探偵ストレイドッグス
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第11話 明智五郎編
前書き
最近ペルソナ5ザ・ロイヤルにはまっています。
ということでクロスオーバーをもう一つ。
明智がIF生存したら。
もともと探偵だったし、文豪たちと出会ってもいいよね。
~2年前~
横浜湘南海岸
太宰がいつものように自殺に慎み、国木田がそれを連れ戻しに来た時のことだった。
浜辺に打ち上げられた人らしき物体を目にしたのは。
「お、おい!大丈夫か!?」
国木田が声をかけるも起きる気配はない。
息はしているようだが、衰弱が激しい。少しでも遅れると手遅れになりかけない。
その様子を太宰にしては険しそうな表情をしてた。
「(こいつはつい最近まで騒がれた、探偵王子?でもなぜここに?それこの衰弱の仕方。いやそれより・・・・・)国木田君!!ゆっくりだけど早く抱えて今から事務所に行こう!!今日は与謝野君は?」
「今日は、非番だったはずだが・・・・・」
「仕方がない・・・急患だ。休みのところ悪いが出社してもらおう。それと、念のため鴎外先生にも来てもらおう」
いつになく真剣な表情の太宰は出社の胸を与謝野に伝え急患診察準備の指示を出しているのを横目に見ながら、自身の車へ急ぐのだった。
_____________________________________________
診察中のランプが消え与謝野と鴎外が出てくる。
「どうでした?」
「外傷がない上にそれでも着々と近づく死の音。かなり大変だったけど、何とか死ぬことはないだろう。」
「ただ、いつ意識が戻るかはわからない。」
「そうか・・・・・・」
うぅむ、国木田がうなる。
「とにかく、会議室に戻りましょう。」
会議室には今回の件で非番の幹部を含めて全員を集めた。
「えぇ・・・・・今回俺たちは・・・・・」
ことのあらましを説明する。
「・・・・・・というわけで、命に別状はなくなったがいつ意識が戻るかどうか分からない。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
全員が沈黙する。
「・・・・・・・・そもそも、あいつが誰なのかさえ分かっていない状況だ・・・目覚めるほかない。」
「!!(そうか俺の異能が認知を打ち消したんだ。それは幸いだったな。)」
口々にそうだなというメンバー。そして自室や仕事に戻っていく。
「・・・・」
「どうしたんだい。敦君。」
「・・・・・いえ、あの人のことどこかで見たような気がして・・・・」
「敦君もかい?実は俺もなんだよ。」
なんかもやもやしている気がして・・・・・・
「!!(そうか・・・・すべてが忘れるわけじゃない・・・・・)」
近くで珍しく真剣な表情をしている乱歩を見た。
「・・・・・・・乱歩さん」
「太宰は、あいつのこと知ってる。・・・・・靄が晴れないんだ。こんなにもやもやしたの初めてでね」
珍しく弱気な発言だ。
「えぇ・・・・少なくとも異能のおかげで他のメンバーよりは覚えていることも多いと思います」
それでも本人から本当の真実を聞かなければ彼が何者なのかわからないとは思いますが。
「そう・・・・なら今回の件は完全に君に任せるよ。その代わり完全に解明しなきゃ承知しないから」
このもやもや感がなんか気持ち悪いんだよね。
「(乱歩さんにとってはそうだろうな)当然です。しっかり解明して見せますよ」
乱歩と一通り今後について話し合った後、すでに自室に戻ったであろう男の部屋の前に行く。
「翼くんちょっといいかい?」
「・・・・・なに」
「いくつか調べてほしいことがある。【認知科学】【心の怪盗団】【探偵王子】この3つについて調べてほしい。」
「・・・・それって今霞がかかったように頭の中がなっているのとなんか関係あんの?」
「!!やっぱり。翼君もか・・・・」
「うん。・・・・俺たち情報のエキスパートにとっては屈辱。」
「とにかく頼むよ。」
「わかった。」
これは少し”本気”ならないといけないな。
そうつぶやきさっそく異能の一つ古代書で調べ始めた。
「乱歩さんの真剣な表情だけだけでなく、翼の本気モードも見ることができるとはな」
扉を閉め、未だ目覚める気配のない青年に思いをはせる。
「君の存在が私たちDMOの主力を本気にさせたみたいだよ」
___________________________________________________________________________
「・・・・・・これ」
太宰は翼に唐突に招かれたと思ったら、大量の紙束を渡された。
「前に言ってたやつ・・・・・2週間かかったけど」
「こんなに?さすが翼に頼んどいて正解だったよ!」
「1つの件に2週間かかったの初めてだった。正直古代書じゃなかったら詰んでたね。よくもまぁ大衆の人の認知を変えるだけでここまで生きてた人の記憶すらなくすんだから。あらゆる組織の一つの手がかりを辿ってようやくたどり着いたんだ。無駄にはしないでよね」
「あぁ・・・・もちろん。彼のしでかしたことはこのご時世では許されないことだけど彼自身が今どう思ってるのか・・・・・その答え次第で彼の今後の人生が決まってくる。その時は翼にも協力してもらえるかい?」
「うん。了解、それに自分自身彼とは話し合いそうな気がするんだ。同い年だし。」
さすがに芥川とはあまり相性良くないから・・・・・
「ではこれは乱歩さんや社長たちにも報告してくる。それに今回は彼らにも協力して仰ぐことになりそうだ」
「彼ら・・・・・・・あの人たち」
「そう、昔、私が武装探偵社員にマフィアからなれたのか。そのきっかけをくれた人たちにね。」
それから、この情報をもとに認知とは何かの学問を究めながらどの事件が誰が起こし、心の怪盗団の正体はなんなのか。最終的な黒幕は誰だったのか。
理解不能な人もいたが何とかコンコンと説明し全員が理解をするに至った期間、約3か月。
ようやく彼が目覚めることになる。
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「んぅ」
名前も知らない彼、いや太宰がいうには【明智吾郎】というちょっとした名の知れた人らしいが、その彼がDMO医務室に運び込まれて2か月
ようやく目覚めたのである。
その時間、ちょうど医者として他のカルテを確認していた時だった目覚めた彼が動きうっすらと瞼を空けたのを確認した。
暗い、暗い奥底にいた自分が何かに引っ張りあげられるように意識が浮上していくのを感じる。
彼、明智吾郎がうっすらと瞼を開けると、暗かった場所とは正反対の真っ白い部屋だった。
光に慣れ、少ししか動かせないがあたりを見渡すとピッピッピッピとおそらく自身の心臓の音を示す機械。腕には点滴がつながっていることが確認できる。そこでようやく自身が生きているんだと感じた。
どうしてだろう。あの時僕は確かに認知上の”僕”と銃撃になってそれで・・・・・・
「ようやくのお目覚めね。」
なぜ生きているのか、そのことばかり考えていた僕は同じ部屋にもう一人いることに全く気づかなかった。
「気分はどうかしら?」
「ぁっ!!」
「あぁ、しゃべれなくても無理はない。3か月ぶりの目覚めだからな。」
何か返事をしなければと声を出そうとしたがかすれて出てこない。戸惑っていた僕に女の人(白衣を着ているから医者だろうか)は2か月もの間眠っていたのだから仕方がないといっていた。
そのことに驚いた僕はそばにかかっていたカレンダーに目を向けると翌年の2月となっていた。
「お前が起きたことをほかの皆にも伝えなければな。」
では、少し席を外すからこのまま休んでいてくれ。
そういい席を女の人は席を外した。
明智はあの後のことを整理した。現実とは違うパレスの中、獅童パレスにて【心の怪盗団】と相対した。相手は人に恵まれて生きてきたまるで自分とは違う生き方をしてきた少年雨宮蓮”ジョーカー”。なぜ、こんなにも自分とは違うのかと恨み、憎しみを持って究極奥義ともいえるペルソナを暴走させてまで殺そうとした。でも敗北した。一度は【心の怪盗団】の一員になったけどそれを裏切り、支えてくれた冴さんを裏切り、挙句の果てに一時期仲間だった【心の怪盗団】のメンバーである佐倉双葉と奥村春の肉親を殺した張本人。
敗北した僕を、罵倒するのかと思ったが、ジョーカーは一緒にやり直そうとまで言ってくれた。
結局は認知の僕がみんなを殺そうとしたから、逃がすために僕が残ったのだけれど最後の最後までジョーカーだけでなく他のみんなも一緒に逃げようと叫んでいたのは覚えている。
あれから、獅童はどうなったのだろうか。3か月もたっているのだからどちらにせよすべてが終わっているはずだ。
しばらく考え事をしていたが、あれから結構立っているような気がする10分という時間ではないだろう。気を使ってくれたのだろうか。
試しに声を出してみる。まだ掠れはするもののさっきよりは声が出ていた。これならば話すことができそうだ。
頃合いを見計らったのかのように出ていった女医が数人を連れて戻ってきた。
年は少しくらい年上だろうか。
自分と同じくらいの少年もいるようだった。
声が出ないことを聞いたからか、筆談でも構わないといってくれたがそれは大丈夫とお断りをした、というかそのためにのスケッチブックだったのか。
「まずは、回復おめでとう、目覚めるのをずっと待ってたよ。明智吾郎君」
茶色のコートを着た少しぐらい年上ぐらいだろうか。なぜか僕の名前を知っている?自分はパレスで一度撃たれている。あれからどうなったのか知らないが大衆からの認知はなくなったはずだ。
混乱をしているのが伝わったのかまず最初から説明を始めてくれた。
「あぁ、君の名前を知っているのはフェアじゃないな・・・こちらの名前も明かさなければな」
「・・・・はぁ、お前は一々回りくどいねぇさっさと名前言えばいいじゃないか。あたしは与謝野晶子、一番最初にあったからわかる通りここの医務担当だ。」
やはり、医者だったようだ。
「そして、こちらは江戸川乱歩。うちの事務所を支える探偵だ。」
「・・・・・・」
こちらを見定めるように真剣な表情で自分を見つめてくる。
探偵?ということはここは探偵事務所なのか。自身(探偵だったがそれは自分で起こした事件を解決していただけ)と違って優秀なんだろうか。
・・・・やはりすぐに結び付けてしまう。
「で、こっちが徳島翼。まだ未成年の18歳だ。情報収集担当でうちに来た依頼の大半は翼が集めた情報をもとに解決してきた」
「よろしく・・・・・」
18歳ということは同い年なのか。そして、情報収集ということは双葉と同じということになる。
「最後に私、太宰治だ。よろしく」
他にも主力メンバーはいるが医務室に押し掛けるわけにもいかない。ちょうど依頼で出ているメンバーもいるしおいおい知ってけばいい。
「さっそく本題に入ろう・・・・・勝手ながら君のことは調べさせてもらったよ。」
一言一句聞き洩らさないように話を聞いた。
まずはここがどこなのか。横浜にある総合探偵事務所DMO(Derective Managemant Office)という異能力者が経営しているところらしく。太宰さんとここにはいないもう一人が湘南の浜辺で衰弱して倒れていた僕を発見したとおいうことだった。外傷は特になかったとのことだったが、おそらくそれは現実世界ではなくパレス内で撃たれたからだと思った。
そして、大衆認知のことだが、やはりテレビでも名前は出てこないし実際DMO社員も僕の顔を見てすぐに誰かわかったものはいなかったそうだ(太宰さんを除き)。なぜ太宰さんだけがハッキリと覚えていたのかは太宰さんの異能力が関係するみたい。
そして、獅童がどうなったのか、【心の怪盗団】がどうなったのかも教えてくれた。
結局獅童は改心させられ、罪を告白し現在は監獄にいるらしい。そのことについてはジョーカーは約束を守ってくれた。それだけなのにひどくスッキリとした。
それから、【心の怪盗団】の現在についても知らべてくれていた。獅童を改心させても大衆は獅童のことを信じ精神障害だった、そんなの何かの陰謀にはめられただの好き放題言っており最後の手段として大衆を改心させることを決心させることにしたそうだ。そうして、全てが解決してもパレスでの改心方法なんて証拠があるわけではない。そこでリーダーである少年が出頭し、少年院に入ったそうだ。
そのことにひどく動揺した。いや、自分が寝ている間にいろいろなことが一気に起こっていて頭がついていけないのかもしれない。
「・・・・・すまないね。今日起きたばかりだというのに。今日はここまでにするかい?」
太宰さんが気を利かせたのかここで話をいったん止めようとする。しかし、聞いておきたいしどうなったのかすべてを聞きたいと思った。
「いえ、大丈夫です。話を続けてください。」
「これ・・・・ハーブティー。落居着くと思うから」
「え?あ、ありがとう」
徳島君がいつの間にか持っていたハーブティーをカップにいれて差し出してきた。
いい香りがする。
一口飲むだけでだいぶ落ち着いてきた。
「じゃあ続きを話すよ・・・・・」
少年院に入ったリーダーだったけど彼らの仲間たちは何とか、署名や学校として抗議する体制を作っていった。そして、最終的に保護観察処分となっていた免罪事件の時の女性を説得し、証言に立ってもらうことに成功してリーダーは釈放。それが2月13日のことだった。
「・・・・・・・以上がことの結末だ。」
ちなみにだが、あり得ないぐらいパレスのことや【心の怪盗団】のこと。警察内部の動きまで事細かに調べてあったがすべて徳島君の功績なんだとか。
敵にすると厄介な人物だとそう感じた。
「さて、君のことも調べさせてもらったよ。鴨志田事件よりも前の精神暴走事件、廃人化の実行犯。」
ついに来たか。
「・・・・・・・すべて調べたとおりです。自分は認められたかった。獅童に付き従うふりをしながら最終的には自分が獅童の息子だといって絶望を植え付ける。それが自分の計画だった。他の人はどうなろうと関係なかった。だからッ」
奥村春と佐倉双葉のことが頭をよぎり言葉が詰まる。彼女らは完全な被害者なのだ。闇の中にいすぎた自分とは違う。
「でも、今はそうじゃないんだろう?君にもほんのひとときでも怪盗団として活動している形跡があるね。それと、特にジョーカー、いや雨宮くんとは親しかった。」
そういわれルブランでのひとときや吉祥寺でビリヤードを行った時のことを思いだす。
「どう?楽しかったかい?」
「・・・・・・・楽しかった。」
だからこそもっと早く出会っていればと今でも思う。
「・・・・・・・これからどうしたい?」
これまで珍しく一切口を開かず、話を聞いていた乱歩が問いかける。
「え?」
「パレスで相打ちになって死んだと思ったら生きてて、しかも3か月経ってて何もかもが解決していて、で、君はどうしたい?」
「ちなみにあの後のことだけど明智君が通っていた高校だけど。探偵なんてやってなくて一般人の明智吾郎になっていていつの間にか退学したことになっていた。」
せかすようでわるいけどさぁ。どうしたいの?これから
どうしたいか、もちろん殺してしまった人はもとに戻らないし廃人化した人をどうやって元に戻すのかなんてわからない。だけど、社会のためにできることはあるんじゃないか、
「・・・・・償いたい。自分のせいで大衆を巻き込み、悲しませた。だったら、自分たちで社会を新しく作り変えるんだ!!」
「・・・・・・・へぇ、言葉にしたら顔色良くなったじゃん」
乱歩は満足げに笑った。
「なら・・・・ここに優良企業が目の前にあるんだけど」
・・・・・・・・・え?
明智は目をパチパチと瞬かせた。
「・・・・太宰、すでにこうするつもりだったな」
「・・・・はぁ」
「でもそうなったらいいよね。探偵が増えるわけだし」
「え?え?どういうことですか?」
「君をDMO社に歓迎するよ。」
ちなみに福沢さんと森さんには許可とってるよ!。
あっけらかんに言い放たれた言葉にその場にいた全員が終始無言。
なんと用意周到なことか。
「・・・・福沢さんがOK出したなら、こっちとしても異存はないけど?」
「まぁ、太宰さんが言いそうなことだし」
「で、でも、探偵王子なんて呼ばれてましたけど所詮は偽物です。自分で犯罪起こしてあたかも解決して見せた、探偵なんて呼ばれるわけには・・・・」
僕は思わずうつむいた。
「社会を新しく作りたい・・・そういったよね?償いたいとも」
「だったら、ある意味この探偵事務所への就職はいいのかもしれない」
徳島君の言葉に目を丸くした。
「そう、パレス内でしか改心できない。それは学生だったからであって社会に出ればその人を解決に導くやり方はいくらでもあるんだ。」
「警察は組織に縛られるからすぐには動けない。悪いことをしている大物との癒着が行われていたりとかね」
獅童がいい例だ。
「だけど、私たち探偵事務所は法に縛られない。逮捕する権利はないけど操作する権限は与えられる。証拠がないから捕まえられないと泣き寝入りをする人も証拠さえ見つかれば捕まえられる」
「それに・・・・君も変わりたいんじゃないの?それとも探偵業は嫌いだった?」
嫌い?そんなはずはない。そうでもなければ探偵なんて名乗るはずがない。たとえそれが都合がよかったとしても。
ぶんぶん首を振る。
「じゃぁさ、なろうよ・・・・・本物の探偵に。自分で起こした事件ではなく誰かに起こされた事件を解決するために」
その言葉で決心した。
「よろしくお願いします」
新たな自分に生まれ変わるDMO社員として。
そういった話が終わり疲れ始めたのを感じた時与謝野さんが休ませろとその場はお開きとなった。
自分も気が張っていたらしくすぐに医務室のベットで眠りについた。
次の日は昨日の今日ということで与謝野さん、ともう一人医療の権化で副社長である森鴎外先生が来て軽い問診をしただけだった。(超大物がDMOの副社長だったことに驚愕したが良い人そうだった)。与謝野先生には森先生は腹の中真っ黒だからと教えられたが。まさか目の前でいう者だからこちらが汗ダラダラだった。当の本人は笑っていたが。関係が良好なんだろうとうかがえた。
そのさらに次の日から、いろんな人が自己紹介もかねて医務室に見舞い(?)僕からしたらコントをしに来ているのではないかとも思うのだが、おそらくすでに知っているだろうに皆優しいと思う。
ただ、中にはなぜか体を宙に浮かせながらやってきたり先が鋭い蝕手ぽいのを出させてみたりかなり個性の強い人たちだったけど。
そして、毎日やってくる人も中にはいる。
「翼は毎日来てるけど仕事の方はしなくていいのかい?」
『してるよ・・・・でも毎日見舞いに来たって戻ってからすればいいし・・・・・』
僕は彼のことを翼と呼び始めた。何より同い年だったし、向こうからも翼と呼んでくれといわれたのでじゃあ吾郎で構わないとお互い名前で呼んでくれている。
『それに・・・・・』
?
『となり、工事の音でうるさい。』
「・・・・・?あぁ、そういえば太宰さん言ってたっけ?僕の部屋、翼の隣になるって」
『・・・うん。つまり高確率で太宰さんも近くに来るってこと』
そういい、思いっきり翼はため息を吐いた。その姿に苦笑いをしていた。他にも国木田さんや中也さんからは黙って肩をたたかれたし、相当振り回された人たちなのだろう。
「・・・・・・・で、翼は今何してるの?」
光っているコマンド文字で何かを調べているらしい。
これが異能力の力だ。俺たちはペルソナ覚醒者は異世界でしか力が出せなかったが、現実にはタイプの違う異能力者が全体の4割を占めるらしい。
話には聞いていたが、あの時は獅童のことで頭がいっぱいだったからそれどころではなかったし途中から怪盗団の話で持ち切りだったからすっかり忘れていた。
翼は数多くいる異能力者の中でもたくさんの種類を持つ多重能力者らしい。(といっても1つの異能から)なり立っているとのことだったが。
「おや、もう始めているね・・・・・」
そこに入ってきたのは太宰さんと・・・・・・
「そこにいる彼が話していた人物ですか・・・・・」
眼鏡をかけたいかにもお役所仕事という感じの人物だ。警察関係者だろうか。思えばここに警察関係者が来たことは一度もなかった。認知上僕がやったと思っていないからなのかも知れないが。
「紹介しよう。彼は坂口安吾。警察独立組織、異能特務課所属だ。」
異能特務課といえば警察の中でも独立したい位置におり、しかし、どの部署よりも地位が上の部署である。公安の人と話したときもそう話していたし、冴さんの話に出ることもあった。
「よろしくお願いします。」
話を聞いてみればどんな人かと思いましたが、なかなか礼儀正しい人じゃないですか。
あなたとは大違いだ。
いきなり太宰さんにそう話した坂口さん。
仲があまり良くないのだろうか。
『昔からああだよ。あの二人』
”昔”というのは前世という者らしい。ここに所属している異能力者、無能力者も何人かがこの世界に転生をしているらしい。
一応翼から前世がある人の名簿を渡された。僕自身のしでかしたことを知っている人たちらしい。そして、前世でもっとたくさんの人を殺してきた人たちがおおぜいいた。現在まだ12歳という泉鏡花ちゃんも35人殺したというのだから、僕が事件を起こしたことも嫌味を言う人は1人もいなかった。
「そうそう、彼に来てもらったのはね・・・・・」
どうやら坂口さんが所属する、異能特務課に記憶を封じる能力者が所属しているらしい。今はただの明智吾郎ということにはなっているけど、いつ何かの拍子で思いだすかもしれない。現にDMOのメンバーは異能力無効化の太宰を除き、どっかで見たような感じがする。と違和感を覚えたそうだ。
だったら、ただの明智吾郎もいないことにしてしまえとのことである。つまりは、知り合いが誰もいない状態になるということらしい。
「これはDMOと君を守る手段でもある。」
すでにその能力者には了承はとってるからあとは君の了解だけだ。
その能力は対象は全員に対するのだろうか?
そう思ったらつい口に出していた。
「祖の能力って選んだ対象者を除くことってできますか。」
「あぁ・・・・それはできるが」
「なるほど・・・・・翼」
『今出してる・・・・・・』
ほどなくして、一枚の紙を自分に差し出してきた。
そこには【心の怪盗団】だったメンバーと明智と縁があり少なくとも明智が実行犯だということを知っているであろう人々の顔写真。そこには冴さんやルブランのマスターの写真もある。
『吾郎、確認して。ここにある人以外でも自分の名前を憶えておいてほしい人がいるなら教えてすぐに最新版を作る』
そういいきった翼は頼もしかった。
その一覧を改めて確認する。
一通り眺めてそれを坂口さんに渡す。
「これで、お願いします。」
横から見ていた太宰さんが「これ、君がいた高校の人いないけどいいの?仲良かった友達とかは?」
「いえ、元々探偵王子と呼ばれていた時から腫物を扱うようにされてきましたからそれは大丈夫です。あと一つ、さっきのところに獅童正義も付け加えてもらえませんか?」
「いいのかい。君が長年苦しんで生きた相手なんだろう?」
「それも含めて、ここで自分の人生を歩んでいきたいです。それに彼が自分のこと覚えてなくて急に息子などいないといいだしたらそれこそ違和感だらけじゃないですか。それに・・・・・自分だけ覚えてるのに相手が・・・・長年恨んできた相手が何も覚えていなかったら悔しいじゃないですか」
晴れ晴れとした雰囲気でそういいきった。
獅童と坂口はメモを取り、
『獅童もいれて更新しとく?』
「いや、獅童の名前も顔も有名だからな。それに場所だってわかる。メモで十分だ。」
「じゃあ祖のメンバー以外を頼む」
「分かりましたよ。伝えておきます。」
そういい坂口さんと太宰さんはすぐに出ていった。
『さて、少し邪魔が入っちゃったかな』
調べ物を再開する翼。いったい何を・・・・
『吾郎が廃人化させた人たちの回復、誰が現在は精神崩壊で入院しているのか調べてる』
「っできるのか!?」
思わず喰い気味できいてしまった。自分がここで生きると決めてから起こしたことに対して何の償いもしなくていいのかとおもって。
『吾郎なら、心のどこかで思っていたんじゃないかな?このままの状態でいいのかと。だから、吾郎の償いを手伝うことにした。スッキリした状態で社員になってほしいからね』
そういう翼の言葉に柄にもなく涙があふれそうになった。
『よし、これでオケー。都内だけだよね。』
「あぁ、さすがにその後転院して県外に行かれてたらどうしようもないけど」
『・・・・・ちなみに精神崩壊させた相手の顔とか覚えてるよね。』
「もちろん!」
『なら、ここからは吾郎の出番だ!今、都内の精神科病棟のある患者を調べた。一人ずつ顔写真出すからターゲットが出たら教えて。』
ちなみに都内全部だから相当な人数がいる。覚悟して。
そういわれた明智だが、もちろん自分ができることがそれくらいならどんなに過酷な道でも構わないと決意を固めた。
果てのない罪との向き合いが始まった。
人数や顔は把握していたけれども精神障害で入院してる人数の多さに絶望しかけるも周りの励ましや他のDMOのメンバーが自分の任務の合間に手伝ってくれたこともあって徐々に判断することができた。
被害者だと判明すればあとは翼の出番らしい。
『∞魔法』
「今のは∞魔法の一つ<シンクロノイズ>対象者の心に直接語り掛ける能力だ」
『死んでいないのならば、心のどこかに本人がいておびえている状態。だから直接怯えを取り除く』
「一応今日は一人、今谷崎がその人がいる病室を見張ってる。失敗はしないけど念のため」
そういいお開きになった。
そして次の日、
「谷崎から連絡あった。無事目覚めたらしい。今検査したりカウンセリングを受けたりしているらしいが、特に後遺症などはないそうだ。」
国木田さんからの報告に僕は安堵した。
『安心するのはまだ早い。たった一人だからね・・・・さっさと全員終わらせよう』
「おぅ・・・って言ったけど。能力使うのって結構疲れるんだろう?焦らなくていいから」
自分が言うのもなんだけど。そう付け加えて。
『心配してくれてるの?ありがとう。でも大丈夫。』
そんなやり取りを見ていた太宰はうんうんと頷いて
「二人は言いコンビになりそうだね!!」
「「??」」
「おい、まさか・・・・」
国木田は嫌な予感がした。
「よし、これが解決した暁には翼を教育係に任命しよう。」
もちろん私たちも協力するさ。
「おい、それって翼だけに負担かからねぇか?」
俺たちのサポートもしてんだぞ。
「そうだね・・・・だから、翼に頼まないでいい情報は自分で見つけよう!!」
「「「「「 お前が言うな!! 」」」」」
即座に突っ込まれていた。
「おい、無理しなくていいんだぞ?」
『大丈夫・・・・吾郎と協力するの楽しそうだし、そもそも俺の部屋の隣に吾郎の隣に部屋を作ったのだってこのためなんだろうし』
あぁ・・・と国木田も遠い目をする。
そういえばその指示出していたのって太宰だったか・・・・
つまりは確信犯だった。
『まぁ・・・てことでこれからもよろしく!!』
「おぉう、なんだかよく分からなかったけど」
『てことで残りの作業も終わらせよう。』
こうして、仕分け作業と廃人化の回復をすべて終わらせたのが10日間。
ようやくすべて終わったのだった。
東都では連日精神暴走事件及び廃人化になっていた人々が次々に回復していたのだった。急な回復だったため湊では様々な憶測が飛び交っている。怪盗団が何かしたのではないかということもテレビでは放送されていた。それでも、家族が涙を流し喜んでいる映像も写っていた。明智もその映像を見ながら颯爽だれがやったとか関係なくほんとによかったと思った。
「終わったんだな・・・・・」
『あぁ、これで一連の事件は解決だ!!』
「あぁ・・・・自分だけじゃこんな笑顔見れなかった。本当にありがとうございました!!」
僕は全員に頭をさげた。この人たちに出会っていなかったら今の自分はいないし、人を信じることもできなかっただろう。
「頭は下げなくていいんだよ。明智君が心の底から助けたいと思ったからこそ実現したんだ。それに・・・・私たちは仲間だろう・・・・ですよね福沢さん」
「・・・・・明智吾郎をDMO社員と認める。これから精進したまえ」
「・・・・・・・・へ?」
「あー昔武装探偵社時代の名残なんだ。たまに新しく入るメンバーにこのように入社試験をするの」
「DMO社は探偵社だ。まあ私はスカウトしたからあれだけれど元々君はこの事件の実行犯。どうするのかで二分してな、昔と同じように試験をしようということになった。といっても特にこちらで何をさせようともせずに自分でやりたいことを見つけてさらに翼がッ自ら協力したこと、莫大なあの資料を読む力根気良さ。さすがは腐っても探偵だね。ちなみに合格にしようといったの乱歩さんだから。この社一番の探偵である乱歩さん自ら認めたんだ。これが何よりの決め手だ。おめでとう」
そういって他のみんなは出ていって部屋には医務室には僕と乱歩さんの2人。
「あ、あの・・・・・」
なんて声をかければいいのか、迷っているとき乱歩さんのほうから声をかけてきた。
「俺は探偵であることを何よりも誇りに思ってる。だから、真実を知ったとき正直にいって探偵失格だし探偵と名乗る資格はないと思ったよ。」
それはそうだろう。少ししかここにはいないけどほかの人たちから乱歩さんがどれだけすごいのか聞かされてきた。
「でも、必死に情報をもとに探している姿は調査をしている時の俺に似ていた。だから、こういう覚悟をもってできるんだと思ったら手をさし伸ばしたくなったよ。これから、僕をがっかりさせないでよね」
最後におめでとうと言って医務室を出て行った。
今まで認められない存在なんだと思ってきた自分、だけどこんなにも認められることがうれしいことなんだとこの時の僕は初めて知った。
_____________________________________________
次の日から医務室生活を卒業して自分の部屋に移動することになった。3か月の衰えはまだ回復しきっていないけど何とか歩けるようにはなってきた。
そして、初めて会議にも呼ばれるようになり改めてこの組織が何なのかを詳しく知った。
膨大すぎてなっていったらいいのか・・・・・
まあ依頼は猫などのペット探し(Fクラス)などから犯罪組織摘発(Sクラス)まで幅広いということだった。入社して間もなくまだ、リハビリ途中の自分はリハビリを続けながら翼の情報収集のサポートや事務作業をしながらいろいろな業務を経験することになるだろうとのことだった。
これから、どんなことが待っているのか楽しみで仕方がない。
会議室で入社に際しての話が終わった後、自室に案内された。
そこは正直言って1LDKどころではないくらい広々とした部屋となっていた。
あたりをきょろきょろと見渡す。ベットに洗面所、シャワー室、しっかりカーテンもついている。
それだけではなく一面に物を入れられる本棚が壁一面にどっしりと立っていた。さすがに今はなんも入っていないが。それから暗証番号式金庫もついている。
「ここが今日から仕事場兼自室ということになる」
太宰さんが正面に歩いていく。そこには広々とした作業デスクその上にはパソコンが置かれている。あまり詳しくはない僕から見てもかなりの高性能だと分かった。
「それとパソコンを開くとログイン画面になる。そして、これがIDとPASSだから忘れないでね」
IDとパスワードをもらった。
試しにさっそくログインさせてもらう。
おそらくこれがホームページなのだろう。それと・・・・
「掲示板?」
『うん、依頼掲示板。ここに一般の人が依頼を書き込んで来ることになっている。』
そこには依頼内容が書かれていた。
「ちなみに一般の方とはネットを通してやり取りをする。例えばどの依頼にするのかは我々が判断をする。そして各々で受注したものがほんとに大丈夫なのか。罠じゃないのか、本人の探偵レベル的に大丈夫なのかを最終判断するのが翼だ。そこでOKとの判断下ればいよいよ調査開始となる」
『このシステムも自分が作った。一応そういった怪しいものは事前に弾き飛ばされるように設定してるけど念には念を入れて。』
「・・・・翼って何者?」
「ただのDMO社員」
「ただの人なら多重能力者じゃないし。IQ400も持ってないでしょ」」
『それならここの人たちみんな規格外。』
「ま、それは言えてるね。」
頭の回転が違うと思ったがそれなら納得だ。佐倉双葉よりもすごいのではないかと思った。
「話続けると一般人用掲示板の横のメニューを開くとこちらは重要任務用の通達事項となる
主に全員でかからなけれあならないような事件が発生した時用の連絡などが書かれている。こちらには直接事件概要は書かれてなく会議室で直接概要は説明されることになっている。」
『とりあえずこの二点は頭に入れておいて、あとDMO用のチャットなんかもあるから部屋に直接行ったりもせず自室からDMO社員と直接連絡取り合うこともできるから此方の活用よろしく』
「あと、明智君のこれからのことなんだけど・・・・・・」
太宰さんからは坂口さんから能力発動完了したことと、2年間ほど確認のため雲隠れしてほしいとのことだった。太宰さんも昔マフィアから武装探偵社に入るために同じことをしたそうだ。
「まぁ、すでに認知上探偵王子という存在は消えていたしさらに能力を上書きした感じだから年のためって言うぐらいだけどね」
あ、別に一歩も外に出てはいけないというわけではないよ。探偵になるうえで土地勘を調べるのも大事だしね。一人というわけにはいかないかもしれないけど。
そういう者なのかもしれない。2年というのが長いのかわからないけどそのぐらいならと了承した。
『話が決まったところでPCの使い方を教える』
パソコンの使い方、リハビリ、車の免許取得、翼から指定された依頼をこなす日々を過ごしていくことになる
さらに、あることがきっかけで異能力として再びペルソナが覚醒したのだった
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