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夢幻水滸伝

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第百三十一話 琉球を出てその九

「ホッキョクグマも」
「シロクマでおじゃるな」
「こうした生きものはどの動物園にもおるかな」
「そしてこの動物園にもでおじゃるな」
「そうみたいやな、それで起きた世界におらん生きものやと」
 中原はこちらの話をここで詳しくした。
「リュークロコッタとかマフーとか」
「そうしたのもいるでおじゃる」
「それと僕等が起きた世界やと絶滅した」
「ナウマンゾウやオオツノシカもいるでおじゃる」
「オオナマケモノも」
「オオアルマジロもいるでおじゃる」
「この目で見られるとか」
 絶滅した生きもの達をとだ、中原はモアを見つつ話した。
「凄いことやな」
「この世界ならではでおじゃるな」
「流石に恐竜はおらんけど」
「あれは数が少ないうえに滅茶苦茶強いでおじゃる」
「大きさはドラゴン並やしな」
「並の冒険者では太刀打ち出来ないでおじゃる」
 そこまで強いのだ、だから捕えるだけでも一苦労で飼育するなぞそれこそ相当な腕の獣使いでないと無理なのだ。
「だからでおじゃる」
「普通の動物園にはおらんな」
「そうでおじゃるよ、けれど」
 夏目はある生きものを見つつ笑顔になった、そのうえで中原に話した。
「ドードー鳥はいるでおじゃる」
「この鳥やな」
「そうでおじゃる」
 そのドードーを見つつ言うのだった。
「これは凄いことでおじゃる」
「僕等の世界では酷い絶滅の仕方したけど」
「こっちの世界ではでおじゃる」
「ちゃんとおるから」
「見られることは素晴らしいことでおじゃる」
「ほんまにな」
「この鳥は飛べないでおじゃる」
 このことで有名である、モーリシャス諸島という他の世界から隔絶された場所にいたのでそうした生きものになったのだ。
「そして太って動きも遅い」
「卵も地上に産んで」
「もうとかくでおじゃる」
「天敵に弱いな」
「犬に襲われ鼠に卵や雛を襲われ」
「人にも襲われて」 
 そうしてだったのだ。
「絶滅したな」
「この辺りクァッガやステラーカイギュウと同じでおじゃる」
「この動物園クァッガもおるし」
「ステラーカイギュウはいないでおじゃるが」
「あれは寒い場所の生きものやから」
「アラスカの水族館でアメリカの星の人達が飼育しているでおじゃるが」
「ここにはおらんな」
 中原はこのことは残念な顔で述べた。
「しゃあないな」
「そうでおじゃるな、しかし」
「それでもかいな」
「こちらの世界ではいるでおじゃる」
 自分達が起きた世界では絶滅した生きもの達がとだ、夏目は笑顔で話した。
「ええことでおじゃるよ」
「ほんまにそやな」
「会えない筈の誰かに会える」
 夏目は自然と笑顔になっていた、狐のその顔をそうさせて言うのだった。
「これは最高にええことでおじゃる」
「ほんまやな」
「だからでおじゃる」
「ここはやな」
「そのええことを満喫するでおじゃる」
 まさにと言うのだった。
「そうするでおじゃる」
「ほなな」
「それとでおじゃるが。中原氏は」
 夏目は今度はモアを見つつ彼自身に声をかけた。 
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