曇天に哭く修羅
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第二部
問題無し
前書き
_〆(。。)
大将戦のクリスとエリザ。
紫闇達は彼女等の試合を最前列の特等席で応援することになった。
試合開始を待っていた龍帝学園の代表だったが突然アリーナの入口付近から聞こえてきた銃声と爆音に反応。
「あ、狂伯君だ」
向子に《矢田狂伯》から連絡。
どうやらHCA(人類保全連合)のテロリストが内通者によって警備をすり抜けてきたらしく、戦闘中とのことだ。
「狂伯君。HCAの思惑は?」
『あいつらイギリスと組んでる。最近のHCAが活発に活動できてたのも武器と資金を向こうから提供してもらってたからだよ』
日本の魔術師から【古神旧印】を奪うのは勿論だが、自作自演で日本に軍事的・政治的なダメージを与えるのも計画だという。
「なるほど。来賓に居る英国の首脳陣を自分たちの手で殺した上で責任を押し付ける気か。ついでに賠償金や人材を差し出させると」
どうもクリスの命を狙う理由にもこの計画が絡んでおり、イギリスの潔白を証明する為に死んでほしかったらしい。
クリスはイギリスの人間。
しかも国内屈指の貴族。
そんな存在を味方が殺すわけは無い。
だから今回のテロにイギリスは関与していないという言い訳としてクリスの死を利用するつもりなのだと。
「向子さんはこのイベント責任者だからね。HCAを処理しなきゃいけない。皆の力も貸してほしいんだけど良いかな?」
クリスの応援がしたい紫闇も了承。
こうして向子、桜花、聖持は遊撃に回り、紫闇は来賓室の前に向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
《クリス・ネバーエンド》が居る控え室。
「あの馬鹿は……」
レックスがわざと負けた。
クリスはそのことに気付いている。
不愉快で仕方ない。
勝利に飢えていた頃を知っているから。
幼少期のレックスはクリスと同じように出来損ないとして扱われ、虐めも受けていた。
しかしクリスと出逢い精神的に変わった彼は必死に努力を積み重ね初めて勝利。
我がことのように嬉しかった。
『貴女の言う通りでした! 頑張れば僕みたいな人間でも勝てるんですね! もっと頑張ってもっと強くなります! それで、世界一強くなったら僕と……。い、いえ、何でもありません。秘密です!』
あれだけ輝いていた頼もしくて好ましい弟分なのに、またしょぼくれた性格に逆戻りしたことが腹立たしくて仕方ない。
「親善試合が終わったら殴ろう」
クリスがそう決めた直後、控え室に係員が来て、彼女の出番を知らせる。
部屋を出て通路を歩いていく。
背後から殺気。
彼女は魔晄防壁を張りながら前へ跳び、着地後に振り返った。
居るのはバスターソードを構えた係員。
「刺客だったのねアンタ」
クリスは背中に痛みを感じる。
「防壁が遅かったかしら?」
その疑問に刺客が答えた。
「我が【異能】は『物体の切断』だ。如何なるものも一振りで断ち切れる。それが例え核兵器に耐えられる物理防御力を持った魔術師の魔晄防壁で有ろうとな」
「はっ、笑わせるわ。あんたに異能は要らない。直ぐに終わらせてやる。今の私に勝ちたいなら紫闇でも連れてきなさい!」
【練氣術】によってブーストがかかったクリスの身体能力に【音隼】による高速移動が加わり刺客を翻弄すると、隙を見て【禍孔雀】の拳を叩き込んで床へとめり込ませた。
「防壁をすり抜ける攻撃っていうだけじゃあ今の私には到底勝てない。もっと基礎能力を上げなきゃね。つまり鍛え方が足りてないのよ」
ピクリともしない刺客を放置して武台に向かうクリスは花道で浴びる歓声に高揚し、闘争心が不安と緊張を駆逐していった。
後書き
原作だとクリスはこの刺客に心を折られるんですが、この作品では既に覚醒しており原作より遥かに強いので速攻で勝ちました。
_〆(。。)
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