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夢幻水滸伝

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第百三十一話 琉球を出てその六

「四十年近く前は」
「ああ、気合入ってるって見せる為にやな」
「そうした軍服を着ていた」
 室生は中原に話した。
「私はそう聞いている」
「あえて着てたんやな」
「そしてその服を着たゲームの主人公もいたという」
「熱血硬派やな、僕の叔父さんが言うてたわ」 
 中里は親戚のことから話した。
「そんなゲームがあったって」
「その様だな、白ランを着た主人公か」
「おもろいな」
「いいセンスだ」
 室生もそのゲームの主人公について述べた。
「実にな」
「そやねんな」
「そして私も帝国海軍の軍服は好きだ」
「白の詰襟はやな」
「冬の黒もな」
 そちらもというのだ。
「好きだ」
「陸軍の軍服もいいのですが」
 喜久子は今度は考える顔で述べた。
「ですが」
「海軍のものがか」
「一番かと、旗も」
「旭日旗だな」
「私は大好きです」
「この世界でもあるしな」
「この世界では日本の軍旗になっている」
 海軍のものだけでなくだ。
「いいことだ」
「あの旗が翻っていると」
 それを見ると、というのだ。
「それだけで元気が出ます」
「それな、ほんまにな」
 実際にとだ、中里も言った。
「あの旗は綾乃ちゃんがこれしかないってな」
「定めてくれましたね」
「日本軍の軍旗にな」
「素敵なセンスですね」
「ほんまにな、ただな」
「ただといいますと」
「喜久子ちゃんほんま海軍好きやねんな」
 中里は喜久子にしみじみとした口調で言った。
「軍服も旗もって」
「そして軍律も」
 こちらもというのだ。
「あそこまで厳格ですと」
「ええか」
「そう思います」
「厳しくあってこそか」
「軍律ではないでしょうか」
 こう思うからこそというのだ。
「私はです」
「憧れるんやな」
「そうです」
 まさにという言葉だった。
「私は、ですが校則には」
「流石に出来んな」
「学校は学校、軍隊は軍隊なので」
 それでとだ、喜久子もこのことはわかって中里に答えた。
「そこは違います」
「起きた世界やとな」
「そしてこちらの世界の軍隊では」
「日本軍の軍律厳しいで」
「いいことですね」
 喜久子はこのことを微笑んでよしとした。
「アメリカから来たセリューちゃんも感心していました」
「あの娘憲兵隊長やってるしな」
「統一した時もその役職にです」
「就いてもらうんやな」
「私はそう綾乃さんに推挙します」
 太平洋と地下世界の棟梁になる彼女にというのだ。 
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