曇天に哭く修羅
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第二部
意欲
前書き
_〆(。。)
代表選抜戦は進む。
Aブロックは《立華紫闇》
Bブロックは《春日桜花》
Cブロックは《的場聖持》
この3人が勝ち抜いた。
日英親善試合に参加できる代表は5人。
生徒会長の《島崎向子》は
《エンド・プロヴィデンス》
《江神春斗/こうがみはると》
《橘花翔/たちばなしょう》
《黒鋼焔》
の4人が親善試合に出てくれないので代わりに4人目の選手となり穴を埋める。
ちなみに選抜戦は免除。
そして最後の5人目。
Dブロック決勝。
《クリス・ネバーエンド》
彼女は決勝まで外装を出していない。
その必要が無かった。
格下相手と言えども異常過ぎる。
今日の相手は五年生の序列6位。
以前のクリスなら負けただろう。
しかし今の彼女は《エリザ・ネバーエンド》に勝利する為に【異能】を温存してきたにも関わらず、まだまだ余裕が有った。
「良い調整相手ね」
対する五年生の6位は女性で[ブラックパンサー]という渾名を持つ実力者。
魔晄外装は三日月のような曲剣にエリザと同じ大気を操作する異能を持つ。
エリザによれば、日本には自分の『劣化コピー』とも言える魔術師が何人も居るのでうんざりとしてしまい、溜め息が出るそうだ。
「到底及ばない」
風の制御も範囲も剣腕も。
「そろそろ終わらせるわ」
クリスの魔晄防壁が変貌。
黒鋼流・【盾梟/たてさら】
防壁が強化される。
背部から金の粒子が噴射。
黒鋼流・【音隼/おとはや】
魔晄粒子による翼を展開。
そして右の拳が黄金を纏う。
黒鋼流・【禍孔雀/かくじゃく】
紫闇と同じ三羽鳥の同時発動だ。
クリスは突進すると正面から風の防御を突き破って相手の胸へと拳を届かせる。
爆発が五年生の6位を呑み込んで見えなくなり、クリスの【古神旧印/エルダーサイン】に光の筋が流れ込んでいく。
「これで刻印の完成率は5割か」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今までのクリスは勝った後に両腕を上げて歓声に応えていたが、この選抜においては何時ものビッグマウスが鳴りを潜めている。
常に冷静で、相手を倒すともう興味は無くなったのかの如く悠然と退場していた。
別人のような威風と厳格さが漂う
《永遠レイア》による『改造』によって単純な『強化』だけではなく、『経験』と精神的な『悟り』まで得たクリスは無意識に抑制されていた能力が解放されており、更に伸びる【底】と将来性を感じさせるまでになっているのだ。
親善試合への準備は万全。
エリザが相手でも死角は無い。
「これで何の憂いも無いな」
《イリアス・ヴァシレウス・グラディエ》は幼馴染みが無事に5人目の代表となったことを喜び自身の決意を新たにする。
【魔神】にまで至った彼が地位も名誉も捨てて自国イギリスの魔術師と軍隊を相手に暴れ果たそうとした目的。
それを達成する為に。
「私個人の恨みは無い。だが友人のことに関しては許さん。今度こそ跡形も無く消し去ってやる。もはや彼奴以外であろうとも手加減する必要は無いみたいだからな」
目的を達成したところで彼が亡命状態から逃れられるわけではないのだが、そんなことを気にして達成できるような目的ではない。
彼の足下には刺客が倒れている。
銃剣の外装でクリスを狙っていた。
合宿で紫闇から返り討ちにされた人物。
息をしていない。
完全に死んでいた。
「取り敢えず親善試合の当日もクリスを気にかけておいた方が良さそうだ」
自身の願いが成就しても彼女に何か有ったら意味が無いのだから。
後書き
_〆(。。)
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