仮面ライダーの力を得て転生したったwwwww
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語られない幕間‐2
前書き
第9話と第10話の間の話です。
「はぁ!!」
『グギャァ!?』
「ふっ、はっ!!・・・・・・でやあああ!!」
『◼◼◼ッッ!?』
『ギギギィッ!』
ウォズが変身した姿ーー『仮面ライダーウォ ズ ギンガファイナリー』は、自身に対し迫り来るアラネクアワーム、コブラロイミュード、パラドキサアンッドを露払いの如く腕を軽く振る。手から擬似惑星弾エナジープラネットが放たれ、3体の怪人は激しく火花を散らし、壁を突き破り広げた瓦礫の山まで吹き飛ばされる。
悠々と彼等へと歩みを進めるウォズGF。体勢を立て直したパラドキサアンデッドが、腕に生えた鎌の刃を振るう。 厚い鉄板をも切り刻むその斬撃は、彼の手を生み出される重力によって届くことは無い。
『◼◼ッッ!?』
「はァっ!!」
パラドキサアンデッドの腹部に拳がめり込み、仰け反る。 息も継がせずに襲いかかるコブラロイミュードとアラネクアワーム。
「はぁ!!・・・・・・ふんっ!!」
『◼◼ッッ!』
『きしゃぁっ?!』
だが、その攻撃はウォズGFには届かず、アラネクアワームの攻撃を捌くと脊髄部分に裏拳を打ち込み、コブラロイミュードには胴体に鋭い蹴りを放つ。風船のように宙を舞い、ボールのようにコブラロイミュードが地面に激しく転んで行く。
『◼◼ッッ!!』
『シャァッ!!』
「うぐっ!」
コブラロイミュードは立ち上がると手を広げ、『重加速』を展開する。 直後、当たり一辺が、ウォズGFやパラドキサアンデッド、アラネクアワームをも巻き込み、どんよりの感覚に襲われる。
「(重加速か・・・・・・だが)」
それも、ウォズにとっては想定の範囲内。彼がゆるりとした速度で指を軽く弾く。 すると、重加速現象が打ち消され、身体の自由が効くようになる。 コブラロイミュードには想定外の事だったようで、眼の前の敵に畏怖するかのように後退りする。
「お逝きなさい」
《Finally BEYOND The TIME!》
ビヨンドライバーのハンドル部分を再び展開し、待機音が流れる中、ウォズGFはそれを前へと向ける。
《超 GINGA EXPLOSION!!!》
本能的な危険を感じ、それをさせまいと突っ込んでくるコブラロイミュードとパラドキサアンデッド。 アラネクアワームはクロックアップを展開する。 だが、時すでに遅し。
ウォズGFの頭上に広大な星星の雲が立ち込め、ソコから隕石や惑星を模した物体が流星群のように降り注ぐ。 コブラロイミュードとパラドキサアンデッドは為す術もなく塵芥と化し、クロックアップにより数弾は回避したアラネクアワームも全てを捌ききれず直撃し、爆散した。
「ギンガファイナリーは、宇宙の力を持った仮面ライダーの力」
元々は、仮面ライダーギンガの力をライドウォッチに吸収したのがこのギンガミライドウォッチだ。 幾ら時間の流れを操り、時間を歪めようとしても、時の概念が存在しないギンガには余りにも無力。 機械生命体だろうと、不死の生命体だろうとその根源の源である宇宙には通じない。
少々邪魔が入ったが、索敵を再び始めようとビヨンドライバーに手を掛けた時。
「あれぇ〜?もうやられちゃったの? お兄さん強いんだね!!」
幼くも、ぞわりと撫でられる感覚。 ウォズは反射的にドライバーに手を掛けていた右手で、後方に衝撃波を飛ばす。 声の持ち主はそれを悠々と交わし、華麗に着地する。ウォズは立ち込めた煙から晴れて現れたその正体を見て困惑を隠さない。
腕の大部分が袖に覆われ、ショートパンツと黒ブーツに身を包んでる。 だが、その顔は大人と言うには余りにも幼い。と言うよりも子供その物だ。
ぷくっと膨らませる少女に、最大限の警戒を隠さずウォズは問う。
「君は何者なんだい。どう見ても、この世界の人間には見えないが」
「お兄さんもそれはお互い様だね!♪ わたしはタイムジャッカーの’インフェ’!」
タイムジャッカー。彼女はそう言ったのか。タイムジャッカーとは時間に干渉する犯罪者集団の名称であり、我が魔王らと王座を争った敵組織だ。 最終的にはスウォルツ氏の敗北によって実質消滅したかに見えたが・・・・・・。
残党が居たという事を念頭に入れつつ、更なる情報を引き出そうとウォズは問い続ける。
「君の他にも仲間が居るのかい?」
「うん! お友達ならいーぱいいるよ!」
「では、もう1つ聞こう」
それこそ、ウォズがこの世界に来た理由。無視の出来ないその疑問を口にする。
「私達の世界に'孔'を生み出したのは、君たちの仕業かい?」
ーーーーー
2020年、2月4日。
時は1週間・・・・・・否、あちらでは3日前に遡る。
替え玉の王として祭り上げられるも、その人の良さで枷に縛られない平成ライダー達に認められ、最高最善の未来を作りだした常磐ソウゴ。
2068年から常磐ソウゴを殺そうと2018年にやってきて、共に戦い暮らす中でソウゴの親友となった明光院ゲイツ。
実の兄であるスウォルツに記憶を奪われ、ゲイツと共に2068年からやってきたツクヨミ。
そしてQuartzerのメンバーとして家臣の振りをしていたが、ソウゴに惹かれ、Quartzerを裏切り真の家臣として忠誠を誓ったウォズ。
タイムジャッカー、Quartzer、加古川飛流との戦いを乗り越えて、彼等は新たな時代の日々を穏やかに過ごしていた。
あの日までは。
ソウゴの住まいであり、ゲイツやツクヨミ、ウォズが居候先としている『クジゴジ堂』。ソウゴの保護者である常磐順一郎の朝食を嗜む中で、何となく付いていたニュース番組。その画面の向こうで、キャスターが慌ただしそうに動いてる。
『続いてのニュースです。本日、突如として空を割くように生まれた穴が現れました。 この孔は日本の空を覆うようにできており、孔が発生した原因は分かっておりません。この孔は日本全国のみならず、世界各国においても確認されておりーーー』
「孔だ!」
「孔だな」
「孔・・・・・・よね」
「孔だね」
箸を置き、ニュース番組に食いつくソウゴと、それらに続くように彼等は一言ずつ述べる。
「ねぇウォズ、この孔が空く現象て何?」
「穴あき雲現象、と呼ばれる自然現象の類だね。 オカルトの界隈ではワームホールがとか、異界からの交信に使われるなどと言われてるが」
「・・・・・・いや待て。お前なんでそんな事知ってるんだ」
「私とて、雑食なものでね。この時代に生きると決めた以上、馴染む為にも本は欠かさないさ。知識は水とも言うだろ?気分転換にどうだい、ゲイツ君」
「誰が読むか」
手を差し出して誘いをしてくるウォズを、ゲイツは一蹴する。 元々はレジスタンスの上司と部下という関係だったウォズとゲイツ。 ウォズの裏切りというのもあり、当時は険悪を隠さなず対立はしていたが、ソウゴが創り出す新しい未来を見たいという元、休戦協定を取り続けている。
最も似たもの同士な彼等である故に、小言の喧嘩は絶えないが。
「・・・・・・でも、この孔。自然現象で発見されてる大穴よりも明らかに大きかったわ」
ツクヨミは現代のソレよりも発達したタブレットを操作し、ソウゴらにそれを見せる。
タブレットには穴あき雲現象が起きる原因とそのサイズが記載された記事。それを読んでも、あのニュースに報道されたようなソレでは無かった。
唸る3人。だがソウゴだけは、あの孔の中に別のナニカがあると睨んでいた。根拠などはなく、ただの勘だ。だが、平成ライダーを束ねる王としての勘がそう警鐘を鳴らしていた。
「何か、ヤバい事が起こる気がする」
ソウゴの言葉に沈黙する3人。その時、灰色のオーロラが、クジゴジ堂の食卓部屋へと現れ、人の影を形成する。
仮面ライダーディケイドが使っていた、あのオーロラカーテンだ。
「敵か!?」
「まあ、待ちたまえ。 私は君達の敵じゃない」
新手の敵かとすぐさまライドウォッチを取り出そうとするゲイツ。その彼を帽子を被り、眼鏡をかけて、コートを羽織った如何にも「胡散臭い」男がそれを制す。 謎の男に、警戒は怠らないソウゴは訝しげに尋ねる。
「・・・・・・アンタは?」
「私は鳴滝。 全ての仮面ラァァァイダーーー!・・・・・・の味方だ」
「それ、語尾を伸ばす必要あったの?」
鳴滝と名乗る男のアクの強い名乗りに突っ込むツクヨミ。しかし鳴滝にとってはさして重要な事では無いようで別の話題へと切り替える。
「それで? 貴方は何故ココに来た?」
「君がウォズ君か。 クォーツァーを抜けてからと言うものの、随分と顔が丸くなったようだね」
ウォズも驚愕する鳴滝のその一言で、ソウゴ達の鳴滝に対する警戒が1層高まる。 彼が元クォーツァーであったのは、ココに居るソウゴ達と今なおどこかで歴史を見定めてるクォーツァーだけだ。 そんな限られた1部の人間しか知らない情報を知る鳴滝という男に、彼等には不気味ささえ感じていた。
そんな鳴滝は改まった表情で、ソウゴ達に目線を向ける。
「さて・・・・・・私がここに来た、理由についてだったね」
鳴滝はひと呼吸空けて、耳を疑う言葉を口にする。
「今、とある世界を起点として滅びの現象が始まった」
「「っ!!」」
「どういう意味?」
「文字通りだ。 君達も見ただろう。空に空いた孔。 アレが滅びのカウントダウンが始まったサインだ。 既に、幾つもの世界が滅びを辿り、消滅した。 このまま何もしなければ全ての世界に孔が開き、その全てが滅ぶ事になるだろう」
「でも、手立てはあるんだよね?」
ソウゴの指摘に、鳴滝はニヒルな笑みを浮かべる。
「もちろん。元凶となっている世界は把握している。君たちの時空を行き来するマシンでは時空座標が定まらず潜航は危険を伴うが・・・・・このオーロラカーテンだけは別だ。もし望むならば・・・・・確実に君たちを届けられる」
「直接懐に殴り込んで、元凶を叩き込むってわけか」
敵の全貌が見えないということ。ありとあらゆる全ての世界を滅ぼそうとし、既に幾つかの世界滅んだこと。今までの敵とは違うスケールの大きさ。全部の情報を信じられるわけじゃないが、相手は強大であるということだけは確かだ。だが、ソウゴらは臆することなく呟く。
「分かった。世界の滅びは止めて見せるよ。分け隔てなく全ての民を守るのも、王様の役目だし」
「ジオウに同感だ。俺たちの生きる世界を、早々と何者かに奪われてたまるか」
ソウゴとゲイツの言葉に、ツクヨミもウォズも頷く。
「だが、君たち全員をその世界に送ることは出来ない。送れて一人が限度だ」
「・・・・・なに?」
眉を細め訝しげに呟くゲイツ。鳴滝はそれに無視して淡々と理由を述べる。
「ライダーの居ない世界は、消滅するからだ。消滅した世界の全てが、ライダーの存在しない世界だった」
「今もその滅びとやらが始まってないのも、私や我が魔王、それにゲイツ君とツクヨミ君という存在が抑止力となっているから。という解釈でいいのかな、鳴滝氏」
ウォズの言葉を、無言という形で肯定する。
一人を危険な目に飛び込ませるわけにはいかない。だが全員で向かえばその間に自分たちの世界が滅んでしまっているかもしれない。
どうすれば、と悩むソウゴにウォズが告げる。
「私に任せもらえないだろうか?我が魔王」
「・・・・・ウォズ」
確固たるウォズの揺るぎない目。それを見たソウゴは引き留めようとするツクヨミを制し、ウォズに向き直る。
「頼んだよ、ウォズ」
「任されましたとも、我が魔王」
「では、行くとしよう」
「気をつけてね」
「ああ」
「・・・・・待て」
鳴滝はそう呟くと先程現れたのと全く同じオーロラカーテンを創りだすと、その向こう側へと消えていく。後を追うようにオーロラカーテンを潜ろうするウォズだったが、今まで腕を組み沈黙を貫いていたゲイツがその重い口を開く。
「一度だけしか言わないから、良く聞いとけ」
「・・・・・なんだね、ゲイツ君」
「死ぬなよ。お前に死なれたら、ジオウが困るからな」
「・・・・・忠告、有難く受け取るよ。ゲイツ君」
不器用で実直なゲイツの言葉に、背中を向けながらもその言葉に穏やかな笑みを浮かべてそう呟き、オーロラカーテンを潜り抜けた。
ーーーーーー
その出来事を頭の片隅に浮かべながら、ウォズはインフェに対して返答を待つ。が。
「孔?うーん、私そんな細かいことよくわかんないや!」
タイムジャッカーの彼女でも、この世界にも顕れている空の孔は分からないらしい。それどころか、彼女はふてくされた様に頬を膨らませてウォズに抗議し始める。
「ねー、お兄さん。話は終わった?わたし退屈でももう飽きちゃったんだけどー。・・・・・殺していい?」
「引いたほうが懸命だが、やれるものなら・・・・・やってみろ、というべきかね」
ウォズGFはインフェを見据えて、戦況を把握する。インフェは腰辺りに手をかけており、服の間からは鋭利な刃物が光らせている。しかし、時間停止を使えることには変わらない。ならば。
「はあっ・・・・・!?」
右手を突き出し、インフェに何もさせないようにと重力操作を開始したその時。ウォズは自分の身体が全く動かないことにようやく気付く。
「(重加速でもない・・・・・まさかっ)」
「あら、ごめんなさいね。何やらインフェが絡んでいるから何かと思ってみれば、面白いモノがいたもので」
インフェの背後から、突如として彼女の一回りも大きい女が愉快祖そうにクスクスと笑いながら現れる。
「(新たなタイムジャッカーか・・・・・!?)」
微かに働く思考と言葉で驚愕と悪態の舌打ちを付くウォズ。胸元の開け、肩を晒し、ダメージニーソとガーターベルトという色気と欲情を駆らせる服を身にまとった少女に、インフェは殺気を隠さずナイフを向ける。
「なんで邪魔したの、’アウァールス’」
「そうかっかしないで、インフェちゃん。用が済んだら直ぐに立ち去るから」
そう言うと、アウァ―ルスと呼ばれた少女はハイヒールの音を立てながら、未だ時間停止しているウォズGFへと歩み寄る。
「さて・・・・・なぜこの世界に仮面ライダーがいるのかは興味はあるけれど・・・・・」
アウァールスは舌を出して自身の唇付近を舐め回し、手に持った4つのブランクウォッチをウォズGFの身体に押し付ける。
「ぐっ・・・・・!?ぐあああああああああああああああああ!?」
直後、ウォズの身体を不愉快な感覚が襲う。まるで、自分そのものを何者かに奪われるような感覚。時間停止に晒され、抵抗することも敵わない。やがて彼から力を奪い取ったのか、ブランクウォッチはそれぞれ邪悪な光を帯びて変化を遂げる。
対象にウォズは力の殆どを奪われ、仮面ライダーウォズの姿からウォズへと変身解除され、彼は地面を這いつくばる。
「せめて、私の力になれることを光栄に思いなさい。・・・・・フフフッ、アハハハハハハハッ!」
道化の面相が剝がれたような、悪女の高笑いを上げて、アウァールスは地に付したウォズには用はないと言わんばかりに背を向けて歩き出す。インフェとすれ違う刹那、彼女は小柄な彼女目線に合わせて、
「要は済んだわ。後は好きにしなさい」
とだけ述べて、この場を去る。
ここに居るのは五体満足のインフェと、力を奪われ満身創痍となったウォズ。今の彼なら、撤退もできず彼女に倒されるだろう。
ーーーここまでか。
諦念を含みながらも、そう覚悟したウォズ。だが、己を引き裂く凶刃はいつまでたっても振り落とされない。ナイフをしまうインフェに対して、息を切らしながらウォズは問う。
「・・・・・何故トドメをささない」
「今のお兄ちゃんを殺しても、つまんないんだもん」
インフェの表情からは、先程まで感じた殺意を全く伺えない。余程アウァールスが水差しに来たことに腹を立てたのだろう。インフェは背を向けて、伝えたいことを思い出したようにウォズへ視線を向ける。
「またね、お兄ちゃん。今度はちゃんと殺し合おうね」
それだけ伝えると、インフェもまた、この場から姿を消した。
誰もいなくなった場所で、ウォズは重い身体を寝返らせ仰向けとなる。
まずい状況になった、とウォズは自嘲気味に思う。シノビ、クイズ、キカイ、ギンガの力をあろうことかタイムジャッカーの手に渡らせてしまった。
力が入らない。意識も朦朧とする。
「(すまない・・・・・・我が、魔王)」
「お、お兄さん!?大丈夫ですか!?」
「おい、しっかりしろ!おい!」
自分の存在に気付き、誰かが声を掛けている。そう思い口を開きかけるが、やがてその声も次第に遠くなり始め遠くなり、ウォズはその意識を手放した。
後書き
I
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