…」
「そんなあなたにはこれをご馳走するわ」
「きゃあっ!?」
蜜を飛ばしてエールに付着させると次の瞬間、虫型のメカニロイドが大量にエールに迫る。
「何!?」
「ヒャハッ!こりゃ凄え」
ヴァンは何が起きているのか分からず目を見開き、パープリルは感心したように呟く。
「…っ、こんのぉっ!!」
メカニロイドとは言えあまりにも大量の虫に一瞬生理的嫌悪を抱いて顔が恐怖で引き攣るが、バスターを構えてチャージバスターで一掃する。
「エール!そいつの蜜にメカニロイドが引き寄せられてるんだ!早くそれを振り払え!!」
「余所見たぁ、余裕だなぁっ!!」
「チッ!!」
こちらに爆弾を放り投げるパープリル。
それをかわしながらバスターを向けてチャージバスターを放つが、見た目によらず身軽でトリッキーな動きでヴァンの攻撃をかわしていく。
「よくもこんな物をかけてくれたわね!許さないんだから!!ダブルロックオン!モデルFX!!」
モデルFXに変身して蜜を蒸発させるとマンドラゴにナックルバスターを構えてショットを連射する。
マンドラゴは何度も地中に逃げてショットをかわしていき、飛び出した瞬間に高速回転しながら突進してきた。
「…来なさい!真っ向から受け止めてやるわ!!モデルF!フルパワーよ!!」
「おう!」
両手を前に突き出して突進を真っ向から受け止める。
いくらか後退したものの、マンドラゴの動きを止めることに成功した。
「メガトン…クラッシュ!!」
チャージを終えたナックルバスターによるパンチを勢い良く突き出してマンドラゴを吹き飛ばす。
「きゃあっ!?」
吹き飛ばされたマンドラゴは勢い良く壁に叩き付けられた。
「そらあっ!!」
パープリルはヴァンに勢い良く砂を投げつける。
たかが砂だが、フォルスロイドのパワーで投げつけられた砂はまるで散弾のような威力を持っている。
まともに受ければダメージは免れないが、ヴァンはダブルジャンプでパープリルの真上を取り、セイバーによる回転斬りを繰り出してパープリルの体を削った。
「ヒャハァッ!やってくれるじゃねえか!!」
体を変形させて巨大円盤となって縦横無尽に動き回る。
「っ……」
ヴァンはダッシュジャンプとダブルジャンプを上手く使ってパープリルの突進をかわしていく。
ダメージから復帰したマンドラゴも種を植え付けてハエトリソウとテッポウユリを咲かせる。
ハエトリソウがエールの動きを制限し、テッポウユリが弾を発射して狙撃してくる。
「てえいっ!!」
モデルHXに変身してダブルセイバーでそれらを破壊しながらマンドラゴとの距離を詰めようとするが、マンドラゴは再び高速回転しながら浮上してエールの真上を取り、そのまま落下してきた。
「っ!!」
それをかわそうとしたが、遅く成長したハエトリソウがエールの足を拘束し、動きを封じた。
「残念でした」
「ああっ!?」
高速回転中のマンドラゴの急降下攻撃をまともに受けたエールは勢い良く吹き飛ばされて地面に叩き付けられる。
「エール!!」
「どこ見てやがんだぁ!?」
エールに気を取られたヴァンにパープリルの爆弾が直撃する。
「ぐあっ!!」
吹き飛ばされはしなかったが、ダメージを受けるヴァン。
パープリルとマンドラゴはどちらもトリッキーな動きで相手を撹乱しながら戦うことを得意とするためか、今までのフォルスロイドや復活レプリロイドと比べてどこかやりにくかった。
「(くそ、今までは正面から挑んでくる奴ばかりだったけど、こいつらは戦いにくいな…でも、負けるわけにはいかない!!)」
家族の仇を討つために、そしてこれ以上自分達のような人を出さないためにも。
ヴァンはセイバーのチャージをしながらパープリルに突撃した。
「ヒャハハハッ!勝てねえからって自棄になりやがったかぁ!?」
パープリルはヴァンを嘲笑いながら爆弾と砂を連続で投げつける。
爆弾の直撃を受けてアーマーの一部が破損し、砂を浴びて更に傷が広がるが、ヴァンはダッシュでパープリルとの距離を詰めた。
「ヒャハッ!?」
「うおおおおおおっ!!!」
捨て身のチャージセイバーがパープリルに炸裂した。
そして一方のエールも痛みに体を震わせながら立ち上がる。
「負ける…もんか…っ!ここはアタシ達の思い出の場所…あんた達なんかに荒らされてたまるもんか!モデルL!力を貸して!!」
「ええ、勿論よ。強烈なのをお見舞いしてやるわ」
「ダブルロックオン!モデルLX!!オーバードライブ!!」
モデルLXに変身するのと同時にオーバードライブを発動し、専用武器のハルバードを一閃すると、冷気が迸った。
「あらあら…まるで着せ替え人形だわ…もう一度あなたにご馳走してあげるわ」
蜜を飛ばそうとしてきたが、次の瞬間に蜜が凍り付いた。
「!?」
「私の氷の力を舐めてもらっちゃ困るわ。あなたの汚物を凍らせるなんてわけないわ」
モデルLの不敵な声が響き、ダッシュで距離を詰めたエールは動揺しているマンドラゴの胸をハルバードで貫いた。
「がは…っ!?」
「これで終わりよ…!!」
オーバードライブで氷属性が付加されたハルバードの冷気によってマンドラゴの体は瞬く間に凍結し、エールはモデルZXに変身するとチャージを終えたバスターを向けた。
「いっけええええっ!!」
チャージバスターがマンドラゴの氷像に直撃し、木っ端微塵にする。
一方のヴァンも捨て身のチャージセイバーを受けて動きが鈍っているパープリルに怒濤の攻めを喰らわせていた。
「はあっ!!せいっ!はっ!とうっ!!」
セイバーによる空中での回転斬りから三連擊をまともに受けたパープリルは膝をついた。
「ヒャハハッ…やるじゃねえか…流石、破壊神の器と言われてるだけのこたぁあるな…」
「終わりだパープリル」
セイバーを振り下ろそうとしたヴァンだが、パープリルは目を発光させると、天井が開いて一つの檻が降りてきた。
その檻の中にいる人物に二人は驚愕することになる。
後書き
次回は…破壊神の力の片鱗
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