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提督はBarにいる。

作者:ごません
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艦娘とスイーツと提督と・56

       ~龍田:どら焼き~

「やっぱりどら焼きって、こういうシンプルなのがいいと思うのよねぇ」

 今回のチケット当選者は龍田。リクエストはどら焼きとの事で、色々な種類を焼こうとしていたのだが龍田本人に『奇をてらわずにシンプルなどら焼きにして』と釘をさされてしまった。

「まぁ、最近のどら焼きって本当にそれどら焼きか?って言いたくなる様な物を挟んでるのもあるしなぁ」

 どら焼きと言えばふんわりと焼き上げられた丸い生地に餡を挟んだ和菓子の定番だが、最近は老舗の和菓子店やどら焼き専門店を謳う店などを見ると、様々な物を挟んだり生地に練り込んだりして様々なバリエーションが存在する。俺はそう言うの全然ありだと思うんだが、どうやら龍田はそういうのが許せないらしい。

「どら焼きって、この形で完成されてると思うのよねぇ。何でクリームとかフルーツとか、余計な物を挟んじゃうのかしら?」

「さてね。俺は和菓子職人でもねぇからよく解らんが、最近はあんこ苦手って奴も多いからな」

「それで?提督は何してるのかしら~?」

「ん、これか?どら焼きの皮の追加を焼いてるんだが」

 今日は平日だが、俺も今は休憩時間……というか、チケットを持ってきたら強制的に俺は休み時間にるという事で事務方とは話が着いている。中には俺が休みも取らずに執務をしているのを見かねて、強制的に休みを取らせるためにチケットを持ってくる奴も居るから過保護過ぎやしないかと思っているのが正直な所なんだが。おっと、話が逸れた。

「1つずつは小さめに作ったからな。龍田が食べたいだけ焼いてやろうと思ってよ」

「それはありがたいんだけど~、何であんこ以外の材料が見えるのかしら~?」

「あぁ、それは俺の研究用だ」

「研究用?」

「今年も恒例の秋祭りやるからな、今年はどら焼きの屋台ってのも面白いかと思ってよ」

 そこでつぶ餡とこし餡だけじゃあつまらないので、色々と出してみようと思った訳だ。幸い生地に関しては薄力粉にベーキングパウダー、卵に牛乳、そこに砂糖やハチミツと何だかホットケーキを作るような材料で出来る。実際、ホットケーキミックスで作るお手軽レシピもあるしな。俺はそこに少々の塩っ気を加える為に醤油と味醂を隠し味に加えてるんだがな。

「へ、へぇ~そうなの」

「だからついでに新しい味の研究をな。あぁ、龍田もお代わりが欲しければ言えよ?ちゃんとつぶあんとこしあんは別に大量に準備してあるからな」

さて、まずはどら焼きにフルーツを追加してみるか。

《どら焼き+イチゴ》

 イチゴ大福で証明されている通り、酸味のある果物とあんこの相性はいい。なのでどら焼きにも合うだろうと試作。丸ごと1粒では挟みにくいので、スライスしたイチゴを何枚かあんこの中に入れてどら焼きの皮で挟んだ。

「ん!イチゴの酸味があんこをサッパリさせて美味い」

《どら焼き+バナナ》

 実はバナナって、あんこと合うんだよな。たまにクリームあんみつとかのトッピングにされてるし。これもイチゴ同様スライスして、ついでにちょっとチンして柔らかくしてみた。

「少しとろけたバナナがあんこと混ざりあって、これもいいなぁ」

《どら焼き+ラムレーズン》

 これはちょっと意欲作。あんこにラムレーズンを混ぜ込んでみた。ラムレーズンの食感を活かす為に、あんこはこし餡を使った。先にちょっと味見したが、個人的には香りが足らなかったので更にラム酒を追加して練り上げた。

「一気に洋菓子風になったな……でもしっかり和菓子の味だ」

 お茶にもコーヒーにも紅茶にも合うんじゃないか?コレ。あんことラムレーズンの組み合わせはちょっとビックリした、羊羹とかにしても美味そうだ。





「提督、あの」

「あぁ、どら焼きのお代わりか?つぶあんとこしあん、どっちにする?」

「…………つぶあんで」

 龍田の顔が少し悲しそうな気がするが、何でだろうな?(すっとぼけ)……ともかく、俺は秋祭りに向けてのどら焼きの試作&試食の続きだ。お次はよくあるアレンジのクリーム系を挟んでみようと思う。

《どら焼き+生クリーム》

 これはコンビニとかでも売ってる定番だよな。あんことクリームを挟んだ奴。あんこと別々に挟むパターンと生クリームとあんこを混ぜた物を挟むパターンがあるので、両方作ってみた。

「個人的にはクリームと混ぜた方が好みかなぁ……でも、あんこの食感も捨てがたいしなぁ」

《どら焼き+あんクリーム+フルーツ》

 反則級に美味い。あんことクリームを混ぜた物と、フルーツを一緒に挟んでみた。試しにイチゴでやったが、これバナナとかベリーとか、クレープに使うようなフルーツなら大概合うと思う。

「焼き立てのどら焼きの皮でクリーム挟んでクレープっぽくか……面白いかもな」

「あの~、提督?」

「ん?あぁ、どうした龍田。またお代わりか」

「いえ、あの、そうと言えばそうなんですけどぉ……」

 もじもじしながら言い澱む龍田。いつもスラスラと言葉のナイフが次々と出てくるのと同じ口とは思えない。

「なんだよ、言いたい事があるならハッキリ言え」

「あの、試作品なら色んな人の食べた感想があった方が良いんじゃないかしら~?」

「……まぁ、確かにな」

「だったら、私が味見に協力してあげても良いんですよ~?」

「安心しろ、食いたくない物を無理矢理食わせるのは好かん。……まぁ、好き嫌いは抜きにしてな」

「え」

「ちゃんと味見役は準備してある。ほれ」

 そちらを指差すと、涎を垂らした妖精さんがズラリ。

「な?妖精さんへの日頃の労いついでに、味見にも協力してもらう約束だ」

「われわれにもりえきがあるおはなしですゆえ」

「てーとくさんのあたらしいどらやきたのしみです」

「どらやきパーティーじゃー」

「どらパじゃどらパじゃ~」

「あの」

「だから龍田、お前は何の気兼ねもせずに、好きなだけあんこのどら焼きを堪能してくれ」

「…………ふえぇ」

 瞬間、龍田の顔がくしゃりと歪んで涙がポロリと零れ落ちた。

「そんな意地悪しないで、私にもちょうだぁい……?」

 そう。龍田の奴は俺の作っていたあんこ以外の物を挟んだどら焼きが羨ましくなっていたのだ。だが、食べ始める前にあんな大見得を切ったものだから恥ずかしくて言い出せなかった訳だ。

「しょうがねぇなぁ、ったく」

 ……ま、最初から解ってて俺の気が済むまでイジってた訳だが。





「どうだ?美味いだろ」

「そりゃ、美味しいですけどぉ」

 一頻り泣いた龍田は、ぐすんぐすん言いながらも俺の作るどら焼きを次から次へとパクついている。今食べてるのはクリームチーズとバターを練り合わせたチーズクリームを挟んだどら焼きだ。クリームチーズの爽やかな味に、バターのコクが合わさってこれまた美味い。パンに塗ったりサンドイッチにしても良いかもしれん。

「ほんと、提督ってドSな上にイイ性格してるわよねぇ」

「よせやい、照れるじゃねぇか」

「……皮肉のつもりで言ったんだけどぉ?

「解ってて言ってんだよ、バカ」

 龍田も普段はドSだと思われてるが、あれは臆病さの裏返しで強がっているだけだからな。その上に恥ずかしがり屋さんだから、照れ隠しに人当たりがキツくなってしまう。それが龍田がドSと勘違いされる理由だ。龍田は本当は面倒見が良くて心の優しいオンナだってのは、俺が良く知っている。

「……ん?どうした龍田、顔が赤いぞ?」

「わ、わかってるくせにぃ……///」

 おっと、考えてた事が口に出てたか。こりゃうっかりしてたなぁ(棒読み)

「本当に提督って真性のドSよねぇ……まぁ、それがまたイイんだけど♡」

 龍田、お前実はドMなんじゃねぇの?
 

 
 

 
後書き
比叡改二とゴトちゃんの改二が同時に来ましたね。比叡は凛々しさも可愛さも増して、おっぱいの付いたイケメンぽい見た目になりましたね。よいぞよいぞ。

ゴトちゃんは……まだ改二になってません(´;ω;`)だって80レベで改装でけんとか予想してないよ!←慢心
なので鋭意レベリング中です。軽巡のレベリングってどこがいいんだっけ?教えてエロい人。 
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