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不愛想でも

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第三章

 キャンセルしそして家に戻った、すると。
「うわ・・・・・・」
「これは・・・・・・」
 家は全壊していた、周りもだ。電車は動いていたので戻れたがそれでもだった。
 酷い状況だった、ここで父親が地震の状況をスマートフォンで確認した。
「マグニチュード七・三だ」
「大地震じゃない」 
 母親はその規模を聞いて言った。
「それだと」
「しかもこの家古かったしな」
「耐震も弱かったから」
「この辺りの家は大抵そうだったみたいだな」
「それでなのね」
「この通りな」
 苦い顔での言葉だった。
「あっという間だったみたいだな」
「全壊ね」
「被害はまだな、それでな」
「ええ、真理とペペは」
「誰か知らないか?」
「村田さんがいるよ」
 次男が両親にここで言ってきた。
「ご近所の」
「よし、それならな」
「今からだね」
「村田さんに事情を聞こう」 
 父はこう言ってだった、そうして。
 実際に一人の中年の女性に事情を聞くとだった、その人はすぐに話してくれた。
「真理ちゃん病院に行きました」
「病院ですか」
「ペペちゃんが助けてくれまして」
 家の犬がというのだ。
「リードを引き千切って」
「そうしてですか」
「崩れた家の中にいた真理ちゃんを助け出してくれて」
「そういえば」
 ここで父は思い出した、母もだ。
 ペペはセントバーナードだ、この種類だからだ。
「あの子は救助犬だから」
「真理を助けてくれたのね」
「そうしてくれたんだな」
「普段あの娘にだけは不愛想なのに」
「救助犬だからな」
「それにやっぱり家族だって思っていたのね」
 こう話すのだった。
「だから助けてくれたのね」
「そうだな、それでペペは」
 父はまた村田さんに尋ねた。
「何処に」
「はい、真理ちゃんを助けたんですが」
 それでもというのだ。 
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