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夢幻水滸伝

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第百三十一話 琉球を出てその五

「何があろうとも」
「いや、喜久子ちゃんがいてくれてだがや」
 坂口は喜久子のこれまでの言葉を聞いてしみじみとした口調になってそのうえで言葉を述べたのだった。
「よかっただがや」
「そう言ってくれますか」
「風紀委員の時は生真面目過ぎるだがや」
「皆さんがしっかりしていれば」
 起きた世界のことにもだ、喜久子は真面目に答えた。
「私もです」
「注意せんか」
「八条学園の校則は緩やかですから」
「守れるか」
「はい、そう思いますが。流石に」 
 こうもだ、喜久子は話した。
「かつての日本軍よりは」
「いや、日本軍はな」
 彼等はとだ、中里はすぐに突っ込みを入れた。
「流石にな」
「例えとしてですか」
「極端過ぎるやろ」
「厳し過ぎますか」
「鉄の軍律やったやろ」
 日本軍のそれはというのだ。
「まさに」
「文字通りに。実は憧れています」
 喜久子は実際にその整った顔の頬を赤らめさせてそのうえで中里に答えた、実は喜久子は帝国海軍が好きなのだ。
「海軍も。そして陸軍も」
「特に海軍やな」
「恰好いいですね」
「あの士官の軍服やな」
「この世界では吉川君が着ていますが」
「冬は黒、夏は白でね」
「あの詰襟の軍服を。もうあの恰好よさは」
 それこそとだ、喜久子は言葉にも憧れを込めて語った。
「軍服の中で最高です」
「そこまでやっちゅうねんな」
「海上自衛隊でも夏はあの詰襟ですね」
「白のな」
「礼装の時は」
「あれは今も健在やな」
「いいことです」
「確かに恰好いいだがや」
 坂口は自分の仕事をしつつ喜久子に言ってきた。
「しかし」
「それでもですね」
「白だがや」
 坂口が言うのは色のことだった。
「白やからな」
「汚れが目立ちますね」
「実際にあの詰襟は一回着たらクリーニングに出すだがや」
「そうなのですね」
「すぐに汚れるだからだぎゃ」
 もっと言えば汚れが目立つからだ、白だとどうしてもそうなってしまうのだ。この色の服の難点である。
「それでだがや」
「そう考えると普段着るのは難しいですね」
「起きた世界でも八条学園には白の制服もあるたいが」
 純奈もどうかという顔で話した。
「ほんまに汚れが目立つたい」
「制服は何かと汚れますし」
 喜久子もその現実を話した。
「学園生活の中で」
「それでたい」
 どうしてもとだ、純奈も喜久子に話した。
「難しかたい」
「学園生活の中で着ることは」
「そして軍隊の中だと」
「とかく動き肉体労働もあるので」
「士官も動くとよ」
「それならですね」
「だからあの詰襟は着るのが難しかたいな」
 その為普段海上自衛隊の夏の制服は略装という半袖開襟の動きやすいものだ、そして汚れてもすぐに洗濯出来るものなのだ。
「まこと」
「そう思うと白ランは難しいでごわす」 
 北原は白の詰襟の服のことを話した。
「着ることは」
「かつては不良が白ランを着ていたな」
 室生はこんなことを話した。 
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