女子高の男子生徒
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第二章
「お年頃ですよね」
「だからですか」
「そうした方もと思っていたところに」
「これはという子がですか」
「いたので」
「いいとですか」
「不安が消えました、すぐに」
美緒は顔を赤らめさせてかつ目をきらきらさせて話した。
「そしてすぐにです」
「まさかと思いますが」
「彼に告白しようと」
「入学したばかりの子にですか」
「いけませんか」
「恋愛は不純でなければいいです」
栄子はこうした考えだ、そしてその考えをそのまま美緒にも述べた。
「それならば」
「それでは」
「ただしです」
栄子はこう言うことも忘れなかった。
「入学してすぐとはあまりにも早急では」
「ですが私も十七歳で」
「そうしたお年頃なので」
「あの、手をつなぐ位はいいですよね」
「校内では自重されて下さい」
栄子は校則から答えた。
「くれぐれも」
「それでは」
「はい、ですが」
ここでまた言う栄子だった。
「真面目な貴女がそうですと」
「実はクラスではもう」
「そうですか、全く以て不安です」
真面目だと思っていた美緒がいきなり恋の病に罹っていた、これではというのだ。
そして実際にだ、校内の空気は一変した。これまでは女の園であったのが至るところにカップルが見られる様になっていた。
それでだ、栄子は言うのだった。
「伝統だのあれこれ言うつもりはないですが」
「それでもですか」
「今現在の状況は」
「校内のそれは」
「カップルだらけで。男子生徒の取り合いも行なわれているそうで」
「はい、もうです」
「男子生徒は全体の二割ですので」
周りにいる先生達が栄子に応えた。
「女子生徒自身で取り合いも頻発しています」
「三角関係、いえ、女子生徒三人での四角関係も」
「五角関係すらあります」
「全く。ですが」
それでもとだ、ここで栄子は教師達を見てこうしたことを話した。
「皆さんご承知ですね、教師と生徒は」
「流石にそれはないです」
「幾ら何でも」
「生徒と教師ですから」
「そこまではです」
「ありません」
「そこはご注意を。私は結婚していますが」
実は家では良妻賢母で娘が一人いて丁寧に育てている。
「それでも間違いにはご注意を」
「わかっています」
「ですが男の子がいると違いますね」
「本当に校内の雰囲気が一変しました」
「華やかになりましたね」
「あちこちでカップルが出来て」
「来年うちの娘も入学する予定なのに」
栄子の娘は実は中学三年だ、そしてこの崖運の中等部に通っていて成績的にも高等部に普通に通れる状況なのだ。
「これでは」
「まあそう言われずに」
「今は不純異性交遊も起こっていませんし」
「健全な恋愛ならいいですね」
「これでは」
「まあそうですね」
栄子も不承不承ながらも今の状況を受け入れることにした。だが。
当の入学した男子生徒達、争奪戦でそれこそ片っ端から彼女が出来た彼等は密かに彼等だけで話をしていた。
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